最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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なんとか投稿出来ました!

気分転換になっていいですね、やっぱり

課題から逃げてるだけですけども!


やっちゃってください

佐伯さんに背中を押される。

 

キャスターの呼吸は浅く、徐々に弱まっていくような気もする。

 

しかし、その助ける手段が……キス……なんだとか。

 

(どうにかしないといけないのはわかるが、いくら何でもこれは……!)

 

「薫さん、私達は工場の外に出ています。その間にやっちゃってください」

「『やっちゃってください』はないだろ!?」

 

俺の葛藤などつゆ知らず、佐伯さんはそんなことを言って、さっさと歩き去ってしまった。

 

もちろん、セイバーもそちらに着いていく。

 

去り際に肩を叩き、

 

「……ファイト!」

 

とか言いやがった。

 

あいつは事態の深刻さをわかっているのだろうか。

 

(……どうしよう)

 

キャスターをチラ見し、頭を抱える。

 

いきなりこんな美少女にキスしろとか言われたら、狼狽えるのが男というものだ。

 

しかもあれだ、口移しだ。

 

となると当然舌も……。

 

「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

自分で考えて死にたくなった。

 

半ば意識をなくしている女の子にキスして舌がどうのこうのとか考えてる自分が気持ち悪過ぎる。

 

そんな風に一人で葛藤していると、キャスターの息がいよいよ危うくなってくる。

 

短く、浅い呼吸を何度も繰り返し、誰の目に見ても危険な状態。

 

こうしている間に、舌の痺れるような感覚も薄れつつある。

 

このままでは、本当に付呪が切れてしまう。

 

「……ああ、もう!こうなりゃヤケだこんちくしょう!?」

 

キャスター用のポーションを引っ張りだし、栓を抜いて中身を一気に煽る。

 

口の中に含み、しばらく保持。

 

キャスターの肩を抱き、顔を近づける。

 

(…………ぐおぉぉぉぉぉ……!)

 

近くで見ると、キャスターの綺麗さがさらにわかる。

 

長い睫毛、白磁のような肌、人間離れした整いすぎた美貌。

 

もはや神々しさすら感じる。

 

けれど、ここは覚悟を決めるしかない。

 

意を決して、キャスターの口元に顔を近づける。

 

緊張で手が震える。

 

鼓動の音が、破裂しそうなほど響く。

 

口の中にある薬の味が、もはやわからない。

 

それでも、少しずつ。

 

ほんの少しずつだけ、口を近づける。

 

残り、数ミリ。

 

睫毛が顔に触れ、キャスターの微かな吐息を感じる。

 

そして、ついに触れた。

 

まず感じるのは、柔らかさ。

 

そして、少しだけ遅れて、唇から熱が伝わってくる。

 

(…………やべ)

 

ここまで触れ続けたいと思うものが、この世に存在するのか。

 

思わず、本来の目的を忘れるところだった。

 

心臓は痛い程に脈動を繰り返している。

 

キャスターに触れた手のひらに、思わず力が入る。

 

覚悟を決め、微かに舌を唇に割り入れる。

 

伝わってくる熱が、さらに上昇した気がする。

 

熱に浮かされてクラクラするが、ここまで来て止めたら意味がない。

 

次は歯の間に舌を入れ、口を開く。

 

続けて俺も口を僅かに開き、零さないように慎重に流し込む。

 

(後は、飲んでさえくれれば……)

 

そこだけが心配だったが、キャスターは少しずつ喉を鳴らして、飲み込んでくれた。

 

だが、薬の量は意外と多い。

 

(飲みきるまで続くのこれ……!?)

 

唇から感じる熱が、時折触れる舌が、柔らかさが、全てに心が惑わされる。

 

これ以上先に進みたい、そんな焦燥感に駆られる。

 

理性を抑え、慎重に続きを始める。

 

キャスターが喉を鳴らす音だけが響き、やがてそれが消える。

 

時間にして恐らく数分だろうが、永久にも感じられるほど長い時間に思えた。




お読みいただきありがとうございました!

どうでしょうか?

こういった描写はあんまり慣れないのですが……

それでは、また来週お会いしましょう!

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