ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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1ー02 このハーレム男に理性を!

「お、おい・・・ゆんゆん?どうして・・・こんな事になってるんだ?」

 

「すいません・・・案外3人も入られると狭くって・・・」

 

「いやそれは分かるんだよ!?だからって何でシングルベットに団子3兄弟してんの!?」

 

 

暑過ぎる・・・

シングルベッドの若干硬い布地に体を預けながら左からゆんゆん、俺、ルナさんの順で横たわっていた。

ベッドの面積的にやはり3人で寝るのは無理がありかなり・・・というよりこれまで俺が体験してきた中で断トツの至近距離に女性の顔があった。

 

それも・・・美女で・・・左右両サイドに・・・・・・これだけで全国非リア充から呪殺されそう・・・

15cm定規も挟む隙間が無いので女の子特有の良い匂いやスースーとか細い吐息まですべて聞こえてくる。

しかも・・・この子達、俺の腕枕にしてんのよ。

 

ルナさんはワンピースを着ているのだが布団の中で恐らくはだけまくっているのだろう。直にふとももや髪の毛や手の感触が伝わってくる・・・が!

男に棒有り、女に球有り・・・・・・こんな事言ったら往復ビンタ確定なのだが・・・思想だけなら自由・・・2人の豊満なメロンが当たるんだ・・・しかも2人とも胸元が開けているので素肌が・・・素おっぱいがプニプニと形を変えながら当てられてるんだ。

 

ルナさんは寝相のせいなのだが・・・ゆんゆんはこれ・・・明らかに当てに来てない?顔真っ赤だし・・・俺もだけどさ・・・さ、酒が入ってるのに寝れない・・・あれ?酒じゃなかったの?カフェインバリバリのブラックコーヒーだったの?俺が飲んでたのって・・・お願ぁい!誰かラリホーマ掛けて!!ブライのジッさん!ごめんね、昔ドラクエやってて

 

 

『お前つっかえねwwwお前なんか馬車行きやwwwトルネコにライアンというむさ苦しい馬車生活を送りながら勇者様の覇権を見てるがいいわwwwwカジノ行っとこwww』

 

『カwwwwwwwwwwジwwwwwwwwwwノwwwwwwwwww』

 

『アカンwwwwww魔窟や魔窟wwwwww勇者全裸で魔王討伐するよwwwwwwwwwww天空どころかぜwwwww全裸の勇者wwwwwただの変質者wwwwwwww』

 

『『『wwwwwwwwwwwwwwwwwwww』』』

 

 

とか言う会話してたの謝るから!!

アリーナとかマーニャにミネアとかとパフパフさせてあげるから!パルプンテ掛けてあげるから!!

勇者様は黙って壺漁ってるから!!恥ずかしすぎる!!

 

 

「あ、あのぉ・・・」

 

「はいっ!何でしょう!?60分コースですか?しっかりねっとりマーラ様(魔王)討伐コースですかっ!?」

 

「ね、ねっとり・・・じゃなくてですね!・・・」

 

 

俺の腕の中で両手をブンブンと振り顔を真っ赤にしながら狼狽えるゆんゆん・・・天使過ぎん?

手で顔を隠しながらその指の隙間から紅い瞳でこちらを見つめてくる。

 

 

「も、もう少しその・・・ち、ちちち・・・近づいても良いですか?その・・・毛布から背中がはみ出てて寒いんです・・・」

 

「そ、そそそそういう事なら仕方ないな!ほらお兄さんの胸に飛び込んできなさい!」

 

「胸には飛び込みませんが・・・し、失礼します・・・」

 

 

ガサガサと布擦れの音をを立てながら10cm程近づいてくるゆんゆん。

体は密着し呼吸の際に微かに揺れる体の動きまで把握できた。

近すぎん!?大丈夫?口臭とか体臭とか気になんない!?大丈夫だよね!?

 

 

「その・・・モノノベさんって温かいんですね・・・普段は見てるだけであまり接する事は無かったので・・・実は憧れてたんです。いつも人の輪の中心にいて明るく振舞ってるモノノベさんが」

 

「へ?・・・それってどういう・・・いやそうじゃなくて・・・ゆんゆんって冒険者だったのか?知らなかった・・・」

 

「うっ・・・そうです・・・よね・・・いつも端っこでご飯食べてるだけでしたし・・・」

 

「まぁ・・・こうやって知り合えて良かったさ」

 

 

なるべく平静を装いながら会話を進める。

そしてちょっとは良い所を見せようと真面目顔をつくりキザなセリフを吐いてみる。

すると赤色だった顔は茹ダコ位に紅潮させて顔を覆い尽くし、伏せてしまった。

 

可愛いなぁ・・・俺に向けてキャーキャー言ってくる女冒険者達とは違って純粋そうだな・・・いや。あっちはあっちでそそられる物があるんだが・・・

 

 

「し、知り合えて良かったってどういう・・・意味で・・・」

 

「うん?そりゃこうして友人が出来て嬉しいって事さ」

 

「ですよね~・・・何か分かってました・・・」

 

 

某はたらく魔王様の事が好きな女子高生みたいな事を言いながら残念がるゆんゆん。

安心してください。貴方もバッチリ守備範囲っすよ。

 

 

「ふあぁ・・・何だか眠くなっちゃいました・・・お休みなさあい・・・」

 

「あぁ。お休み、ゆんゆん」

 

 

こうして彼女は眠りに落ちてしまった。

案外精神図太いのね・・・あれ?

俺の両腕は彼女たちの枕にされ、ゆんゆんに至っては俺の体を全身抱き枕にしている。

 

う、動けねぇ・・・かと言って寝ちまうと寝相で何かしかねないし・・・

あれ?これって僕寝れない?もしかしてこのまま動いちゃいけない・・・?

 

これ何て拷問なの・・・?馬鹿なの?死ぬの?主に俺。

 

ちょっと・・・姿勢が苦しい・・・痺れてきた。

姿勢変え・・・・・ぼべえぇっ!?

 

何これ!?摘ままれてる!?両サイドから爪立てられてる!?

俺の体はペテルギ〇スの顔面じゃないんですけど!?

 

そ、それよりも痺れてていい加減辛い・・・ここは無理にでも姿勢を・・・!

 

 

「じんばぶえっ!?!?」(小声

 

 

ちょっとぉ!?拳飛んできたぞ!?

何で俺の体重の移動に反応して拳飛んできてんの!?この人達の腕加重センサーか何か!?

・・・動くなと。さいでございますか・・・良いだろう!元は冒険者の端くれ!!動かずに朝を迎えるなんて朝飯前・・・早く朝来てえええええええええええええっっっ!!

 

~*~

 

朝日が昇った。

俺の魂も昇りかけた。

 

ばくだん岩さながらの顔面を引きずりながら冒険者ギルドへの道を歩いていた。

何故だか二日酔いの1つもしていないルナさんと共に。

 

 

「いや~ビックリしたわよ。朝起きたら目の前にモノノベ君・・・というかばくだん岩の顔があったんだもの。というか不思議ね・・・二日酔いも全く起こってないし・・・何かしら?スッキリ飲めると後にも引き摺らないのかしらね」

 

「あふぁふぁ・・・そうへふね・・・」

 

 

どうしよこの顔面・・・紅姫の卍解でどうにかなるかな・・・

そういやゆんゆん何処行ったのかな。冒険者ギルド行けば会えるかな・・・

 

何やかんやあって今日もブラック勤務が始まった。

一気に活気づいた冒険者ギルド。

騒がしい冒険者ギルドに負けないよう俺も声を張り上げて受付の波を裁く。

 

・・・・・まぁ一向に減ってないんだけどさ・・・・

・・・ん?あの服って・・・ジャージ?

 

緑色の全身ジャージを着込んだ茶髪に黒目をした地味~なTHE日本人といった15、6位の少年だ。

それに・・・あの青目青髪・・・青を基調とした服に極ミニスカート。それに紫の羽衣に白色の棒に先端に蓮のレリーフの様な物が付いている杖を持っている。

後で事情でも聞いてみるか。

 

 

「次の方どうぞ!・・・えぇ~こちらのクエストは・・・3日間でジャイアントトード5匹の討伐ですね。報酬は10万エリス。受諾料は1500エリスになります」

 

「え・・・・・受諾料・・・?」

 

「はい。事前に受け取る手数料の様な物です。もちろんクエストが完了されれば返済されますが」

 

「そ、そうなの・・・?」

 

「そうです」

 

 

いきなり引き攣った顔を見せた少年。

そして顔を伏せて後ろの少女の方へと向き直った。すると・・・・・

 

 

「おらっ!こんな杖とっとと質屋に入れに行くぞ!おい!はよ寄越せ!!」

 

「あぁっ!止めて!止めてよ!!私の『まじかる☆アクアちゃんステッキ』を売りに行こうとしないでよ!!それ間違いなく取り返せないじゃない!!」

 

「お、お客さん・・・」

 

「安心しろTRUST ME!!絶対買い返したるから!!」

 

「あのぉ・・・お客さん?」

 

「信用ならないわよあんたみたいなヒキニート!!何を信じろってのよ!?どうせゲームしか取り柄が無いくせに!!」

 

「あぁっ!!言ったなこの駄女神!!表でろ!ボッコボコにしてやるよ!!じゃんけんで!!」

 

「お客様!!・・・お静かに・・・というか表に出ましょう?」

 

 

俺の怒声に全ての視線がこちらに向けられる。

若干気まずいのでとっとと出よう・・・

 

 

「ルナさん!ちょっと穴埋めお願いします!」

 

「わ、分かったわ!!」

 

「お騒がせしてすいませんでした~・・・じゃあね!」

 

 

すっかりビビりきっている冒険者達や職員を和ませてから冷や汗全開の馬鹿2人を連れて出て行ったのだった。

 

~*~

 

「さあてお前ら・・・」

 

「すんません!このバカなんです!!このバカが悪いんです!!」

 

「ああっ!ちょっと!何言ってんのよこのクズマ!!職員さん!こいつです!全ての元凶はこいつなんです!!」

 

 

・・・・・こいつら酷いな。

まあ叱る気は無いんだけどももうちょっと反応を楽しもっかな・・・いや、ルナさんに悪いな。

とっとと済ませよう。

 

 

「とまぁ、冗談は置いといて・・・」

 

「「・・・へ?」」

 

 

冷や汗が全て引っ込むのと同時に希望の色が彼らの顔に現れた。

ホント面白いなこいつら・・・

 

 

「日本からの転生者だろ?俺は物部朔。まぁ転生者同士上手くやってこうや」

 

「そ、そうだったのか。ヒヤヒヤした・・・俺は佐藤和真。こちらこそよろしく。こっちの駄女神は・・・」

 

「駄女神じゃないって言ってんでしょ!アクアよアクア!!」

 

「和真・・・お前の転生特典ってまさか・・・」

 

 

・・・うん。

女神じゃあ無いよね。まさか女神連れてくる何て事は・・・

 

 

「この駄女神だ」

 

「・・・まじ?」

 

 

こいつら・・・馬鹿過ぎん?

普通はさ、金になるような物を選ぶ物でしょ?俺だって紅姫使って金稼いでたのに・・・

しかも、受諾料が無いって・・・無一文なのかよ。

しゃあない。ここはお兄さんが一肌脱ぐか!

 

 

「1500エリス位はこっちが工面するさ。だからとっととクエスト行って来い」

 

「「ありがとうございます物部様ぁ!!」」

 

 

二人は綺麗にお辞儀をして土煙を撒き散らしながら突っ走っていった―――――――

 

 

 

 




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