最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
外食先で食べ過ぎました……痛いです……
これからはちょっと気をつけないといけませんね
それでは、ごゆっくりどうぞ!
「────ぷはっ」
唇を離すと、透明な糸が名残惜しそうに伸び、切れる。
「はぁ……はぁ……」
ほとんど息ができなかった(というか、キスしながら上手く息する方法とか知らない)せいで、呼吸が大分荒くなる。
(というか……何気にファーストキス……)
いや、そんなこと気にしてる場合じゃないけどさ。
そもそも、こんな綺麗な子がファーストキスなら文句なんざ一ミリもない。
それより大事なのは、キャスターがどうなったかだ。
「キャスター、大丈夫か?」
軽く揺すりながら声をかける。
「…………」
返事がないただのしかばねのようだ。
いや屍だったら困るわっ!?
「……佐伯さん呼ぶか」
ここは俺が見るよりも、佐伯さんの方が確実だろう。
そう考え、廃工場の出入口に向かう。
結構遠いので、キャスターを抱えていくことにする。
いくら敵が去ったとはいえ、気絶してるキャスターを置いていくのは心配だ。
そうしてしばらく歩き、廃工場の出入口に到着した。
「薫さん!終わりましたか?」
「上手くいったかい?」
「わからない。とりあえず、佐伯さんに見てもらおうと思って」
駆け寄って来た二人にそう言い、キャスターを寝かせる。
「わかりました。あとは任せてください」
佐伯さんは早速キャスターのチェックを始める。
あちこちに手をかざし、胸の中央辺りに手を触れて、キャスターの体調を見る。
先程よりも長い時間をかけ、佐伯さんは目を開いた。
「ど、どうだ?」
思わず震えがちになる声で尋ねる。
「……大丈夫です。傷も塞がってますし、魔力も充分です。明日になったら目も覚めると思います」
「よ、良かった……」
ひと安心し、その場に座り込む。
戦闘直後にあれだったので、とんでもない疲労度だ。
「薫さん、大丈夫ですか?」
そんな俺に、佐伯さんが近寄って声をかけてくれる。
「え、ああ、たぶん……」
「本当ですか?見せてください」
そう言って、佐伯さんは俺の身体のあちこちをまさぐりだす。
「ちょ、えっ、佐伯さん!?」
「大人しくしてください。怪我がないか見てるんですから」
「は、はい」
そう言われては黙るしかないため、大人しくする。
しかし、知り合って数日の女の子に身体中をペタペタ触られるこの感じ……なんか妙だな……。
しかも、佐伯さんも佐伯さんで結構可愛いのだ。
眼鏡をかけているから、パッと見では分かりにくいが、顔立ちは綺麗に整ってるし、髪だってサラサラで綺麗だ。
そして何より……スタイルが、目のやり場に困る……。
端的に言ってしまえば、佐伯さんはかなり巨乳なのだ。
(見るな見るな。理性が切れる。いやでも見たい……)
そんなものが近寄ってくれば、緊張するのが男というものだ。
「……大丈夫そうですね。ポーションのおかげでしょうか?傷も治ってきていますね」
「そ、そっか。ありがとう」
俺が耐えている間に診察が終わったらしく、佐伯さんが手を離した。
内心の動揺を悟られないように、出来るだけ短く答える。
「それじゃ、そろそろ拠点に戻ろう。帰り道に何があるかわからないから、薫達の拠点まで送るよ」
「ありがとう、セイバー」
「お安い御用だよ」
セイバーが先行し、俺がキャスターを背中に背負って歩き出す。
「行こうか、佐伯さん」
「はい。あ、そうだ、薫さん」
佐伯さんと並び立ち、セイバーの後を追い始めた時、佐伯さんが急に呼んできた。
「どうした?」
「あ、いえ、大したことじゃないですけど」
一拍おき、続ける。
「あまり、女の子の胸を凝視するのはいけませんよ?」
「──────────ごめんなさい」
どうやら、普通にバレていたようだ。
お読みいただきありがとうございました!
書いてる間にちょっと収まってきました
胃薬までいかなくて一安心です
それでは、また来週お会いしましょう!