二回死んだ俺は閻魔の部下になった   作:鬱ケロ

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こんにちは、鬱ケロです。

投稿が遅れてしまいすみません。

久しぶりの投稿ですが見ていってください。
では、どうぞ!


追いかけっこ

「待たせて悪かったな。さて、追いかけっこを始めようぜ?」

 

 そうして、俺と猪の追いかけっこは始まり、既に三十分は経っているだろう。

 そんな俺がこの三十分で感じたことを聞いてくれ。

 

「三十分前の俺をぶん殴りてぇ!」

 

 そう叫びながら俺は猪から逃げていた。

 なんだよあの猪!?こっちが走ってる間に用意した足止めが全く役に立ってないんですけど!?

 少しでも遅くなれば良いと思って森の中走ってるのに、全く遅くならないんですけど!?あれ?むしろ速くなってる?なんで!?

 こんな事になるんだったら、焔を連れてあの男達見捨てて逃げれば良かった!

 そんな事を思いながら走っていた俺だが、不運にもその足を止める事になった。

 

「……おいおい、マジかよ」

 

 そう言う俺の頰を汗が伝う。

 俺の目の前にあるのは壁だった。

 上はよく見えないが、登ろうと思えば登れるだろう。

 しかし、あの猪に追われている今それをすれば登っている間に突進を受けて俺はあの世行きだし、此処で逃げたらあの猪は焔を狙うかもしれない。だったら……

 

「……だったら、逃げるわけにもいかないか」

 

 普段は頼りないが一応俺の上司だしな。

 ……あれ?そういえば此処って地獄だよな。じゃあ死んだらどうなるんだ?

 そんな今考えることでもない事を考えていると、後ろから大きな音がした。

 振り向くとそこには猪がいた。

 身体中に傷があり、其処から血が流れている。

 どうやら俺の足止めが少しは効いたようだった。

 

「遅かったな。俺のやった足止めが少しは効いたか?」

 

 俺はその姿を見て、笑いながらそう言う。

 獣相手にこんな挑発意味は無いだろうが、しないよりはマシだった。

 しかし、猪は俺の言葉を理解したかのように大きな鳴き声を上げた。

 

「まだやる気あるみたいだけど、そろそろ勘弁してくれねぇかな」

 

 そう言いながら俺は回りを見るが、武器になりそうなものはなかった。

 

(やばいな。冗談抜きで詰んだか?こんな事になるんだったら武器の一つでも持って来るんだった)

 

 内心そう思っていると、猪はさっきよりも大きな鳴き声を上げ、遂に俺に向かって突進をしてきた。

 俺は死を覚悟したが、それよりも早く突然横から飛んできた炎が猪を襲った。

 

「な、なんだ?どうして炎が?」

 

 俺は突然の事に驚き、炎の飛んできた方向を見る。

 そこには、

 

「空!大丈夫!?」

 

 右手を前に出して猪の方に向ける焔がいた。

 焔は俺にそう言うとすぐに俺の所に走ってきた。

 俺を見る焔は、心配そうな顔をしている。

 そんな顔を普段は俺に向けないので、俺は少し笑ってしまった。

 すると焔は顔をむすっとさせた。

 

「なんで笑うのよ」

「いや、悪い、悪い。

 それよりもう少し早く来れなかったのかよ?俺、もう少しで死ぬ所だったんだぞ?」

「私だって早く助けに行きたかったよ。でも私一人であのひとたちを移動させたりするのって大変だったんだから」

 

 そう言って焔は少し拗ねたような顔をする。

 その顔にまた少し笑ってしまう。

 

「冗談だよ。ありがとな。助けてくれて」

「え?あ、う、うん。ど、どういたしまして」

 

 俺の突然の感謝の言葉に焔は驚いたのか、噛みながらそう言って顔を伏せた。

 少し顔を赤くしてるけど、噛んだのが恥ずかしかったのか?

 そんな事をしていると猪がいた方向から猪の鳴き声がした。

 声のした方を見ると猪は頭を振っていた。

 

「やっぱりダメか」

「やっぱりって私に少し失礼じゃない?」

「俺が使った爆発でダメだったんだから、あの火力じゃ無理だろ」

「……助けてくれた人に言う言葉じゃないよね?」

 

 横で焔がそう言うが事実だから仕方ない。

 さっきみたいな不意打ちじゃなかったら、止まることもなかっただろう。……まぁ、それで俺は助かったわけだから口には出さないが。

 

「まぁ、もう大丈夫かな。焔、お前さっきのと同じ位の炎ってまた出せるか?」

「え?うん、後一回ぐらいなら出せるよ」

「大丈夫。それで十分だ」

「でも、私の炎は効いてないみたいなんだけど」

 

 焔は猪を見ながら俺にそう言ってくる。

 確かにあれを見たら不安にもなるか。

 俺はその不安を消すために、あえて軽いノリで言う。

 

「大丈夫、大丈夫。別に倒すわけでもないし」

「え?倒さないの?」

「今は逃げるのが先。もう疲れたし」

 

 俺のその言葉に焔は呆れたような顔をする。

 そんな顔されたって、もう疲れたんだから別にいいだろ。

 俺、頑張ったよ?

 

「はぁ。それで?逃げるんだったら、私はあの猪に炎をぶつけて足止めをすればいいの?」

「いや、猪の手前の地面狙って。全力で」

「え!?なんで!?」

「いいからやれ。ほら、来るぞ」

「!?」

 

 俺がそう言うと焔は猪の方を見る。

 其処には、今にも此方に突進して来そうな猪がいた。

 

「あぁ、もう!どうなっても知らないからね!?」

 

 そう言いながらも焔の奴は炎を出した。

なんだかんだ言って、俺の言った通りにしてくれるからありがたいなぁ。

 

「大丈夫だって。任せろよ」

 

 そう言って俺は炎に向かって『言霊』を発動する。

 

「『焔の炎よ。熱く、激しく、燃え上がれ。我らを守る壁となれ』」

 

 俺がそう言うと、炎はまるで猪を阻む様に横に燃え広がった。

 その様はまさに壁と言えるだろう。

 猪は突然の事に足を止める。

 

「良し、今がチャンスだ!逃げるぞ!」

「え?ちょ!?わぁあああ!?」

 

 自分の出した炎が突然壁の様になった事に驚いている焔を抱えて、俺は壁を登る。

 

 そうして、俺達はなんとか猪から逃げる事に成功したのだった。

 

 




来週もテストがあって無理かもしれません。
本当にごめんなさい!!

おかしな所などがあったら、教えて下さい。
それでは、また次回もよろしくお願いします。

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