Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第十六話

カムチャッカ基地

 

伊藤はEx-Sを巡航形態で離陸準備をしていた。

 

伊藤「セイバー01からカムチャッカコントロールへ、離陸許可を求む」

 

「こちらカムチャッカコントロール、離陸を許可する」

 

伊藤「了解。離陸するぞ、セイバー02」

 

上総「02了解」

 

2機が飛び立っていった。

 

 

ユウヤside

 

ユウヤ達は、現在の状況を話している時、護衛にあたっていたジャール大隊の副隊長にラトロワ中佐から通信が入っていた。前線基地から5km地点に展開し防衛線を展開するとのことだった。そこで今直ぐに合流しろとのことだった。

 

ジャ副「そこから動くな、いいな!」

 

部隊と合流するため飛び立っていった。

 

VG「俺らの直掩機がジャール大隊の副長機でよかったな」

 

タリサ「あいつオープン回線で話してるんだもん」

 

ステラ「おかげで欲しい情報が手に入ったわ」

 

ユウヤ「おいおいこんな時にスパイの真似事か、一体何下ぐってんだよ」

 

タリサ「あいつの機体のログをデータリンクでちょっとな」

 

データリンクを確認してみると前回の大規模侵攻の際に機甲部隊が壊滅的な打撃を受けていた。その事に対してソ連軍の何者かが隠蔽を行ない地抵抗も塞いで居なかったのだ。そのため今回の地底侵攻に気づかなかったのは、前回の地底抗をそのまま通ってきていたからだった。

ユウヤ達が話していると離れたところを飛んでいるヘリから通信が入った。

 

⁇?「アルゴス1!聞こえるかアルゴス1!」

 

ノイズが混じっていた。

 

ユウヤ「ヴィンセント、ヴィンセントだな。こちらアルゴス1」

 

ヴィンセント「ちくしょう!やっと繋がったぜ!」

 

ユウヤ「無事なんだな。他のみんなは?」

 

ヴィンセント「整備班やスタッフと一緒だ。イブラヒムの旦那達は別の退避場に向かっている」

 

ユウヤ「そうか」

 

ヴィンセント「それよりもまずい事態だ。篁中尉がまだ基地に残っている。99型砲を爆破……」

 

ノイズが混じり通信が切れた。

 

VG「ユウヤどうすんだ?」

 

ユウヤ「どうもこうも助けに行くに決まってんだろ」

 

VG「了解と言いたいとこだが俺とタリサは無理だ」

 

ユウヤ「何でだ?」

 

VGとタリサが乗っているアクティブイーグルは評価試験を行なっていた為、燃料が切れかかっていたのである。一方でユウヤは待機で、ステラは護衛に回っていたので燃料もまだあったのである。

 

VG「燃料と推進剤がもう殆ど残ってない。ステラと行ってくれ。弾も渡しとく」

 

ユウヤ「わかった」

 

タリサ「行ってこいユウヤ」

 

ユウヤ「アルゴス3行くぞ」

 

ステラ「アルゴス3了解」

 

二手に分かれた。

 

 

唯依side

 

唯依は、16番格納庫にて1人残っていた整備員とともに爆破の準備をしていた。だかコアモジュールの耐久性が高く格納庫内にある弾薬を爆破しても壊さないことがわかった。その為、何か手はないかと考えていると正面の扉で何かがぶつかる音がした。見てみるとそこには1体の戦車級がいた。無理やり開け唯依のいるところに向け走ってきた。

唯依は、それを避け扉の方に走っていった。

その時、フォークを使って仕事をしていた整備員が戦車級に体当たりし、動きを止めた。だがそのくらいで死ぬはずもぬくフォークをどけようと動き始めた。唯依は何かないと探したところ対物ライフルがあり、それを使い戦車級に向けて撃とうとした。

 

唯依「伍長、そこをどけ」

 

対物ライフルから3発の弾丸が発射され全て命中した。

戦車級は絶命した。整備員がフォークから降り唯依の前にきた。

 

「中尉、ありがとうございます」

 

唯依「いや、こちらの方が方こそ助かったありがとう」

 

「いえいえ」

 

唯依「(BETAの斥候がもうここまで)伍長、物資を正面の扉に移動させてくれ」

 

「わかりました」

 

唯依は窓から見られないようにする為、カーテンなどをした。

 

唯依はその後、直接コアモジュールを破壊するため伍長に頼み、下部ハッチを開けてもらっていた。

 

 

 

伊藤side

 

伊藤は、前線基地に向かっていた。途中、2機のヘリを見つけ近づいていった。

通信を取ろうと思ったが通じなかったためモビルスーツ形態になり、腕からワイヤーを発射しヘリとの直通回線を開いた。

 

伊藤「そこのヘリ応答せよ!」

 

「なんだ、お前は!」

 

伊藤「こちらはナイトメア隊、隊長伊藤中尉だ。ここで何をしている?」

 

「当ヘリは現在、前線基地から撤退中である。司令部は前線基地を放棄した」

 

伊藤「了解した。前線基地にはもう人はいないのか?」

 

「その筈だ」

 

⁇?「ちょっと、無線借りるよ。伊藤聞こえるか?」

 

伊藤「ヴィンセントかどうした?」

 

ヴィンセント「基地にまだ篁中尉が残っている」

 

伊藤「なんだと!」

 

ヴィンセント「すぐに向かってくれ。ユウヤにも伝えといた」

 

伊藤「了解した。行くぞ02」

 

上総「了解」

 

すぐにヘリから離れ前線基地へ向かった。

 

 

唯依side

 

基地内は、兵士級で溢れていた。唯依は正面扉で警戒を行なっていた。格納庫の奥の方で何かの物音がした。

 

唯依「どうした伍長?」

 

「大丈夫です。ちょっと見てきます」

 

唯依「待て伍長……」

 

言いかけた時、兵士級が入って来ようとするのが見え手に持っていた小銃を構え、頭を撃ち入って来ようとする兵士級で壁を作っていった。

伍長が慌てた声を出しているのが聞こえた。唯依はその方向に向かって走った。見てみると伍長は兵士級に囲まれ小銃を撃っていたが弾切れをおこした。兵士級に腕を掴まれ叫び声を上げた。

喰われる直前だった。唯依は、小銃を構え頭を狙い撃った。

伍長の体が動かなくなりそのまま兵士級に喰われ辺り一面真っ赤になった。

唯依は、コアモジュールの下部ハッチが開錠していることを確認しハッチを押し開け、中に入ろうとしたが、外にいた要撃級が建物を破壊し、その衝撃で落ちてしまった。下にあった何かの破片が腕に刺さり血が出ていた。戦車級が近くまで来ていた。戦車級が口を開いた。

 

唯依「ユウヤ……」

 

目をつむり身構えた時

 

何かの発射音が響いた。続いて目の前にいた要撃級や戦車級が倒されていった。

唯依は、上を見た。

見ると心神が降りて来るのが見えた。

 

唯依「ユウヤ」

 

心神が降りた。

 

唯依「貴様、何故ここに?」

 

ユウヤ「バカヤロウ‼︎1人で残るなんて何考えてんだ」

 

唯依「貴様こそ何故?私の救出命令は出てはいまい」

 

ユウヤ「ああ、出てねえよ‼︎だがな、こいつを爆破する為に1人で残るなんて命令受けてないだろう」

 

唯依「う……」

 

ユウヤ「とにかく急ごう」

 

唯依は倒れそうになったところをユウヤは受け止めた。

 

ユウヤ「おい大丈夫かよ。たく無茶しやがって」

 

唯依「私のことは気にするな」

 

ユウヤ「ふざけんな!装備より人間の方が大事だって言ったのは中尉じゃねえか、ありゃあ嘘だったのか⁈」

 

唯依「嘘では…ない」

 

ユウヤ「だったら中尉だって失うわけにはいかないんだ!」

 

ユウヤは、唯依の怪我を治療していた。

外では、ステラがユウヤ達に近づくBETAに対し狙撃をしていた。正確な射撃で要撃級を一撃で倒していた。

だが、BETAは何かに吸い寄せられるようにユウヤ達の元に向かっていた。

 

ステラ「もう、何してるの?早く出て来てちょうだい」

 

その時、新たな移動震源が検知された。

 

ステラ「新たな移動震源⁉︎こんな時に」

 

新たなBETA群が姿を現した。先程よりも倍の数が出現した。

 

ステラ「アルゴス3よりアルゴス1へ、新たなBETA群出現!」

 

ユウヤ「こちらアルゴス1了解した。これより合流する。ぐはぁ!」

 

要撃級が心神の後ろから攻撃をして来た。その結果、右スラスターが吹っ飛んでいた。

 

ユウヤ「アルゴス3、援護射撃を頼む」

 

ステラ「わかったわ」

 

心神の手には、コアモジュールがあった。直ぐにステラと合流した。この基地から脱出しようとしたが多数のBETAが向かって来ているため跳躍に必要な距離がかせげないでいた。

 

ユウヤ「アルゴス3、滑走路を使って跳躍をする。今なら滑走路にはBETAがいない。十分な加速で跳躍ができる」

 

ステラ「アルゴス1了解したわ」

 

ユウヤ「あと、中尉をそっちに移す。こっちの機体は姿勢を保つので精一杯だ。中尉の身がもたない」

 

ステラ「わかったわ」

 

強化装備を付けていない唯依にとって機体の揺れやGによって身体に負担が掛かっていたからだ。

2機の戦術機が向かい合い唯依が歩いてこれるようにコックピット付近に腕を掛けた。唯依はステラの機体に乗り移った。

滑走路の方には、まだBETAがいなかったため、直ぐに滑走路に行き加速を開始した。ステラは、速度が上がるにつれユウヤが遅れている事がわかった。

 

ユウヤ「(速度が上がらない。さっきの攻撃で左もやられていたか)」

 

突如、前方から突撃級が接近して来た。ステラは、ここで加速を終了したらもう2度と脱出が出来ないと判断し、そのまま加速を続けた。

ユウヤは覚悟を決め、それを感じ取ったのかステラは跳躍をした。唯依は何かしらの異変を感じ取ったのかステラにユウヤの事を聞いた。

 

唯依「ブレーメル少尉、ユウヤに何かあったのか?」

 

ステラは、何も言わずに左目に頰についている網膜投影機器を唯依に渡した。唯依は、後ろを見た。そこには、まだ地上に残っている心神の姿があった。

 

唯依「戻って、ブレーメル少尉!ユウヤが……」

 

言葉がつまり、涙を流した。下を向きユウヤの名前を呼び続けた。

 

 

ユウヤside

 

左スラスターは、完全に使用不能となっていた。突撃砲の弾も切れ、残っている手段はナイフによる格闘戦だけとなった。

 

ユウヤ「もう残された手段は、これしかねえか。行くぜ!相棒‼︎」

 

ナイフを持ち突撃級に向かって突撃していった。最初の一撃目は避けらるものの後方からの攻撃を避けきれず直撃を受けてしまう。そのまま倒れこみ要撃級の爪がコックピットに向けて振り上げられた。ユウヤは、もうダメだと思い身構えた。

 

だが、その瞬間、奇跡が起こった。

 

突然、要撃級が光る黄緑色の雨に貫かれ絶命した。その回りにいた。BETAも同じだった。

 

???「大丈夫か?心神のパイロット」

 

 

伊藤side

 

伊藤と上総はユウヤ達に向けて最大速度で向かっていた。

途中、伊藤の機体のレーダーには懐かしい名前が映っていた。

 

伊藤「あの野郎、やっと来やがったか」

 

 

 

???side

 

誰からメールが入っていた。見ると「今すぐ来てくれ」だった。ちょうど地球周回軌道に入ったところだったので直ぐに向かう事にした。

 

???「システムオールグリーン。ガンダムデルタカイ、ランサー出る!」

 

その機体は、京都防衛戦の後に姿を消した機体だった。装備など多少変わっていたが殆どが変わらないままだった。そのまま目的の場所に降りていった。

レーダーを見ると目的地に1機とほんの少し離れた所に1機の戦術機がいるのが確認できた。その後方に友軍マーカーがついた機体が2機いた。どれも見慣れている機体だった。

現在、視野に入っている機体の無線を傍受する為、回線を繋げた。その中の1機から泣いてる声がした。よく聞いて見ると聞いた事がある声だった。回線を繋げた。

 

???「いつからそんに弱くなったんだ?唯依」

 

唯依「え?」

 

???「お前らしくもない。いつもの態度はどこにいった?」

 

唯依「その声、黒鉄?」

 

黒鉄「そうだ。今、お前がいる所から遥か上空を飛んでいる」

 

唯依「黒鉄、ユウヤを!心神に乗っているパイロットを助けて」

 

黒鉄「わかった。そのためにあいつから呼ばれたんだからな。こちらランサー、エンゲージ‼︎」

 

黒鉄は、機首を心神がいる方向に向け加速を開始した。心神の回りには多数のBETAがいるが、ロングメガバスターを使えば衝撃波の巻き添えを食う可能性があるため、シールドに搭載していたビームガトリングを使い精密射撃を行なった。

全部で100発撃ち込み全て命中した。

 

黒鉄「大丈夫か?心神のパイロット?」

 

ユウヤ「ああ、何とか。あんたは?」

 

黒鉄「伊藤から何も聞いてないか?」

 

ユウヤ「いや」

 

黒鉄「そうか、話しは後として動けるか?」

 

ユウヤ「無理だ」

 

黒鉄「なら伊藤達が来るまでそこから動くなよ」

 

伊藤に回線を繋げた。

 

黒鉄「伊藤、心神を頼む。殿は俺が受け持つ」

 

伊藤「わかった。今度は必ず帰ってこい」

 

黒鉄「わかってるよ。このぐらいの数だったら"n_i_t_r_o"なしでもいけるよ」

 

黒鉄は周辺にいるBETAの殲滅を開始した。

伊藤が来るまでは、ユウヤの近くに止まり攻撃を開始した。ロングメガバスターとビームガトリングを使い分け次々と殲滅していくと伊藤が乗ったEx-Sが到着した。上総はステラの直掩についていた。Ex-Sは心神を肩に担ぎ直ぐに戦線を離脱した。

 

黒鉄「伊藤、高度を下げろ。光線級が接近中だ」

 

伊藤「わかった。全機高度下げろ!光線級が来るぞ!」

 

ステラ、上総「了解」

 

黒鉄は光線級を一撃で倒すためシールドについているハイメガキャノンを構えた。だがレーダーを確認すると構えた方向に戦術機群がいるのがわかり、通信を試みた。その戦術機群はジャール大隊だった。

 

黒鉄「そこの戦術機今すぐ高度を下げろ。こちらの攻撃の邪魔だ」

 

ラトロワ「何だお前は⁉︎どこの機体だ?」

 

黒鉄「そんな事はどうでもいい。早く高度下げねえと光線級の餌食になるぞ」

 

ラトロワ達はしぶしぶ高度を下げ黒鉄の下を通り過ぎていった。黒鉄はラトロワ達が高度を下げたことを確認しハイメガキャノンの撃った。山肌にいた光線級群を粉砕していった。黒鉄は、周辺にBETAがいない事を確認しウェイブライダー形態で伊藤達の元へ向かった。

伊藤に追いつき並走するかたちで飛んでいた。

 

黒鉄「伊藤、久しぶりだな」

 

伊藤「おう。まさかあの時は本当にいなくなるとは思わなかったよ」

 

黒鉄「あの時はリミッターを外さないと無理な状態だったからな」

 

ユウヤ「伊藤、この人は?」

 

ユウヤが話に入り込んで来た。

 

伊藤「すまん。ユウヤ、こいつの名前は黒鉄 達海。前に説明しただろ。1人で約20万のBETAを倒したって、それがこいつだ。そして心神の設計者で今、黒鉄が乗っている機体が心神の元になった機体だ」

 

黒鉄「黒鉄 達海だ。今の階級は分からないがよろしく頼む」


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