MAD111 世紀末総支配人伝説 怒りのヌカ・ワールド   作:溶けない氷

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ウェイストランドで生きていたかったら
めちゃくちゃ(MAD)イかれてるか、めちゃくちゃタフか
あるいは両方でないと

日本人が異世界転移すると?
レイダーに女は子産み女として売られ、男は輸血袋としてスティムパック製造機にされます
主食は焼いたゴキブリ、飲み物はコップ一杯の水が3日に一度
理性も倫理観も無くした人間はどんなモンスターよりも恐ろしい




めちゃくちゃイかれてる

イタリカから砦、総支配人が築いたThe Fortへと移された薔薇騎士団女性陣は今の所は総支配人専用の女として彼から与えられた世話係の女奴隷とMsナニーをあてがわれていた。

この世界に来た時に見つけたちょうどいい場所にあった、砦は今や武器弾薬、奴隷、食料、薬(マトモでもマトモでないのも)そして当然ヌカコーラを生産しトレードする中心地となっていた。

その意味ではアルヌス駐屯地と似ているかもしれない。

違いは、自衛隊が門を厳重に守っていたのとは対照的にレイダーは放りっぱなしで誰ももう気にしてやいないといない。

イベントで一度行ったらもう行かないロケーションってあるよね。

元々、いい場所があればイナゴみたいに移動する連中なのだ。

 

人類史において、一般的に鞭打たれる奴隷というのは多く存在したがそれらは奴隷の中でも最底辺の使い捨て可能な者であって大切にされたものもいる。

といっても、それは羊飼いが羊を全力で守り、蚕農家が蚕を自分よりも優先するのと同じ理屈である。

子産み女にされたピニャやハミルトンは現代人の感覚で言えばとても高価なサラブレッド牝馬に匹敵する。

アホなレイダーが触れようとしただけで総支配人に頭ねじ切ってオモチャにされることは必定であったし、現に2、三人そうなった。

 

最初の時は総支配人に種付される前に

『ま、待て。父上が私とハミルトンの分の身代金を払ってくださる。

女奴隷が千人は買えるぞ、悪くはあるまい』

 

『悪くない話だ、だが断る。

タフなウェイストランドのレイダーは欲しいものは奪う!取引などしない!』

 

『や!やめろ!ハミルトン逃げろ!』

 

『せ、せめて初めてなので痛くしないで!』

(二人同時に押し倒されて、ビリビリという音の後にベッドで子作り)

どうやら総支配人はファーハーバーの霧を吸い込みすぎたせいでおかしくなったらしい。

世紀末世界なのでむしろ普通になったと言うべきか。

“アメリカ独立宣言”の起草者で第3代大統領のジェファーソンも女奴隷を子産み女として使っていたのだから問題ないだろ。

別に高貴な身分の女性が捕虜になって征服者の子供を産むというのは帝国でも珍しい話ではないが、まさかピニャも自分がそうなるとは思っていなかった。

「う、グスッ。ひ、ひどい。初めてだったのに」

「い、痛いです。ヒリヒリします」

 

「メソメソしやがって。たかが2、3回犯されたくらい気にするな。

心配するな、二人とも着床したのを確認したからもう必要は無い」

「い、いやだ。お前の子供なぞ、産みたくない!」

総支配人は口元を歪ませて世間知らずのお姫様をあざ笑う。

『いいや、選択肢なんてこの世には最初からないのさ』

子供が芽吹いたからもう犯す必要は無いと言う理論、薔薇騎士団の女騎士にはありがたいがこれは酷い世紀末倫理。

その後はボーゼスが

『姫様を・・・放せ!この外道が!叩き切ってくれる!』

だが、いくら修練を積もうとも殺戮と狂気が日常の一部の荒野の支配者に敵うはずがない。

たちまち叩きのめされて、その場で”くっ殺”展開である。

ゾルザル皇子のように詳しく描写するとR18に引っかかってしまう恐れがあるのでカットされてしまった。

”本当に申し訳ない”(棒

『面白いやつだ。気に入った、俺を倒せたら全員解放してやろう。

制限はないから回復したらかかってこい』

とベッドに横たわるボーゼスに吐き掛けるが、妊婦に剣を持ってかかってこいとは中々の外道っぷりである。

 

イタリカを征服し、とどまるところを知らないヌカコーラ社の躍進。

コーラを売ることから始まって、テーマパーク経営、兵器開発、異世界侵略と多種多調な事業を展開しております。

 

・・・・・・・・・・・・・

帝都の悪所は元々、荒んだ場所だったが

ヌカワールドのレイダーが進出してきたことによって

今までの状況がお上品で生ぬるい、核戦争後の世紀末世界のような有様を晒すことになった。

地面から伸びたポールに何人か突き刺さっていたり、街頭から吊り下げられた檻に死体が入っていたりするという実にレイダーアート蔓延る世紀末な街角。

そのほかにも街角にはどこからか持ってきた鉄材と木材でバリケードが築かれ、

常に炎がパイプの先から吹き上がり、鉄材で作られた総支配人を象徴するヌカワールドの鉄のエンブレムが真っ赤に焼かれて輝いている。

この街のあちこちから持ってこられた廃材で工夫を凝らした市街戦の要塞が築かれる結果となった。

人目を最も引き付けるのは、ヌカコーラのエンブレムを崇拝するカルトと化したレイダーの不気味な集会所だろう。

核爆弾とV8エンジン、ヌカコーラクアンタムの三位一体が祭壇に並べられた様は正に世紀末。

『これこそが総支配人様が地上に起こした奇跡の象徴!

V8を讃えよ!この咆哮によりて悪しきものをことごとく新鮮な屍肉とし、ソールズベリーステーキにすべし!』

『V8!!V8!!V8!!V8!!V8!!』

失われた技術で作られた核兵器や核動力をご神体と崇めるアトム教クアンタム派の出来上がりであった。

カルト宗教と世紀末はお約束の親和度を持つ。

 

今も銃眼からは機関銃が街路に狙いをつけ、地雷が植えられ、クレーンから釣り下がったウォークライヤーがドラム缶のドラムを鳴らしながらむせ返るような炎の中演奏している。

なぜ、そこら中に火炎放射器が設置されているのか?

なぜ、昼も夜もスピーカーから凶暴なロックンロールが鳴り響くのか?

世紀末だからだ。

今日も今日とて悪所の覇権をかけてカチコミをかけてきた地元の野生動物と新顔のアニマル達の縄張り争いが始まる。

『ウォーボーイズ!侵入者だ!殺せ!栄光ある戦いに生きて!死んで!俺たちは蘇る!』

狂ったようにドラムを打ち鳴らし、戦闘員を鼓舞する様は背景で常に炎と黒煙を吹き上げるパイプの存在もあってまるで地獄だ。

今では使う人間も少ないが、太鼓は世紀末世界ではれっきとした情報伝達手段である。

携帯電話などという便利な物が消滅すると、18世紀以前の技術も復活した。

なので世紀末のヒャッハーがやたら騒がしいのは・・・多分関係ない。

『やったぁ!新しい頭が手に入るわ!』

とバットを持って女レイダーが飛び出してくると、地元のギャングのワーウルフに襲いかかる。

色とりどりのぬいぐるみ付きアーマーに身を包んだパックスは陽気なレイダーだが、極めて残忍に陽気である。

『めちゃくちゃ腹減ったぁ!久しぶりに新鮮な肉が食えるな!』

 

『いい毛皮だな!俺のブーツにぴったりだ!』

なぜ帝都中の地元のギャングに憎まれているのかさっぱりわからない。

レイダー流に普通に襲って、皆殺しにして帝都の悪所でも流通の便がいいところを独占しただけなのに。

最初、新しいギャング団であるヌカレイダーが進出してきた時には、地元の野生のギャングと一悶着があった。

いつまでも総支配人に頼りきりではレイダーの名が廃ると、血まみれ大好きパックスのウォーボーイズは誰の許可も無くスワッターを持ち出して敵対してきたギャング団で野球をした。

今も根城にした建物には彼らの骨や皮で作った椅子やテーブル、壁紙が誇らしげに飾られている。

 

「いらっしゃい、いらっしゃい!入荷したての健康な奴隷が安いよ!

オスの輸血袋は一袋1000キャップから!子産み女は1万キャップから!

愛玩用の人間のオスと雌も揃ってるよ!」

 

人的資源という言葉があるが、世紀末世界では正に人はあらゆる意味で資源扱い。

愛玩動物扱いの奴隷が売られる分、余裕があり文明的な所は流石に総支配人の手下だろう。

 

言うまでもなく働くのはトレーダーという名の奴隷。

奴隷が奴隷を商う、人類史では普通。

こんな世紀末世界でも人間はたくましく生きていることを示す微笑ましい光景が悪所では見られた。

ファンタジー?知らない言葉ですね。

 

この悪所を支配するのはパックスのメイソン。

今も『ヒャッハー!』という観客の歓声とともに捕らえられた野生のギャングが持ち込まれた動物と金網デスマッチを繰り広げさせられている。

メイスン曰く、

「ここは砦より居心地がいい、人が多すぎるのが玉に瑕だが。

ボスは俺たちに文明的な生活をさせたいらしいが、これが文明なら悪くない」

これが(レイダー)文明なのか・・・・

 

考えても見て欲しい、ウェイストランドでは『いいえ、私は遠慮しておきます』死体ですら余さず有効活用されるのだ。

貴重な資源を非生産的なアートに無駄遣いできるだけ連邦は文明的な土地であり、そこの住人も余裕がある。


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