最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

11 / 49
今日も深夜投稿です

今回は設定の説明が多くなると思いますので、読んでてつまらないかもしれません

それでもよろしければ、ごゆっくりどうぞ!


久遠寺有珠

サーヴァント『久遠寺有珠』。

 

筋力 D 耐久 A

敏捷 D 魔力 A++

幸運 C 宝具 A+

 

道具作成 EX

陣地作成 C+

魅了の魔眼 A+

 

宝具『童話の織り手(フェアリーテイル・リーヴァー)』。

 

以上が俺にわかるステータス。

 

そして、ここからは今知った話。

 

久遠寺有珠は、魔術協会からも『近代最高峰の魔術師』として認められた、最強の人形師だ。

 

扱う魔術は一子相伝の『プロイキッシャー』(これはさすがに知ってる)。

 

プロイキッシャーとは、家に代々伝わって来た使い魔のことだ。

 

で、これが恐ろしいほどに強い。

 

『魔法以上に魔法に近い魔術』とも言われるその性能は、上手く扱えば街一つくらい簡単に吹き飛ぶ。

 

もちろん、『黄金のヴェール』や『午睡の券』のように、戦闘用以外の優秀なプロイキッシャーもいる。

 

普通なら『封印指定』になること間違いないが、一子相伝のものなので脳ごとホルマリン漬けはなかったらしい。

 

彼女は歴代の当主の中でも天才中の天才。

 

群を抜いた魔力と技術を持ち、新たなプロイキッシャーを多数作成。

 

中にはBランク宝具にも並ぶ力を持つものもあり、それだけを理由に封印指定の噂が出たほど。

 

結局魔法使いには至らなかったものの、神代の魔術師『メディア』にも並ぶほどの力を持つといわれる、歴史に残る魔術師となった。

 

「……で、そのチートクラスの魔術師が、俺のサーヴァント?」

 

なんとなく実感の湧かない俺に、説明を終えたセイバーと佐伯さんが頷く。

 

キャスターは終始傍観といった感じだ。

 

まあ、目の前で自分の話されたら、たしかに気まずいよな。

 

「まあ、実感は湧かないけど、納得は出来るよ。今までの戦いぶりを見てるとな」

 

これだけはたしかなことだ。

 

キャスターは間違いなく強い。

 

並のサーヴァントなら、恐らく比較にならないほど。

 

唯一懸念を上げるなら、魔術の起動がどうしても遅いことか。

 

宝具『童話の織り手(フェアリーテイル・リーヴァー)』の性質上、それは仕方ない。

 

この宝具は常時発動型の宝具。

 

自身が魔術で使用する使い魔の素体、本体を魔力で練り上げ、精製できる究極の道具作成スキルとも言えるもの。

 

ただし、そのプロイキッシャーのグレードに応じて準備に時間がかかり、消費魔力も大きくなる。

 

だが、そんなものは些細な問題だ。

 

ようは、どちらも俺が稼げばいいだけなんだから。

 

つまり、俺の考えていた以上に、俺のサーヴァントはずっと強力だったということだ。

 

「たしかに、魔術師以外に知れ渡っているというわけではありませんからね。アーサー王なんかは物語になっているくらいですから、知名度も高いですけど」

「魔術師でも俺みたいに知らないやつもいるけどな」

「過去の文献とかを読んだことはないんですか?」

「うーん、魔術に関してはほとんど親父に習ったしな……。うちは荒事専門だから、そういう知識にあまり興味がなかったりするし」

「じゃあ、知らないのも無理ないかもしれませんね……」

「……本人の目の前でよくも勝手に言ってくれるわね」

「あ。ご、ごめんキャスター……」

「す、すみません!」

 

傍観を貫いていたキャスターが口を挟んだので、慌てて謝る。

 

これ以上怒らせたら何が起こるかわからない。

 

ついでに、話題も逸らしてしまおう、

 

「ひ、ひとまず、ここで立ち話ってのもなんだ。街の方に言って、喫茶店にでも入ろう」

「そうだね、落ち着いて話せそうだ」

「っていっても、最近ここに来たばかりで土地勘なんかないけど……」

「あ、私が案内します。ここ、地元なので」

「お?そうなんだ。それじゃあ、お願いするよ」

「はい」

 

そう答え、佐伯さんとセイバーは並んで話しながら歩き始めた。

 

俺もキャスターの横を歩き、二人に着いていく。

 

「……それにしても、変な気分だ」

「昨日争った人と一緒に歩くのが?」

「うん、まあ」

 

ずばり言い当てられ、面食らいながら頷く。

 

昨日の戦いは激しかった。

 

下手したら……というか、普通は死んでるレベルだ。

 

「別に珍しい話でもないわ。私もそういったことはあったもの」

「え?キャスターも?」

「大昔にね。同居していた子と争ったわ」

「魔術で?」

「ええ」

「ってことは、相手の子も魔術師?」

 

これはまあ、当然のことだが、流れで尋ねる。

 

しかし、その答えは、

 

「違うわ」

 

まさかのノー。

 

「はい?じゃあどうやって……」

「魔法使いよ」

「………………」

 

今さらっと、昨日の夕食のこと話すみたいに、歴史的にすごいこと言わなかった?

 

「いや、ちょっと待って。魔法使い?」

「ええ」

「冗談にしちゃ面白くないよ?」

「…………」

 

無言の非難。

 

はい、ごめんなさい。

 

「本当の話よ。戦った当時は、魔法は使えなかったけれど」

「それでも魔法使いと戦ったんだな……」

 

まあ、本当に魔法使われたら、俺なんか三秒で死ぬ。

 

魔法はそれだけ次元が違うのだ。

 

っていうか、誰だ?

 

第一魔法の使い手はたしか死んでるはずだし、第二と第三魔法はあの遠坂とアインツベルンの始祖なわけだから、考えにくいし……。

 

となると、第四魔法か第五魔法?

 

あれ、この二つってどういう魔法だっけ……?

 

そもそも使い手忘れたような……。

 

いかん、勉強不足過ぎる。

 

今度勉強し直すしかないな、これ。

 

そんなことを考えているうちに、喫茶店に到着。

 

「ここのケーキ、すごく美味しいんです」

 

言いながら木造の扉を開き、慣れた様子で中へ。

 

店内はさほど大きくないが、とても良い雰囲気だった。

 

全体は木造、装飾品の類は多くないが、寂れた印象を受けることはない。

 

普通より少し大きな音量で気持ちのいい音楽が流れていて、あまり人に聞かれたくない話でもできそうだ。

 

念のため人気のない窓際角の席に座り、注文をとる。

 

しばらくして、俺とキャスターの頼んだケーキと紅茶、佐伯さんの頼んだコーヒー、セイバーの頼んだサンドイッチが運ばれてきた。

 

「セイバー……さっきごはん食べたのに……」

「食べられる時に食べておくのが信条だからね。騎士にとって、食べ物は常に活力の源だから」

「にしても、三人前は多いだろう……」

 

紅茶を啜りながらそう言う。

 

そして、思わず吐き出しかけた。

 

「な、なぁ……キャスター」

「ええ。渋いわね」

「だよな」

 

紅茶が、渋い。

 

淹れ方を間違えたのか、それとも茶葉が夏収穫されたものなのか、ともかくやたらめったら渋い。

 

「適度な渋みは悪くないけど、これは度が過ぎるな」

「ミルクを入れればいいわ。渋みが和らぐから」

「え?本当に?」

 

キャスターがそう言うので、試しにミルクをたっぷり注いでみる。

 

濃い赤色だった紅茶がクリームのような色に染まり、充分に混ざったことを確認する。

 

口直しにケーキを一口含み、また紅茶を啜る。

 

「……あ、本当だ」

「昔、ある人が失敗した紅茶をこうしたことがあったから」

「いや、すごいな。知らなかったよ」

 

うちの場合、母さんがほとんど淹れてたし、自分で淹れるようになっても失敗することはなかった。

 

そうして過ごし、いくばくか落ち着いたころ。

 

「なぁ、一つ聞いていいか?」

 

そろそろ話を切り出す。

 

「はい?何でしょう」

「僕らに答えられることなら、なんでも答えよう」

 

既に一人前のサンドイッチを平らげたセイバーと、大量の角砂糖をねじ込んだコーヒーを飲む佐伯さんが、それぞれ返事をする。

 

「いいや、大したことじゃないんだ。この聖杯戦争中に、他のサーヴァントは見たか?」

 

共闘するならば、これくらいの情報交換くらいはしておきたい。

 

ただそう思って聞いたのだが……。

 

「……はい。遭遇しました」

「正しくは見かけた、かな」

 

どうやら、いい情報が手に入りそうだ。

 

「それはどんなやつだった?」

「なんだか、とても大きな人でした。筋骨隆々って感じの」

「それ以外に特徴はないな。ただ大きくて、赤いマントのようなものを羽織っていた」

「……それだけじゃ、特定は無理だな」

 

さすがにサーヴァントの容姿まで網羅なんてしてないし、詳しくはわからなそうだ。

 

「お役に立てなくてすみません」

「いや、二人が気にすることじゃないよ」

 

実際、困ってるのは二人も一緒だし……。

 

そんなふうに頭を下げる二人をなだめようとすると……。

 

「マスター。サーヴァントよ」

 

不意に、キャスターがそう言って窓の外を睨む。

 

「!?」

「マスター、隠れて!」

「う、うん!」

 

遅れて気づいたセイバーも、窓の外を睨む。

 

そこに居たのは、さっき聞いたのと同じ、筋骨隆々の男。

 

そいつは、明らかにこっちを見つめていた。




最近ふと思い立って、カーニバル・ファンタズムを見ました

レースの回でお腹がよじれるほど笑いました

個人的に、ライダーのところが好きです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。