さと咲×京太郎ファンの人はごめんなさい
『咲、急に呼び出してどうしたの?』
『あ、お姉ちゃん、えっとね・・・』
『?顔を真っ赤にしてどうしたの?もしかして熱でもあるの?』
『ね、熱なんてないよ!?今日は、その・・・お姉ちゃんに合わせたい人が居てね』
『初めまして照さん、いえ、照義姉さん!!』
『!?』
『も、もう!?いきなりお姉ちゃんに何言ってるの!?』
『だ、だってな、将来的には、その・・・義理のお姉さんになるわけだし』
『ま、まだ早すぎるよ!!・・・嬉しいけど』
『さ、咲、あの、この子は一体誰』
『ほ、ほらお姉ちゃんが戸惑ってるでしょ、ごめんねお姉ちゃん、実はこの人をお姉ちゃんに合わせたかったんだ
わ、私の彼氏の・・・』
ガシャン!!←目覚まし時計が粉砕した音
・・・・・・・・・
「・・・・ひどい夢を見た」
宮永照17歳、人生でもっとも最低最悪な夢を見るのであった
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「咲に彼氏ができたらどうしよう」
「頭でも打ったのかお前は」
白糸台の昼休みの最中、目にクマを作った照の突然の発言に、菫は紙パックに突き刺したストローを口から離して呆れるのだった
「咲も今年で16歳、もしかしたら誰か気になる男の子ができるかもしれない」
「いや白糸台は女子高だから男子との出会いが他の高校に比べて低い、そうなる可能性は低いだろ」
「咲は可愛いし家事は完璧だし、性格もパーフェクト、その気になれば彼氏なんてすぐにできるかもしれない」
「おい無視か?私の意見は無視か?」
「けど咲に彼氏ができたらどうなる?今まで咲の優先順位の第一位がお姉ちゃんだったのに、その座を彼氏に奪われるだけじゃなくて咲の手料理も、咲の甘えも彼氏に奪われるかもしれない、もしそうなったら私はどうしたらいいの」
「知らん」
照がいつも以上のシスコンモードに入っているために菫は話についていこうとは考えずにさっさと昼食を食べ終えようとしたが、菫の冷たい反応に照は頬を膨らませながら不機嫌そうな顔を浮かべるのだった
「菫、私の話聞いてた」
「お前こそ私の話をきちんと聞け、第一恋愛は咲の自由だろ、姉であるお前がいちいち詮索してたら咲もいい迷惑だ」
「別に私も咲が誰とも付き合わせないなんて言ってない、でもあの子は少し騙されやすいから悪い男の人に引っかかって、それで・・・・あわわ」
変な方向に考えたのか照は顔を真っ青にしながら震え、菫はそんな照に呆れながらも照なりに妹をただ心配しているだけであるのもわかるので、仕方なくアドバイスを送るのだった
「だったら咲に直接恋愛に興味があるのか、あるならあるでどんな人がタイプなのか聞いてみたらどうだ?私たちも、一応女子高生なんだからそんな話題を出してもおかしくはないだろ」
もっとも自分たちはそんな話題はこの三年間一度もしたことがないのだが、咲相手ならこんな話題を出しても変とは思わずに、恥ずかしがりながら答えるだろうと思いながら言ったのだが
「それだ」
照は照魔鏡を発動するときと同じ目で何かを思いつき、菫は照の反応から少し不安に思うのだった
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放課後
「チキチキ、第一回白糸台麻雀部恋バナ会、開始ーわードンドン、パフパフ」
「おいちょっと待て」
チーム虎姫のメンバーを集めて恋バナ大会を宣言した照に菫はチョップをして黙らせた後に照に詰め寄るのだった
「なんで私たちを巻き込もうとしているんだお前は」
菫は怒った顔で照にそう叱りつけて咲たち他のチーム虎姫メンバーは照の奇行と菫の様子に一体何があったんだと気になったが照はキョトンとして首を傾げると
「だって菫が恋バナしろって言ったでしょ?」
「私は別に恋バナをしろとは・・・」
「えー、菫ってもしかして私たちと恋バナしたかったんだ」
照の発言に菫は正しく伝えようとしたが、その前に淡が照の発言を真に受け、菫はこの流れにしまったと思ったが、少し判断が遅かった
「ち、違う、私は」
「恋バナですか・・・私は、その、そんなに多くは語れませんが、頑張ります」
「渋谷、ちょっと待ってくれ私の話を」
「弘世先輩から恋バナだなんてちょっと意外です」
「だから私の話を」
「サキー、サキってどんな人が好み?」
「えぇ!?急にそんな事言われても」
「私の話を最後まで聞けーーーー!!!!????」
・・・意外とノリのいいメンバーたちに菫は思わず叫ぶのだった
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「なんだーそんな事かー」
菫と照の説明を受けて淡は菫ってあんまり恋愛に興味なさそうだしねーとケラケラ笑い、菫はそんな淡にシャープシュートでもしかねないほどの鋭い眼光で睨み付け、咲はお姉ちゃんがご迷惑をかけてすみませんとペコペコと謝っていた
「それじゃあ早速恋バナをしよっか」
「お姉ちゃんは少しは空気を読んで!!」
照のマイペースにさすがの咲も怒ったのか厳しめな口調で照を注意すると照はガーンとわざとらしく効果音をならしてシクシクと淡に抱き着きながら淡はよしよしと照の頭を撫でるのだった
「ま、まあ偶には麻雀以外のこともするのもいい息抜きになりますからね」
さすがに見かねた誠子はすぐさまフォローを入れたが、それだけ恋バナをしなければならない流れのため菫はギロリと誠子を睨み付けたのでヒィっと情けない悲鳴を上げた
「けど恋バナかー、中学時代に男子と少し話しただけでこれと言ってないなー、タカミーは?」
「私は、その、男の人は少し苦手だから」
「タカミーらしいね、サキは、あーでもサキもタカミーと同じか」
淡は咲も尭深と同様に親しい男性はいないと思ったのだが、咲はあーっと少し困った風にしていると
「その、長野に居た時に親しかった男の子はいたかな」
(ガタ!!)
「落ち着け照」
まさか咲に親しい男性が居たことに照は思わず立ち上がろうとしたが、菫に肩をつかまされて座らされ、淡はえーっと驚きの声を上げた
「サキに親しい男子が居るって意外」
「あはは、といっても中学三年間たまたま同じクラスになっただけで私以外にも親しい人が多かったからね京ちゃん」
「京ちゃん・・・だと」
「照、今日のお前は面倒だから無視していいか」
その男性とは照が思った以上に親密な関係に照が反応し、菫はもういちいち照を止めるのも疲れてきたので無視と決め込んだ
「さ、咲、その男の子ってもしかしてどこか生真面目でまっすぐな感じの男の子じゃなかった!!」
「え?うーん、生真面目とは少し違うけど運動部のキャプテンをやってたから責任感は強いかな」
照の食いつきように咲は戸惑いながらもそう答え、その答えに照はホッとしたが
「よかったそれじゃあ正夢にはならないか」
「けどサキがちゃん付けで呼ぶぐらい親しいならサキ自身は少しは気が合ったんじゃない?」
その淡の余計な一言で照はまたシスコンスイッチを押されて鋭い目をしたが、咲はすぐにないないと手を横に振り
「そんなことはないよ、確かにクラスの人から仲が良くてからかわれた時はあるけど京ちゃんの好みは私じゃないし・・・」
咲はどこか遠い目をしながら両手で自分のその慎ましい胸を包み込むようにし、自傷気味に笑うと
「だって京ちゃん、おもちの大きな子が好みって私の前でハッキリ言ったもん」
その咲の告白に淡はは?っと首を傾げ、菫は手で顔を覆い、誠子はそういわれた咲の気持ちが理解できるので涙目になり、尭深は恥ずかしそうに顔を赤くし、そして照は
「菫、少しの間長野に行ってくる」
「待て、お前は何をするつもりだ」
咲のおもちが小さいことを安易に告げて傷付けた事と、そんなにおもちが大きいやつがいいのかというおもちが小さい人ならではの嫉妬で暴走している照を菫が羽交い絞めにして止めるのだった
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・・・後日
「・・・お姉ちゃんに彼氏ができたらどうしよう」
「ふぇ?」
昨日の会話のせいで照に彼氏ができた夢を見てしまった咲は目にクマを作りながらそう淡に話しかける姿が見られた・・・やはり姉妹だと同じ状況になれば同じ考えに至り、そして第二回恋バナ大会がすぐに開かれるのを淡はこの時は知る由もなかった
『人物紹介』
『宮永咲の幼馴染』京ちゃん
咲の中学三年間の友人であり、咲が麻雀関連以外で仲のいい唯一の異性
お互いに仲が良かったからからかわれたりもしたが彼自身はおもちが大きい子が好みであり咲もこの発言で京ちゃんを気になる相手としてみることはなくなった
咲と同じ中学に居ながら咲の麻雀については疎かったため咲がインターミドルチャンピオンだったことに気づいておらず、大会に出て優勝したと聞いても小さな大会だと思っていた
なお現在は長野の清澄高校の麻雀部に所属
『照の夢の中で出てきた人物』咲の彼氏
照が夢の中で紹介された咲の彼氏(仮)
真面目で一途な少年で咲のことを心の底から愛している模様(照談)
なお実際に存在するかどうかは定かではない
『咲の夢の中で出てきた人物』照の彼氏
咲が夢の中で紹介された照の彼氏(仮)
物腰が柔らかく、優しい好青年といった感じの彼氏で、しかも趣味はお菓子作り(咲談)
見たこともない人物であるが照を射止める要素(お菓子)が備わっているため実際に現れたら照がとられると危惧している模様