最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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友人宅にてお泊まり中のため、更新日を過ぎてしまいました

申し訳ございません

また、時間の都合により短くなっております

それでも宜しければ、ごゆっくりどうぞ


不意打ち

「ん?そういえば薫。彼女は?」

 

セイバーが青子さんを指しながらそう言った。

 

佐伯さんも今気がついたようで、キョトンとしている。

 

「あー、この二人と共闘中なんだっけ?」

「はい、そうです」

 

思い出したようにそう言う青子さんに、俺は頷く。

 

どうやら、俺たちとランサーの戦闘も見ていたようだ。

 

「えーっと、とりあえず二人とも。この人が味方なのは間違いないから、安心してくれ」

 

そう説明し、視線で青子さんに自己紹介を促す。

 

青子さんは見事に理解してくれたようで、

 

「蒼崎青子。魔法使いよ」

 

実に単純明快な挨拶をしてくれた。

 

「「…………はい?」」

 

数秒後、絶叫。

 

うん、そりゃこうなるわ。

 

青子さん、言わなかったこっちも悪いけど、もう少しオブラートに包んで欲しかった。

 

「ななななななな、なんで魔法使いがこんな所にいるんですか!?」

「俺にもわからないけど、とりあえず協力してくれるって……」

「魔法使いのバックアップとは頼もしいというレベルではないね……」

「それは俺も思った」

 

どうにかこうにか経緯を説明し、二人は落ち着いてくれた。

 

俺はシチュエーションがあれだったから違ったけど、普通はこれくらいの反応だよな……。

 

特に佐伯さんがやばい。

 

今は落ち着いて普通に歩いてるけど、顔がすごいことになっている。

 

喜び、興奮、困惑等など、複数の感情が入混ざった顔だ。

 

そんな微妙な表情をしている佐伯さんに、ランサーのことを聞いてみる。

 

「佐伯さん。ランサーのこと、知ってるか?」

「……はっ!は、はい。知ってます。使い魔を放っていますから」

「そっか。そりゃそうだよな」

「はい。……それにしても、残念ですね」

 

佐伯さんは目を伏せて続ける

 

「強力な敵が退場したんですから、本当なら喜ぶところなんでしょうけど……彼のことを考えると、少し複雑で」

「……そうだな」

 

言いながら、青子さんと並んで前を歩くキャスターを見る。

 

キャスターは、どう思ってるんだろうか。

 

『私には関係ないことよ』とか言いそう。

 

そんなことを考えながら、街への道を急いだ。

 

───────────────────────

 

結論から言えば、何も分からなかった。

 

アーチャーとアサシンの姿どころか、今まで遭遇したライダーやバーサーカーの姿すらない。

 

佐伯さんとセイバーと協力関係にある今のうちに、バーサーカー以外のサーヴァントを倒したかったんだが……。

 

(なかなか上手くいかないもんだな……)

 

思わずため息をついてしまう。

 

すでに佐伯さん達とは別れ、俺たちは屋敷に帰る途中だ。

 

坂は登り終え、実はそれなりに深い、家の前の森の中を歩いている。

 

「結局何も分からず終いか……」

「仕方ないわ。そういうものよ」

「ふぅーん……有珠にしては、諦めが早いわね」

「……放っておいて」

 

若干ふてくされるキャスター。

 

なんだかんだ仲良いんだなぁ……と思い、少し苦笑していた時だった。

 

「……え?」

 

不意に視界の端に現れた影。

 

それが何なのかわからないまま、

 

ペキッ

 

やけに小気味の良い音が体内から響いた。

 

視界が90度傾く。

 

でも、地に足はついている。

 

足から力が抜ける。

 

体制を維持出来ず、俺は膝から崩れ落ちた。

 

「薫っ!?」

「マスター……!」

 

駆け寄ってくる二人の事が、やけに霞んで見えた。

 

「さらばだ、小僧」

 

やけにハッキリと、近くから聞こえる声。

 

……何が……起こった……?




お読みいただきありがとうございました

また来週、お会いしましょう!

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