最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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自分で書いておいてなんですけども、青子って本当に強いですよね……

宇宙戦艦なんて呼ばれてた人が、弱いわけないんですけど

本気で戦って勝てるの、アルクとか27祖とかその辺くらいなのではないでしょうか……

あとは、強力なサーヴァントくらいでしょうか


橋の巨人

青子さんの猛攻は止まらない。

 

魔弾、格闘技と切り替えられる縦横無尽の立ち回り。

 

時間が経つごとに、衰えるどころかドンドン威力とスピードを増していく。

 

「ほらほらほら!避けないと、取り返しのつかないことになるわよ!」

「じゃあ、取り返しのつくレベルの攻撃にしてくださいよ!?」

 

右手を銃の形にして、次々と魔弾を飛ばしてくる。

 

俺とキャスターは協力してその魔弾を迎撃していく。

 

だが、その余りの数と威力に、防戦一方にならざるを得ない。

 

黄金のヴェールも何度使ったかわからない。

 

顔には欠片も出さないが、キャスターもかなり消耗しているはずだ。

 

(ここら辺で決着をつけないとマズイ……!)

 

追い詰められた状況。

 

こうなったら、やれることは一つしかない。

 

魔法使いに通用するかはわからないが。

 

「キャスター!宝具だ!」

 

残された手はこれしかない!

 

「了解したわ、マスター」

 

頷き答え、キャスターは目を閉じる。

 

「だったら発動する前に潰すわよ!」

「させるか!」

 

こっちは宝具に賭けるしかないんだ、邪魔立てさせてたまるかよ!

 

「『震脚』!!」

 

叫びながら、魔力を込めた脚を前方に強く踏み込む。

 

扇状に衝撃波が広がり、地面に伝播していく。

 

八極拳の基礎、『震脚』。

 

普通なら、歩法の極意というだけで、こんな馬鹿みたいな威力は出ない。

 

だが、父さんが改良し、魔術で強化された状態なら話は違う。

 

大地を砕き、大気を切り裂く衝撃波が、青子さんの方に向かっていく。

 

「げっ、これはちょっと面倒……!」

 

青子さんは横っ飛びでそれを回避。

 

その真横の地面が、盛大に爆ぜる。

 

「うわー。人間がこの威力を出せるとか……」

「青子さんに言われると嫌味にしか聞こえないんですけど!?」

 

思わず反論するが、時間稼ぎは出来た。

 

「────ロンドン橋落ちた 落ちた 落ちた ロンドン橋 落ちて 川の底────」

 

また、前にも聞いた声。

 

聞き慣れたキャスターの声を、他の誰かが借りているような声。

 

キャスターの手に握られているのは、淑女のフィギュア。

 

「────『橋の巨人(テムズトロル)』」

 

そっと、押し出すように宙に放ると、それはひとりでに浮かび前進する。

 

直後、異変は起こる。

 

大地が次々と隆起し、フィギュアに結集していく。

 

それは急激に組み上がり、一つの巨体を作り出す。

 

石で構成された、巨大なゴーレム。

 

宝具『橋の巨人(テムズトロル)』。

 

至高のプロイキッシャー、グレートスリーの一つ。

 

マザーグースの『ロンドン橋』。

 

ただ巨大というだけで無双の力を誇る、とりわけ強力なプロイキッシャーだ。

 

橋の巨人は、ゆっくりと青子さんの方を向き、その拳を振り上げる。

 

あまりに巨大で、あまりに釣り合わないスケール差。

 

だが、

 

「────馬鹿。そっちじゃないでしょうが……!」

 

青子さんは一言そう呟くと、右手を構えた。




お読み頂きありがとうございました!

それでは、また来週お会いしましょう!

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