異世界で変身して、異界の英雄達に変身する小説(仮) 作:るおー
彼は普通の少年だった。
極々平均的な平凡的な家庭に生まれ育った。
英雄に憧れたり、心を許した仲間と駄弁ったり、時には可愛い女の子に目を引かれたり。
それなりに日常を楽しみ、食べ、寝て、また毎日を楽しむ。
極々平凡、いつか来る明日を楽しみにする少年だった。
そんな彼は”いつか来る明日”が絶対だと無意識に信じていた。
夜、明日に寄せる期待を眠気に変えて、布団に入る彼にはそれ完全だったのだ。
彼にはそれを信じる以外なかった。
いや寧ろ、それ以外の事を頑なに信じようとせず、”いつか来る明日”が終わるという事実から目を背けていたのかもしれない。
いずれ来てしまうからこそ見たくなかったのだろうか。
今となっては分からない。
そんな彼が変わったのは齢15になったその日。
喉ぼとけがちょこっと出てきて、洒落っ気も出て色気付く、15才。
彼は自分が少しづつ大人に近づいている事に喜んだ。
仲間たちも彼がちょっぴり成長した事を心の底から素直に祝福した。
彼の誕生を祝った仲間たちと小さな宴をして無邪気に騒いだ。
その後、友達の持ち寄った料理やお菓子をテーブルに並べ、皆でテーブルを囲み、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、くだらない馬鹿話や宴会芸をしたり、翌日のお昼まで寝ずに思う存分楽しんだ。
彼らはいつまでも続いていた宴会にキリをつけ、それぞれの帰路についた。
少年は彼らの姿が地平線の先から見えなくなるまで大きく手を振った。
辺りは夕焼けの美しいオレンジ色に染まっていた。
夕焼けをてらてらと反射する茶色の髪を揺らしながら家まで走った。
そして夜になるまでに散らかった家内を片付けて、宴会の楽しかった思い出をゆっくりと噛み締めつつ、明日に向けて心地良い眠りについた。
そして気持ち良く起きたら、見慣れない場所に寝ていた。
その事実に彼は驚き、そして恐怖した。
恐怖に押し潰されそうな気持ちに耐えつつ体を起こした。
『ここはどこなのだ』
辺りを見渡せば、青い草がサラサラと風になびき、空は晴天そのもの。
木々の間からは小鳥たちの鳴き声が聞こえる。
彼の寝ていた場所は爽やかな雰囲気の森林地帯だった。
視界から離れない深緑を見ながら少年は混乱し怯える。
怖がってるだけじゃ何もできないので、未だに眠気が頭離れない彼は一先ず夢か確かめるため、ほっぺをつねる事にした。
痛い。本物だ。
少年は少しの戸惑いを頭の片隅に置きつつ、この場所に居る、はたまた来てしまった目的は何なのか考えた。色々な考察が頭をよぎったが、肝心な事は分からなかった。彼はあまり考える事は得意じゃない。
考え疲れてしまった頭を休ませるために深呼吸をする。
森林の澄んだ空気が鼻を突き抜けた。
少し頭の冷えた彼は思った。
『このまま何もしなかったら朝食が食べられない』
と。
少年は森を出れば朝食にありつけるかもと思い、自らが寝ていた場所を立ち去った。
行動に移した時には鬱陶しかった眠気はどこかに消えてた
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