最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
今年もよろしくお願いします!
雪希絵です!
今年もマイペースにやっていきますので、どうぞお付き合い下されば幸いです
それでは、ごゆっくりどうぞ!
「さてと……!」
青子さんは首をポキポキと鳴らしながら、キャスターと男の方に歩いていく。
そして、
「やりますか」
大気が轟く程に足を踏み込み、青子さんは飛び出した。
「私のお気に入り、よくも傷つけてくれたわね。……蜂の巣にしてやる!!!」
魔術回路が起動する。
驚くべきことに、青子さんの魔術回路は右手にしかない。
魔術回路の数なら、キャスターどころか俺の方が多い。
だが、
「……ぶっ飛べ」
青子さんは、莫大な魔力を内包した、レーザーのような魔弾を放つ。
(む、無茶苦茶だ……!)
青子さんの魔術に関しては、キャスターから聞いていた。
魔術系統、数秘紋。
属性は風。
魔術回路は少ないが、その燃費は桁違い。
キャスターは『車に例えるなら、1リットルのガソリンで軽く1000キロ走らせられる』と言っていた。
だから、本人の魔力はほぼ関係ない。
だからこそ、あんな無茶苦茶な戦い方が出来る。
青いレーザーは、コートの男の方に直進する。
「────、────」
男が再び何か呟く。
次の瞬間、半透明の障壁が現れ、レーザーを受け止める。
ビシッ────、ビシッ────!
次々とヒビが入っていくが、レーザーの勢いの方が先に減少していく。
「……何あれ」
「高濃度に圧縮した風ね」
首を傾げる青子さんに、キャスターが答える。
「めんどくさ。錬金術師か……しかも、下手すりゃ英霊レベルの」
「そのようね」
錬金術師。
端的に言えば、物体を別の物体に書き換えることが出来る魔術師。
「『ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス』……。稀代の錬金術師である彼と同じ、五大元素を扱うアベレージワン。でしょうね」
「うーわ、本物の天才か……。ますますめんどくさ」
キャスターの言葉に、青子さんは盛大にため息をつく。
魔術師は二属性扱えれば、充分天才と呼ばれている。
その中でも、『土』『水』『火』『風』『空』全ての属性を扱える『アベレージワン』と呼ばれる魔術師は、その才能だけでも超一級と言われている。
「ってことは、五代精霊もそばにいる感じ?」
「でしょうね」
「精霊かぁ……相性悪っ……」
そう言いつつ、二人の目に後退の二文字はない。
睨みつけるようにコートの男を見据え、それぞれ構える。
「有珠、援護は任せた!」
「私に命令しないで」
コートの男に向かって、飛び出す青子さん。
右手は既に光り輝いており、それを走りながら放ち続ける。
マシンガンの如く繰り出される魔弾。
それに様々な属性弾をぶつけ、相殺していく。
「『赤い靴』」
キャスターは手始めに赤い靴を呼び出し、青子さんの補助をさせる。
二人はすっかり男の方に掛り切りになっている。
「ぐっ……うっ……!」
ダメージの分散が終わり、どうにか立ち上がる。
周囲を見渡し、警戒を強める。
もし、マスターなら、必ず近くにサーヴァントがいる。
というか、間違いなくいるはず。
最初に俺の首を折ったやつの声、それは、あのコートの男とは違うからだ。
お読みいただきありがとうございました!
また来週お会いしましょう!