二回死んだ俺は閻魔の部下になった   作:鬱ケロ

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どうも、鬱ケロです。

今回でとりあえず一章は終わりです。
この一章はだいぶ短かくなっちゃいましたし、話が急すぎたりと読みにくかったと思います。
次はもう少ししっかり書けるよう頑張りたいです。

それでは一章の最後です。見ていってください!




 俺が医務室で焔や神と話してから一ヶ月が経った。

 この一ヶ月は地獄だったよ。

 怪我が治った俺が仕事に戻った時、待っていたのは仕事の山。

 咎人達が暴れた事に対する事後報告の書類、荒れてしまった地獄の復興など、やる事が多すぎて最初の一週間はまともに眠れていない。

 そんな中で書類仕事を寝ずにやっていた焔は、一週間が過ぎた辺りで、死んだような目で独り言を言うようになってきたからやすがに休ませた。

 いや、だって焔の奴、

 

「……ふふ、どう?空。私だってやれば出来るのよ?

 ……やだなぁ、そんなに褒めないでよぉ。心兄や桃花もいるんだからぁ」

 

 とか言ってんだぞ。怖いよ、怖い。

 何が怖いって独り言に俺の名前が出ていて、何も言ってないのに嬉しがってるところが怖い!近くにいた心や桃花も軽く引いてたくらいだよ。

 それに、その頃には心や桃花、外で働いてる鬼達もだいぶきつそうだったし、俺も正直きつかったから、心に皆を少し休ませるように言ってもらった。

 それからは皆に無理しない程度に休みながら、地獄の復興に勤めるようになった。

 そして一ヶ月経ってだいぶ落ち着いてきた時に、焔から突然呼び出しがあった。

 

「ねぇ、お疲れ様会みたいなことしない?と言うかしようよ」

「はぁ?」

 

 何こいつ?執務室に入ったら、突然質問してきて勝手に自己完結したんだけど。

 そんな上司につい口が悪くなってしまった俺は悪くないと思う。

 

「なんだよ急に?お疲れ様会?なんだって今更」

「今だからこそだよ。この一ヶ月は皆忙しくて集まって話す事ができなかったし、休む事もなかなかできなかったでしょ?

 最近はだいぶ落ち着いてきたし、この辺りで皆で集まってご飯を食べながらいろんな話をしたりして、改めて仲良くなりたいなって思って」

 

 恥ずかしそうにしながらもそう言う焔。

 その顔つきは、一ヶ月前の諦めたような顔つきではなく、進もう、近づこうという気持ちで溢れていた。

 そんな所も最近思い出してきた彼女に似ていて、俺は嬉しく思い、そして何故か()()()()()()

 

「えっと、駄目、かな?」

「いや、良いと思うぞ。きっと他の奴らも、お前と話をしたいと思ってるだろ」

 

 俺の気持ちが顔に出ていたのか、俺の顔を見て悲しそうに聞いてくる焔に、俺は自分の考えを伝える。

 事実この一ヶ月、鬼達を見ていると今までのこともあって、何処か焔との距離感を図りかねてるような奴がたくさんいた。

 だからこそ此処で一度、落ち着いて話したりするのも良いと思う。

 焔は俺の答えを聞くと安心した顔をした。

 

「良かった。空ってこういう集まりとか、嫌いなのかと思ってたから、断られたらどうしようかと」

「別に嫌いなわけじゃねぇよ。……ちょっと得意じゃないだけで。

 それより、何処に集まるんだよ?飯も食べるってなるとだいぶ広い場所の方がいいだろ?そんな場所あるのか?」

 

 あの事件でかなりの鬼がいなくなってしまったが、それでもまだたくさんの鬼がいる。その全員が集まれる場所なんてあるのだろうか?

 

「それについては大丈夫。今いる人数位なら余裕で入る場所があるから」

「へぇ、そんな場所があるのか」

 

 それなら大丈夫かと思っていると、執務室に心が入って来た。

 

「よう、空。その様子だと焔から話は聞いてるな」

「あぁ。俺も行く事になったから、やることあったら言ってくれ」

 

 俺がそう言うと、何故か心は笑顔になった。

 ……あれ?なんか嫌な予感がするんだけど?

 

「そうか、そうか。それなら早速手を貸してくれ。明日までにやらないといけない事が多くてな」

「……え?いや、俺は明日の事でやる事があればって意味で言ったんだが」

「焔もやれよ?」

「え?無視なの?」

「……わ、私は明日の事について考えないと」

「仕事が終わるまで、お前ら帰さないからな?頼むぞ?」

「いや、だから」

「やれ」

「でも」

「やれ」

「あ、はい」

 

 そうして今日は過ぎて行った。

 

 

 ……これ明日までに終わるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその翌日。

 え?仕事は終わったのかって?

 ……なんとかね。三時間前に終わったばかりだよ。

 それから少し寝ることができたからまだ良かったです、はい。

 心には逆らっちゃ駄目だ。鬼より鬼らしいとか、なんなのあいつ?

 

「大丈夫?なんだか元気ないけど」

「大丈夫。ちょっと眠いだけだから」

「……しっかり寝なさいよ」

 

 無理言わないでくれ。眠る事ができたの三時間前だよ?心の奴帰してくれないんだよ?寝そうになったら頭叩かれるし。もう嫌。

 

「お前が悪いんだろうが。今度はぶん殴るぞ」

「すみませんでした」

 

 本当に殴るのだけは勘弁してください。

 

 

 今俺や心、桃花の三人は焔が来るのを待っていた。

 用意に手間取っているみたいなんだが、

 

「それにしても遅いな。焔の奴」

「そうだな。なぁ、桃花。ちょっと見て来てくれるか」

「え、嫌です」

「なんでだよ?」

 

 もう三十分くらい経つが、来る気配がしなかった。

 心も流石に遅いと思ったのか、桃花に見て来るように頼むが桃花は拒否した。

 どうして嫌なのか俺は聞いてみた。

 

「あのね、女は身支度に時間が掛かるものなの。多分そろそろ来ると思うからもう少し待とうよ」

「その割にお前は早かったよな」

「私はそこまで気にしてないもん」

「いつもその服だけど他に無いのかよ?」

「この服が気に入ってるから良いの」

 

 あ、そう。

 女っていうのはよく分からんな。

 そんなことを思っていると執務室に焔が入って来た。

 

「遅くなってごめん!久しぶりにこの服着たから時間かかっちゃって」

 

 そう言って入ってきた焔の服装はいつもと違っていた。

 普段は巫女服の様な服を着ているが、今日は桃花と似た様な和服だった。

 しかし桃花と違いその色は緋色だった。そしてその服には椿の花が描かれている。

 あと、髪型がポニーテールになってる。

 

「?どうしたの、空。えっと、なにか変?」

 

 俺がなにも言わずに見ていた事を不思議に思ったのか、焔は俺にそう聞いてきた。

 

「いや、変じゃ無い。むしろ似合ってると思う」

「え!?そ、そう?あ、ありがと」

 

 俺の言葉で顔を赤くする焔。それにつられて俺の顔も熱くなる。

 いや、うん。勢いで言っちゃったけどちょっとまずかったか。

 

「んん!それじゃあ二人とも良いか?」

「……早くしてくれる?こういう甘ったるい空気嫌になるんだけど」

 

 俺達の様子を見て心は苦笑いを浮かべながら、桃花は睨みつける様にこちらを見てきた。

 別に甘ったるい空気なんて出してないぞ。……出してないよな?

 

「あ、うん。そうだね。それじゃあ行こうか」

「どうやって行くんだ?」

「そこは大丈夫。桃花、行けそう?」

「いつでも行けるよ」

 

 は?なんでそこで桃花が出てくるんだ?

 そう思っていると心が近付いてきた。

 

「それはな、桃花の能力が『瞬間移動』だからだ。

 まぁその能力も自分が行ったことのある場所、自分の視界に写っている場所限定っていう弱点があるけどな」

「あと、一回使うと十秒間使えないんだけどね」

 

 それでも便利な能力だな。

 

「なるほど。それでその場所まで飛ぶってわけか」

「そういう事。それじゃあ桃花。早速だけどお願い」

「分かった。それじゃあ私に触れて。あ、空は服にちょこっと触れるだけにしてくれる?」

「なぁ、俺お前になにかした?」

 

 そう言いながらも俺は言う通りにする。

 いや、だって俺瞬間移動できないし。仕方ないよね?

 

「それじゃあ行くよ」

「「「あぁ(うん)」」」

 

 そして次の瞬間目の前の景色が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

「……すげぇ」

 

 その景色を見て無意識に出た言葉はそんな言葉だった。

 そこはまるで、楽園の様だった。

 辺り一帯に何十、何百という桜の木が植えてあり、その全てが満開だった。

 そして、その一本一本が風に揺られ桜の花びらが舞っている。

 その中でも一際目立つのは中央にある桜だ。

 その桜は他と比べても明らかに大きく一体何年、いや、何百年前からあるのか想像もつかない。

 でもだからこそ、その桜は他の桜よりも綺麗だった。

 向こうはいつも暗く分からなかったが今は夜だったらしく、月の明かりに照らされてとても神秘的だった。

 

 

 その桜を見てなにも言えなくなっている俺を見て、笑みを浮かべる焔と心、桃花を見て俺はやっと我にかえる。

 

「どお?凄いでしょ?」

「あぁ、これは凄いよ。それしか言えない」

「そうでしょう。この桜はね千年くらい前に植えられた桜の木らしいの」

「千年も前!?」

「うん。しかもこの辺りはいくつもある地獄の中で唯一、閻魔や神様からの干渉を受けないの」

「干渉を受けない?」

「そう。この場所では私達閻魔や神様は力を使うことができないのよ。それもあってどの地獄も無干渉を決めてる。

 それと、この場所の近くには村があってね。その町の桜の木と、こっちのあの大きい桜の木は繋がっているって言われてるの。

 だからその町でも力が使えなくて、そこでは町の人達がリーダーを決めて、自分達でルールを作って暮らしてるってわけ」

 

 そんな町があるのか。あるなら、いつか行ってみたいと思った。

 

「それより、早く行こ。皆待ってるから」

 

 そう言って中央の桜の木を指差す焔。

 そこにはたくさんの鬼や、いつの間に行っていたのか心や桃花がいた。

 

「あぁ、そうだな。せっかくの宴会なんだもんな」

「そうでしょ。行こ」

 

 そう言って俺の手を引く焔について行く。

 

 

 そのときの焔の顔は、とても嬉しそうだった。

 その顔を見ると何故か悲しくなってしまうけど、

 でも、

 今この時だけはそんな事を忘れて、こいつらと笑い合いながら、楽しんでも良いよな。

 

 

 な?ホムラ。




登場人物の服装とか見た目について書いてなかったので、ここで書いときます。

深星 空
容姿
少し短めの黒髪・黒い瞳
黒い和服を着ていて、その上に黒いパーカーみたいなものを羽織っている感じです。


容姿
腰まで届くくらい長い白髪・紅い瞳
仕事の時は巫女の様な服。
仕事じゃない時は緋色の和服で、下がミニスカートです。


容姿
少し長めの黒髪・黒い瞳
仕事の時は眼鏡を掛けている。
服装は『文豪ストレイドッグス』の福沢諭吉に似ています。
……と言うかほぼ一緒。

桃花
容姿
首より少し長いくらいの桃色の髪・桃色の瞳
頭に二本小さいツノが生えている。
服装は桃色の和服に、下がミニスカート。

こんな所で今更すみません。
あくまで参考程度にしてもらえれば嬉しいです。
もっと文才が欲しいです。真面目に。

これからも書いていこうと思うので、よろしくお願いします。
ではまた次回です!

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