MAD111 世紀末総支配人伝説 怒りのヌカ・ワールド   作:溶けない氷

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頭脳はオッペンハイマー!戦闘力は異能生存体!精神はレイダー!
その名はヌカワールド総支配人!


戦え!勇者 ヨージ イタミ!世界征服を目論む魔王を倒すんだ!

魔王111
武装 
X-01FフルスペックPA
アーマードスーツ一式
クアンタム BigBoy
キロトンラジウムライフル
プロブレムソルバー
スプレーアンドプレイ
ファイナルジャッジメント
パーティースターター
クアンタム・ヌカ・グレネード
アトムの審判
など

Lv300くらい

15mくらいワープする
ヘッドショット連発
怒るとハルクみたいにパワーアップする
守護天使がついてる
撃ったやつに銃弾が時々帰っていく
消える
日光で回復
放射能でも回復
夜目がめっちゃ効く
コーサーみたいにどこにでも現れる
あと色々

ペットがデスクロー たくさんいる あとゴリラ
執事が魔改造世紀末戦車ロボ 核ミサイルをバカスカ撃ってくる 取り巻きがいっぱい
愛犬は多分ライオンより強い
魔王の居城 レーザーとガトリング砲 ミサイルが嵐のように飛んでくる あとデスクローや伝説のセントリーボットがいっぱいいる魔境
取り巻きのレイダー 下っ端でもめっちゃ強い 最上位になるとスパミュ・オーバーロードより強い。
時間経過で増える。

ファッ!こんなの倒せるわけないやんけ!
もう主人公に丸投げするわ、がんばれ(棒読み
伊丹「無茶言うな・・・」


ウォーリアバニーレイダー その入団

その日は、例年と比べても暑かった。

いや、暑いと感じていただけかもしれない・・・・

「皇帝陛下の命により、アルヌスより帝都に至るまでの進路上の全ての村と街は焼き払う!作物と家畜は全て城塞に移動し、井戸は全て毒を投げ込んで封鎖せよ!」

焦土作戦、自らの肉を削いで敵を弱らせる。

近代以前の文明レベルで万単位の大軍を維持するには常に豊かな土地をイナゴのように食い荒らしながら移動するのが地球でも一般的な常識だったのでかなり有効な作戦だろう。

しかしながら指導者への不信による味方の離反、戦後復興もままならなくなるのでもろ刃の剣でもある。

例をあげればローマ軍のガリア戦役、ナポレオンのロシア遠征でも実施にあたっては当然のように不満が出ている。

高い税金取って兵隊維持してたけど、やっぱ勝てないので君達の不動産焼き払います。

素直に納得するという奴がいたら見てみたい。

 

そんな理不尽な暴力に晒された者がこの町にもいた。

「姉さん、また移動するの?」

朝目覚めたら町中がざわついて慌ただしい、母親がまた荷物を纏めていることからすぐに移動するのだろう。

妹の姉の名前はアニーネ、かつてはウォリアーバニーの一族だったが一族が帝国の侵略によってことごとく奴隷化されるか高名な戦士は皆処刑された時からこうやって従軍娼婦にまで身を落としている。

身を寄せているマガン傭兵団が異世界の軍隊と戦うためにアルヌスに出発してからまだ3日間しか経っていない。

他にも娼婦として傭兵団に付き添っている女達はそれこそ星の数ほどいるがファミーネは自分の姉がいつも一番綺麗だと思っている。

「ファミーネ、よく聞くんだよ。もうマガン傭兵団は無い」

「え?」

「みんな死んじまったんだ、団長も団員もみんな・・・・」

突然の知らせに頭が回らない。

姉は団長とはいい仲で、もう三年の付き合いになる。

身体を売るといってもここに流れてきてからは団長にだけでその他は身の回りの世話の掃除洗濯・炊事くらいだった。

団長も異世界の侵略者との戦でまとまった金ができたら田舎の郊外に家を買ってそこで一緒になろうといってくれていたことは知っている。

「俺もいい年だし、家庭を持ってもいいかなって思ってさ。

年配の者には退職金を払って、若いもんは知り合いの所に移籍するか仕官のあてもこれだけの大戦ならあるしそれなりに蓄えも残るだろう。

この近くでいい物件を見つけたからさ、節約すればファミーネも学校に通わせられるし・・・俺たちとは違う、まともな人生を送ってもらいたいからさ・・・」

 

彼女は知らないが、いわゆる死亡フラグ満載のセリフを残してしまった連合王国の兵士たちは自衛隊にことごとく討ち取られてしまった。

 

不幸な人間は埋め合わせを求め幸福になろうと努力するが、大抵は不幸なまま終わる。

世界はまさに無常である。

その後、傭兵団は前代未聞の生存者なしという結果から自然消滅してしまった。

酒保の爺さんは雇い主に約束の金を払うよう求めたが、雇い主自体も戦死してしまってはどうしようもない。

払われる金も今、自衛隊が一緒くたに埋葬してしまった。

傭兵団が自然消滅し、雇い主も無くなってしまった今となっては従軍娼婦達も自然失業の運びとなった。

「ちょっと!あたし達への払いがこんだけってどういうことよ!?」

姉妹に渡されたのはわずかに銀貨が15枚。

「すまない、だが肝心の資金は団長の金庫と一緒に消えちまったんだ」

残った金はわずか、傭兵連中が凱旋した時に備えての食品の買い出し費用が不要になったので残りを傭兵団でわずかに残った酒保や娼婦達に分配すると残ったのは雀の涙。

そんな事は分かっている、誰もが苦しい時代なのだ。

だが問題はこれからどうするかという事だ。

「これから・・・・残りの連中と一緒にプレッジの街まで行こうと思う。

そこで帝国が蛮族に対抗する部隊を編成するって話だ・・・

そこならまた雇い主が見つかるかもしれないし・・・」

 

帝国の軍事拠点の街まで行くという話に殆どの者はついて行くことにした。

元々、帰る場所がある者が傭兵について行くなんて事は殆どない。

 

だが馬車で街まで行く途中に帝国の部隊と遭遇してしまったのが運の尽きだった。

「待てい!貴様らぁ!何者だ!どこへぇ行くつもりだぁ!」

大仰な様子で騎馬の上から荷車を止めるのは帝国の騎馬隊の将校。

遠目からも神経質な様子がうかがえる。

「わしらはただの酒保でして、これからプレッジの街で新しい雇い主を探す所でして・・・」

「ならん!いかなる街も非戦闘員を迎え入れてはいかんとの、皇帝陛下のお達しだ!すぐに引き返せ!」

元からの住民ならともかく非戦闘員は籠城戦では足手まといにしかならない。

身元不明の人間がトロイの木馬として敵方に寝返って手引きすることだって考えられる。

残忍で冷酷で的確な判断だ。

「そんな、どこへ引き返せと・・・」

と、次の瞬間将校の振るった剣が酒保の爺さんの首を刎ねた。

「構わん!亜人まで混じっている売女の群なぞ大方敵の間者であろう!

殲滅せよ!」

従軍娼婦には帝国に滅ぼされた亜人が多いというのは常識である。

尤も、他に生きる手があるかと言えば無いというのが答えだが。

荷馬車に次々と矢が飛んでくるが非戦闘員に対抗する術があるはずも無く次々と殺されていく。

「ファミーネ、あんたはこの中に隠れてな!何があっても出るんじゃ無いよ!」

姉は妹を馬車の中の樽に押し込んで自分は団員が残していった弓矢を手にし騎士に向かって放ち、馬上の騎兵がもんどり打って落馬した。

姉のアニーネの弓の腕前は部族でも優れる事1、2位と称えられた。

だが、すぐに騎士達は彼女に気づきまた矢を番える前に盾を構え直剣を振るい彼女の体に槍を突き立てた。

 

 

樽の中に隠れていたファミーネは何時間も、何時間も隠れていましたがやがて体が痛くなって静かになったのでそっと出てみました。

・・・・・見知った顔の仲間達は皆殺されている光景が彼女の目に映ります。

彼女は見知った人たちと姉のために穴を掘ると、埋葬したのでした。

 

やがて、その馬車の側を物資を漁りに来たレイダーの物音で目を覚ました。

『おい、なんかあったかい?』

女レイダーが破壊された馬車を漁るレイダーに話しかける。

『何にもねぇ、墓とゴミ。しけてやがるぜ!早くどこでもいいから餌持ってそうな奴を襲ってぶっ殺して奪おうぜ』

 

『ん?ちょっと待ちな、なんだいその樽は』

女が銃剣を構え樽に近くと、樽から少女がナイフを突き立てようと飛び出して来た。

ウォーリアバニーのしなやかな筋肉が伸び、放たれた矢のように飛び出す。

が、所詮は人殺しに慣れたレイダーの不意をつくことはできなかった。

足を蹴り飛ばされ、ナイフを手刀であっさり弾き飛ばされてしまう。

 

『このガキ!ぶっ殺してやらぁ!』

 

男が銃をぶっ放そうとするのを腹を蹴り飛ばして女が言う。

 

『ふざけんじゃ無いよ、こいつは私の獲物だろ。私が好きにする』

そう言うなり手持ちのロープで縛り上げて略奪品を運ぶ小型ジープに載せる。

 

『いつつ、本気で蹴ったろ!?どうすんでぇそんなもん?そのやせっぽちを?

スープの出汁だって出やしねぇし、子産み女にもなりゃしねぇのによぉ』

 

『馬鹿。ほんと喰うやる殺すしか頭に無いんだね。ちったぁ総支配人を見習いな。

こいつの本気でかかって来た目が気に入った、巣穴に放っておいてどうなるか見てみよう』

『物好きな奴だ、まぁいいさ』

パックスは群れではあるが弱者の群れでは無い。

自由に生きて、自由に死ね。

何をしようが自由、責任はとれ。

指示が欲しいなら奴隷にでもなってろ。

 

(これから・・・どうなるんだろう)

ジープの荷物室で縛り上げられたままファミーネは揺られる。

あちこちからかき集めた価値のある鉄や銅、油壺といったガラクタと一緒に放り込まれてあちこちがゴツゴツ当たって痛い。

数時間後、やっとジープが止まると荒っぽく荷物と一緒に放り出される。

『おら、着いたぞ!砦だ、さっさとこのジャンクを片付けな!』

ジープが砦に着くなり、荷物運びのプロテクトロンが次々と荷物を運んでいく。

砦のジャンク倉に入れるのはロボットと総支配人だけ。

人間は重要な部分には入れない。

『鉄50に銅200、銀が50に金が20。おお!油が500ポンドも!これは高値で引き取らせてもらいますよ!』

運び込まれたジャンクの買取値段をつけていくMrハンディがレイダーにキャップを渡していく。

『しめて今回の支払いは9600capです。いつもニコニコ現物払いのヌカトレードをまたご贔屓に』

 

レイダーはキャップを受け取ると、どんと地面にファミーネを放り投げる。

ナイフを取り出すと、少女の目が恐怖に見開かれたが意外にも縄を切られただけだった。

『言葉がわからないが・・・ま、その程度で尻込みするならその程度さ。

根性があるなら自分でなんとかするだろう』

そう言うと彼女の襟首を掴んでパックスのねぐらに持っていく。

『24時間営業の奴隷市場!パラダイスマーケットを是非ご利用ください!

年中無休、夜間ナイター設備完備!余裕の取引でみんなハッピー!』

とスピーカーから営業案内が響き渡る。

 

レイダーがたむろする塒に一人突然放り出された亜人の少女。

 

『おい、ヘレン!なんだこのガキは、また拾って来たのか!!?』

『構わないだろ、こいつには入団試験を受けさせる』

『こんなガキにか?まぁいいが、だが言葉はわかるのか?』

『そんなためにMrトーキーがいるんだろ。おい、こいつに伝えな・・・』

 

そう言うとMrハンディの改造機種のトーキーが現れ少女に話しかけた。

宙に浮かぶ丸い金色のタコに少女はびっくりするがそれが話し始めると逆に言葉が通じる事に少し安心する。

・・・と、思いきやMRガッツィーの口調で罵り翻訳を始めたのだから。

「いよぉガキンチョ、テメェがハンナに見込まれたってやつか?

ok,説明するぞ。

ルールは簡単、これからお前は檻の中に入る。

で、出てくる奴を殺すと合格、死んだら失格。

合格すると晴れてレイダーに、嫌なら奴隷市場で売る」

奴隷市場という言葉にビクッと反応する。

ウォーリアバニーは高い戦闘能力と美しい風貌から奴隷市場で高値がつけられるのが常なのだ。

「れ、レイダーって何?」

 

「レイダーはレイダーだよ、この間抜け!

人様を転がして物を頂戴したり、締め上げてアガリを献上させるのが仕事だ。

わかったか?このウスラトンカチ!」

 

ファミーネは思う、それじゃまるで・・・まるで帝国の貴族や皇族とやり方が同じじゃないかと金色のタコに返す。

 

「やっと、気づいたか、このすっとこどっこい!

力こそ正義だ!

お前は弱いのか?なら奴隷になってどっかで勝手にくたばれ!

ほんでオイルの材料にでもなっちまえ!その方が世のためだ!

嫌なら殺せ!奪え!」

 

そうだ、私は・・・お姉ちゃんを殺した帝国の奴らを許さない!

強くなってやる!

 

「やります・・・・私、殺します!」

『ガキンチョが入るぞ!入団テストの始まりだ!』

たちまちアジトで武器やレイダーアートの作成に取り組んでいたものが囃し立てる。

檻の中に入ると、武器として様々な接近戦武器が置かれている。

「好きなのを取れ!ルール無用だ!」

ファミーネは迷う事なく、扉に向かって槍を手にし構える。

姉に教えてもらった槍術の基本を忘れずに、集中すると扉が開く

「殺せ!相手はブリキ人間のオスだ!ヒャッハー!」

 

結論から言うと、ファミーネは入団試験をパスした。

相手は娯楽用の帝国兵だったが、彼女はその高い身体能力を活かしてその剣の間合いから常に一歩引いた距離から牽制、普通に考えれば男で鎧を着込んだ騎士には勝てなかった。

常に円を描くように騎士の攻撃をかわし続ける。

そしてここはレイダーアリーナ、長引けばどうなるか?

「何やってやがるー」

「早くしろ〜殺せー」

「テメェ!そのブリキ缶は飾りかよぉ!」

飽きっぽいレイダーのヤジとともに騎士に飛んでくる酒瓶、空きカン、火炎瓶にグレネードで吹っ飛ばされ怯んだ騎士の隙を逃さずに鎧のスリット突いて一撃で突き殺した。

結局は集中力と信念、生への執着と復讐心の強いファミーネが勝った。

どんなに汚い手を使ってでも殺す、レイダーのやり方だ。

 

アリーナから出ると、そこにはハンドメイドライフルを自分に差し出すあのレイダーのヘレンがいた。

「今日からお前もパックスの一味だ!せいぜい好きに生きるんだな!」

金色のタコの言葉を彼女は一生忘れないだろう。

後に多くの亜人がレイダーとして活躍することになる。

彼女はそのほんの一例にしか過ぎない。

「ヒャッハー!帝国は全滅よ!」


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