最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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今回は主人公一行は戦いません

化物二騎の戦いを傍観してるだけになります

命懸けですが


炎の魔力放出

「くそっ!何が起きた!?」

 

黄金のヴェールは半透明のため、目の前の状況がよくわかる。

 

そこはもはや地獄のような光景だった。

 

視界のほとんどを赤い炎が埋めつくし、見ているだけで熱さを感じそうだ。

 

「ランサーの攻撃ね。どうやら魔力放出のようだけど」

「自身の魔力を炎に変換しているのか。いや、そもそも彼自身の魔力が炎なのか……」

「冷静に言ってる場合かっ!?」

 

冷静に議論しているキャスターとセイバーに思わず叫ぶ。

 

すると、

 

「マスター、この子はそんなに弱くないわ。宝具でも直撃しない限り壊れない」

 

と、キャスターがちょっと怒ったように言う。

 

自分のプロイの強さが疑われたから、気に入らないのだろう。

 

「お、おう……。わかった」

 

ぶんぶんと首を縦に振って頷くと、キャスターは満足したような雰囲気を出して正面に向き直る。

 

前方では、こんな炎の中でも平然と戦う二騎のサーヴァント。

 

ランサーは静かに槍を構え、それを横薙ぎに振るう。

 

その軌道をなぞるように炎が現れ、広範囲に撒き散らされる。

 

それはバーサーカーを飲み込んだだけでなく、俺たちの方にまで飛んできているのだ。

 

しかし、バーサーカーは欠片も怯まない。

 

手にした剣を握り、猛然と走り出した。

 

ランサーが放ち続ける炎を、飛んで、走って、転がって回避する。

 

(さすがバーサーカー……肉体的強さはどんなクラスにも負けないな……)

 

言葉が通じず、単純な命令しか理解しない代わりに、作戦など建てなくても叩き潰せる力があるというわけか。

 

バーサーカーはどんどんランサーに接近し、やがて剣が届く間合いになった。

 

そこまで来るとランサーも炎の放出をやめ、槍に炎を纏わせ始めた。

 

「Aaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

叫び声とともに、ランサーに切りかかるバーサーカー。

 

それをランサーは冷静な目で見つめ、その槍で受ける。

 

弾かれるバーサーカーの剣。

 

バーサーカーはその反動を利用して一回転。

 

右回転斬りに対し、ランサーは槍を素早く操作し、剣を上空にはね上げるように受ける。

 

思わぬ方向に剣が飛ばされ、バーサーカーの体勢が崩れる。

 

その隙を逃すことなく、力強い踏み込み。

 

「ふっ───!」

 

短い気合い。

 

それともに放たれる、神速の一突き。

 

離れた位置からでも分かるほどの威力の炎を纏った一撃は、当たれば間違いなく必殺だろう。

 

だが、そう甘くはなかった。

 

バーサーカーはおもむろに背後に手を伸ばすと、なんと拳銃を取り出した。

 

かすかに驚いたような表情をするランサー。

 

そんなランサーにバーサーカーは銃口を向け、迷わず引き金を絞る。

 

ゴガンッッッ!!!

 

と、拳銃どころかアンチマテリアルライフルでも撃ったかのような爆音が響く。

 

それはランサーの胸部にヒットし、ランサーを仰け反らせる。

 

当然槍の軌道は逸れ、バーサーカーは難なくそれを回避する。

 

飛び下がり、距離を取るランサー。

 

しかし、バーサーカーはそんなもの気にせず、拳銃を向ける。

 

三発分の発砲音とマズルフラッシュ。

 

ランサーは身幅の厚い槍を盾のように使い、弾を防御する。

 

それでも威力は凄まじいらしく、ランサーはほんの少しだが後ろに引きずられていた。

 

バーサーカーは何度も引き金を引いて打ち続ける。

 

ランサーはさらに飛び下がることで距離を空け、その槍を再び横薙ぎに振るう。

 

バーサーカーの撃った数発の弾と炎が衝突し、数秒の拮抗の末に爆発。

 

その衝撃を示すように、爆風はこちらまで飛んできた。

 

「なんて戦いだ……」

「どっちも名の知れた英霊なんでしょうね。これだけの強さなんですから」

「少なくとも、ランサーは分かるよ」

「!? 本当か、セイバー!」

 

驚いた俺が尋ねると、セイバーは黙って頷く。

 

「彼の武器は非常に有名だからね。僕の聖剣のように隠さなければ、聖杯に関わったものにはわかる可能性が高い。加えて、僕は彼同様に太陽に縁のある戦士をよく知っているからね。そこも関係しているかもしれない」

「それって……円卓の騎士の『ガウェイン』か?」

「そう。太陽の騎士ガウェインだよ。まあ、昔ばなしは後々することにしよう」

 

そうしてセイバーは、ランサーを指さす。

 

「彼は恐らく『カルナ』だろう」

「か、カルナぁぁぁ!?」

「ほ、本当にそうそうたるメンバーですね……」

 

インド神話に登場する『倒される側の戦士』、カルナ。

 

彼はインド神話の主人公である『アルジュナ』の異母兄弟で、同等かそれ以上の力を持っていたらしい。

 

父親から賜った無敵の『太陽の鎧』と、それを引き換えに譲り受けた『神殺しの槍』。

 

ランサーである彼には、その二つがあるそうだ。

 

太陽の鎧は生半可な攻撃が通用せず、神殺しの槍はその名の通り神でも殺す最強の一刺しを放つ。

 

そんな英霊の中でも破格中の破格、それこそ最高位といっても過言ではない英雄と、互角に戦うバーサーカー。

 

(いよいよ何者かが気になる……)

 

目の前で繰り広げられる激しい戦いのことすら一時忘れ、俺は思考にふけっていた。

 

───────────────────────

 

「うわぁ……」

「酷い状況……」

 

戦闘が終わった公園にて、俺と佐伯さんは唖然としていた。

 

そこにあったのは、元の公園の広場などではなく、無数のクレーターと焼け跡が穿たれた空き地だった。

 

あの後、戦いはさらに熾烈を極め、被害はどんどん拡大していた。

 

そして被害が公園の外に出ようとしたころ、恐らく撤退の命令が出たのだろう。

 

どちらからともなく公園を後にした。

 

今、俺たちはその破壊跡を見ているところだ。

 

「さすがカルナの炎だな。木なんか炭化してるぞ」

「太陽の力を持つ炎だからね。人体に触れれば、それこそ無事では済まないだろう」

「あんまり怖いこと言わないでくれ……」

 

こっちはアレと正面対決しないといけないかもしれないだぞ……。

 

ため息をつき、周囲を見回す。

 

街の家などには被害はないが、公園の広場はもはや遊べる状態ではない。

 

誰かが見たら大騒ぎしそうだ。

 

(まあ、魔術協会か聖堂教会が隠蔽するんだろうけど)

 

どうやって隠蔽するのかなー、とか呑気にも考えつつ、これ以上調査してもあまり意味がないことを察する。

 

なにせ、焼け跡とバーサーカーが武器にした棒がいくつか転がっているくらいだ。

 

そんなもの見ても何にもならない。

 

「みんな、今日は帰ろう。こんなとんでも英霊だらけの戦争だ。自分たちの力を少しでも蓄えよう」

「そうですね。今日のところはそうしましょう」

「僕も賛成だ」

「わかったわ」

 

俺の提案に全員賛成したので、俺たちは帰路につくことにした。




投稿ちょっと前に寝落ちしたぁぁぁぁぁ!

リビングにいたのに、なんで起こしてくれないの家族よ!?

自業自得だろって話ですよね、はい、ごめんなさい

もっと早くに書き始めないとダメですかね……

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