MAD111 世紀末総支配人伝説 怒りのヌカ・ワールド 作:溶けない氷
時間は少し経つ
自衛隊がなぜ門の向こう側の補給基地確保に時間をかけたか
近代の軍隊は膨大な量の補給を必要とする、それは銀座の門では本格的な補給を行うには不足だということ。
一方でヌカ・レイダーは?
補給?奪って食えを地でいく連中だ、その気になれば・・・というか普段から不思議な肉でも食べてるし。
そしてアルヌスの丘で自衛隊が諸王国連合軍を迎撃しようとしていた頃。
ずっと小規模ではあるがヌカ・レイダー軍と激突しようとしていた。
そしてヌカ・レイダーの先頭に立っているのは我らが総支配人の111。
彼がグリーンゲートと名付けた謎のVaultゲートから少し先の小さな砦をとりあえずの前哨基地として周辺の様子を探っていた。
久しぶりに嗅ぐ朝露に濡れた木々の匂いを吸い込みながらドッグミートと朝のお散歩・・・
ではないのは着込んだX-01とレーザーガトリングを見ればわかりますね。
「ボス、この先にある程度の町があるらしい。連中、その手前で待ち構えてるそうだ」
サイボーグ忍者ではない、ゲイジだ。
「いいだろう、連中に誰が新しいボスか教えてやれ。
それと馬を手に入れるんだ、なるべく傷つけずにな。
それ以外は殺せ」
「馬?まさか、あのでかい犬を食うのかボス?」
「食うんじゃない、乗るんだ」
自衛隊が日本から補給物資を持って来ざるを得ないのに対して、
111はこの地に新しい帝国を築くつもりだった。
そのためにも特にウランなどの地下資源が豊富で防御のしやすい土地を探すべく大量のアイボットを放って適当な土地を探させていた。
土地を見つけたら新しいVaultを築き、Vault-Tec Super Reactorから工場群のコンボで武器弾薬を生産し、核兵器搭載のロボット軍団を量産。
そこを足がかりにこの地の征服を行うのだ。
核から身を守るためでない、攻めるためのVaultだ!
さすがに68兆円相当の代物を一人でDIYしただけはある。
しかしながら流石に食料までは無から生産できないのでそこらの村を脅して取り上げる必要がある、その為には機動力だ。
「なんと・・・話には聞いていたが正に蛮族だな」
砦から命からがら逃げてきた兵士の話を聞いて、伯はどんな蛮族かと思ったが。
遠目にヌカ・レイダー達が近づいてくるのを街道の開けた土地で見て辺境伯は失笑する。
周りの騎士達も口々に苦笑し、これではアルヌスの蛮族征伐の方がまだやりごたえはあると侮っていた。
実際、ヌカレイダーの服装はこの世界の貴族から見れば大道芸人にでも見えるのだろう。
帝国辺境伯率いる騎士達が槍を揃え、足並みも乱れず次々とレイダー達に向かって突撃してくる。
瞬時、レイダー達の射撃の前に次々と撃ち抜かれ絶命する・・・
騎士達の数が半数までに減ったところで巨大なスレッジハンマーを持った総支配人を先頭にレイダー達が突っ込んでいく。
多くの兵を一瞬で失い、隊列を乱すも彼らの士気は未だ高く、目の前に迫りつつある蛮族に槍をつけようと駆け出した・・・
鎧を着た蛮族の族長らしき男まであと30m・・・と思った瞬間・・・・
瞬時、伯を初めとする高位騎士10人以上の頭が宙を飛んだ、何が起こったのかは常人には知りようもない。
暴流屠神拳奥義:武律図
あれこそは、ベヒモスを素手の一撃で屠った総支配人の111の奥義の一つである。(嘘です ただのBlitz)
かくしてヌカ・レイダー達のこの世界での初戦はレイダー側の死傷者0、鹵獲した軍馬多数。
辺境伯を初めとする帝国軍討伐部隊2000が全滅という結果に終わった。
かくしてレイダー達の大暴走は始まる、村という村から略奪しアルヌスの丘で食いはぐれた傭兵団の存在もあって帝国の警備隊程度では歯が立たない。
皇帝の焦土作戦も機動力を得て、そもそもウェイストランド人の連邦に比べればこの世界は溢れる食料庫のようなものだ。
「鹿なのに頭が一つしかないぜ?なんか損した気分だな」
「でかくて悪い総支配人様、最高!こんないいところに俺たちを連れてきてくれるなんてよぉ!」
帝国軍はおろか自衛隊に比べても少数のヌカ・レイダーがこの3ヶ月の間に帝国の3分の1まで浸透しているのには訳がある。
まず彼らの個々の戦闘能力の高さ。
レイダーなのでバカっぽい・・・というか実際バカが多いのだが彼らの身体能力はFEVと放射能によって高められ超人的な域にある。
何しろ頭に50口径弾が直撃しても”いてぇ!”で済ませる連中だ。
同数でもスーパーミュータントと互角に戦うだけはある、
プレイすればわかるが実際強いんだこいつら。
そして彼らの機動力はウェイストランドでは既に絶滅してしまった生物、馬によって高められた。レイダーにとって馬とはサファリパークの説明だけの動物。
乗れるでかい犬のスーパーミュータントみたいなものだと思ってるものが大半だった。
だがはるか昔、北米のネイティブアメリカンは元々馬を知らなかった。
彼らは適応能力が高く、映画で描かれるようにヨーロッパからもたらされた馬に順応した。
早い話が馬に乗ったスーパーミュータントがAKを構えて襲ってくるようなものである。
所構わず襲ってくる神出鬼没なヌカ・レイダーによって帝国の辺境は瞬く間にヒャッハー!な世紀末になった!
「ヒャッハー!待てやぁ!」
銃を撃ちながら逃げる馬車を追うのは馬に乗ったレイダー。
「ヒャハハハハハァ!新鮮な肉だぁ!捕まえたぜ!」
馬から馬車へ飛び乗り、御者の頭を跳ね飛ばして馬車を転倒させる。
「見ろよこいつ、こーんなもん持ってやがったぜぇ」
そう言って、貴族の馬車から引き出した箱を地面にぶちまけると金貨の山が零れ落ちる。
「こんなもん、エナジー武器のmodくらいにしかならねぇのによぉ!」
「おい、一応拾っとけ。総支配人様のロボづくりに必要らしいからな」
「チッ、まぁこれ全部でコーラ10本くらいにはなるか」
ちなみに紙幣はケツを拭く紙くらいにはなる。
後に残るのは新鮮な死肉のみである。
伊丹二尉の偵察隊が帝国全土を襲う蛮族について知るまでもう少し。
未だ自衛隊はヌカレイダーを知らない。