この物語は多分に妄想が詰め込まれているため、あなたのオーバーロードに異常を来す恐れがあります。
なお、原作で明記されていない設定については憶測の域を出ていませんのであしからず。
エ・ランテルの執務室でアインズはアルベドがまとめた書類に認印を押しながら、アルベドに問い掛ける。
「アルベド。私が前に提案した、お前たちの休日の件はどうなっている。いくらお前たちが疲労無効の装備をしているとしても、確実に休日は取って貰いたい。」
「申し訳ありません。
アインズに声を掛けられた喜びに対して、その問いへの成果があまり芳しくない現状に表情を曇らせるアルベド。
「そうか。では、明後日に試験的に配下の数名を私の命令として休暇をだせ。・・・そうだな、たまにはで友人とBARでおしゃべりするのも楽しいんじゃないか?とでも、声をかけてあげるといい。」
わずかに見当のつかない顔をするが、一転して目を輝かせる。
「畏まりました。アインズ様。しかし、アインズ様がわざわざその様な事を為さらずとも、ただそう仰るだけで我々は―」
「よい、アルベド。お前が何を考えているのかは分からないが。私は私の休日を楽しもうとしているだけだ。ただ、くれぐれもBARに行くように強制しないようにな。」
そうして、二日後いつもの様に仕事を終わらせ自由になる時間がやってくる。
今までならば、そういう時間は鏡を見ながらポーズの練習をしているわけだが、今日は違う。リング・オブ・アインズウールゴウンを使いBARに転移する。
「さて、どれだけ集まっているのやら。まぁ、これで誰もいないととんだマヌケだな。」
しかし、そんな思いとは裏腹にかなりの数の配下たちが集まっていた。
「こ、これはアインズ様。アンデットであるアインズ様が、どうしてこんなところに。」
「おぉ副料理長、久し振りだな。いや、ちゃんと言葉を交わしたのは初めての事だったか。しかし、今日は沢山の人がいるんだな。いつもこんな感じなのか?」
「いえ、いつもならばこんなに人が集まることはないんですが、なぜだか今日に限って・・・せっかく偉大なる御方がいらっしゃっているのに。申し訳ありません。」
まぁ、皆がここに来たのは俺のせいなんだけど。
「ところで、アインズ様はどうしてこちらに?」
「いやなに、私にだって時には話を聞いてもらいたくもなるさ。勿論聞いてくれるだろ、副料理長?」
「勿論ですとも、アインズ様。不肖ながらこのわたくし、ヒドネルム・ペキイがお聞きいたしましょう。」
「まぁ、そこまで気負う必要はない単なる私の昔話だよ。そう。もう、過ぎ去っていった過去の話さ」
「モモンガさん。今日は何処に狩りいきます?できたら、神聖系モンスターを狩りに行きたいんですけど。」
「神聖系か、あまり神聖系にはいい思い出がないんですけどね。それにしても、どうして神聖系モンスターなんです?大してうま味があるモンスターって訳でもないでしょう。」
「それがですね。確かな情報じゃ無いんですけど、最近天使モンスターが、かなり露出の多い鎧の外装データをドロップしたって噂があるんです。まぁ、レベルはかなり低いってんであまり使い物にはならないんですけど。僕としてはシャルティアちゃんのコスプレ用に取っておきたいなって。」
うわぁ、流石というかなんというか、ペロロンチーノさんはブレないな。そういうとこってやっぱ憧れるな。
「それじゃ、メンバーに声かけて向かってみましょうか。」
「さっすが、モモンガさん!装備が完成したら、いっちばん最初にシャルティアちゃんの新コス、お披露目しますね!」
「それはどうも、ドロップするといいですね。レベルは低いとはいっても、それなりにレアドロらしいんでしょ?こんな時に限って物欲センサーなんてのが作動しちゃいますからね。」
そんなやり取りをしていて、集まったのが。
ウルベルトさん、たっち・みーさん、ぶくぶく茶釜さんとヘロヘロさん、そして俺と企画者のペロロンチーノさん。まぁ、戦力的にはベストなんだけど・・・
「モモンガお兄ちゃんが、天使狩りに行きませんか。なーんて言うから何事かと思ったけど、弟が提案者かよ。」
「なかなか、天使なんぞ狩りに行くことがないから来たものの、なんでたっちの奴がいるんだか。」
普段は気のいい人たちなんだけど、なんで相性の悪いのがいっぺんに集まるんだろうか?
「まぁまあ、ペロロンさんが噂とは言え、新装備のドロップ情報を持ってきたんですから、折角なんで回収してみるのもいいじゃないですか。いくら低レベル装備とはいっても、気になりませんか?もしかしたら、フレーバーテキストから派生装備の情報がわかるかもしれないし。」
皆が頷くのを確認して、俺はゲートを開く。目的地はアースガルズ、天使の箱庭。レベル帯は低いが異様にポップ数が多くて有名なエリア。
このエリアは、同レベル帯だと圧倒的に多い数で蹂躙されるが、高レベルだと消耗に反して利益が少なくて狩場としては下の下もいいとこだが、今回の目的には、がっちりハマってるエリアだ。
「それじゃ、行きましょうか。天使どもを一匹残らずミンチに変えてきましょう!」
ゲートを潜った瞬間10や20じゃ利かない程の天使が襲ってくるが、さすがにこの程度では大した問題にはならない。
しかし、処理を続けて暫くすると誘蛾灯にあつまる羽虫の如く突っ込んで来ていた天使に異変が生じる。
「あいつら、いきなり突っ込んで来なくなったけど、どういうことだと思います?」
「定番だと合体かな?」
「それで、出てくるモンスターのランクは?」
「まぁ、良くて2、3倍くらいじゃない?いって主天使級?」
「じゃあ、雑魚ばっかで退屈だったし見守りますか。」
そうして、手出しはせず変化が起きるまで待っていたんだけど。
「うそ、まさかでしょ。三対六枚って。」
「うわぁ、これはさすがにないわ。運営、天使虐めは反対らしい。」
「まったく、誰だったかな。いって主天使級って言ったのは。」
「「あんただよ!」」
「いや、雑魚天使狩ってて出てくるのが
そう、変化なんて待ってる間に出てきたのが最上位の天使、
「皆さん。相手はセラフ級です。ヒーラーがいない今回のパーティーでは最悪全滅しますけど。どうしますか?正直私は、戦いたいです。ヒーラーはいなくとも、これだけの火力特化が集まったのは、あれを倒すためだと。」
ここに来たのは、ペロロンチーノさんのわがままだったけど、あいつを倒したいのは俺のわがままだ。正直勝てるかもわからん奴にヒーラーもいない状態で戦いだすのはバカのすることだってわかってるけど、初見の奴に会ったら戦いたくなるんだよな。
「そりゃーねー。」
「目の前に餌があるんだから。」
「喰らってやるのが。」
「ゲーマーって奴でしょう。」
「死んだらその時はその時ってことです。」
「あはは、それもそうですね。それじゃ、標的は推定
それから、どれだけ戦っていたのか。
何度か肝が冷える場面もあったが、なんとか倒すことができた。
「うひー。HP1割切ってるってヤバくないっすか?」
「ヤバいです、流石に疲れました。もう、眠気が辛くて。」
「俺は久々に天使どもをぶっ潰してスッキリしたな。」
「あれだけ、てこずったモンスターは久し振りだ。」
「モモンガお兄ちゃんが、あそこで声をかけてくれなかったら落ちてたかも。」
「皆さん。お疲れ様です。さすがにリソースも残って無いですし、とりあえず、ナザリックに帰りましょうか。他のメンバーにも新モンスターの話を聞かせてやりましょう!」
思い出から帰ってくると、聞き手が副料理だけでなく周りの配下たちもしんと静まりかえっていて、なんだか妙に落ち着かない気持ちになる。
「とまぁ、そんなことがあったということだ。ちなみに、ペロロンチーノさんが欲しがっていた装備は、セラフの方が落としていってな。上位互換になっていたんだが、ガッチガチの鎧の外装だった訳だ。とは言え、あとから、目的の物も回収しに行ったんだがな。」
話を終えたつもりなんだけど、どうして皆物音一つたてないんだ?もしかして、落ちがこれから付くと思ってたり。
「これで終わりなんだが、ちゃんと落ちとかも付く話の方がよかったか?」
「い、いえ、お話をしていただいている、アインズ様がなんというか、とても楽しそうだったもので。音を立ててはいけないのではないかと。また、アインズ様にお話をしていただいても宜しいでしょうか?」
「なんだ、そんなことか。勿論よいとも。私もたまには昔の話をしながら、思い出につかりたくなるからな。だが、仕事中に抜け出して話を聞きに来るのは止めてくれよ?私がアルベドに叱られてしまう。」
これからは、少しずつ休むことにも慣れていってくれるといいんだけどな。その為の娯楽の提供ぐらいこの子たちのためなら・・・違うな。俺がこの子たちに、お前たちの創造者はとても、素敵な仲間だったと言って聞かせたいだけかもしれんな。
「さて、次の話はな。私がウルベルトさんと街を歩いているとPKに目をつけられた話なんだが。聞くか?」
「「もちろんです!アインズ様!!」」