最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
今回は設定の説明が多くなると思いますので、読んでてつまらないかもしれません
それでもよろしければ、ごゆっくりどうぞ!
サーヴァント『久遠寺有珠』。
筋力 D 耐久 A
敏捷 D 魔力 A++
幸運 C 宝具 A+
道具作成 EX
陣地作成 C+
魅了の魔眼 A+
宝具『
以上が俺にわかるステータス。
そして、ここからは今知った話。
久遠寺有珠は、魔術協会からも『近代最高峰の魔術師』として認められた、最強の人形師だ。
扱う魔術は一子相伝の『プロイキッシャー』(これはさすがに知ってる)。
プロイキッシャーとは、家に代々伝わって来た使い魔のことだ。
で、これが恐ろしいほどに強い。
『魔法以上に魔法に近い魔術』とも言われるその性能は、上手く扱えば街一つくらい簡単に吹き飛ぶ。
もちろん、『黄金のヴェール』や『午睡の券』のように、戦闘用以外の優秀なプロイキッシャーもいる。
普通なら『封印指定』になること間違いないが、一子相伝のものなので脳ごとホルマリン漬けはなかったらしい。
彼女は歴代の当主の中でも天才中の天才。
群を抜いた魔力と技術を持ち、新たなプロイキッシャーを多数作成。
中にはBランク宝具にも並ぶ力を持つものもあり、それだけを理由に封印指定の噂が出たほど。
結局魔法使いには至らなかったものの、神代の魔術師『メディア』にも並ぶほどの力を持つといわれる、歴史に残る魔術師となった。
「……で、そのチートクラスの魔術師が、俺のサーヴァント?」
なんとなく実感の湧かない俺に、説明を終えたセイバーと佐伯さんが頷く。
キャスターは終始傍観といった感じだ。
まあ、目の前で自分の話されたら、たしかに気まずいよな。
「まあ、実感は湧かないけど、納得は出来るよ。今までの戦いぶりを見てるとな」
これだけはたしかなことだ。
キャスターは間違いなく強い。
並のサーヴァントなら、恐らく比較にならないほど。
唯一懸念を上げるなら、魔術の起動がどうしても遅いことか。
宝具『
この宝具は常時発動型の宝具。
自身が魔術で使用する使い魔の素体、本体を魔力で練り上げ、精製できる究極の道具作成スキルとも言えるもの。
ただし、そのプロイキッシャーのグレードに応じて準備に時間がかかり、消費魔力も大きくなる。
だが、そんなものは些細な問題だ。
ようは、どちらも俺が稼げばいいだけなんだから。
つまり、俺の考えていた以上に、俺のサーヴァントはずっと強力だったということだ。
「たしかに、魔術師以外に知れ渡っているというわけではありませんからね。アーサー王なんかは物語になっているくらいですから、知名度も高いですけど」
「魔術師でも俺みたいに知らないやつもいるけどな」
「過去の文献とかを読んだことはないんですか?」
「うーん、魔術に関してはほとんど親父に習ったしな……。うちは荒事専門だから、そういう知識にあまり興味がなかったりするし」
「じゃあ、知らないのも無理ないかもしれませんね……」
「……本人の目の前でよくも勝手に言ってくれるわね」
「あ。ご、ごめんキャスター……」
「す、すみません!」
傍観を貫いていたキャスターが口を挟んだので、慌てて謝る。
これ以上怒らせたら何が起こるかわからない。
ついでに、話題も逸らしてしまおう、
「ひ、ひとまず、ここで立ち話ってのもなんだ。街の方に言って、喫茶店にでも入ろう」
「そうだね、落ち着いて話せそうだ」
「っていっても、最近ここに来たばかりで土地勘なんかないけど……」
「あ、私が案内します。ここ、地元なので」
「お?そうなんだ。それじゃあ、お願いするよ」
「はい」
そう答え、佐伯さんとセイバーは並んで話しながら歩き始めた。
俺もキャスターの横を歩き、二人に着いていく。
「……それにしても、変な気分だ」
「昨日争った人と一緒に歩くのが?」
「うん、まあ」
ずばり言い当てられ、面食らいながら頷く。
昨日の戦いは激しかった。
下手したら……というか、普通は死んでるレベルだ。
「別に珍しい話でもないわ。私もそういったことはあったもの」
「え?キャスターも?」
「大昔にね。同居していた子と争ったわ」
「魔術で?」
「ええ」
「ってことは、相手の子も魔術師?」
これはまあ、当然のことだが、流れで尋ねる。
しかし、その答えは、
「違うわ」
まさかのノー。
「はい?じゃあどうやって……」
「魔法使いよ」
「………………」
今さらっと、昨日の夕食のこと話すみたいに、歴史的にすごいこと言わなかった?
「いや、ちょっと待って。魔法使い?」
「ええ」
「冗談にしちゃ面白くないよ?」
「…………」
無言の非難。
はい、ごめんなさい。
「本当の話よ。戦った当時は、魔法は使えなかったけれど」
「それでも魔法使いと戦ったんだな……」
まあ、本当に魔法使われたら、俺なんか三秒で死ぬ。
魔法はそれだけ次元が違うのだ。
っていうか、誰だ?
第一魔法の使い手はたしか死んでるはずだし、第二と第三魔法はあの遠坂とアインツベルンの始祖なわけだから、考えにくいし……。
となると、第四魔法か第五魔法?
あれ、この二つってどういう魔法だっけ……?
そもそも使い手忘れたような……。
いかん、勉強不足過ぎる。
今度勉強し直すしかないな、これ。
そんなことを考えているうちに、喫茶店に到着。
「ここのケーキ、すごく美味しいんです」
言いながら木造の扉を開き、慣れた様子で中へ。
店内はさほど大きくないが、とても良い雰囲気だった。
全体は木造、装飾品の類は多くないが、寂れた印象を受けることはない。
普通より少し大きな音量で気持ちのいい音楽が流れていて、あまり人に聞かれたくない話でもできそうだ。
念のため人気のない窓際角の席に座り、注文をとる。
しばらくして、俺とキャスターの頼んだケーキと紅茶、佐伯さんの頼んだコーヒー、セイバーの頼んだサンドイッチが運ばれてきた。
「セイバー……さっきごはん食べたのに……」
「食べられる時に食べておくのが信条だからね。騎士にとって、食べ物は常に活力の源だから」
「にしても、三人前は多いだろう……」
紅茶を啜りながらそう言う。
そして、思わず吐き出しかけた。
「な、なぁ……キャスター」
「ええ。渋いわね」
「だよな」
紅茶が、渋い。
淹れ方を間違えたのか、それとも茶葉が夏収穫されたものなのか、ともかくやたらめったら渋い。
「適度な渋みは悪くないけど、これは度が過ぎるな」
「ミルクを入れればいいわ。渋みが和らぐから」
「え?本当に?」
キャスターがそう言うので、試しにミルクをたっぷり注いでみる。
濃い赤色だった紅茶がクリームのような色に染まり、充分に混ざったことを確認する。
口直しにケーキを一口含み、また紅茶を啜る。
「……あ、本当だ」
「昔、ある人が失敗した紅茶をこうしたことがあったから」
「いや、すごいな。知らなかったよ」
うちの場合、母さんがほとんど淹れてたし、自分で淹れるようになっても失敗することはなかった。
そうして過ごし、いくばくか落ち着いたころ。
「なぁ、一つ聞いていいか?」
そろそろ話を切り出す。
「はい?何でしょう」
「僕らに答えられることなら、なんでも答えよう」
既に一人前のサンドイッチを平らげたセイバーと、大量の角砂糖をねじ込んだコーヒーを飲む佐伯さんが、それぞれ返事をする。
「いいや、大したことじゃないんだ。この聖杯戦争中に、他のサーヴァントは見たか?」
共闘するならば、これくらいの情報交換くらいはしておきたい。
ただそう思って聞いたのだが……。
「……はい。遭遇しました」
「正しくは見かけた、かな」
どうやら、いい情報が手に入りそうだ。
「それはどんなやつだった?」
「なんだか、とても大きな人でした。筋骨隆々って感じの」
「それ以外に特徴はないな。ただ大きくて、赤いマントのようなものを羽織っていた」
「……それだけじゃ、特定は無理だな」
さすがにサーヴァントの容姿まで網羅なんてしてないし、詳しくはわからなそうだ。
「お役に立てなくてすみません」
「いや、二人が気にすることじゃないよ」
実際、困ってるのは二人も一緒だし……。
そんなふうに頭を下げる二人をなだめようとすると……。
「マスター。サーヴァントよ」
不意に、キャスターがそう言って窓の外を睨む。
「!?」
「マスター、隠れて!」
「う、うん!」
遅れて気づいたセイバーも、窓の外を睨む。
そこに居たのは、さっき聞いたのと同じ、筋骨隆々の男。
そいつは、明らかにこっちを見つめていた。
最近ふと思い立って、カーニバル・ファンタズムを見ました
レースの回でお腹がよじれるほど笑いました
個人的に、ライダーのところが好きです