この作品がもう少しでUA1000行くんです!
皆さん読んでくれてありがとうございます!
では、今回は短めですが、読んでいってください!
閻魔が地獄を出るそうです
あの宴会から一ヶ月。
あれから変わった事がいくつかある。
あれから、焔と鬼達の関係も良くなり、この一ヶ月で一緒に笑いながら話している光景を結構見るようになった。
焔は、最初の頃のような何処か諦めたような顔をしなくなり、明るい顔をよく見せるようになり、心や桃花、俺は喜んでいた。
……そう、喜んでいたんだよ。
「…………」
……さて、そろそろ過去の思い出に逃げずに現実を見よう。
今、俺の目の前には書類の山。そしてその山に埋もれて、
……えっと、取り敢えず、
「おぉ焔。死んでしまうとは情けない!」
「勝手に殺すな!!」
俺の言葉を聞き、起きる焔。
なんだ、生きてたのか。
「生きてるに決まってるでしょ!?
それにそう思うんだったら、私の仕事手伝ってよ!!」
「俺はちゃんと自分の仕事をやってんだよ。
……って、なに普通に心読んでんだよ?お前は覚か?」
普通すぎて反応が遅れちまったよ。
え?違うよね?少し怖いんだけど。
俺が少し引いていると焔は書類の山を見てため息を吐いた。
「……おかしいでしょ。なんなのこの量?
もうやだ。お菓子食べたい。仕事したくないよぉ」
「そんな事言ってるとまた心に怒られ……あ」
「なに?どうしたの?」
焔は俺の反応を不思議に思ったのか、俺の見ている方を見る。
其処には顔に笑顔を浮かべる心がいた。
いや、口は笑っているが、目が笑っていなかった。
「そうか、そうか。仕事をしたくないか。
別に良いぞ。……お前に一生お菓子を食わせないだけだからな」
「そ、そんなぁ!」
心のその言葉にこの世の終わりのような顔をする焔。
いや、どれだけお菓子を食べたいんだよ?太るぞ?
そんな焔の顔を見て心はため息を吐いた。
「それに、お前は
「……は?」
俺はついさっきまでの軽い気持ちが一瞬で消し飛んだ。
心はなんて言った?
焔があと一週間で此処を出る?
なんで?どうして?そんな、ふざけんなよ。
俺がそう考えていると、俺の様子に気づいたのか心は慌てて訂正し始めた。
「空、落ち着け。
此処を出るって言っても少しの間だけだよ。
それに、お前はこいつに付いて行くんだぞ?」
「は?」
その言葉で俺は、さらにわからなくなってしまった。
どういう事だ?付いて行くって、何に?
俺が疑問に思っていると、心は焔を睨みつける。
「……焔。お前、まだ言ってなかったのか?」
「え、えっと、なかなか言う機会が無くて」
「空を連れて行くって言ったのはお前だろうが」
「ごめんなさい!」
焔はそう言って心に頭を下げた。
え?本当にどういう事?
「えっとだな。一週間後に焔には別の閻魔がいる地獄に行って、其処の閻魔の仕事を見て、いろいろ学んでくるんだ」
「つまり、研修みたいなものか?」
「そうそう、それだ。
それでお前は、焔の護衛として付いて行くってわけ」
それを聞いて俺は安心した。
でも、どうして俺が護衛として行くんだ?
そんなの心が行けば良いと思うんだが。
「……俺が居なくなったら、誰がこの地獄をまとめるんだよ?」
「あぁ。成る程。納得」
確かに俺と桃花じゃまとめられないもんな。
うん、それは納得だ。
「だからこの一週間、妙に仕事が多かったのか」
「そういう事だ。
だからこいつには、さっさと仕事を終わらせて欲しいんだがな」
心はそう言って、困ったように焔の方を見る。
なのにこの状況だもんな。終わるか心配にもなるか。
はぁ、仕方ない。
俺は近くにあった書類を取り、焔の近くに座った。
「ほら、さっさと起きて続きやれ。
俺も手伝ってやるから」
俺がそう言うと、焔は伏せていた顔を上げてこちらを見てきた。
「ほ、本当!?」
「お前が終わらせてないと周りに迷惑かかるだろうが。
俺は今日の仕事はもう終わってるし、今日だけ手伝ってやる。今日だけだからな?」
「全然良いよ!!ありがとう、空!!」
そう言って笑顔になる焔。
……本当、調子のいい奴だな。
「悪いな、空」
「別に。俺がやりたいからやってるだけだよ」
「……そうか」
そう言って心は笑みを浮かべる。
「本当に、お前が来てくれて良かった」
「そうか?」
「ああ。そうだよ」
「そんなことないだろ。
それに、お前らが居なかったらあいつは潰れてたと思うぞ」
俺だけじゃ絶対無理だったしな。
あいつの側に心や桃花が居たからこそ、あいつはいままで耐えてこれたんだと思う。
心は俺の言葉に、苦笑した。
「そうか?」
「ああ」
「ねぇ、二人ともなんの話してるの?」
「なんでもねぇよ。じゃあ、後は頼むわ。
俺は他にもやることがあるからな」
そう言って心は部屋を出ていった。
「ねぇ、なんの話してたの」
「なんでもねぇよ。
それより手を動かせ。今日中に半分終わらせるぞ」
「……なんだか空、心に似てきたよね。その容赦ないところとか」
「手伝うのやめるぞ」
「ごめんなさい!」
そんな事をしながら、俺達は仕事を終わらせていった。
そして一週間後。
俺と焔が他の地獄に行く日になった。
今、俺と焔は心と桃花と一緒に執務室に集まっていた。
「それで?どうやって行くんだ?
桃花の瞬間移動を使うのか?」
「それは無理。私、ここ以外の地獄に行ったことないもの」
あぁ、そうか。確か桃花の瞬間移動って言ったことのある場所にしか行けないんだよな。
「そういうわけで、お前らには徒歩で行ってもらう」
「えー」
マジか。やだなぁ。
俺軽のテンションが軽く下がっていると、焔に手を引かれる。
「よし!それじゃあ行こ、空!」
そう言って俺に笑顔を向けてくる焔。
……そんな顔されたら拒否できないでしょうが。
「はぁ、じゃあ行くか」
「うん!」
「気を付けてな」
「お土産よろしく」
そして俺と焔は別の地獄に向けて、足を踏み出した。
「あ、あいつらの通る道に、凶暴な魔物が生息していること言うの忘れた」
「……心さん。それ、かなり大事なことじゃないですか?」
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