二回死んだ俺は閻魔の部下になった   作:鬱ケロ

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どうも、鬱ケロです。

UAが1000到達しました!
ありがとうございます!

二週間ぶりくらいの投稿ですが見ていってください!
では、どうぞ!


束の間の休息

 俺と焔が地獄を出て既に三時間。

 空は相変わらず黒い雲に覆われていて分からなくなりそうだが、そろそろ昼になる頃なので昼ご飯を食べる為に、俺達は休憩することにした。

 

「よし、そろそろ飯にするか」

「疲れたー。もうお腹ぺこぺこだよー」

 

 そう言って焔は地面に座り込む。

 まぁ、それも仕方ないだろう。

 今俺たちの歩いている場所は地獄と地獄の間。どの地獄も管理をしていない場所らしく、自然なままの状態で放置されていた。

 そんな場所を俺は兎も角、ずっと地獄にいたこいつが歩くには辛いものがあるだろう。

 

「そんなに辛いならこの辺りも管理して整備しちまえばいいだろ?」

 

 座って水を飲んでいる焔にそう提案すると、焔は苦笑いを浮かべた。

 

「それができたら苦労しないよ。今管理している地獄だけでもかなり広いんだよ?こんな所まで手を回す余裕はないよ」

「ふーん。そんなに閻魔の仕事って大変なのか」

「今はまだ楽な方だよ。私が仕事に慣れてくればもっと仕事増えるらしいし。……あれ?なんだか気分落ちてきちゃった。ふふ」

 

 そう言って悲しそうに笑う焔は、見ていて此方も悲しくなってきそうなオーラを纏っていた。

 とてもじゃないが見た目十七歳位の女が纏って良いものではないだろう。

 

「だ、大丈夫だって!お前には心や桃花がいるし、俺も出来ることがあったら手伝うから!だから元気出せ!な?

 それより、飯食おう、飯!うん!そうしよう!それが良いって!」

 

 俺はそんな焔を見てすぐに話題を切り替えた。

 ……いや、うん。流石に俺でもあの空気は耐えられないわ。

 これからは少し焔に優しくしてやろうと思いました。はい。

 

「うん。そうだね!ご飯食べて嫌なことは忘れちゃおう!」

 

 俺の言葉で少し元気になる焔。

 その姿を見て安心した俺は、自分の荷物の中から昼飯を取り出して食べ始める。それに続いて焔も食べ始めた。ちなみに俺はおにぎり。焔はサンドウィッチだった。

 

「なぁ、焔」

「ん?何?」

「そういえばさ、これから行く地獄ってどんな所なんだ?」

 

 互いにある程度食べ終わった頃に、俺は焔にそう聞いてみた。

 俺、その辺りの話全くされてないんだよね。今さらだけど。

 

「あれ?言ってなかったっけ?」

「……お前さ、そろそろ俺でも怒るよ?ねぇ?この前もそんなこと言って俺に話してなかったよな?なぁ?」

「いや、その。……ごめんなさい」

 

 こいつ俺に対して言ってないこと多すぎだろ。

 なに?俺には言わなくてもいいと思ってんのか?悲しくて泣くぞ。

 

「え、えっと、今向かっている所がどんな所なのか、だよね?

 ごめんね。私もどういう所なのかよく知らないんだ。でもそこを治めてる閻魔が誰なのかは知ってるよ」

 

 俺の顔を見て焔は少し慌てて俺の質問に答えた。

 どうしたんだろう?そんなに慌てて。まぁ、いいか。

 

「治めてる閻魔って誰なんだ?」

「うん。そこを治めてるのはね、水曜の閻魔様なんだ。見たことはないけど、噂だとなんでも出来る人なんだって。羨ましいなぁ」

 

 そう言って焔は少し悲しそうな顔をする。多分自分は全然出来ないのに、とか思ってるんだろう。

 

「別に出来る出来ないは人それぞれだろ。

 それに、お前はまだ成り立てなんだから、ゆっくり自分のペースで覚えていけばいいんじゃねぇの?」

 

 俺がそう言うと、焔は少し驚いた顔をした後、微笑んだ。

 

「うん、そうだね。……ありがと」

「……おう」

 

 俺は恥ずかしくなって顔を逸らす。

 いや、その笑顔はずるいだろ。

 あいつがいなかったら惚れてるぞ。

 そんな俺の姿に焔は今度はニヤニヤと笑う。

 そしてその顔について俺が文句を言い、焔は俺をからかう。

 そのやり取りは、最近思い出したホムラとの昔のやり取りに似ていて、とても懐かしく感じた。

 そんなことをしながら休んでいた俺達は、そろそろ出発しようと腰を上げた。

 

 そんな時だったんだ。その声が聞こえてきたのは。

 

「う、うわぁあああー!!!」

「「!?」」

 

 突然聞こえてきたその声に俺達は互いに顔を見合わせ頷くと、ほぼ同時に声のした方に走り始めた。

 暫くするとかなり広い場所に出ると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。

 

「……おいおい、マジかよ」

「……嘘でしょ?」

 

 そこには倒れている数人の男達。

 そしてそこにいたのは猪だった。

 しかし、明らかに普通の猪ではなかった。

 なぜなら、その猪は()()()()()()()()()()をしていたのだ。

 そしてその体に浮かぶ禍々しい模様が、その猪が普通ではないなによりの証拠だった。

 

「あれは、魔獣の模様か?」

「でもあの魔獣は大きすぎるよ」

 

 俺達が猪のその姿に驚いていると、その猪は足元にいる男を踏みつぶそうと足を上げた。

 

「まずい!」

 

 その様子を見た俺は近くにあった石を拾うと、猪に向かって投げつけ、『言霊』を使う。

 

「『爆発しろ!』」

 

 俺がそう言うと拾った石は猪に当たり爆発した。

 すると猪は上げた足を下ろしこちらを見ると、こちらに向かって動き始めた。

 

「おし!焔、お前は今のうちに倒れている奴らを救助しろ!」

「空はどうするの!?」

「俺はあの猪の注意を引いて、なるべく此処から遠ざかる!お前は救助が終わったらこっち来てくれ。武器持ってない俺じゃあ流石にきつい」

「……わかった!すぐに行くから頑張って逃げててよ!」

 

 そう言って焔は俺から離れていった。

 そして改めて猪を見ると、今にもこちらに突進して来ようとしていた。

 

「待たせて悪かったな。さて、追いかけっこを始めようぜ?」

 

 それと同時に俺に向かって走ってくる猪。

 こうして、俺と猪の命がけの追いかけっこが始まった。




空の昔の友達・ホムラ
閻魔の方・焔
で分けようと思います。
文章が長かったり短かったりと、バラバラですみません。

感想・批評、誤字・脱字報告待ってます。
それでは、また次回です!

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