ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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僕にしては早い方でしょう?ね?ね?(汗
ていうか1周年ですよ1周年!正直半年で失踪すると思ってました()なんか記念の話を書きたいけどそれでまた本編から脱線しちまうよぉ!!


exー16 この超難度のふざけたクエストに終幕を!

迫り来る幾百のモンスターの波。巻き込まれようものならミンチよりひでぇやとなるのは目に見えているような地獄絵図。

そんな物を戦ってどうにかしようなどとは毛ほども思えなかった。

 

 

「やばいやばいやばい!走れ走れええええええ!!」

 

「ちょちょちょちょっと!!まだ!まだ舌が!!舌が痛いのですがあ!!」

 

「なら!舌痛いの我慢して走るか立ち止まってエロ同人コース直行どっちが良いよぉ!?」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「えっ!?ちょっおまっ・・・・・はやっ!!」

 

 

必死に俺の少し後ろをついて来ていためぐみんだったが俺のその一言でどこぞのランサーの様な姿勢で爆走してあろうことか俺はその遥か後ろに取り残される形になった。

・・・・・あの子、アークウィザードだよね?俺の知ってるアークウィザードじゃなあいよあんなの・・・・・なんてこっ「いや息切れェ!!」

 

 

数秒走った所で木の下で膝をつき、リバースしそうになっている彼女を見つける。あいも変わらずモンスター共は迫り来ている。

 

 

「-------許せめぐみん!!」

 

「えっちょっ・・・まだ出てな・・・・・あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」

 

 

彼女の首根っこを思い切り鷲掴み、速度を上げながら走り抜ける。

結構な負担がかかったであろう首と体に呼応し、かなり痛々しい叫びが彼女を掴んでいる右手の下から聞こえてくる。

 

流石にこのままでは彼女がゲロインになり、更にはいつかのカズマの様に逝ってしまう。

 

そんな事は絶対に許されない・・・ので、彼女を背中をやる。

 

 

「しっかり掴まってrお"く"う"っ"!?」

 

「よくも!!よくも乙女のデリケートな所を見た上にあんな扱いしてくれましたね!?もう許しませんよ!!」

 

「あ"だだだだだだだだ!!首!首絞まってるし!!どこにお前足回してんだああああああああああああ!!」

 

「どこって・・・ナニですよ?」

 

「ナニじゃねえよバカ野郎!!お前のさっきの嗚咽よかよっぽど大事な漢女(おとめ)のデリケートゾーンだぞ!!」

 

 

首を絞めながら俺の背中に張り付くに飽き足らず、めぐみんが俺のジョイスティックを足で捩じらせる様な形で締め付ける。

いやてかマジで何やってんのこいつ!?

 

 

「いだだだだだだだ!!もげる!!マジであかん!!首も息子ももげるぅ!!」

 

「ふふふふふ!!これぞ私の編み出した秘技なのです!名付けて『チンストロック☆』!!」

 

「ロック☆じゃねぇんだよ!!男は自由であるべきなんだよ!!いやいつも欲に囚われてるけども!!」

 

「無理に剥がそうとしない方が身の為ですよ!ロックが私以外の手で外される時!それは死です!!」

 

「何ちょっとっぽく言ってんだよ!それただもげて新境地開拓してるだけじゃねぇか!!ばっちり何かが死んでもう一つの自分が目覚めてるじゃねぇかああああ!!」

 

 

なんなんだよマジでこの状況!!

とっととどうにかしないと後ろからモンスターどもに追いつかれるし俺の息子も死ぬ!!

何かこの状況をどうにか出来るモンは・・・!

 

鬱蒼とした森。そんな中、めぐみんを抱え無闇に走り回ってる訳だが・・・・・っと。そろそろ森を抜けるか・・・・・

 

 

「--------しめた!!行くぞめぐみん!!----掴まってろよぉっ!!」

 

「えっ!?な、何を・・・・・う、うわあああああああああああああああっっ!!」

 

 

森を抜けた直後。目の前には切り立った崖とその間を流れるとてつもなく大きな川。こんな状況でこれは・・・

 

 

「-------飛ぶしかねぇよなぁっ!!『瞬歩』ッ!」

 

「ああああああああああああ!!今!今そんなフワッてなるアレを食らったら・・・・・」

 

 

・・・うん?なんか変な言葉が聞こえた気が・・・・・

 

風圧に顔をしかめながら、必死に対岸を目指している最中。

彼女のとんでもない叫びはバッチリ耳に届いたのだが・・・・一体何を言ったんだ?それになんだかプルプルし出して・・・・

 

 

「オ・・・オエエエエエエエエェェェェェェェェェ!!」

 

「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!?お、おま・・・お前!お前ぇ!な、なな・・・何リバースしてくれちゃってんのぉ!?」

 

 

お、思いっきり失念してた・・・!さっきまでこいつが吐きそうになるくらいに全力疾走してた事、そしてこれまでのリアクションから、三半規管が死ぬほど弱い事・・・!

 

そんな俺の悔恨もつゆ知らず。背中の彼女はキラキラを思うがままに遥か下の川へリバースし続けている。そして、その弊害は俺にも当然降り注ぐ訳でして・・・!

 

 

「ああああああああああっ!おっ・・・俺の数少ない普段着がああああああああっ!!悪かった!!ロクに配慮せずこんな事したの謝るから!頼むからキラキラ止めてええええぇぇぇ!!」

 

 

対岸にどっしりと着地し、また絶叫する。

モンスターの中にどうやらここを越えられる個体はいないらしく、追手はようやく振り切れた。

 

だが、一難去ってまた一難。

綺麗に背中でリバースし続けている彼女を崖際に四つん這いにさせ、背中をさする。

リバースするめぐみんを尻目に足や背中に付着した吐瀉物をどうしたものかと心の中で唸る。

 

 

「オォ良し良し。吐くもの吐いてスッキリしたか?」

 

「う、うぅ・・・・すいませんサク・・・・」

 

「・・・・・うん、まぁ・・・気にすんなよ・・・うん・・・」

 

 

心境は複雑だがまぁここで変に落ち込んだら愚痴ったらめぐみんは絶対気にかけるだろうからな・・・それにしても、あのモンスターの大群は何だったんだ?・・・崖は渡れないと認識したのか、左右に分かれたり踵を返してまた逃げていくようにいなくなったし・・・件のヴァストローデか?

 

それにしては姿を見ないし霊圧も感じな・・・いや。アレの霊圧を隠すステルス性能は尋常じゃない・・・霊圧をアテにした探知は出来んか・・・視認・・・・・も、あん時うっすらと確認できた人と同じシルエット。それをあんな薄暗い森の上から見つけるなんて事は無理だろう・・・

 

 

「・・・どうしたもんかねぇ・・・・・」

 

「・・・何をどうするのですか?」

 

「今回のクエストの討伐対象だよ。------そうやさっき落とされた時、なんかわかんなかったか?遠目じゃ人型だっつう事位しか分からなくて・・・」

 

「そうですね・・・なんだか、不気味でした・・・背丈はカズマと同じくらいだったんですが、所々から棘みたいな・・・言ってしまえば獣と人が融合したみたいでした」

 

「ふうむ・・・どうしたもんかな・・・・・」

 

 

そう言って2人でうーんと首を傾げ唸る。

時刻は昼を少し過ぎ、3時・・・に入るかどうか位かな・・・こりゃもしかしたら、野宿で日を跨ぐことに・・・

 

 

「--------アラァ?さっき感じた霊圧・・・どんなのかと思ったけど中々良い男じゃない。ただ・・・ちょっと若すぎるのがたまに傷ねぇ・・・」

 

「「!?・・・・・」」

 

 

俺たちの背中側。死角から聞こえる妖艶な女の声。だがそれはこの世全ての凶兆を押し込めた様な底知れない恐怖の呪詛に聞こえる。

背筋を突き抜ける悪寒。それを感じ首を咄嗟に向ける。

そこには、黒いまるでカラスを連想させるような軽装のドレスを纏った長い黒髪を纏った女。細めた切れ長の目と妖しく曲げた唇とそれを舐める舌。その挙動一つ一つに目を釘付けにさせられる。

 

それ程の恐ろしさをその女は携えていた。

 

いつからだ!?いつからここに来た!?

なんだこの霊圧は!なんで今の今まで気づかなかった!?いや!そんな事より・・・!

 

 

「めぐみんっ!!早くこっちに!!」

 

「は、はいっ!」

 

「あらあら・・・そんなに私の事が怖いかしら?随分と勘が良くて()()なのね」

 

「何とでも言っとけよ・・・この()()

 

「売女だなんて心外ね。私、これでも結構高位のヴァストローデで、誇りとかも面倒だけど持ってるつもりなのよ?」

 

「知ったことか・・・それで?ただそんな事を言いに来ただけじゃないだろ?」

 

「あら、察しが良いのね。それじゃ単刀直入に--------あなたのその能力(ちから)、食べさせて?」

 

 

そう告げながら女は俺の前から消える。

かと思いきや、瞬きする間もないほどの一瞬、そんな隙間に彼女は俺と鼻が当たるほどの至近距離に存在していた。

 

禍々しい瞳孔の開いた金色の目と赤い唇。その全てが嫌でも持てる全てで防御の姿勢を取らせる。

 

振り抜かれようとする掌底。風を押しのけ迫るそれの威圧感は凄まじく、まるで隕石が突撃して来たかのように錯覚させるほど。

 

その掌底をどうにか紅姫で受け止める。が、とてつもない衝撃を受け止めきれず、後ろへ軽く吹き飛ばされる。

 

 

「あら。案外やるのね。霊圧ばっかりのものだと思ってたら・・・良いわね。余計に唆られるわ・・・!」

 

「嬉しかねえよこの野郎・・・!軽く殴られただけでこっちはこの体たらくだよ・・・」

 

 

衝撃でビリビリと痺れる右手を振り回し、どうにか感覚を誤魔化す。そして今の一連の動作で分かるれっきとした力の差。

正直、逃げの一辺倒でしか作戦を立てる気にならねぇ・・・だが、さっきみたいにめぐみんを担いであのバケモノから逃げられる確率は・・・・ったく、色々と絶望的だなおい・・・

 

 

「良いわ------少しだけ興奮してきちゃった--------どうか、すぐに死なないでねっ!!」

 

「ッ!--------めぐみん!!さっきの道を引き返せ!!このあたり一帯にはモンスターはいないはずだ!!」

 

「っで、でも・・・・・!」

 

「良いから早く!!お前を気にかけながら闘える相手じゃ・・・」

 

「------闘いにお喋りがすぎるわよ」

 

 

紙一重で捌き続けてきたやつの拳。元より最大限の集中力を向けて、なんとか守りに徹すれば渡り合えるような状況だった。

 

そんな状況で後ろのめぐみんに少しでも気を向けてしまえば、どこかしらに綻びが現れる。当然、それを見逃す相手ではない。

 

拳が左腕を打ちすえる。凄まじい衝撃とミシミシと何かにヒビが入った様な感覚が脳に電流の様に駆ける。

 

激痛に顔が歪む。が、歯を食いしばりなんとか踏みとどまり、身体を動かさんと叫ぶ。

 

 

「----------ッッ!!------ああああああああああっ!!」

 

 

殴られた衝撃。その衝撃を左腕を上げ、身体を回転させるように捻り、威力のベクトルを変える。

凄まじい威力をそのままとは言えないが、十分な重さと速さに達した瞬間。紅姫を逆さまに持ち替え、回転のなすがままに女の身体に突き立てる。

 

 

「ハァッ・・・・・ハァッ・・・ハァ・・・・」

 

 

夥しい量の血を流しながらグシャッと糸が切れたように女が倒れる。肩辺りから脇腹を貫通するように柄まで深々と突き刺さった刀とそんなスプラッタな死体を他所に、改めて凄まじい痛みが身体を巡ってくる。使い物にならない左腕ととてつもない回転で負荷がかかった身体の隅々まで軋むような痛みを感じる。

 

 

(少し・・・休みたいがめぐみんを探さねぇと・・・・・アイツの魔力の感じを頼りに探せるか・・・・)

 

 

そう思い立ち、どうにか身体を動かし、刀を抜こうと振り向く。

そこには、女が立ち上がり虚ろな瞳で刀を肩から抜こうとしていた。

 

・・・ッ!?何故だ!?殆どの臓器を貫いてた筈だぞ!なのになぜ生きて動いている!?それに、あの時の手応えは完全に殺した筈だ!死んだ筈だ!死なせた筈だ!!

 

肩と脇腹に空いた穴からグチャグチャと不愉快な音と血を撒き散らしながらも女が刀を抜こうとする動きを止める予感は感じない。そして、足元にドス黒い血溜まりをつくり、身体から今も大量の血を流しながら、女は刀をカランと地面に捨てた。

 

 

「中々にテクニシャンね貴方・・・・おかげでそうね・・・3回くらいは死んじゃったかしら?」

 

「3回死んだ・・・・だと?明らかにあの一撃は致命傷だった筈だが・・・何をした?」

 

 

目の前の光景と動揺がひどく心を揺らす。だが、それでは奴の思うがままになってしまうだろう・・・何とか平静を装い言葉を返す。

この一言二言のやりとりの間で、今度は地面の血溜まりと身体に付着していた血が消え、傷口もみるみる塞がってしまった。

 

 

「あら。もう傷口が塞がった程度じゃ驚かないのね・・・ちょっと意外だわ・・・」

 

「さっきの光景を見た後じゃ驚かねえよ・・・それで、再三問うが・・・何をした」

 

「そうねぇ・・・言ってしまえば食べて大きくなった。それだけの事よ。まあモンスターどもはひどく不味かったのだけれど」

 

「・・・・食べた・・・だと?」

 

「ええそうよ。貴方のお仲間が見た通り、つい少し前の私はもっと幼くてまだヴァストローデとしての面影も残るそれはそれは醜い姿だったわ。だから、食べたのよ。命を取り込んで完全な姿になった・・・それだけよ」

 

「命を取り込む・・・・つまりお前の中には命のストックがあるって事か・・・だからあの一撃で死なず、蘇った・・・」

 

「そうそう。正確に言えば死んだのだけどね。久々にとっても痛かったわねぇ・・・少しイラッと来ちゃった」

 

(・・・・・後3・・・いや2秒弱・・・下手な動きを見せなければ恐らくその時攻撃が飛んでくる・・・・・なら・・・)

 

 

1・・・・・息を呑む。酷く冷たいツバと汗が身体の感覚を嫌でも引き寄せる。そして・・・・・・2!!

 

 

「『絶対零度の楔(ウェッジ・アブソルート)』!!」

 

「!--------へぇ。上手いこと読んだじゃない」

 

 

鞭の様にしならせ首を確実に捻じ切らんと飛んでくる黒い腕。それに向け準備していた足を思い切り叩きつける。

 

靴裏に仕込んだ魔法陣から魔法を発動させ、腕を凍りつかせる。巨大な十字架の氷像が出現し、辺り一帯の水分を凍らせ、気温を急激に低下させる。

 

奴は間違いなく腕を犠牲にして抜け出すだろう。時間は恐らく秒もかからない・・・が、この距離なら・・・・中々に面倒な鬼道だがやるっきゃねぇよなぁ・・・・!!

 

 

「縛道の九十九、第二番-----卍禁!!『初曲止繃(しりゅう)』!!」

 

「------んなっ!?何・・・これ・・・!?」

 

 

霊圧で作られた白の布。それらがまるで引き寄せられる様に体に纏わりつき、動きを奪っていく。

よしっ・・・・後は俺の忍耐力だけだ・・・!

 

 

「------『弐曲百連閂(ひゃくれんさい)』!!」

 

「--------------」

 

 

目も耳も声も動きも奪った・・・次は霊圧だ。それを塞ぎこむ。無数の杭が飛び、それらが身体の随所に突き刺さっていく。処刑が執り行われる様に無慈悲に、機械的に刺さっていく杭の数に連れドンドンと弱まっていく霊圧を感じながら、この縛道を終わらせにかかる。

 

 

「『終曲!!------卍禁太封(ばんきんたいほう)』!!」

 

 

------上空に出現した“それ”はあまりにも無慈悲で無機質だった。大きくそびえ立ち、一切の妥協を許さずトドメを執り行う。

 

重く、冷たい石の塊が俺の指揮に合わせ出現し、振り下ろされる。圧倒的質量による衝撃。地面を鳴動させまるで嵐の様な風量とそれによる土煙を巻き起こす。

 

・・・・・あの影は・・・フッ・・・・バカだなぁ、俺もアイツも・・・

 

 

「--------めぐみぃぃん!!お待ちかねの爆裂だあああ!!!」

 

「--------ッ!・・・はいっ!待ちわびてましたよサク!!------空蝉に忍び寄る叛逆の摩天楼。我が前に訪れた静寂なる神雷。時は来た!今、眠りから目覚め、我が狂気を以て現界せよ!穿て!エクスプロージョンッッ!!」

 

 

飛び上がりながら卍禁太封の維持にかける霊圧を極限にまで抑えて強度を落とす。

 

そして地上の木々が豆粒ほどになった頃。

地上に一筋の黒い軌跡が走る。軌跡が収束し、ゼロになる。そしてそのゼロから爆炎の破壊が巻き起こる。

 

その恐ろしい熱量が遥か遠くにいるはずの俺の頰を撫で、轟音が腹の底を揺らす。・・・・・あいつが病みつきになるのも分からなくもないな。

 

ゆっくりと降下し彼女の斜め後ろに柔らかく着地する。

彼女はそれと同時にキラキラした顔で振り返るがすぐに顔色を曇らせる。

 

 

「あ、あの・・・言いつけを破ってしまって・・・ゴ、ゴメンなさ--------え?」

 

 

彼女がそう言い切る直前。黙って帽子を押しつぶす様にしてわしゃわしゃと頭を搔きまわす。

 

 

「ああうぅ・・・・ど、どうしたのですか?」

 

「謝る事ないさ。冒険者ってのはいっつもそんなモンだ。ロマンを求めて無謀に挑み続ける。------お前は立派な冒険者だよ」

 

「--------あ、ありがとうございます!サク!」

 

「ハハ!・・・・さあ、帰ろうか。カズマたちに大金見せて目一杯驚かせてやりたいしな!」

 

「ハイッ!」

 

 

そう言い、踵を返して振り返った瞬間だった。

めぐみんが爆裂魔法を撃ち込んだ中心------すっかり死の土地になり今後数年は何も生えないであろうグラウンド・ゼロ(爆心地)から、何かが蠢く音がした。

 

息を呑みながらゆっくりと振り返る。

まさか・・・殺しきれなかったのか?あれだけの攻撃を入れておいて?いや、そんな筈は・・・・・

 

恐る恐るめぐみんを後ろに並ばせながら音の鳴る方へ一歩一歩近づいていく。するとそこにはゆっくりと緩慢な動作で起きる、小さな人影があった。

 

まだ生きていた------そう確信し、一切の躊躇いもなく抜刀する。

だが、そこからあり得ない一言が聞こえてくる。

 

 

「・・・・・パパ?」

 

 

幼い声。その主の姿にだんだんと目の焦点があってくる。

つい数分前に対峙していた女とそっくりな黒髪とブカブカのドレス。子供特有の大きく垂れた目。

 

確実に、初対面で可愛くてほぼほぼ裸で俺の事を確かに『パパ』と呼んだ幼女がそこにいた------------


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