宮永咲の白糸台生活   作:タマアザラシ

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宮永姉妹と淡が好きだけど、一番好きな高校は宮守だったりする


宮永姉妹と姉帯豊音

本日の全国大会一回戦の観戦が終わり、宮永咲と照は寮に住む菫たちと別れて帰路についていた(さすがに学校から家までの道はわかっている・・・あくまで学校に戻ってからだが

 

そんな中照の携帯に両親からのメールが届き今晩は遅くなるから晩御飯は自分たちの分はいらないという内容だった

 

そこで照は久しぶりに二人で外のお店で食べに行こうと咲に提案し、咲もせっかくだからそうしようと近くのファミレスによるのだった

 

姉妹仲良く何を食べようかとお互いにメニューを見合い、そして注文したのだが

 

咲と照の隣の席に背がものすごく高い・・・体型からして女性が、咲と照を食い入るように見ていたことに気づいたのだ

 

((・・・見られてる、超見られてる))

 

最初は自分たちの勘違いだと思っていたのだが、ちらっと隣を見るとジーっと見ていることから勘違いではないことに気づき、咲と照は蛇ににらまれた蛙の如く固まるのだった

 

(・・・お姉ちゃん、知り合いじゃないの?)

 

(ううん、私にあんな大きなお友達はいない、咲じゃないの?)

 

(私は東京に来てそんなに立ってないからそんな知り合いできないよ・・・それに淡ちゃん以外の学校の友達も少ないし)

 

(・・・それを言うなら私もだよ)

 

お互いに自分の友達の少なさに気分を沈めながら、隣の女性がいったい誰なのか気が気でなかった

 

・・・まあ普通に考えれば咲と照は麻雀界では有名になりつつある二人なのだからただの二人のファンの可能性が高いが・・・自己評価が意外と低い二人と相手のまるで蛇のような赤い目の影響でその考えには至らなかったのだ

 

すると長身の女性はゆっくりと立ち上がって二人に向き合い、咲はそのあまりの高さに怯え、照は震えながらも咲を守るように構えた

 

「あのー、宮永照さんと宮永咲さんですよね」

 

「そ、そうだけど、私たちに何の用?」

 

照は震えた声で尋ねると、女性はニヤリと笑みを浮かべて懐から何かを取り出すしぐさをし、照はより一層警戒したが

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファンです!!よかったらサインください!!」

 

「「・・・・・え?」」

 

取り出された色紙に照と咲は思わずポカンとし、長身の女性は二人の反応に首を傾げるのだった

 

_____

 

「え?姉帯さんって最近人と打ち始めたんですか?」

 

「そーだよー、今まではテレビで見て勉強してただけで、友達と打つようになったのはここ一年かなー。あ、それと私の事は豊音でいいよー?」

 

「それで団体戦の大将を任されたんだから豊音には才能があったんだね」

 

「えへへチャンピオンにそう言われるとちょー嬉しいよー」

 

長身の女性・・・岩手県団体戦代表の宮守女子高校の大将を務めている姉帯豊音からサインをお願いされた照と咲は最初は戸惑いながらも豊音の人懐っこい雰囲気からすっかりなじみ、サインを書いた後お互いについて話を盛り上げていた

 

なお、なぜ豊音が東京のファミレスに居るのかというとチームメイトで夕食を食べに行くつもりが一人はなかなか部屋から出てこず、二人はその人を無理やり引っ張りだそうしており、一人は来る前に会場に忘れ物をしたのを思い出して取りに行き、そして豊音は一番目立つからとファミレスでチームメイトが来るのをまっていたのだ

 

「宮永さんたちはどうしてファミレスに?」

 

「私と咲は両親の帰りが遅いから久しぶりに外食しようって私が提案したんだ」

 

「そーなんだ、姉妹で外食なんてちょー仲良しなんだー」

 

姉妹仲の良さに豊音が羨ましそうに語り、照はそうだろそうだろっと自慢げに胸を張るのだった

 

「私は一人っ子だから宮永さんたちを見てるとちょー羨ましいよー」

 

「咲は世界で唯一の私の妹だからあげないよ」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「あはは~咲ちゃんが妹だったら私もちょー嬉しいよー」

 

「豊音さん!?それお姉ちゃんには火に油を注ぐ行為ですから!?」

 

天然二人に若干振り回されつつある咲は二人の会話にツッコミを入れつつもふとあることを思った

 

・・・白糸台と宮守、反対のブロック同士とはいえもしかしたら対戦するかもしれない可能性があるのだ、そんな相手とこんなに仲良く会話を楽しんでいいものかと考えてしまったのだ

 

「?どうした咲?」

 

そんな咲の戸惑いにも似た雰囲気を姉の照は敏感に感じ取り尋ねると、咲は戸惑いながら自分の先ほどの考えを照と豊音に尋ねると

 

「私は別に構わないと思うよ?対戦相手だからといって試合外でも気にするのもおかしい話だし、咲だって憩と仲が良いでしょ?」

 

それにプロだと違うチームの選手同士でも仲がいいって話もよく聞くし、と照は付け加えて答えた。確かに咲も団体戦で戦う予定の憩や今日出会った怜とも仲が良い関係にはなったが、それでも二人には対抗心という物が感じ取れた、しかし豊音にはそのような対抗心というものが感じられなかったのだ、なので咲は豊音はこんなに仲良くしてると対戦した時には戦いにくいのではと豊音に尋ねたが

 

「私もー照さんと同じかなー」

 

豊音も照と同じ考えなのか同意した

 

「私の場合はみんなと全国大会っていうお祭りにでて楽しむのが目的だからー、全国で出会った人たちと仲良くなるのも私もちょー嬉しいかなー?」

 

そうニコニコと笑う豊音の様子にもし対戦することになっても問題なく、むしろ楽しんで試合を行うであろう雰囲気に当てられた咲は自分の考え過ぎかなっと思い、そうですかとやっと固い雰囲気を解くのだった

 

 

 

 

 

 

「だからみんなとのお祭りを一日でも長く楽しむために誰が相手でも絶対に負けられないよー」

 

そうニコニコと答えた豊音だが、咲と照はその豊音の言葉の裏に隠された意味に気づき、そして顔とは正反対の、おそらく本人は自覚していないであろう負けられないという強い気配をビリっと感じ取ったのだ

 

・・・咲と照は知らないが、豊音にとって『友達』とは自分のこれまでの生涯の中でできた掛け替えのない宝物なのだ、その友達と最初で最後の全国大会(大きなお祭り)を一日でも長く楽しむためにも絶対に負けられない強い気持ちがあったのだ

 

・・・最も本人が口にした全国で出会った人たちと仲良くしたいという気持ちは全く嘘ではないのだが

 

「豊音ー」

 

「あ、みんなーこっちだよー」

 

豊音は思わず警戒してしまった二人に気づくことなく自分を呼ぶ声が聞こえ、豊音は入口の方を見るとそこには豊音以外の宮守の選手である小瀬川白望、エイスリン・ウィッシュアート、鹿倉胡桃、臼沢塞がおり、豊音のもとに駆け寄ると、咲と照の姿を見た瞬間驚きの顔を浮かべるのだった

 

「ってちゃちゃちゃチャンピオン!?なんでチャンピオンがこんなところに居るわけ!?」

 

「えへへ偶然お隣さんになったのー」

 

「偶然って!?」

 

宮守の部長である塞は豊音になんで照たちが居るのかを問い詰めたが、豊音はサインもらったよーとチームメイトに見せながらのほほんとした雰囲気を出しており、驚いていた塞は思わず脱力するのだった

 

_______

 

「なるほどそんなことがあったんですね、あの、せっかくの食事にうちの部員がご迷惑ではなかったでしょうか?」

 

「ぜんぜん、むしろ豊音とお話しできて楽しかった」

 

一通り咲たちから話を聞いた塞は二人に迷惑ではなかったのかと心配したが、咲も照も気にしていないため、ホッと胸を撫でおろすのだった

 

「シロ遅かったねー」

 

「・・・ダル」

 

「コラ!!シロがめんどくさがってたから遅れたんだよ!!」

 

(ブンブン!!)

 

「エイスリン、だるいから叩かないで・・・けど、豊音、待たせてごめん」

 

「んーん、全然気にしてないよー」

 

そんな部長の気疲れも気にせずに豊音たちは仲良く会話をしており、塞も苦笑いを浮かべているかほほえましく見ており、咲は改めて宮守というチームは仲が良いなと実感した

 

すると豊音はチームメイトと一通り会話をした後に咲と照のもとに行くと少しモジモジしていた

 

「あ、あの照さんと咲さん」

 

「どうしたの?」

 

「よ、よかったら二人とも私たちと一緒にご飯食べよー」

 

そういえばご飯をまだ食べていないことに気づいた咲はどうしようかと思ったが、照は真顔のまま

 

「?なんで?」

 

その照の答えに豊音は拒否されたと思いガーンっとショックを受けて涙目になり、白望は豊音の頭を撫でて胡桃とエイスリンは豊音を泣かせるなーと怒った顔を浮かべたが

 

 

 

 

 

 

 

「もう豊音とは友達なんだから一緒に食べるのは当たり前でしょ?」

 

その照の言葉に豊音たちはキョトンとして咲は照の言葉足らずに呆れてため息をつきながらも、照と同じ気持ちだった

 

「豊音さん、私もお姉ちゃんももっと豊音さんたちの事を知りたいので・・・一緒にご飯を食べませんか」

 

まさか咲たちからお誘いが来るとは思っても居なかった豊音は驚いた顔を浮かべた後に涙をこぼした・・・ただしその涙は新しい『友達』ができた事への嬉し涙だった

 

 

 

 

 

 

 

 

「お友達が増えてちょー嬉しいよー」

 

その晩、咲と照は今日で来た新しい友人たちと共に楽しい夕食の時間を過ごすのだった

 


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