二回死んだ俺は閻魔の部下になった   作:鬱ケロ

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どうも、鬱ケロです。
前回の続きを書いたので載せました。
読んでもらえると嬉しいです。
では、どうぞ。






閻魔の部下になりました

「罪人、空。貴方には地獄での一億年の労働を命じます。なお、その罰を終えたとしても、貴方は輪廻天性の輪に入る事は出来ません。よろしいですね?では、以上です」

 

 ……ん?今、目の前の彼女は何て言った?

 地獄での一億年の労働?

 輪廻天性の輪に入れない?つまり生まれ変わることが出来ない?

 

「はぁ!?」

 

 どうしてそうなった!?

 

「何です?何かご不満でも?」

「あるに決まってんだろ!死んだと思ったら、いつの間にかこんな所にいて、突然そんな事言われたんだぞ!誰だって不満ぐらい持つわ!」

 

 むしろ不満を持たねえ奴を見てみたいわ!

 

「ではどうすればその不満が無くなるんです?」

「とりあえずこっちの質問に答えてくれよ。そうしないと理解したくても出来ない」

「……まぁ、良いでしょう。それで貴方の不満が無くなるなら」

 

 あれ?意外とものわかり良いな。

 問答無用で地獄行きかと思ってたわ。

 

「早くして下さい」

「あ、おう。じゃあまず最初に、此処ってどこ?」

 

 まぁ、死んだと思ったら此処にいたから多分あの世。

 さっきの話からして地獄だとは思うけど、念の為に聞いておかないと。

 

「?おかしな事を聞いてきますね。さっき自分で死んだと思ったらと言ったじゃないですか?貴方は確かに死にましたよ。此処は死んだ後の世界。貴方たちがよく言うあの世と言ったところです」

「ん?地獄じゃないのか?」

「いえ。此処は入り口と言ったところです。此処で地獄に行くか天国に行くか決められるんです」

 

 なるほどな。日本で言うところの裁判所みたいなもんか。

 

「他には何かありますか?」

「ああ。どうして地獄での一億年の労働が罰なんだ?地獄での罰って、針山とかだと思ってたんだが」

「針山とか、かなり昔の罰ですよ。最近は、地獄の罰なんて労働が主ですよ」

「ふーん」

 

 それは良かった。針山とか耐えられそうにないし。

 それじゃあ後は、

 

「どうして輪廻天性の輪に入る事が出来ないんだ?それに、その罰が終わったら俺はどうすれば良いんだよ?」

 

 これが一番不思議な事だった。普通の人生……と言うにはちょっと、いや、結構おかしな人生を送りはしたけども、輪廻天性の輪に入れなくなる程悪い事はしていない筈だ。多分……うん。

 

「……罰が終われば貴方の存在は消えます」

「消える?どういう意味だ?」

「そのままの意味です。罰が終われば貴方の存在は跡形も無く消える。そこに貴方がいたという証は一つも残りません。貴方と関わっていた者たちも少しずつ貴方の事を忘れていきます」

 

 存在そのものが消える。

 あいつらも俺の事を忘れちまうって事なのか?

 

「なんとかなんねえのかよ?」

「……決まった事です」

 

 ……ふざけんなよ。

 

「おい、どうして俺はそんな罰を受ける事になったんだよ?俺は自分が消えちまうほど悪い事はしてねぇ筈だろ」

「それはーー」

「貴様、いいかげん身の程をわきまえろ!」

 

 は?なんだよ急に?

 そういや目の前の女との話に集中してて、周りの奴らの事気にしてなかったな。

 今喋ったのはどいつだ?

 

「貴様のような奴が、閻魔様と話せているだけでもどれだけ幸せな事か考えてみろ!本来ならば即地獄行きの所なのだぞ!」

 

 あの鬼か。なんか上から目線で腹が立つな。

 それよりあの鬼、今なんて言った?

 

「お前が閻魔?」

「……はい、私が閻魔です」

 

 こいつが閻魔?あの地獄で一番偉い?女なの?いや、そんな事どうでもいい。それより、

 

「……じゃあお前が決めた事なのか?俺が受ける罰って?」

「……はい、私が決めました。私の意志で」

「……」

 

 ……じゃあなんで、さっきからお前はーー

 

「もう良いだろう!分かったならばさっさとーー」

「うるせえ、黙れ」

「ッッ!!」

 

 おいおい、ちょっと殺気出しただけで気絶しそうになるとか、それで大丈夫なのかよ?唯一大丈夫そうなのが、閻魔の隣に立ってる男だけだぞ。閻魔すら震えてるし。

 

「さっきからうるせえ。てめえ何様だよ?何?バカなの?死にたいの?そんなに死にたいなら、今すぐ楽にしてやろうか?」

「なっ!!そ、そんな事私の前でしてみなさい!貴方がどうなるかわかってるんですか!?」

 

 チッ。閻魔にそう言われたらどうする事もできねぇじゃねえかよ。

 

「じゃあもう一回聞くぞ?俺の罰はお前が、自分の意志で決めたのか?」

「……さっきからそう言ってるでしょう。私が自分の意志でーー」

「じゃあなんでお前はさっきから、そんなに辛そうな顔してんだよ!?」

「ッッ!」

「自分で決めたんだったら、そんな辛そうな顔してんじゃねぇよ!」

「わ、私は、辛そうな顔なんて」

 

 自分でも気付いて無かったのかよ。いや、あえて気付かないふりをしてたのか。

 

「私は、そんな……」

「閻魔様、少しお話が」

 

 なんだ?隣の奴が急に閻魔と話し始めたぞ?

 

「……え?でもそれでは他の者が納得しないのでは?」

「あの者は元魔王軍最強の男です。誰も文句は言えないでしょう」

「……わかりました」

 

 え?何?なんの話?

 

「罪人、空。貴方を明日から、私の護衛兼秘書官とします!要するに、私専属の部下です!」

 

 え?護衛?秘書官?部下?……はい!?

 いやいや、何言ってんだ!?周りの奴とか驚きすぎて固まってんじゃん!

 

「罪人は、元魔王軍最強の男です。これ程の者ならば私をしっかり守ってくれるでしょう」

「いやいや、何言ってんの!?そんなの嫌だわ!」

「なお、断ればさきほどの罰を与えます」

「職権乱用じゃないですか!?」

「違います。これは私の権限です」

「いや、だからそれが……」

「では、以上です」

「いや、でも……」

「以上です」

「あの……」

「以上です」

「あ、はい」

 

 というわけで、閻魔の部下になりました。

 

 

 

 

 

 いや、なんでこうなった!?

 

 

 

 

 

 

 




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読んでくれてありがとうございました。







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