最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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有珠って可愛いですよね

なのに、あまり二次創作するヒロインにはなりにくいんですよね……

青子よりも、登場作品が少ないからでしょうか?

この作品を書こうと思った理由の一つなんですけどね


ハプニング発生

「……どうだ、キャスター?」

「恐らく、私を含めて三騎は召喚されてるわね」

「そうか……」

 

昼食が終わり、俺たちは冬木の街へ来た。

 

冬木は駅に向かうにつれて近代的になるという、少々変わった構成をした街だ。

 

そのため、ひとまず街の中をひたすら歩き回り、地理を得ることにした。

 

そんな中、たまたま見つけた高い建造物に登り、今こうしてキャスターに魔力をたどって貰っている。

 

キャスターのサーヴァントならではの行動だ。

 

「アサシンのサーヴァントは気配を消せるからわからないけれど、他に三騎いるわ」

「で、そのうち一騎はセイバーで確定だから」

「残りのランサー、アーチャー、ライダー、バーサーカーのどれかでしょうね」

「ってことは、恐らく明日には開戦か」

「おそらく」

 

母さんの調べによれば、冬木の聖杯戦争では、アサシンは基本的に『ハサン』が召喚されるらしい。

 

だが、依り代を用いれば、別のサーヴァントを呼ぶことも可能。

 

どちらにしろ、召喚されたかどうかはわからないのが現状だ。

 

「なら、夜になってから威力偵察だな」

「わかったわ」

 

ひとまず帰って、周到に準備しよう。

 

その帰り道、ふと疑問に思った。

 

「そういえばキャスター、これって依り代だったりする?」

 

言いながら俺は一つの鈴を取り出す。

 

猫を模したもので、日光を受けて青く輝いている。

 

「……そうね。たしかに、依り代として使えるものだわ。私が魔術に使っているものだから」

「へぇー」

「どこでこれを?」

「あー、えっと、香が海外回ってたことがあってさ。その時骨董品の店で見つけたらしい。で、鑑定したら依り代になり得るって」

「そう……。まさか流出してるとはね……」

「? どうしたキャスター?」

 

最後の方が聞こえにくいかったので聞き返すが、

 

「なんでもないわ」

 

と、無表情で返されてしまった。

 

(そういや、キャスターってどうやって戦うんだろ……?)

 

今のところ、『午睡の券』しか見てないし。

 

補助型か?それとも、あれはただの力の一部か?

 

まあ、どっちでもいいか。

 

補助型なら補助型で都合はいいしな。

 

そんなことを考えているうちに、屋敷に帰って来た。

 

「ただいまー」

「おかえり、お兄ちゃん、キャスターさん。早かったね」

 

リビングでテレビを見ていた香が、顔だけこちらに向けてそう言う。

 

「夜にまた出るよ」

「おー、なるほど」

 

納得したのか、香はテレビ観戦に戻る。

 

番組名は『ピーマンとニンジンとタマネギ特集』。

 

なんという子どもに嫌われそうな番組だろうか。

 

つーか、めちゃめちゃつまらなさそう。

 

「薫、晩ごはんは食べてから出るの?」

「そのつもりだよ」

「OK、今日は特製カツカレーだよ!」

「試合にカツってか……」

 

昔からの定番だけど……。

 

ちなみに、うちのカレーはルーから作るので、仕込みがかなり早い。

 

現に、母さんは今から準備している。

 

そんな母さんの横でジュースを取り出していると、母さんが思い出しように口を開く。

 

「あ、そうだ。キャスターちゃん、お風呂入りなよ。昨日お風呂入ってないでしょ?」

「アタシ達も入ったから」

 

すると、キャスターは何故かこちらをチラリと見る。

 

いや、俺に許可求めなくていいよ……。

 

とはいえ無視するわけにもいかないので、頷く。

 

それを確認し、キャスターは風呂場の方に歩いて行った。

 

……一応遠慮してた……のか?

 

いや、もう考えるのはやめよう。

 

女の子のお風呂云々について、これ以上思案するのは危険だ。

 

「相変わらずクールだねー。キャスターちゃんは」

「たしかにねー。無駄な会話はしたくないみたいな」

「「そこがいいんだけどね!」」

「息ぴったりだな……」

 

なんなんだろう、この親子は。

 

身内の顔が見てみたい。

 

俺だけども。

 

「で、偵察の結果はどうだった?」

 

いきなり真面目になった二人。

 

オンオフの切り替えは早いんだよなぁ。

 

「わかったのは、キャスターとセイバー以外に、サーヴァントが二騎召喚されたってことだ」

「アサシンの可能性も加えると、すでに五騎ってことになるよね」

「そうだな。だから、夜に威力偵察する」

「お兄ちゃんとキャスターさんだけで大丈夫?アタシも行こうか?」

「まあ、大丈夫だろ。香には拠点にいて欲しいし。頼りにしてるぜ?」

「うーん、お兄ちゃんがそう言うなら、仕方ないかな。気を付けてね?」

「怪我しないでよ?面倒だから」

「はいはい」

 

心配なんかしない。

 

母さんと香は、俺なら無事だろうと確信しているからだ。

 

(全く、随分信頼されたもんだ。悪くないけどさ)

 

信じてくれることを嬉しく思いつつ、ジュースをコップに注いで飲む。

 

だが、

 

「無事に帰って来たら、キスしてあげるね!」

「ぶっ!?」

 

香の爆弾発言で吹き出してしまった。

 

「ちょ、お兄ちゃん何やってるの!?」

「こっちのセリフだわっ!」

「そんなの冗談に決まってるじゃん!」

「じゃないと困るわっ!」

 

しかも、思い切り下に吐き出したせいで、服に盛大に付着している。

 

ぶどうジュースは高確率でシミになるのに……!

 

「薫、早く服脱いで、身体洗って来なよ」

「うん……わかった」

 

キャスターがお風呂に入っているが、まあちょっと洗面所に行くくらいは平気だろう。

 

そう考え、俺は風呂場に向かう。

 

だが、俺は知らなかった。

 

女の子の入浴が、必ずしも長いとは限らないことに。

 

洗面所に立ち、ひとまず上の服を脱いで洗濯カゴに放り込む。

 

(ベタベタするな……)

 

水で軽く流し、タオルで拭いていると、

 

ガチャリ!

 

扉の開く音がした。

 

「へっ……」

「あっ……」

 

沈黙。

 

いや、ちょっと待て。

 

いくらなんでも早くない?

 

まだ五分くらいしか経ってないぞ?

 

女の子のお風呂って長いものじゃないの?

 

っていうか……。

 

(き、綺麗すぎる……)

 

目が逸らせない……。

 

あまりにも白く、透き通るような肌は、風呂上がりのせいてほんのりと赤くなっている。

 

すらりと肢体を申し訳程度にタオルが隠すが、その綺麗な身体の大部分は見えている。

 

折れそうなほどに細い手脚も、全容が見えるせいで、人形のような美しさに拍車をかける。

 

(って、そんなこと考えてる場合じゃねえ!)

 

「あ、そ……の……!ご、ごめっ……」

「…………出ていって」

 

長い沈黙の後に謝ろうとしたが、重ねるように言われる。

 

「さっさと出ていって」

「は、はい!すみませんでした!」

 

明らかに怒気を含んで続けられ、つい敬語になりながら洗面所を飛び出す。

 

(やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

部屋にダッシュする最中、心の中で絶叫した。




お風呂でばったりシーンは定番ですよね

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