最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
とはいえ、社会人の方はもっともっと忙しいんでしょうし、こんな事でへこたれてはいけませんね
それでは、ごゆっくりどうぞ!
重厚な音を響かせ、『
まるで身体の感触を確かめるように、あちらこちらを駆動させる。
久しぶりの出番に、動きやすさを確認しているかのようだ。
「これが……最後のグレートスリーか……」
こう言ってはなんだが、他のグレートスリーに比べて、随分と規模が小さい。
『
誰がどう見ても大規模なものだと分かる。
しかし、薔薇の猟犬はそこまでのサイズではない。
大きくはあるが、その二つ程ではない。
だが、その迫力は他の二つに引けを取らない。
その一回りも二回りも小さな体躯に、内包された莫大過ぎる魔力。
魔術師ならひと目でわかる、桁違いの神秘の力。
味方でいることに、これ程感謝したものはない。
これを、元はただの一魔術師が扱っていたのだ。
(英霊ってのは……本当にとんでもないな……!)
「……久しぶりに見たわ。いや、ほとんど霧みたいな状態で出てきてたから、まともな姿を見たのは初めてか」
「真の姿を見せるのは好ましくないもの」
「ってか、心臓弱いやつなら卒倒しそうだけど!?」
「こんなもんで驚いてたら、心臓もたないわよ?」
「もっと凶悪な見た目のがあるんですか……!?」
「私のクソ姉貴のもんだけどね」
思い出したくない事でも思い出したのか、青子さんは苦虫を噛み潰したような顔をする。
どうやら、お姉さんのことが本気で嫌いらしい。
「で、それちゃんと動くんでしょうね?有珠?」
「………試してみる?」
「………上等!」
直後、二人の魔力が溢れ出る。
あまりの迫力に、近付く余地がないと早々に悟る。
ここから先は、人外の領域。
英霊と魔法使い、第一級魔術師同士の戦いだ。
「マスター。下がっていて。……あと、ファランクスは切って」
「え、でも……」
反論しようとしたら、すごい目で見られた。
睨まれているわけじゃないのに、ものすごく怒りの空気を感じる。
はい、ごめんなさい。
「……切ります」
再び銃をリロードするような音が響き、両脚の光が弱くなる。
「ぐっ……っ……!」
唐突に押し寄せる疲労感。
全身が倦怠感で急激に重くなり、指先を動かすのすら嫌になる。
ずっと酷使し続けていた両脚など、力を加えようとすら思わない程だ。
「あとは、頼んだ。キャスター」
「……ええ」
「行くわよ……リベンジ、させてもらうわ!」
両者共に腕を振り上げ、
「『薔薇の猟犬』」
「行使二層、直流数紋!」
同時に魔術を放った。
お読みいただきありがとうございました!
薔薇の猟犬は個人的にかなり好きなプロイです
濃霧の怪物って感じからしてもうカッコイイです
それでは、また来週お会いしましょう!