Legend of Galaxy~表裏一体の光と影~   作:takanist

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第3話~桃色の忍びはいつから好意を寄せていたのか~

ここはとある道場

そこには正座している少年と青年、傍らには木刀

「「!!」」

二人同時に立ち上がると、その勢いのまま木刀による打ち合いを始めた

「はっ!はっ!はっ!」

少年の方は精一杯木刀を振っているが青年の方は軽く流している程度だ

「ふっ!!」

少年の一瞬の隙をついて青年は木刀を少年の喉元に勢いよく添える

「そこまで!」

そんな声が聞こえると二人は木刀を下し一歩下がった

「やっぱりまだまだ敵いませんね」

少年の一言で張りつめてた空気が少し緩む

「まぁ、俺は強いからな!」

少年の相手をしていた青年が答える

「もう、タカちゃんはすぐ調子に乗るんだから」

「でも強いのは事実ですからね」

「確かに、僕ら6人の中で一番強いのはタカちゃんだしね」

少年は打ち合いを見ていた男と会話をしていた、すると

「稽古は終わりましたか?」

一人の女性が道場に入ってくる

「はい、今終わりました!」

少年は元気よく答える

「ではご飯にしましょうか、ミチル君」

「はい、霞さんの料理は美味しいので楽しみです!」

ミチルと呼ばれた少年は道場の出入り口まで行き、振り返り

「稽古、ありがとうございました!」

そういって道場を出て行った

 

「ミチル君は素直でかわいいですね」

「そういえばミチル君が家に来て、もう一年になるんだね」

「かなり頑張ってますよね」

「・・・」

「どうかしました、天晴君?」

「まだだ、あいつはまだまだ強くなる」

「タカちゃん・・・」

「あぁぁ、俺も腹減った!さあ飯だ飯!」

そう言いながら道場から出ていく

「そういえばミチル君はタカちゃんがスカウトしてきたんだよね?」

「今まで弟子の申し込みがあっても頑なに拒否してきた天晴君が、初めて弟子を迎え入れましたからね

 今だに迎えた理由を聞いても、'なんとなく'としか言わないんですよね・・・」

「まぁタカちゃんなりの理由がちゃんとあるんじゃない?」

「そうだといいんですけど・・・」

二人もそんな会話をしながら道場を出ていく

 

 

ここは伊ケ崎忍術道場

礼堂ミチルは6人のラストニンジャ候補を師匠にもつ生活を送っていた

 

 

 

その日の夕飯はカレーだった

「どうですか、ミチル君?」

「はい、すごく美味しいです!」

「それはよかったです!」

ミチルの感想に笑顔になる霞

その光景を傍から見ている男性陣(-天晴)と風花

 

「最近霞ちゃんがやけに料理の勉強してると思ったら、やっぱりそういうことだったんだね」

「風花ちゃん、まだそうと決まったわけじゃないよ」

「でも霞ちゃんのあの表情を見てよ!」

「・・・」

「キンさんはどう思う?」

「あっしには、親戚の子を可愛がっている感じにしか見えやせんが・・・

 八雲坊ちゃんはどう思いやすか?」

「っていうかそんなに気になるなら本人に直接聞けばいいだろ」

「そんな無神経なこと出来る訳ないでしょ!」

風花に怒られてしまう八雲

「なぁ霞」

「なんですか、天晴君?」

会話に参加せず黙々とカレーを食べていた天晴が霞に話しかける

「お前ってさ、ミチルのことs」

そこまで言ったところで、風花と凪に抑えられる

「お兄ちゃん、バカじゃないの!

 いくらお兄ちゃんでもそこまで無神経だとは思わなかったよ!」

「タカちゃん、聞くにしても時と場所を考えようよ!」

「ん~~~~~~~」

「ん?」

霞は一向に分からないといった様子で首を傾げていた

「あ、あぁ、気にしないでくださいやし!

 ささ、ミチルとの談笑を続けてくださいやし!!」

「はぁ・・・」

「本当にタカ兄は・・・」

 

 

 

 

「ではお先に失礼します、おやすみなさい」

「おやすみなさい」

戸を閉めて、ミチルの足音が聞こえなくなった

「で、なんなんですか?私に聞きたいことって」

風花たちは霞に'聞きたいことがある'といってこの部屋に残ってもらったのだ

ミチルがいない今でなければ聞けないことを聞くために

「風花ちゃん!」

「えっ私?凪が聞いてよ!」

「一番聞きたがってたのは風花ちゃんでしょ!」

「・・・」

霞は切り出すのをじっと待っている

「分かったよ・・・霞ちゃん!」

「はい?」

「霞ちゃんは!」

「・・・」

「ミチル君のこと・・・」

「はい」

「・・・好きなの?」

 

長い沈黙が流れる

 

「風ちゃん」

「霞ちゃん・・・」

「な、な、何を言っているんですか?

 わ、私がミチル君のことを好き?

 確かにミチル君は修行も弱音を吐かず頑張ってますし、その姿勢はとても偉いと思います

 それに顔だって悪くないし、性格もいい

 剣の腕だって申し分ないし、私の作った料理を美味しいと言って残さず食べてくれます

 けど、だからって私が弟子に好意を抱くとでも?

 弟子だし年下だし、いくら可愛げがあるといっても

 そんなことは万に一つもありませんよ」

 

「霞ちゃん、かなり動揺してるし

 途中途中に完全な惚気が入ってる気がするんだけど」

凪の言葉を聞いて

「ど、動揺なんてしてませんよ!」

(めちゃめちゃ動揺してる)

凪、風花、キンジは同じことを思っていた

「あんまりこういうことに使いたくないんだけど、霞姉のためだ」

「八雲坊ちゃん?」

「気持ちははっきりさせた方がいい!」

八雲は杖を霞に向け

「レーナニキジウヨシ!」

霞に魔法を掛けた

「霞姉、ミチルのことをどう思ってるんだ?」

「・・・」

みんなが固唾を飲んで見守る中

「私は・・・」

霞が口を開いた

「お慕いしています」

「・・・」

「はっ!今、私は何を・・・」

「霞ちゃん・・・」

「みなさん、どうしてそんな温かい目で私を見ているんですか!?」

「霞ちゃん、頑張れ!」

「とうとう言ってしまいましたか・・・」

 

 

 

「霞ちゃん、いつからなの?」

今部屋には霞と風花の女子二人だけだ

所謂、ガールズトークを繰り広げている

「いつからかは、分りません

 気付いたら目で追っていました」

「もしかして初恋?」

「恥ずかしながら・・・」

霞は23歳にして初恋を絶賛経験中なのだ

「料理を勉強しだしたのも、ミチル君のため?」

「はい、、」

(可愛い!!これが恋する乙女なの!?)

「でも不安もあるんです」

「不安?」

「初恋は叶わないと言いますし

 それに、ミチル君はカッコいいから他にも言い寄ってくる女性がいるのではないかとか」

「また惚気?」

「そんなつもりでは!」

でも確かにそれは気になってしまうんだろう

「でも今は基本的にこの家からは出てないから、言い寄ってくる云々はないだろうけどね」

「風ちゃん!」

「何?」

「私は、この気持ちをミチル君に伝えるべきでしょうか?」

「うーん・・・」

確かに師匠と弟子というしがらみがある分、そういう悩みがでてくるのはしょうがない

「それは霞ちゃんが自分で決めることだよ」

「・・・」

「でも、霞ちゃん自身が後悔しない選択をしなきゃダメだよ!」

「風ちゃん・・・ありがとうございます

 これじゃあ、どっちがお姉さんか分かりませんね」

「いいんじゃない?

 たまにはこういう事があっても」

「そうですね・・・

 風ちゃんは、好きな人とかいないんですか?」

「えっ、私!?」

 

 

 

 

ガールズトークは終わらない

 

 

 

 




ミチルの修行先というのは伊ケ崎忍術道場でございました!
そして、ミチルが全然出てこない!

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