最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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ルビの付け方があまりわからなくて読みにくいと思いますが、妹の名前は『香(かおり)』です

母親の名前は『神奈(かんな)』です


母と妹

「何しに来やがった!」

「むっ、母親に対してその言い方、反抗期ね!」

「なんでちょっと嬉しそうなんだ!?」

 

っていうか、拠点はどうしたんだ拠点は……!

 

相変わらず騒がしい母『美月 神奈』に嘆息していると、再び扉が勢いよく開く。

 

「おーにーいーちゃーん!!!」

「だー!さらに面倒なのが来た!!」

 

開くと同時に突撃して来て、俺に勢いよく抱きつく。

 

いきなり現れてこんなことをするのは、一人しかいない。

 

妹である『美月 香』だ。

 

こいつの何が面倒かというと……。

 

「えへへー!」

「っ……!ああ、もう、くっつくな!」

 

やたらと距離が近い上に、やたらとくっついてくるのだ。

 

俺が今17歳で、香が今15歳。

 

これくらいになると、普通の兄妹は疎遠になると思うが、香にそれは当てはまらない。

 

それだけならいいが、別に問題がある。

 

兄である俺が言うのもなんだが、香は可愛い。

 

おまけに、スタイルも高一とは思えないほどにいい。

 

よって、抱きつかれると色々な部分が色々な所に当たって色々大変なことになる。

 

なので、その度に『抱きつくな』『くっつくな』と言っているのだが……。

 

「ぎゅー!」

「……はあ」

 

結果はこれである。

 

「……とりあえず、もう少し下がるか、場所を変えてくれ。鼻がくすぐったい」

「はーい!」

 

サラサラとした綺麗な茶髪が当たり、顔がムズムズしている。

 

いやまあ、触り心地はいいのだが。

 

「いやー、相変わらず仲がいいね。若かりし頃の私たち夫婦を思い出すよ」

「兄妹が抱きついてる光景で、夫婦思い出したらダメだろ……」

「アタシはお兄ちゃんと結婚するよ?」

「『できるよ』じゃないのかよ……」

 

確定事項らしい。

 

腕に抱きついたままの香を放置し、仕方なく元の席に座る。

 

母さんはよりにもよって、キャスターの隣に座った。

 

「ねえねえ、あなた何者?」

 

そして、話を蒸し返した。

 

キャスターはといえば、無言でこちらを見ている。

 

『説明しろ』と言いたげだ。

 

「……サーヴァントだよ。クラスはキャスター」

「あ、なるほど。そういえば今日召喚するんだっけ?」

「アタシも忘れてたよー」

「仮にも魔術師の家なんだから、大事なことくらい覚えろよ……」

「「てへぺろ☆」」

「うぜえ……」

 

ちなみに、キモイとは思わない。

 

香はもちろん、母さんも二十代前半じゃないかというほどに若々しいからだ。

 

実際はすでに四十代だが。

 

「にしても、随分可愛い子だね」

「……どうも」

「クール系美少女か!」

「全てをそういう目で見るなよ、母さん……」

 

もはや、ため息しか出ない。

 

魔力を大きく消耗したせいで疲れているのに、さらに疲労が重なる。

 

さよなら俺の静かな非日常。

 

そして久しぶり俺の騒がしい日常。

 

「で?何しに来たんだよ?」

「ああ、そうそう。迎えに来たんだよ」

「拠点が見つかったから、お兄ちゃんに魔改造してもらおうと思って」

「魔改造言うな」

 

強化といえ、強化と。

 

「……はあ、分かったよ。けど、今日はもう寝させてくれ……さすがに疲れた」

「仕方ないなぁ。じゃあ、寝てる間に運ぶわ」

「寝れるかっ!?」

「分かった!じゃあアタシが膝枕する!」

「そういう問題じゃねえ!」

 

しかし、二人は早々に走り去ってしまった。

 

どうやら、車で寝ろということらしい。

 

「……はあ」

「気苦労が耐えなさそうね」

 

何度目かわからないため息をつくと、今まで空気だったキャスターが話しかけてきた。

 

どうやら、紅茶はティーポットの残りまで飲み干してくれたらしい。

 

「……分かってくれるか」

「少しくらいなら」

「そうか……ありがとう。うるさいだろ?あの二人」

「そうね。あまり好きタイプではないわ」

「やっぱり?」

 

なんとなくそんな気がした。

 

「でも、あなたのように、自分を飾らない人は好きよ」

「えっ……!」

 

続く予想外の一言に、俺は固まる。

 

しかし、本人はまったく気にすることなく、玄関に向かって歩いて行った。

 

(いやまあ、大した意味はないんだろうけどさ……)

 

ちょっと気に入られた程度のことでも、あんな綺麗な子に『好き』とか言われたら、意識せざるを得ない。

 

心臓に悪いわ。

 

身内だけでここまで個性的なのに、さらに個性のあるやつが増えたな……。

 

サーヴァントはみんな個性的なんだろうけど。

 

「これから大丈夫かな……色々と」

 

先行き不安だよ……本当。




妹の香は、CV『佐倉綾音』のつもりで書いてます

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