MAD111 世紀末総支配人伝説 怒りのヌカ・ワールド   作:溶けない氷

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2077年、最終戦争以前のアメリカは大統領は核戦争を予期して海上採掘場に避難。
10年以上続く中国との戦争によって財政破綻・ハイパーインフレを引き起こし
食糧配給の不足から暴動が続発し内戦状態、兵士への食糧の配給すら滞るほどだった。

0.01kt デイビークロケットの半分の威力のミニニューク
それでも半径80m以内の建物は殆ど倒壊す
こんなもんを東京やニューヨークで使ったら911以上の大惨事になる

AH-1S コブラ 

自衛隊の戦闘ヘリ
改良型のスーパーコブラがトルコで去年撃墜された

蛮族+核兵器=ヌカ・レイダー 

ボストンってどんな場所?
毎日、常にどこからか銃声が聞こえてくる。
時々核爆発



Air Cobra Down

「くそ!こんなになるって聞いてたらキャリバー持ってくるべきだったな!」

墜落したヘリの現場では生き残った自衛隊の空挺が手持ちの小火器で押し寄せるスーパーミュータントに対抗していた。

『いいぞ!お前たちとってもいい!もっとよく戦え!』

自衛隊を強敵と認め、本気になった緑の巨人たちは今までの豆鉄砲の38口径から5.56mmアサルトライフルを持ち出して自衛隊に本格的に襲いかかってきた。

スーパーミュータントは大きい音に引かれてくる。

ヘリコプターの爆音とワルキューレの騎行のBGMは彼らをホイホイ誘っていたため幸いにもイタリカ市民が朝食になる事態を改善したとも言える。

「物陰にもいるぞ!2号機、ブレイク!ブレイク!」

「そこかしこから湧いてくるぞ!撃ちまくれ!」

『人間!降りてきてもっと戦え!ずるいぞ!』

『はっ!まるでラッドローチみたいな奴ら!おっくびょうもの!』

自衛隊とスーパーミュータントの戦いは空からの支援と火力では自衛隊が、単純な頑丈さではスーパーミュータントが勝つという構図が出来上がっていた。

そこかしこで銃声が聞こえ、降下した自衛隊空挺部隊の64式とアサルトライフルが撃ち合いその度に少なく無い損害が隊員にでる。

「撃たれた!撃たれた!」

「三島がやられた!援護しろ、その建物の中へ!」

「援護射撃!正面だ、突っ込んでくるぞ」

 

『いったぁぁぁい!人間、よくもやったな!』

『緑の人間!すぐに喰ってやる!』

 

今もコブラの20mmがスーパーミュータントの一体に直撃し木っ端微塵にするが

それを隣で見ていたスーパーミュータントは怯えるどころか血の匂いに更に興奮しロケットを打ち上げてきていた。

命中率が低いとはいえ、投石や弓矢とは桁違いの破壊力を持つロケットが装甲の薄いヘリに直撃すれば墜落は免れないため回避行動を取らないわけには行かず支援も予定されていたほどには上手く行かない。

『アルヌス駐屯地へ、こちらは敵の抵抗に遭遇。既に2機のヘリを失い死傷者も多数出ている!

至急、機甲部隊の応援を要請する』

 

市街地で十分にその威力を発揮できない上に頑強な筋肉の鎧に阻まれ、ロケットも平地で貧弱な人間を相手にするとはワケが違う。

 

一方でその戦闘を物陰から観察している者たちもいた。

自衛隊の空挺団とスパミュとの予期せぬ戦いの漁夫の利を得ようという者たちだ。

三つ巴、四つ巴の戦闘はウェイストランドでは珍しくもないが。

 

一方は盗賊団

「な、なんなんだよ!?空飛ぶ魔獣!?」

「うろたえるんじゃねぇ!目的は略奪だ!金目のものと女を取ったらずらかるぜ!」

 

「こんなやばいところに居られるか、俺はさっさとずらかるぜ!」

 

そんな中、

「野郎ども!集結しろ、フォルマル邸にはこの街の領主の家族と後継の娘のミュイがいる。

金庫室もだ!おまけに捕虜から聞いたが皇女もいるってわけだ!

今なら緑野郎が空飛ぶ魔獣の方を向いてる。

この隙に突っ込んで全部いただいちまうぞ!」

「最後の突撃ってわけかよ、いいぜ。

パーっとやろうじゃねぇか」

「へへ、俺は伯爵令嬢をいただくぜ」

「俺は皇女様だ、くそ皇帝への意趣返しに俺たちが皇位継承者を仕込んでやる」

「さらったら身代金が届くまで全員で廻しちまおうぜ」

 

『ターゲットセンサーに生命反応、弾頭の威力を最小0.01ktに設定』

0.01とはおおよそ10トン程度の爆薬程度の破壊力しかない。

最小でも歩兵の一発にB-29以上の破壊力を持たせる、明らかに狂った計画だが誰か止めなかったのか。

絨毯爆撃でも撃破困難なパワーアーマーに戦車すら蒸発させるヌカ・ランチャーで武装した米軍を止めるには、もはや戦略核を使うしかなかったのだろう。

盗賊たちの彼らの望みは叶うこともなく一瞬で終わることになった。

ヒュルルルルルルルー

という間抜けな風切り音が聞こえた後、閃光が走り彼らを原子へと分解してしまった。

街中での小型の核爆発は凄まじい爆風となって街の区画を吹き飛ばし、地表爆発によって生じた爆風が空中のヘリ部隊を襲う。

凄まじい爆風でヘリも横殴りの強烈な突風を受けたかのように態勢を乱した。

空挺隊員を下ろしていたUH-1が折り悪く爆風に煽られイタリカの建物に叩きつけられ搭乗していた自衛隊員ごと爆発炎上する。

『6号機が墜落!6号機が墜落!』

『なんだ!?敵の攻撃か!?』

『5号機から隊長機へ、市街地の中心部で大規模な爆発を確認!

敵の魔法攻撃か!?』

 

『全機、敵は盗賊に緑のオーガだけじゃないぞ!

一層警戒を厳に!』

そのうちにUH-1が煙をあげる爆心地から離れた場所に伊丹達自衛隊が立てこもるフォルマル邸に向かいつつある人影を確認した。

『盗賊の別働隊か?地上と連絡を取れるか?状況を』

『通信機できません、先ほどの爆発で電波障害が・・』

そのうち、黒い山賊らしき男達がヘリに銃を向けて発砲し始める。

先頭を行く青い鎧の大男と二人の黒い鎧がこちらに気づき、咄嗟に建物の陰に入ったこと

その早さから盗賊団以上の強敵だと思われた。

『相手が撃ってきた!正当防衛だ、撃て!』

そのうちに何本かの発射煙が見え、こちらに向かってくるのが見える

『くそっ!こいつらもロケットを!回避行動しつつ応射しろ!』

が、自衛隊の思い違いは特地の戦力をアルヌスで一方的に撃退できたことから過小評価していた。

『追尾してくる!ロケットじゃない!ミサイル!ミサイル!』

総支配人の手によって誘導装置が復活したミサイルランチャーは回避行動に入った自衛隊のヘリコプターに次々と向かってくる。

隠れていたレイダー達も手持ちのミサイルを撃ち尽くした後は手持ちの小火器でヘリに対空射撃を始める。

だが、運動性にも装甲にも火力にも優れたAH-1は果敢にもレイダー達に向かって反撃をし始める。

『総支配人!ダメだ!敵の攻撃ヘリの火力が強すぎる!』

『わかった』

総支配人は核弾頭をしまうとレーザーガトリングに核融合電池を装填し、徹甲モードにするとVATSを起動。

空中で攻撃を仕掛けてくるAH-1に銃身を向け、その弱点を検索する。

最も大きい部分のエンジンを照準し発射する。

『なんだ!?レーザー!?魔法なのか!?』

コブラも20mmガトリングで応戦するが、PAを装備した部隊に対しては効果が低い。

今も20mm砲弾の直撃を食らってレイダーが何人か吹き飛ぶ。

徹甲弾の直撃ならば違ったかもしれないが特地の相手ならば榴弾中心の方が効果が高いという教訓が今回は仇になった。

『エンジンに被弾!出力低下、不時着します!』

徹甲レーザーがコブラのエンジンに直撃し爆発、黒煙を吐きながらコブラは高度を下げていきイタリカの市街地に墜落する。

『コブラが墜落!繰り返す!コブラが墜落!』

これ以上の損害を出せば空挺部隊は撤退することすら難しくなってしまうと判断。

郊外に部隊を展開させるべく退避して行く。

 

 

 

『マグス、損害を報告しろ』

『ボス、ヘリに8人と歩兵に5人やられた。パワーアーマーも敵のロケットの直撃を食らって大破が一機。

これ以上の損害は許容できないというのがオペレーターズの意見だよ』

 

自衛隊との戦闘でレイダー側も大きな損害を被っていた。

『ふむ、では話し合ってみるか』

『話し合う?!馬鹿げてるよ、戦闘中だってのに』

『だが、これ以上戦えば町が完全に破壊されてしまう。

妥協案を提案するのも総支配人の仕事の一つだろ』

 

そこで総支配人はそこらへんにあった棒に白旗をつけると首輪爆弾をつけた盗賊の一人に

『おい、お前。行って一時休戦に応じる用意があると伝えろ』

 


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