最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
ただ、自分のパソコンがないので、ちょっと難しいですね
まずはノートパソコンを買うことから始めないと……
「くそっ!あのクソマスターやりやがった……!」
ランサーの槍に魔力が集中する。
赤々と燃え上がる炎に包まれ、今までとは桁違いの威力を内包することがわかる。
「全員ランサーを止めろ!倒さなくていいから、宝具の発動を止めろぉぉぉぉぉ!!」
キャスターとセイバーに呼びかける。
頷き、セイバーはランサーに向かって飛び出していく。
カルナの宝具は対国宝具ばかりだ。
こんな街中で使ったら、駅前が吹き飛ぶどころか冬木が丸々消えるレベルの威力がある。
この街の住人に知り合いがいる訳じゃないが、それでも見過ごせるわけが無い。
「はあぁぁぁぁ!!」
黄金色の魔力放出を付与されたセイバーの大剣が、ランサーに向かって振り下ろされる。
しかし、ランサーの鎧には効果が薄い。
「くっ……!」
唇を噛み締め、再度攻撃するセイバー。
今度は顔を狙うが、それでも篭手で簡単に防がれてしまった。
篭手と大剣での鍔迫り合いが続く。
至近距離で睨み合う二人。
二人の距離が近すぎて、俺が手出しをしたらかえって邪魔になりそうだ。
そんな中、ランサーが申し訳なさそうに口を開く。
「……すまない。セイバー、キャスター、そしてのマスター達よ。令呪で命令された以上、俺に宝具の発動を拒否する権利はない」
「そうか、ランサーは発動を強制されて……」
どうやら、この宝具の発動はランサーの意思ではないらしい。
だがそれでも、発動させる訳にはいかない!
「止めてみせる、ランサーの為にも!」
「……ああ、ありがとう。だが、もう、手遅れだ」
煌々と輝く槍。
「そんな……!」
佐伯さんが口元を抑えて絶句する。
「ちくしょう……!」
「こうなったら、僕の宝具で……!」
けど、
「そんなことで、諦められるかよ!?」
ギリギリまで諦めてたまるか!
「セイバー!」
「ああ!」
「……出来ればお前達だけでも逃げて欲しかった」
飛びかかる俺達に、カルナが残念そうに呟くのが、やけにはっきりと聞こえる。
「撃滅せよ、『
宝具の宣言と共に、投槍の体勢へ。
走馬灯の如く、ゆっくりに見える視界。
(ちくしょう……!)
胸に残るのは、後悔と焦燥。
そして、救えなかった人たちへの申し訳なさ。
限界まで引いた腕から放たれる槍。
先程まで戦い使われていたものとは比べものにならない熱量。
それが解放された時、どんなエネルギーが発生するかわからない。
どうにもならない事態に目を閉じようとした、その時。
「───ベイカー、スナーク見つけたよ。ベイカー、皆を集めたよ」
声にそぐわない、歌うような口調。
いや違う。
聞き慣れた声を、何者かが借りているような、そんな違和感のある声。
「でもでもベイカーぼけちゃった。そう、そのスナークの正体とは───」
それがキャスターのの声だと気がつくには、少し時間がかかった。
「『
いつもの涼やかな詠唱。
直後、異変は起こる。
不意に体を包み込む強烈な違和感。
視界は薄緑の霧に覆われる。
発生源はわからない。
だが、それは途方もない量の魔力に満たされている。
それだけは確実だ。
半秒もしないうちに、だだっ広い廃工場を飲み込むように染め上げていく緑の霧。
何事かと目を見開いていると、何かに腕を引かれた。
「『黄金のヴェール』」
そして、俺達は金色のベールに包まれる。
強烈な炎熱。
「───っ」
しかし、黄金のヴェールは幾許が勢いを削ぐだけに留まり、視界が炎に飲まれる。
「風よ────!!」
そこへ飛び込んでくる、一極集中した風の塊。
それは黄金のヴェールが防いだ炎をさらに減少させる。
「ぐあっ……!」
目の前が燃え上がる。
永遠にも等しい間、熱が吹き付ける。
ようやくそれが止んだ時には、身体の至るところが焦げていた。
だが、それでも痛覚はある。
「ってことは……生きてんのか……?」
無事とは到底言えないが、どうやら生きてるらしい。
「そうだ!みんな───!」
節々悲鳴をあげる身体を無理やり動かすと、俺の腕の中に誰かが倒れて来た。
「え───」
そこには、
「……っ……うっ……」
身体の一部が完全に炭化した、キャスターがいた。
お読みいただきありがとうございました!
それでは、また来週お会いしましょう!