素直クールヒロインとツンデレ主人公モノ   作:K@zuKY

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0話の文字数が極端に少ないです。

ふたばログより転載「素直クール」  
・冷静沈着で感情的になることはまずない  
・完全自立型
・表情が薄いあるいは無表情  
・ガチで愛してくれている一途  
・愛情表現がストレート  
・照れが少ないあるいはない  
・「素直」と「クール」の矛盾したアンバランス感が最高にいい

wikipediaより転載「ツンデレ」
・普段はツンと澄ました態度を取るが、ある条件下では特定の人物に対しデレデレといちゃつく
・好意を持った人物に対し、デレッとした態度を取らないように自らを律し、ツンとした態度で天邪鬼として接する
・時間経過による心境の変化が著しい

このいずれかを用いての恋愛話。砂糖マシマシで。


初日編
00:プロローグ


 日曜日の夕方四時。

 アルバイトを終えて寄り道せずに自宅の前につき、惰性で空っぽであろう郵便ポストに手を突っ込むと、意外な事に手触りを感じた。

 

「ん……? 珍しいな」

 

 3月半ばを過ぎた日に父さん宛の書類は来る筈が無い(大体1~8日に来るものだ)し、この時期に誰かからの手紙が来る事も基本的には無い。

 故の、言葉だった。

 ポストから引き抜いた手を引っ繰り返してみると、眼をパチパチと瞬かせる事になった。

 いや、どう見てもエアメール。初めてではないが、久しぶりに見たエアメールに、俺は戸惑いながらも、名前の欄にさっと眼を走らせると、そこには父さんではない名前が記載されていて、俺を更に戸惑わせる結果を出した。

 まぁ、有体に言えば幼馴染からの久しぶりの手紙だ。春夏秋冬の挨拶意外は全て電子メールなのに珍しい。

 

 幼馴染。

 幼少の頃限定、或いは幼少の頃から今に至るまで交流を深めていたり、家が隣近所だったりする場合に当て嵌まる言葉。

 残念ながら、幼馴染という存在は恋愛感情足りえないのが、現実の限界や垣根であり、その限界や垣根を取っ払った二次元においては、昔から好きだっただの、何処かでターニングポイントがあってそこからお付き合いする、という流れが基本にして王道になっている。しかも大体はメインヒロインとして存在するのだから、現実からすれば、そんな良いものではないとツッコミが入るだろう。

 現実的に考えると、疎遠になるか、惰性でズルズルと友人関係を結んだまま悪態やらからかいやらを遠慮無く言い合えるような仲でストップする方が多数派だ。極少数派で二次元属性を持つ者達が『実は昔から……』とはあるが、大抵は婚期を逃しかけて近場の異性で手を打つパターンと似たナニカで結ばれるものだ。

 現実とはかくも残酷なものである。

 

 閑話休題。

 

 家に入り、施錠した後、手を洗ってうがいをし、蒼のブレザーと同色のズボンを脱いでハンガーにかけ、勉強机に向かい、何時ものように座り、足を組んで手紙を開けた。

 

「2枚か……って何だコレ」

 

 前述した通り、俺にも幼馴染が居る。コレで居ないと断言してしまったら今までの説明が全て意味の無いものとなってしまう。

 二次元で代表されるツンデレや世話焼きな性格かと言われれば今は知らないが昔は違うタイプだったと首を横に振るし、では現実における性質なのかと問われれば、4年前から物理的に距離が遠くなったから判らないと首を捻らざるを得ない。

 そう思考している理由はこのエアメールが原因だ。流暢な英語で書かれている1ページ目、2ページ目には和訳した文章が綺麗な字で記載されている。

 両方とも筆跡が同じなので彼女が書いたようなのだが、どうにも引っ掛かって仕方が無い。彼女は日本語を嫌って英語でしか手紙を送ってきていなかったからだ。

 なので。

 その違和感をハッキリさせるべく、俺は音読する事にした。

 

「――伊佐美圭吾。今年から日本で留学をする事になった。また昔のように良好な関係を築きたい。詳しい事は後日、再会してから話す。宜しく頼む。クーラ・リン・マッカートニーより」

 

 ……どう考えても、英文と訳文に尋常ではない隔たりがある上に、何だこの日本語。高校二年目程度の知識で自分なりの訳を試しに書いてみると、そんなつっけんどんな文章にはどうしてもならないというのに。

 ちなみに、俺が意訳した場合はこうなる。

 

 親愛なる伊佐美圭吾様。

 新年の挨拶と一緒に送る事をお許し下さい。

 今年から私は須川第2高校へ留学する事になりました。貴方と同じクラスになれれば良いなと願っております。

 色々伝えたい事があるのですが、私自身の口から言うべき事ばかりですので、会って伝えようと思います。

 またあの頃のように気軽に話せたら良い……どうかな?

 クーラ・リン・マッカートニーより。

 

 追伸1 6年前に貴方が住んでいた隣の家はまだ空き家で残っていますよ。懐かしいものです。

 追伸2 現在の私の写真を送ります。

 

 最後砕けていたりするのは、迷い筆をしたような形跡があったのと、全体的に訳し方がおかしいのは俺の語学力がないからとして。

 どう考えてもこの差は何だと困惑せざるを得ないわけで。特にps部分に一切触れていないのはどうなんだオイ。

 それともう一つ、困った事がある。

 ペラリと2枚目を捲ると、裏に写真が張り付いていた。

 成る程、これが現在の彼女か。

 6年経てば別人にもなるのは当然として。

 

「……何ぞこの絶世系」

 

 金髪蒼眼のやや幼さを残す童顔でありながら、眼力が強く、クールというよりは冷厳とかそういうイメージを持たれそうな相貌。

 日本人がイメージする欧米人らしい足の長さに、欧米人でも此処まであんのは珍しい乳のでかさやら腰周りの肉の無さというか割れた腹筋というか。

 少なくとも、ちんちくりんで良く怒り、良く笑い、良く泣いていた子供と同一人物だといわれても「欧米人の成長期は凄いな」としか感想がもてない位には、変貌していた。もはやメタモルフォーゼである。

 実際はイングランドと日本人のハーフなのだが、そこはどうでも良い……いや、半分がアングロ・サクソン人だからこそ、この顔にこの身体なのか?良く判らんが、何となく今、良いトコ取りという言葉が脳裏を掠めた。

 幼馴染属性で絶世系外国人とはまたエロゲっぽいと言われるのかね、俺が、と思いながら、写真を見ている内に、違和感が出てきた。

 

「――あぁ、笑ってないからか」

 

 写真を撮ったにしては、笑顔が無く、むしろ二重と切れ長の双眸が涼やかさ以上冷ややか未満な雰囲気を演出している、コレが気になる点だった。

 殺気めいたまでは言わないが、何ぞコレ、嫌々撮ったのか?だとしてもそれを送るってのは何なんだ?

 

「聞けば判るか」

 

 何時来るかなんて判らんし、正直昔の自分と今の自分が写真の彼女以上に違い過ぎて――主に内面が――会いたくないのが、本音だ。

 昏くなる心を持ち上げる事をせず、ただ写真を見て溜息をつく。どうか触れないで欲しいと思うのは俺の勝手だが、絶対に無理だろう。聞かれる事は間違いない。

 そうして俺は、それ以上の興味が沸く事無く、無造作に手紙をピンで勉強机のスケジュール欄の片隅に留め、意識を切り替える為に黒縁の眼鏡をかけた。勿論、勉強する為だ。

 まぁ、思えば。

 この手紙が俺の平穏をぶち壊す回避不能なフラグだったわけで。

 察知出来る程度に鈍感さ、或いは朴念仁ぽさが消失していたとしても、きっとコレは防げなかった。

 多分、10年前以前に戻って父さんと共に海外に行かず、母さんの実家に引き取って貰うという選択肢を取らない限りは。

 或いは、6年前に俺がとある約束をしなければ。

 過去に戻れない以上、意味が無い仮定である。




大事な事を書き忘れてました。
素直クールでエロパロPART15 レス番号148氏に捧ぐ

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