プトレマイオスでは、ガンダムマイスターを含むクルーの全員には一人一つずつ私室が割り当てられている。何も工夫をしなければ窓一つない部屋は息苦しさを感じさせずにはいられないが――――セレネの場合は備え付けのテーブルの上に小さな白い花が置かれていた。……特殊な素材で固めた、標本のようなものだ。
それ以外の私物は、ほとんどが両親が研究に使っていたという資料。両親の意見が書き込まれたアイシスの設計図面や、GNドライヴから生み出される粒子の運用法の改良案などもある。両親亡き今は処分されるべきものでありながら、セレネはそれをこっそりと隠し持っていた。
そして、セレネはベッドに寝転がって地球で買ったカメのぬいぐるみを抱きしめながら、先程の戦いを思い起こす。
(……死んだ。たくさん、人が……)
パイロットスーツを脱ぎ捨て、他のマイスターたちも着ているらしいピッチリしたインナーも脱ぐ。それから軽くタオルで身体を拭ってから下着と淡い水色のワンピース、無重力下で下着が見えないように半ズボンを着ると少し身体の強張りがとれたような気がした。
「………へいき、だから……きっと」
震える手で情報端末を開き、アイシスから転送したミッションレコード……記録映像を再生する。そして、スローやズームを駆使して敵機の動きや自分の動きを見直しながら、相手のコクピットが無事かどうかを確認していく。
………わたしは、なにをしてるのだろう?
平和な世界のために、世界から戦争を無くすために戦っている。
……人類がこの先もずっと争い続けるより、その方が亡くなる人は少ないだろう。
………けれど、こわかった。
自分が殺した誰かが、誰かのお父さんやお母さんだったら? 大切な人だったら? どんな理由があっても、それを奪われた人は私を許せないだろう。あの嘆きが、苦しみが、悲しみが、この世界から無くなってほしいから戦うのだ。
矛盾していると思う。でも、それで……私の自分勝手な戦いでも、それでも確かに生き残れる人は増えるはずなのだ。
思考が堂々巡りになりかけたその時、部屋の扉がノックされた。
「は、はい…っ?」
一体誰だろうか。滅多にない誰かの訪問に思わずベッドの上で姿勢を正すと、扉が開いてパイロットスーツの刹那が入ってくる。
「……っ!? せ、せ、刹那…っ!?」
「……邪魔をしたか」
僅かに目を細めた刹那は私と情報端末を見比べて呟き、出て行こうとする。それを私は、慌てて呼び止めた。
「い、いえ…っ! その、さっきのミッションの映像を確認していただけですから…!」
「……そうか」
今回の防衛戦はいつものようにヴェーダに指示されたミッションというわけではなかったけれど、気分の問題である。刹那はザッと部屋を見渡し、机の前に置かれた椅子の上に私が脱ぎ捨てたパイロットスーツとインナーが引っかかっているのを見ると黙って壁際についた。
(~~~~…っ!?)
は、恥ずかしいのです…っ!?
火が出るかと思うほど顔が熱くなり、誤魔化す意味を込めて私は慌ててベッドを勧める意味を込めて軽く叩きました。
「そ、その、どうぞ…!」
「……いや、俺は……」
いえ、刹那だけ立たせて(?)おくわけにはいかないのです!
この状態で椅子を勧めるのはちょっと……かなり恥ずかしいですし、部屋が狭いのですからベッドを椅子代わりにしてもいいでしょう。
……それとも、やっぱりベッドは嫌でしょうか…。自分では気づかないだけで実はこの部屋ってくさいとか……?
どうしてか妙に速い心臓の鼓動と空回りする思考に、ネガティブな考えを抱きそうになり―――刹那がスッと壁を蹴って私の隣にカメのぬいぐるみを挟んで座りました。
(……ち、ちか、近いのです…っ!?)
宇宙ではそう簡単には止まれないことを失念していた。
刹那から僅かに漂う汗をかいた後特有の匂いに、どうしてか心臓が跳ね上がるような気分を味わう。
(……で、でもここで距離を取ったら嫌がってるみたいですし…っ)
すごくヘンな気分だけれど、いやじゃない。
……むしろ、刹那が離れたら刹那に嫌がられてるってこと―――と考え、咄嗟にいつの間にかパサパサに渇いてしまった気がする口を動かす。
「そ、その……それでどうしたのですか、刹那…?」
言外にこんなところに来るなんて珍しい。という意味がないことも無いのですが、かなり近く感じる刹那の顔を見上げると、刹那は僅かに口元を引き結んでから言った。
「……話は後で聞くと言った」
「………? ………あっ!?」
そうだった。アレルヤさんを助けに行こうとする前、プトレマイオスの防衛を放棄しなければならないことを納得してもらおうとして……。
『―――時間がないのです…っ! あとで説明しますから―――…っ!』
『―――了解した。……ここは任せろ』
『……せつ、な…!?』
『……話は後で聞く』
『――――…っ。ありがとう、です…っ!』
――――す、すっかり忘れてたのです…っ!?
最近、刹那の表情の変化が「怒った顔」と「呆れた顔」だけ分かるようになったのですが、呆れ顔としか言いようの無い顔になった刹那が、補足するように小さく呟きます。
「スメラギ・李・ノリエガは、ティエリア・アーデと今回の作戦について話している」
「………ぁっ」
……今回、スメラギさんの作戦は相手に読まれてしまい、その影響でキュリオスとヴァーチェが鹵獲されかけてしまいました。きっとそれでしょう。
なんとか、スメラギさんを擁護したい―――そう思いましたが、私は直感は良くても戦術予報については完全に専門外なのでどうにもなりません…。
僅かに考え込むと、刹那が呟きます。
「……説明は」
「―――あ、ご、ごめんなさい…! え、えっと……」
ま、まさか刹那に聞かれるなんて…!?
てっきりスメラギさんかティエリアさんくらいじゃないと何も聞かれないだろうと思っていたので、何も言う事を考えてないのです…っ!?
できる限り正直に答えるのなら『アレルヤさんの声が聞こえたから』、ですが………もし正直に答えて刹那に頭がおかしいと思われたら……そして、もしも『あの事』を知られてしまったら。
その想像に頭が真っ白になり、身体の奥が冷たくなるような気がして……気がつくと、小さく呟いていました。
「そ、その………ちょ、直感…です……?」
「………そうか」
自分でも苦しすぎる言い訳だとしか思えない回答に、どうしてそんな答えにしてしまったのかと後悔する。けれどその後悔も既に遅く、刹那は僅かに視線を鋭くすると「もう話すことはない」と言わんばかりにベッドから浮き上がり、床を蹴って部屋から出て行ってしまいました。
「………せ、つな…っ!?」
怒らせてしまった。
伸ばした手は遅すぎて、閉じてしまった扉があるだけ。
視界が滲んで、涙の粒が無重力で浮かぶ。
「………わたし、どう…して……」
私は、どうして泣いているの?
訳が分からなくて、でもどうしようもなく悲しくて、ぬいぐるみを力いっぱい抱きしめて顔をうずめた。
「…………ぅ、ぅぅ………ぅぁぁぁ…っ」
――――――――――――――――――――――――
セレネの部屋を出た刹那は、言いようの無い気持ちに襲われていた。
(……なぜ、俺は……)
わざわざセレネを問い詰めて困らせる必要も、そのまま部屋を出てくる必要もなかった。けれど、説明できない感情が刹那にそうさせていた。
――――あの時。プトレマイオスを守っている間に、躊躇い無くセレネを信じた自分がいる。
それが何故なのかは分からなかったが、必死なセレネの声を聞いて応えたいと思った。それで戦況が苦しくなるとしても、一片の迷いもなく。
――――そして、知りたいと思った。
救援に行きたいといったのは偶然なのか。……キュリオスが、ガンダムが簡単に鹵獲されるなど容易に想像できることではない。なぜ、あれほどまで必死だったのか。
………そして、何のために。なぜ、戦うのか。
知る必要の無いこと。むしろ、秘匿義務がある以上は知ってはならないことだろう。けれど、セレネの考えを知りたいと思った。
「…………俺は」
俺は、怒っていたのか…?
セレネに答えをはぐらかされ、言いようの無い感情とともに部屋を出た。……怒っていた、のだろうか。
何かがおかしい。そう思った。
ガンダムマイスターである以上、隠し事や言えないこと、言いたくないことがあるのは刹那も理解している……いや、していたはずだ。
事実、ロックオンやアレルヤ・ハプティズム、ティエリア・アーデが何を考えているのかは気にならない。……考えは違えど、ガンダムマイスターである以上は気にする必要が無いことだ。なら、俺はセレネを信用していないのか?
「……違う」
そんなはずはない。すんなりと出た否定に僅かに安堵しつつも、答えの出ない迷宮に迷い込んでしまったように胸が晴れない。
そして、ようやく先程の自分の行動でセレネが落ち込んでいるかもしれないという考えに至って胸が痛んだ。しかし逆に、全く気にしていないのではという言いようの無いモヤモヤした感情も頭を掠め――――艦内放送で、スメラギ・李・ノリエガの声がした。
『―――今後のプランを説明します。ブリーフィングルームに集ってちょうだい』
―――――――――――――――――――――――
アレルヤ・ハプティズムからの情報提供により、人革連の所有する『超兵』―――宇宙空間に適応するために肉体改造と神経処理を施された強化人間―――をつくるための施設『超人特務機関』。そこへのキュリオスとヴァーチェによる武力介入が決まった。
そしてエクシアとアイシス、デュナメスはオーバーホールのために中断されていた地上への武力介入のために地上に降りることとなる。
というブリーフィングを終え、セレネ・ヘイズと刹那・F・セイエイの放つどんよりした空気から、スメラギ・李・ノリエガから聞いたセレネ・ヘイズの不可思議な言動についての質問は一旦保留することにしたティエリア・アーデは、プトレマイオスにある彼専用のとある部屋に来ていた。
様々なデータが表示される、球状の部屋。
―――計画の要である量子型演算処理システム『ヴェーダ』と接続するためのアクセスルームである。
そこを漂うティエリアの虹彩が電子的な黄金の輝きを放ち、瞬時にヴェーダから膨大な情報がティエリアの中に流れ込む。
その膨大な情報の中で、ティエリアはヴェーダにブリーフィングルームの記録映像を要求した。クルー間での情報共有やミッションプランの説明や検討に用いられるブリーフィングルームは、その性質上常に室内が録画され、ヴェーダのデータベースに保存されているのである。
その映像の中からティエリアはスメラギとアレルヤの会話の部分を見つけ出す。
……そして更に、ヴェーダから作戦プランと付属データを閲覧する。
そこに載せられていたのは、アレルヤの過去。超人特務機関と超兵計画。
ティエリアは静かに目を閉じ、思う。
(そうか……人類というものは、人間というものは、ここまで愚かになれるのか……)
ティエリアはこのとき、過去と向き合って任務のために行動しようとするアレルヤのことを初めて評価に値する人間だと―――ガンダムマイスターだと認めようとしていた。
(……しかし、脳量子波を使えるようにグリア細胞を強化した人間だと…? それならば……)
超兵同士では脳量子波の干渉を受けるという。つまり、セレネ・ヘイズも『同類』だと考えると今回の不可解な行動にも納得がいく。しかし、彼女の両親はソレスタルビーイングのメンバーであったはず……。
(……レベル7へのアクセス権)
ヴェーダの情報は、情報の重要度から7段階にレベル分けされ、ガンダムマイスターに関するデータは最高機密であるレベル7に位置する。そこを閲覧することはティエリアにのみ許された特権であったが、計画を歪める危険性も考えて余計なことをするつもりはない……いや、なかった。
しかし、ソレスタルビーイングの内部にそのような真似をする輩が入り込んでいるのならば由々しき事態だ。見逃すわけにはいかない――――。
その思いからティエリアはレベル7、セレネ・ヘイズのパーソナルデータにアクセスし――――静かに息を吐いた。
「……そう、か。そういうことか……」
なぜ彼女がガンダムマイスターなのか。ずっと抱いていた疑問を吐き出し、セレネ・ヘイズへの評価を改める必要があると感じた。
(………一体、どんな思いだったのか……)
ヴェーダからは情報しか読み取ることができない。
……これまでヴェーダが全てだと思っていたティエリアが、初めてそれ以外の情報も必要だと感じた。
(……人間は、表面的なものだけではない…か。そうか、そのために―――)
――――――――――――――――――――――――――
太平洋上空を、3機の大型輸送機が東から西へと飛んでいた。目的地は中東のアザディスタン王国。それはアザディスタン王国の改革派からの要請を受けたユニオン軍の輸送機であり、搭載されているのは対ガンダム調査隊のモビルスーツとパイロットであった。
そしてその調査隊の隊長であるグラハム・エーカーは、ガンダムの性能を記録、解析、そしてできることならば鹵獲せよとの指示を受け、先頭を飛ぶ輸送機の貨物室に併設されたレストボックスにいた。
そこには技術顧問のビリー・カタギリと、グラハムのスカウトしたフラッグファイターであるダリル・ダッチとハワード・メイスンの姿もある。
「ようやくガンダムとまた出会えそうですな、中尉」
「そうでなくては困る」
ハワードに答えるグラハムは、ガンダムに出会えなければ何の為の調査隊だか分からないと考える。……これまでに何度かユニオン領にも小規模な武力介入があったものの、到着するころにはガンダムはいなくなっていたのである。つまり、タリビア以降は一度もガンダムと出会えていないのだ。
「しかし、アザディスタンに出兵できるとは」
褐色の肌を持つダリルの言葉に、カタギリが答える。
「軍の上層部がアザディスタンの議会に働きかけた結果だよ。軍上層部としてはガンダムが欲しくてたまらないようだからね。無論ぼくらもだけど」
友の言葉にグラハムは軽く微笑み、そして窓越しに愛機を見詰める。
今度こそ、ガンダムと全力を尽くした戦いを…! その中でしか得られないものがあると彼は熟知し、そして切望していた。
―――――――――――――――――――――――
アザディスタン北部の国境付近、山岳地帯の一角に隠れるようにして王留美の所有する専用VTOLが着陸していた。付近には外壁部迷彩皮膜を発動させた3機のガンダムが待機し、機内のキャビンには三人のガンダムマイスター―――刹那・F・セイエイ、ロックオン・ストラトス、セレネ・ヘイズがシートに腰を下ろす。
「アザディスタン王国内では保守派と改革派による内戦が勃発するのは確実視されています。内戦が始まるまでは機内でお待ちください。狭いですが、部屋も用意しておきました」
――――アザディスタン保守派の宗教的指導者にして象徴である、マスード・ラフマディーが誘拐された。
そのニュースは既に世界を駆け巡り、三人と王留美、そして紅龍(ホンロン)は別ミッション遂行のために連絡の途絶えているスメラギさんたちの助けを借りずに対処する必要があった。ので、今はこうして国境付近で待機しているというわけだ。
紅龍は状況を伝えつつ3人の前にコーヒーの入ったカップを置いた。
「気が利くね」
と軽い調子でロックオンが答え、ハロが『ホテル、ホテル』と電子音声をあげる。その一方でセレネは興味津々といった風情で真っ黒なコーヒーを覗き込み、すんすんと匂いを嗅いでいる。セレネは見た目がアレなので下品というより微笑ましい感じではあるが、本人が望んでいる「子どもじゃなくてレディ」には程遠い何かである。
「で、どうするんだ?」
ロックオンがセレネに苦笑しながら手本とばかりにコーヒーを一口飲みつつ王留美に水を向ける。
「アザディスタンの内紛を抜本的に鎮めるためには、誘拐されたマスード・ラフマディー氏を保護し、全国民に無事を知らせる必要があります」
「じいさんを拉致った組織は?」
二人が真面目な話をする傍ら、セレネは「これくらいいつも飲んでいます」とでも言いたげな顔で何気なく一口飲み―――。
「………~~~っ!?」
口を押さえ、その受けたダメージを物語るかのように足をバタバタと動かす。それでいてバレないようにするつもりなのか必死に声はあげないセレネを他の4人は見なかったことしてあげよう。と目線だけで通じ合い、話を続ける。
「まだ特定には至っていません。ただ、誘拐した組織は改革派ではない可能性が高いとヴェーダが推察しています」
「保守派のマッチポンプかぁ?」
ロックオンが嘆くような声を出し、紅龍がロックオンの前に角砂糖の入った瓶を置く。その行動と紅龍の視線だけで察したロックオンは無造作に砂糖をコーヒーに放り込んでまた一口。
「っと、やっぱり砂糖は美味いな」
別にビターコーヒーでも構わないのだが、勿論今回の目的は別にある。元々セレネのコーヒーには砂糖を仕込んであったのだが、予想外の反応だったのでセレネが意地を張らずに砂糖を追加できるようにとの優しさである。
案の定、きょろきょろと若干挙動不審になりつつも砂糖の瓶を確保したセレネがぱぁっと笑顔になりながらコーヒーにドバドバと砂糖を入れる。ついでにこっそりと角砂糖を口に放り込んで頬を緩める。
「………ぁふぅ」
セレネのとても満足げな笑みに刹那以外の3人は必死に笑いを堪えながらも、話を続けるべく今度は紅龍が口を開いた。
「…だっ、……んんっ! だ、第三勢力の可能性もあります。ラッフ……ラフマディー氏の捜索のためにエージェントを派遣しましたが、この国の人々は異文化を嫌っています。どれだけの成果が出せるか……」
紅龍が言葉を濁らせると、刹那がシートから立ち上がった。
「俺も動こう」
「あなたが?」
視線を向ける王留美に、刹那が答える。
「……俺はアザディスタン出身だ」
「この国の?」
「ああ」
ロックオンはその言葉に一瞬、何かを考えるような素振りを見せたがすぐに苦笑し、言った。
「……刹那、故郷の危機だからって感情的になるんじゃねぇぞ」
「わかってる」
刹那はVTOLから離れながら、内紛について考える。
(この国に紛争を仕掛ける者がいる……)
それは、刹那にとって決して無視できる考えではなかった。嫌でも過去の記憶が蘇るのだ。六年前の、クルジスとアザディスタンの国境紛争が。銃を取って駆け抜けた戦場と、恐怖。聖戦と信じて命を散らしていった仲間の少年兵たち。
(あんなことを、まだ続けるつもりか……!)
それは過去から何も学ばない世界への怒りであり、死んでいった少年たちのことを一顧だにしない生者たちへの怒りでもあった。
一方、納得の行く甘さに仕上げた黒い砂糖水を飲み終えたセレネは、どこからともなく取り出したメイクセットを手に意気込むのだった。
「――――わたしも、いきます!」
「いや、セレネ。お前は待ってろっての!」
「待機をオススメいたしますわ」
「……紅茶でもいかがでしょうか?」
なんだか微妙な空気になったことに気づいたセレネは、しかし刹那とは未だに気まずい空気とはいえ、刹那の故郷が見たいと思った。
「……!? い、行くと言ったら行くのです…っ!」
「ほらよ、チョコレートだ」
「―――いただきます…っ!」
……甘い甘い砂糖水の後に食べたチョコレートは、とても苦かった。
次回予告
アザディスタンで起きた内紛により、故郷の地を踏む刹那。彼がそこで受ける断罪とは何か……。希望の背後から、絶望が這い寄る―――…貴方の背後に這い寄るガンダム♪ セレネ・ヘイズですっ♪