MAD111 世紀末総支配人伝説 怒りのヌカ・ワールド   作:溶けない氷

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ここで帝国・ヌカコーラ社・日本の最終的目標をわかりやすくしてみよう

帝国 日本・ヌカコーラ社をフォルマル大陸から追い出す(ゲート以前への状態復帰)

日本 帝国と和平して賠償金と地下資源を独占して大儲けしたい
レイダーは所詮盗賊団なのでアフリカの軍閥みたいに武装解除させりゃいいと思ってる。

ヌカコーラ社 総支配人以外の権威者は皆殺しにし、人類の再定義を妨げるものは殲滅する。

極限環境生物
 
放射能嵐吹き荒れるウェイストランドでも繁殖できる生物の総称
筆頭はウェイストランド人
総支配人など、中にはゴキブリすら即死する放射線を照射されても異常が無い個体も確認される。

「これはよくできた玩具だよ、もっと強力なの持ち込んでるに違いない!」
74式戦車について

モルト皇帝
「民主制は弱い。なぜなら個人が好き勝手に動いて効率的に動けないからだ」

総支配人
「民主制は弱い、なぜなら選挙を気にして1発の核兵器すら恐れるからだ。
民主制は恐ろしい、なぜなら怒った大衆ほど非理性的に勝利に貪欲な存在は無いからだ」

総支配人の考えでは核兵器を持つというのはアメリカ人が拳銃を持っているようなもの。
持てるのに持たないというのは家族を殺されても何もしない、情けない人間がいるということを認めるようなもので彼の今までの経験からすると認めがたい状態なのだ。

メタル・ギア・リバティ
メタルギアがあくまでも核抑止のために作られたのに対して
総支配人のメタルギア・リバティは反抗勢力を文字通り踏み潰し、焼き殺し、核兵器の威力を見せつけるために建造された。
「総支配人の意思という原動力を世界という機械に伝達する”金属の歯車”!メタルギアだ!」
逆らう汚物は消毒だぁ!
反乱分子は核レールガンで消毒だぁ!
「市民、自由は義務です!」
「民主主義を受け入れなさい!(核攻撃)」

石炭は採掘するたびに大勢の死人を出す危険な燃料だ
環境汚染物質を撒き散らし、大勢の死人を出す原始的で危険な燃料など
命の値段が紙より安い共産主義者には相応しいがアメリカには相応しくない。
化石燃料などという、酸化窒素や硫黄、鉛、水銀といった永遠に環境を汚染する
物質を撒き散らしながら常に爆発して動力になる危険な物質を使うのは野蛮なコミュニストくらいだ。
化石燃料などという前時代的で原始的なコミュニストの動力源などアメリカには相応しくない。

総支配人的にはウランを探すのは、日本人が異世界でも石油を求めるようなもの。
日本人が放射能物質は危険だ!と注意しても、それは「気化したガソリンに火をつけたら爆発するぞ!」と言うのと同じ。


原子力は日本人にとっては被爆国ということでデリケートな問題です。
一方で生まれた頃から核物質入りのヌカ・コーラを愛飲し核動力の車を買い、核動力のパワーアーマーで中国軍と戦い核発電の文明生活を送り、核動力のロボットに赤ん坊の世話を頼みコーヒーを入れてもらう総支配人にとって核動力は普通です。

1から5シーベルトで大抵の人間は死亡する。
最大の5シーベルトとするとγ線の場合みんなお馴染みのラド換算で500rad。
毎秒10ラドの普通の放射線嵐に遭遇した場合、防護服なしだと若くて健康な日本人でも1分以内に死亡する。
いかにウェイストランドが過酷な土地かお分かりにいただけるだろう。
2011年3月15日11:00に発表された福島第一原発3号機付近の「400ミリシーベルト毎時」
と言うのは火災を起こした原子炉のすぐ隣に一時間何の防護もなしに突っ立っていると0.4RADダメージを受けるということといえばわかりやすいだろう。


Bad Luck

伊丹が自衛隊空挺部隊の指揮官にイタリカの現況を報告した。

帝国軍・盗賊団・緑の怪異の軍隊・そして近代的山賊団。

自衛隊の選択肢は単純に言えば、戦うか・それとも戦わざるかに分かれる。

既に人員・機材に(高価なヘリも含めて)損害を出してしまっている上に相当量の武器弾薬を消費した今の現状では敵の士気を一気呵成に砕いて相手を敗走させられるかは疑問だ。

イタリカの現状は盗賊団を撃退するという当初の目的こそ達成したが、その結果はイタリカが中立(名目上、実質はヌカワールドの契約農場化)宣言を出したことによって達成できたと言える。

「・・・・・報告はわかった、これ以上の戦火の拡大は確かに望ましく無い。

だが、連中がこちらの撤退中に攻撃してこないという保証はあるのかね?」

後退が最も軍事行動の中で昔から難しい。

後退が追撃を受けて一気に敗走に転じたという事例は歴史上、ありふれている。

伊丹もそのところの疑問は尤もと思いつつ陣地の外側で警戒態勢に当たっている隊員の向こうを見ると今も初めての実戦に緊張し、あちらこちらへと銃口を向けながら立哨している様子が見えた。

すると向こう側から特地の言葉で突然よびかけが来た。

『二フォンのジェッタイに告げる、速やかにヒケ。さもないと、お前ら皆ゴロス。

選ぶ権利は無い』

と言うなり、どこからともなくロケットが飛んで来て立哨に当たっていた隊員のすぐ近くに着弾する。

『ウァァァッァァ!熱い!アズいィィィ』

土嚢の後ろに隠れていたにもかかわらず、ロケットの破片が土嚢を突き破り体のあちこちにめり込んだのだ。

のたうちまわる隊員を周辺の他の隊員が大急ぎで引きずって物陰に隠すが、早く出血を止めないと危ないのはわかっていた。

「クッソ!やむをえん、撤収だ!撤退!援護射撃しつつ後退しろ!」

 

自衛隊はイタリカの街からこのようにして撤退した。

結果から言えば、予期せぬ接敵によって損害を出したのみで何の戦果も得られるものではなかったとして後にマスコミに叩かれることになり内閣総辞職の原因になりかねないのだが・・・

 

そもそも、日本の帝国を存続させつつ和平を目指すという戦略は近代ならともかく中世では戦略として成り立ちえない。

どこの世界に戦える兵士がいる内に自国の運命を他者に握らせる君主がいるというのか・・・

この世界の常識では敗者となった支配者はもはや支配者ではいられない、なぜなら民衆も貴族も力のある方に従うから。

力こそが正義!の世界に異世界の日本の態度は単なる弱さとしか取られない。

日本の近代民主制国家は帝国の専制君主制を今ひとつ理解できていなかった。

その点では総支配人のヌカコーラ社の方が帝国に比較的近いかもしれない。

 

一方で総支配人も”ニフォン”との全面武力衝突を恐れていた。

特に彼らの科学技術の観点から核武装をしていることは間違いと思われ、偶発的戦闘が戦術核の報復、さらには戦略核兵器による全面核戦争に突入することを恐れていた。

実際には、日本は戦略どころか戦術核すら装備していなかった。

もし総支配人が日本のお粗末な火力を知っていたら苦笑しながらも、アルヌスへ問答無用で核ミサイルを先制して撃ち込み、不確定要素を抹殺していたろう。

このフォルマル大陸に総支配人以外の権威は存在してはならないのだ、ニフォンは危険すぎる。

世界とは最も適応できる種族が生き残る、自らが適応するために環境すら変える人間はその意味では最もしぶとい生命体だろう。

現に総支配人やウェイストランド人のように毎時4000RAD以上の放射線嵐にも耐える生物なら他にもいる。

そう、総支配人のように半年足らずでエンジニアから世紀末ヒャッハーな世界を支配する総支配人にジョブチェンジする柔軟性こそ人間が世界を支配する要となった要因なのだ。

二フォンは追い出されなければならない、帝国は滅ぼされなければならない。

別に憎いとか嫌いとかでは無い、むしろ帝国のやり方はレイダーのやり方と近い。

近親感すら持てる。

だから滅ぼさなければならない、大陸という一つのシマにレイダーグループが二つ以上あれば殺し合いになるのは目に見えている。

金貨を発行して経済を支配する皇帝とヌカコーラを通貨にしたい新参者の総支配人、シノギを取り合えば殺し合いになるのは当然の結末だ。

政治学の学位なんぞ無くても政治なんて難しいことはない、ゴッドファーザーを見ろ。

法学部の学位なんぞ無くても法律なんて簡単だ、銃が法律で裁判官が俺だ。

 

総支配人としては彼らがどの程度の威力の核兵器を持ち込んでいるかがはっきりするまでは核を使用するのは危険だと判断し、ミニニュークの起動スイッチをオフにした。

元々、威力過剰なミニニュークは使い勝手が悪い。

大破壊を起こしてコーンスターチの有力な契約栽培農場となりうるイタリカをこれ以上破壊してしまうことはこちらとしても避けたい。

コーンシロップから作られたヌカコーラは成分的には同じのはずだが、味が今ひとつ違うという評判があるが砂糖よりも安く大量に確保できるという利点があるので必要なのだ。

相手が大量に密集していたり、ヌカコーラ社のトラック並みの装甲を持っているならともかく人間相手に使うのは費用対策効果が悪すぎる。

ひ弱なグリーンランドの生物も同様だ。

大抵は安い7.62mmやロケットでケリがつく。

地球でも核砲弾が高い割に効果が低いとして開発中止になったから似たようなものだった。

たかがこの程度の威力の兵器を使うために異世界の軍隊と全面核戦争のリスクを犯すのは割りに合わない。

 

日本は危ないところで、3回目の核攻撃を回避したのだがこの時点では誰も知らない。

いくら日本が核を持っていないと主張したところで、科学技術があるこの状況で持っていないと言ったところで誰も信じないだろうが。

核爆弾はウランさえ濃縮できれば基本的な物はあまりにも簡単に作れる。


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