ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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Vtuberにハマってました。個人的には御来屋に1番ハマってます全然動画ないですけどネ!

投稿ペースに関しては1ヶ月2ヶ月に一本更新できたらのペースでいこうと思います・・・


exー17 この新人パパに災難を!

「・・・パパ・・・・・?」

 

 

・・・なんだって?今なんて言ったこの幼女・・・え・・・?パ、パパ・・・?

 

目の前に出来たクレーターの中心。そこにチョコンと女の子座りで鎮座している長い黒髪を携えた、見る限り・・・5、6歳・・・キノアや隣のめぐみんよりも明らかに数段幼い女の子。

 

そして何よりこちらをマジマジと見つめてくる紅く、大きな瞳。引き込まれそうな不思議な魅力と、こちらを引き裂くような凶暴さを伴った瞳。そして何より、何もかもを計算され尽くして調度された宝石のように美しい。

 

・・・・いやいやいや・・・そんな事よりも・・・

 

 

「・・・サク、後でギルドにでも(サクを)届けに行きましょう」

 

「あぁ。ひとまず分からないことが多すぎしな・・・変に刺激しないように(幼女を)届けるとしようぜ」

 

「・・・パパ?なに・・・はなしてるの・・・・・?」

 

「いやちょ・・・?パパ・・・・?」

 

「うん!パパ!」

 

 

そう言い、満面の笑みをこちらに向ける幼女。だがそんな笑顔を向けられ、なんだか複雑さに顔が引きつってしまう。

お、俺がパパ・・・?俺がパパになるんだよ・・・?

 

 

「こ、これは一体・・・・ハッ!この勢いは私がママと呼ばれる流れなのでは・・・!?ハ、ハーイ!マ、ママです・・・よぉ〜?」

 

 

・・・いやいきなり何言ってやがんだアイツ。

 

俺の後ろに隠れ、チョコチョコと幼女を眺めていためぐみん。

そんな彼女が心なしか周りにキラキラした陽気オーラ的なアレを撒き散らしながら幼女に擦り寄って行く。

 

同じ目線までかがんだめぐみんの顔をまるで品定めするように見つめる幼女。そしてようやく彼女が口を開く。

 

 

「・・・ママじゃない・・・」

 

「え"っ」

 

「ブフォッ!・・・」

 

「そ、それはどういう・・・」

 

「ママじゃない!ママはもっと・・・!」

 

「「もっと・・・?」」

 

「もっとおっぱいがあるの!」

 

「ブッフォォッッ!!ハハハハハハハハハ!!ヒーッ!!く、苦し・・・ハハハハハハハハハハ!!」

 

「--------〜〜ッッ!!ふ"ん"っ"!!」

 

「フフフハハハハハハハハハハ!!アッハハハハハアァァァァァァァァッッ!!イイィッタイメガアアアアアアアアアア!!オォウ!!ノーッッ!!」

 

 

俺が爆笑しながら辺りを転げ回っている中、プルプルと震えていた彼女がノールックで杖を投げつけてくる。

するとなんということでしょう。綺麗に両目を押しつぶす様に杖が直撃するじゃありませんか。

カランカランと落ちる杖をよそに今度は別の意味で転げ回る。

 

ていうかめちゃイテェ!大丈夫これ!?花京院みたいになっちゃわない!?

 

 

「ママじゃない・・・・・うぅ・・・」

 

「パパ・・・だいじょーぶ・・・?」

 

「お、おう・・・軽く俺もめぐみんも瀕死だけどなんとか・・・そ、そういえば君、名前は?・・・あぁ、目が痛い・・・」

 

「うん!あのね!わたしのなまえはラヴィア!ラヴィーってよんでねパパ!」

 

「おう・・・あ、待てなんで俺パパ呼ばわりに慣れてんだ・・・まあいいか。うん・・・じゃ、行こうか。ラヴィー・・・もしもーし?めぐみんさーん?」

 

 

地面に項垂れて倒れているめぐみん。そんな洗濯物みたいになってる彼女を揺するが反応がない。

まさかと思い、彼女の体をひっくり返し顔を確認する。

 

 

「・・・はぁ。さっきまであんなだったのに・・・幸せなやつだよまったく・・・まあ、今日は武勲賞だしな」

 

 

仰向けになった彼女は、唾をだらしなく垂らしながらとてもやりきった顔で、なにより笑顔で眠りこけていた。

 

そんな彼女に少しだけ笑いをこぼしながら背中に担ぎ上げる。

・・・うーん・・・・この子(ラヴィー)もいるし・・・どっかで野宿かなぁ・・・流石にこんな小さい子達を担いで間に合うように瞬歩でトバす・・・ってのもなぁ・・・こんな年齢で野宿させる事になるとは・・・心苦しい・・・・・

 

日が落ち始め、空が茜色に染まり始める。

今日一日、ひどく色々なものに振り回された。朝っぱらからめぐみんに。そしてついさっきまでラヴィアに命を振り回された。

 

それがどうだ?今さっきまで殺しあってた相手が幼女になって俺の手を握り、横を歩いている。全くもって訳がわからん・・・が、愉快だ愉快。面白いのは大歓迎だうん。

 

 

「・・・帰ろう。ゆっくり、ゆっくりのんびりさ」

 

「-------うん!かえろ!パパ!」

 

 

俺がそれとなく呟いた言葉。

それに不思議そうに目を丸め、一瞬黙り込んだ後ラヴィーが満面の笑みでそう言ってくる。

 

・・・それにしても・・・・・パパかぁ・・・パパ・・・うぅん・・・

 

〜*〜

 

手頃な場所を見繕い、簡易的にそこらにある木や葉でどうにかテントの様なものを作り、辺りからパパッと食材を取り調理し、そして夜を明かし、夜が明け、歩き続け、結局アクセルに帰ってこれたのはその日の昼頃だった。

 

よく見慣れたいつぞやの駄女神による洪水で未だ所々欠損している門を3人で潜りひとまずギルドへ歩を進める。

 

 

「ふぃ〜・・・遠かったなぁ・・・」

 

「えぇ。大変なクエストでしたね・・・それにこれから届けて事情聴取も行わないといけないですし・・・」

 

「事情聴取・・・?うんまぁ、もう少しばかりは頑張らないといけないかな」

 

「パパ?これからどうするの・・・?」

 

「うん?そうだな・・・ひとまずパパの家に行こうか」

 

「うん!わかった!」

 

「サク。その前にほら、手、出してください」

 

「え?あ・・・はい」

 

 

俺が言われるがままに手を差し出す。

するとどこから取り出したのか。いやそれ以前になんでそんな物騒な物を持ってたのか。

 

それは、俺の手を冷酷に、硬く、決して抜け出させないよう存在している。

 

詰まる所の手錠が、俺の手にかけられていた。

しかも触ってる感じ、魔力だとかその辺がビンッビンにかけてある、手錠っていうかただの魔道具と言っても差し支えない様な代物。

 

 

「・・・・へ?」

 

「・・・言ったじゃないですか。届けるって」

 

「と、届けるって・・・この子じゃねーの?」

 

「いやサクの事に決まってるじゃないですか・・・」

 

「「・・・へ?」」

 

「・・・・・ふ・・・」

 

「・・・ふ?」

 

「ふざけんなクソッタレエエエエエエェェェェェェ!!」

 

 

これでも元はそれなりに強かった冒険者だ。

魔力を軽く放出して肉体強化するだけでもそれなりに超人的な力は出せる。

 

そして怒号と共に全力の魔力で強化した膂力で手錠を跡形もなく粉微塵にする。

 

バギンと鈍く高い音を奏でながら砕け散り、それにめぐみんの悲鳴がそれに共鳴する。

 

 

「いやあああああああああああっ!わた、私の・・・・手錠・・・うぅっ・・・・・せっかく・・・お金貯めたのに・・・」

 

 

そう小さく呟いた声はどんどん尻すぼみになり、震えていく。そんな彼女を見て自分の愚かさを痛々しいほど痛感し、焦りが込み上げてくる。

 

まずいまずい・・・!ど、どうする・・・!?い、いや砕け散った破片があるなら・・・!

 

 

「・・・めぐみん、ちょっと待っとけ------」

 

「・・・?」

 

「わあぁっ---!パパ、すごい!」

 

 

辺りに飛び散った鉄の破片。

それらが俺の手の上に集まり成形され直す。所々に赤や濃い紅と言った色を入れ、味気ない鉄をどうにか一級の色彩を持ったアクセサリーに作り直して行く。

 

そして数十秒程経った頃。俺の手のひらに握られているのは手錠だった頃の面影を残しながらも、彼女の好きそうな赤や濃い紅色の幾何学模様やラインを随所随所にあしらったブレスレット。

 

 

「ほらめぐみん、手を出して」

 

「あっ・・・はい・・・//」

 

 

おいバカやめろ。必死に作ってクールにつけてやろうとしてるのに恥ずかしいじゃないか顔に出てしまうじゃないか・・・

 

彼女の手首を取り、ゆっくりとブレスレットをはめる。

細く白い腕に、魔女のような衣装。そんな彼女にこのブレスレットはまるで元から一体だったかのようにマッチした。

 

 

「おっ、中々似合ってんじゃないか?悪かったな、手錠ぶっ壊したりして」

 

「いえ・・・!こんな素晴らしいブレスレット、見たことありません!ありがとうございますサク!!」

 

 

そう満面の笑みで言ってくるめぐみん。彼女が手首と首を必死に回しながらデザインを確認している仕草も相まっていつもより幼く可愛らしげに見えてくる。

自分もなんだか満ち足りた気分でそんな彼女を見つめる中袖が引っ張られるのを感じる。

 

見るとそこにはめぐみんを羨ましそうな、そしてキラキラした目で見つめるラヴィーの姿が。

 

 

「きれい・・・!パパ!わたしもあれほしい!」

 

「うーん・・・悪いけどパパ忙しいから・・・明日の夜になっちゃうけど、我慢してくれるかな?・・・・・ハッ!?」

 

「サク、犯罪臭が凄まじいですよ」

 

「あぁ・・・今のは流石に否定できん・・・・・くそう俺もうパパなのか・・・・」

 

「・・・パパ、だいじょうぶ?」

 

 

俺がわざとらしく膝をついてうなだれる。

すると暖かい、小さな手のひらの感触が肩から伝わり、優しげな声が降ってくる。

 

はぁ・・・マジかぁ・・・・・こんなとこ、ゆんゆんに見られようもんなら・・・・

 

 

「サ、サク・・・!マズイです・・・非常にマズイです・・・」

 

「・・・・・え?何がマズイの?」

 

「あ、あれ・・・あれ!あそこです・・・!」

 

 

震える手で彼女が指差す先には薄暗い路地に紅色の光が2つ。

薄暗いながらも2つの光の下からは人の輪郭が読み取れる。それも、華奢な女の形をしている。

 

俺とめぐみんが呆けてその影を見つめているとその影は小刻みに震え始め、何かを掴んでいた手から紙袋のような物が地面へ無造作に落ちる。

 

そして雲から夕暮れの太陽が一瞬、少しだけ顔をのぞかせたその瞬間。その人物の姿をしっかりと目に捉える。

 

「あ・・・・あぁ・・・!ちょっ・・・・ちょっと待っ・・・」

 

「----------サ、サクさんの変態いいいぃぃ!!!」

 

「カアアンムバアアアアックウウウウウ!!ゆんゆうううううううううううん!!」

 

涙まじりの男女の悲鳴が路地に響いた----------

 

 

 


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