最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

19 / 49
最近月姫をやってみたいと思ってます

ただ、自分のパソコンがないので、ちょっと難しいですね

まずはノートパソコンを買うことから始めないと……


宝具解放

「くそっ!あのクソマスターやりやがった……!」

 

ランサーの槍に魔力が集中する。

 

赤々と燃え上がる炎に包まれ、今までとは桁違いの威力を内包することがわかる。

 

「全員ランサーを止めろ!倒さなくていいから、宝具の発動を止めろぉぉぉぉぉ!!」

 

キャスターとセイバーに呼びかける。

 

頷き、セイバーはランサーに向かって飛び出していく。

 

カルナの宝具は対国宝具ばかりだ。

 

こんな街中で使ったら、駅前が吹き飛ぶどころか冬木が丸々消えるレベルの威力がある。

 

この街の住人に知り合いがいる訳じゃないが、それでも見過ごせるわけが無い。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

黄金色の魔力放出を付与されたセイバーの大剣が、ランサーに向かって振り下ろされる。

 

しかし、ランサーの鎧には効果が薄い。

 

「くっ……!」

 

唇を噛み締め、再度攻撃するセイバー。

 

今度は顔を狙うが、それでも篭手で簡単に防がれてしまった。

 

篭手と大剣での鍔迫り合いが続く。

 

至近距離で睨み合う二人。

 

二人の距離が近すぎて、俺が手出しをしたらかえって邪魔になりそうだ。

 

そんな中、ランサーが申し訳なさそうに口を開く。

 

「……すまない。セイバー、キャスター、そしてのマスター達よ。令呪で命令された以上、俺に宝具の発動を拒否する権利はない」

「そうか、ランサーは発動を強制されて……」

 

どうやら、この宝具の発動はランサーの意思ではないらしい。

 

だがそれでも、発動させる訳にはいかない!

 

「止めてみせる、ランサーの為にも!」

「……ああ、ありがとう。だが、もう、手遅れだ」

 

煌々と輝く槍。

 

「そんな……!」

佐伯さんが口元を抑えて絶句する。

 

「ちくしょう……!」

「こうなったら、僕の宝具で……!」

 

けど、

 

「そんなことで、諦められるかよ!?」

 

ギリギリまで諦めてたまるか!

 

「セイバー!」

「ああ!」

「……出来ればお前達だけでも逃げて欲しかった」

 

飛びかかる俺達に、カルナが残念そうに呟くのが、やけにはっきりと聞こえる。

 

「撃滅せよ、『梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』!!」

 

宝具の宣言と共に、投槍の体勢へ。

 

走馬灯の如く、ゆっくりに見える視界。

 

(ちくしょう……!)

 

胸に残るのは、後悔と焦燥。

 

そして、救えなかった人たちへの申し訳なさ。

 

限界まで引いた腕から放たれる槍。

 

先程まで戦い使われていたものとは比べものにならない熱量。

 

それが解放された時、どんなエネルギーが発生するかわからない。

 

どうにもならない事態に目を閉じようとした、その時。

 

「───ベイカー、スナーク見つけたよ。ベイカー、皆を集めたよ」

 

声にそぐわない、歌うような口調。

 

いや違う。

 

聞き慣れた声を、何者かが借りているような、そんな違和感のある声。

 

「でもでもベイカーぼけちゃった。そう、そのスナークの正体とは───」

 

それがキャスターのの声だと気がつくには、少し時間がかかった。

 

「『月の油(フラットスナーク)』」

 

いつもの涼やかな詠唱。

 

直後、異変は起こる。

 

不意に体を包み込む強烈な違和感。

 

視界は薄緑の霧に覆われる。

 

発生源はわからない。

 

だが、それは途方もない量の魔力に満たされている。

 

それだけは確実だ。

 

半秒もしないうちに、だだっ広い廃工場を飲み込むように染め上げていく緑の霧。

 

何事かと目を見開いていると、何かに腕を引かれた。

 

「『黄金のヴェール』」

 

そして、俺達は金色のベールに包まれる。

 

強烈な炎熱。

 

「───っ」

 

しかし、黄金のヴェールは幾許が勢いを削ぐだけに留まり、視界が炎に飲まれる。

 

「風よ────!!」

 

そこへ飛び込んでくる、一極集中した風の塊。

 

それは黄金のヴェールが防いだ炎をさらに減少させる。

 

「ぐあっ……!」

 

目の前が燃え上がる。

 

永遠にも等しい間、熱が吹き付ける。

 

ようやくそれが止んだ時には、身体の至るところが焦げていた。

 

だが、それでも痛覚はある。

 

「ってことは……生きてんのか……?」

 

無事とは到底言えないが、どうやら生きてるらしい。

 

「そうだ!みんな───!」

 

節々悲鳴をあげる身体を無理やり動かすと、俺の腕の中に誰かが倒れて来た。

 

「え───」

 

そこには、

 

「……っ……うっ……」

 

身体の一部が完全に炭化した、キャスターがいた。




お読みいただきありがとうございました!

それでは、また来週お会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。