最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

25 / 49
どうも皆様

これを投稿した頃には、私は山にいることでしょう

圏外になっちゃうので、予約投稿なのです


こういうことがあった

「ここまででいいよ。ありがとう」

「そうかい?わかった、気をつけて」

「今日は助けてくれてありがとうございました」

「いいってことよ」

 

屋敷の下の坂道までたどり着き、俺はそこでセイバーと別れることにした。

 

ここまで来れば結界も届くし、何かあっても陣地のバックアップがあればどうにかなる。

 

屋敷には、あの二人も待機してるしな。

 

「それじゃ、またなんかあったら連絡してくれ。おやすみ」

「はい。おやすみなさい」

「おやすみ、薫」

 

キャスターを背負い直し、俺はゆっくりと坂を登る。

 

何だかんだ結構長いんだよなぁ……。

 

「それにしても、強かったなー。ランサーもキャスターも」

 

暇になり、戦闘のことを思い返す。

 

施しの英雄カルナ。

 

あいつは本当に強かった。

 

あの自由に操れる炎に加え、セイバーと互角以上に戦ってみせた槍の技量。

 

その上、あらゆるダメージを無効にする鎧の宝具。

 

どうやったら勝てるんだってくらいだ。

 

ただ、それと正面から打ち合ったセイバーも凄かった。

 

しかし、その二人が霞むほどに、キャスターの強さは半端じゃない。

 

特に、あの固有結界。

 

固有結界といえば、魔術の中でも特別な存在だ。

 

魔法に最も近いなんて言われてるわけだし、自分の心象世界を現実に投影するなんて、正直言ってむちゃくちゃだ。

 

加えて、キャスターは赤憐のマスケットで、カルナに致命傷を与えられる。

 

キャスターさえいれば、上級サーヴァントばかりが集まる、この聖杯戦争を勝ち抜ける。

 

「……ほんと、良かったよ。俺のサーヴァントがキャスターで」

 

ポツリ、と呟き、坂登りを再開する。

 

───────────────────────

 

「────ん……?」

「お?」

 

半分ほど登った時、キャスターが僅かに身じろいだ。

 

「気がついたか?体は大丈夫か?」

「……ええ」

 

声は小さいが、どうやら大丈夫そうだ。

 

「良かった……ちゃんと治療効いたんだな」

 

ほっ、と息をついて、そう呟いた。

 

「そう……。迷惑、かけたわ」

「気にすんなよ。俺はお前のマスターなんだし」

 

笑ってそう言うと、キャスターは少しの間黙った。

 

そして、独り言のような声量で、話始めた。

 

「……前にも、あったわ。こんなようなことが」

「そうなのか?」

 

こくり、と頷く気配がする。

 

キャスターが続ける。

 

「まだ生きてた頃に」

 

俺は無言を貫く。

 

たぶん、そうした方が続けやすい思った。

 

「管理地の侵入者と戦った時、ある人に背負われて、家まで送ってもらったわ」

 

肩に置かれた手に、力が籠る。

 

思い出したくないのか、はたまた話したくないのか。

 

俺には分からない。

 

「そうか……」

 

それでも。

 

「なんか、嬉しいよ」

 

顔は見えないだろうけど、俺は微笑みながらそう言う。

 

「キャスターが、そうやって自分のことを話してくれるなんて、思わなかったからさ。どんな話でも、してくれるのは嬉しいよ」

「そう……。変わってるわね……マスターは……」

「そうかな?……ま、そうかもな」

 

キャスターが再び眠ったのを感じ、苦笑しながら呟く。

 

「ま、変わったサーヴァントのマスターなんだ。変わっててもいいだろ?」

 

それが聞こえたのか、ただの偶然なのか。

 

キャスターの手に、再び力が篭った。




お読みいただきありがとうございました!

なんか最近ペースが遅い気がしてきたので、ここら辺からちょっとペースを上げようと思ってます

ひょっとすると、このままでもいいって方もいるかもしれませんので、徐々に上げていきますね

それでは、また来週お会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。