アインズ様はアインズをやめた。   作:しろまってぃ

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晦日にふと思い付いたネタで書いた公開はしたけど反省はしてない。正直、冒頭のネタを披露したかっただけ。


ナザリック地下大墳墓のお正月

「皆の者、揃ったな。」

「「はい。守護者各員。並びに至高の御方々に創造されし者。御身の前に。」」

 きらびやかな玉座の間に忠誠の儀がこだまする。

 玉座の間に並ぶのは、仲間達が創ったNPCの面々。

 呼吸の音が聞こえないように、身動ぎしないように、神経を張るのがここでの嗜み。勿論列を乱すなんて事はここではしない。

 ここはナザリック地下大墳墓、超越者(オーバーロード)の園。

 

 

 玉座の間にアインズが皆を呼んだのはつい先程。にも関わらず誰一人として欠けることなく全員が揃ったのは一重にアインズの立場のお陰だろう。

 

「では、皆も揃った事だ。皆。新年、明けましておめでとう。今年も宜しく頼む。皆の働き期待しているぞ。」

「明けましておめでとうございます。アインズ様。アインズ様に期待の御言葉を頂き、皆もよりいっそう励む事でしょう。ところでアインズ様。新年、というのはそれほどまでにめでたい事なのでしょうか?」

「そうだな、デミウルゴス。その疑問もわかるが、今回は私の我儘だ。私がいた世界では新年を祝う風習があったんだが、私には一緒に祝う相手がいなかったからな。今年はお前たちと共に祝いたいのだ。それで、お前たちはお正月についてどの程度知識があるんだ?」

 

 正月って、特別休暇の意味合いしか持ってなかったからな。それなのに、仲間達のイン率も少なかったし。正直、限定アイテムの思い出しかないんだよな。

 

「お正月ですか。私はおとし玉なるものを配ってまわる事や神社にお参りをするという事しか存じ上げませんが。皆はどうだい?」

「はい、はい!あたしは、ぶくぶく茶釜様がお正月はお餅が主役と話しているのを聞きました!」

「わた、わらわはペロロンチーノ様が巫女が主役と言っていたのを聞いたでありすぇ?」

 

 なんか、認識が偏ってる気がするな。というか、ペロロンチーノさん、巫女さんなんて現存してないでしょうに。

 

「そうか。皆の認識は大体わかった。正月というのは、基本一年間を無事に過ごせたことと、これからの一年間も無事に過ごせるようにと神に感謝し願掛けをする事だ。だから、縁起物を食べたり神社にお参りをするわけだ。まぁ、今ではただのイベントと化していたけどな。そんなわけで、我々もこのナザリックでお祭りを楽しもうと言うわけだ。それで、セバス。準備の方は出来ているな?」

「はい。アインズ様。私他メイド達も加え内々に準備を始め、既に終わっています。」

「うむ、ご苦労。では、会場に移動するとしよう。」

 

 

 NPC達を引き連れたアインズは、仮設された神社にやってくる。

 

「ついたな。これが神社だ。さっそく参拝するとしよう。皆は参拝の仕方はわかるか?まずは、私が手本を見せるとしよう。」

 

 手本とは言ったものの正直二拝二拍手一拝しか覚えてないんだよな。まぁ、そこだけやっておけば様にはなるだろ。柄杓で手を洗うのなんて、どこからやっても変わらんだろうしな。

 

「まぁ、こんな感じだったはずだ。二拝二拍手一拝だけでもやっておけばいいだろう。ここの神とやらに、向こうの礼儀が通じるかわからんからな。さぁ、皆も一応参拝を済ませておけ。私は向こうの方で甘酒の準備をしておく。終わったものから私が注いでやろう。」

 

 幾人のNPCが参拝を終え、アインズが注いだ甘酒を勿体ないとばかりにチビチビ飲んでいる頃、守護者達がなにやら話をしているのがアインズの目に入る。

 

「どうした?お前たちは神に頭を下げるのは嫌か?まぁ、デミウルゴスは悪魔だからな。お前の信じる神を奉ればいいんじゃないか?」

「そういうことでしたら、アインズ様少しお時間頂けますでしょうか?我々の神とは創造主ひいてはその纏め役であったアインズ様こそが、我々どもの神に等しい存在で御座います。なればこそ、アインズ様に本殿に座して頂きたく存じます。」

 

 うん、なんかおかしな空気になってきたぞ?俺が奉られるのか?俺は皆と初詣をしに来たつもりなんだが。

 

「これはたんなる私の我儘ですので、ご迷惑でしたら気になさらないで下さい。」

「うむ、そうか。我儘か。いいだろう。デミウルゴス、お前の働きは大したものだ。お前の我儘聞き入れよう。では、私は向こうの方にいればよいのだな?」

「これはアインズ様。有り難き幸せで御座います!」

 

 信賞必罰は世の理だしな。まぁ、これが褒美に値するかはわからんけど、デミウルゴスが我儘を言う様になるとはな。なんだか新鮮な気分だ。

 

「それじゃあ、甘酒の配布は皆のお参りが終わってからにしよう。あれは私の仕事だからな。私の仕事を横取りしないでくれよ?」

「そんな、私の我儘を聞いた上で自らお酌をしてくださるとは、なんと慈悲深い御方でしょう。皆も大変喜ぶかと。」

 

 

 それから、一度参拝を終えた者もアインズが本殿に立ったことで再び参拝をし直すということもあったが、つつがなくナザリック初詣を終える。

 

「よし、皆も参拝は終えたな。では、今度は食堂の方に行こうか。皆で縁起物でも食べながら新年に向けての抱負でも語り合おうじゃないか。」

 

 

 食堂に着いたアインズ一行は料理の準備が出来るまで抱負を語り、アインズの一言で場が歓声に包まれるといった事があったが、それはまた別の話。


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