東方嫉妬姫   作:桔梗楓

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本格的に幻想郷へと移り住んだ碧は、それぞれの派閥の代表へ挨拶とお願いに向かいます。
暫くは挨拶回りが続きます。今回は紅魔館です。


07話 挨拶回り~紅魔館編~

八雲家に住み始めて一週間、そろそろこの家の、外にも出てみたいと相談した所。

 

「そうねぇ…あなたの紹介と守って貰うための依頼。それから幻想郷の案内も兼ねて、色々な場所に行って見ましょうか?」

 

と紫さんから言われ、今は家の前で待っている。

 

前に紫さんから聞いた話だと、人間は妖怪から狙われる…そして、その中でも僕は、さらに狙われやすい体質らしい……―――そんなこともあるんだ…っと

 

「待たせたわね」

 

そう言ってスキマから現れる紫さん…。いつ見てもすごい能力だよね。

 

「えっと、まずはどこから行くんですか?」

 

「そうねぇ…なら異変が起こった順に案内していきましょうかしら?」

 

「異変…ですか?」

 

「そう、この幻想郷では新たに幻想入りした勢力が、自陣の勢力の力を誇示するように、異変と呼ばれるモノを、何度か引き起こしてきたの」

 

そうして、スキマの先に在ったのは…真っ赤なお屋敷…なんというか…目が痛くなる…。

 

「ここはスペルカードルール制定後、初めて異変の起こったお屋敷、『紅魔館』よ。さて、門番さん?起きているのでしょう?」

 

そういって紫さんは目の前にいた、チャイナ服?を着て、立ち寝している女性に話しかけた。

 

「あはは…バレてましたか…。それで、本日はどうされたんですか?」

 

「えぇ、今日は新しく幻想郷に住む住人の紹介をしたくてね。挨拶に来たのよ。ほら、碧、自己紹介しなさい」

 

「あ、はい!えっと、僕は大神碧…普通の大学生…いえ人間です。何もできませんけど…よろしくお願いします!」

 

「元気があっていいですね。私は紅美鈴、この紅魔館の門番をしています。こう見えても妖怪なんですよ?」

 

見た目は人でも妖怪って結構いるんだな…。

 

「さぁ、ならこのまま入らせて貰うわよ?」

 

「えぇどうぞ。パチュリーさんと小悪魔さんはいつも通り図書館に、咲夜さんとお嬢様、妹様は三人でお部屋に居ると思います」

 

「分かったわ。さぁ行くわよ碧。まずは図書館にね」

 

「はい、紫さん…ところで此処ではどんな異変が起こったんですか?」

 

「ふむ…そうね…簡単なあらましとしては…」

 

・季節は夏、妖怪と人間が暮らす中、突如として紅い霧が現れた

 

・異変を感じた霊夢達は、調査をするべく発生源と思われる『妖精の湖』へと向かった

 

・その湖の中心には小島があり、そこには一面を真紅に染められた屋敷、紅魔館が存在した

 

・異変の原因は単純であり、ただ単純に、日差しが鬱陶しいから、霧によって日光を遮断すると言った、幼稚じみたものだった

 

「これが後に語られる紅霧異変と呼ばれた異変よ。分かったかしら?」

 

「えぇ…まぁ何となくは…でも、日光を嫌うなんて…その妖怪さんは吸血鬼だったんですか?」

 

「正解よ。さて、ならまずはその友人から挨拶ね。パチェリー。いるんでしょう?」

 

「むきゅー…。こんな時間に賢者様が態々、何の用かしら?あら?そちらの人間は?」

 

「それの説明に来たのよ。小悪魔も呼んでもらえるかしら?」

 

「えぇ。小悪魔、こっちに来なさい」

 

「はい!パチェリー様。どうされたんですか?ってあら?可愛い男の子?」

 

なんだかちょっと妖しい雰囲気の羽の生えた女性が出てきた…正直、目が怖い…。

 

「こらこら、怖がらせないの。彼は今度幻想郷に移り住んだ大神碧。普通の人間だから、何かあったときに、守ってほしいの。頼めるかしら?」

 

「大神碧です。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」

 

「パチュリー・ノーレッジよ。私は基本的に此処から動かないけど、それでいいなら」

 

「小悪魔です!よろしくお願いします。私も大丈夫ですよ。いくら博麗の巫女がいるとはいえ、人間の一人歩きは危ないですからね」

 

「理解が早くて助かるわ。それじゃあ、あなた達の上司にも挨拶をしてくるからこれでね」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「外来人を紫が案内するなんて、珍しいこともあるものね?」

 

「そうですねぇ。でも、あの人、何だか見ていて和むんですよね~…それが、狙われる原因なんでしょうかね?」

 

「それは何となくだけど分かるわ。もしかしたら、そんな能力を持っているのかしら?」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「さて、ここがこの館の主の部屋よ。レミリア、お客さんを連れてきたわよ?」

 

ノックをしながら紫さんが、ドアに向かって言葉を掛けると、中から「どうぞ」と返答が。

 

そして中に入ると二人の子供とメイドさんがいた。

 

えっと…だれが主なんだろう…?

 

少し可笑しそうに笑う紫さんが…。

 

「レミリア、例の子よ。挨拶をしてあげて?」

 

すると青髪の女の子が。

 

「あなたが運命の…。そう、実際に見てみると面白いわね。いいわ、私はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主よ」

 

次に銀髪のメイドさんが…。

 

「私は、十六夜咲夜…お嬢様のお世話をしております。以後お見知りおきを」

 

と丁寧に頭を下げられたので、こっちも釣られて下げてしまった。

 

最後に、金髪の子が。

 

「私はフランドール・スカーレット。よろしくねお兄さん!」

 

と言ってきた。お兄さんかぁ…やっぱりいいな~。

 

「こほん…僕は、大神碧…普通の人間です。これからこの幻想郷に住むことになりました。よろしくお願いします」

 

「いい、態度ね。あなたの事は紫から聞いていたわ。運命の出会い…あると良いわね」

 

そう言って、見た目とは違う…とても優雅な笑顔に思わず見惚れてしまいそうになった…――流石に領主を務めているだけの事はある…

 

「私達、紅魔館の者達はあなたの事を守らせて貰うわ。それがあなたの運命を見た者としての使命、責任ですからね」

 

「レミリアさん…ありがとうございます…」

 

「ふふっ…これも領主の務めよ。他の場所にも行くのでしょう?なら、早く連れて行ってあげなさい?あの亡霊とか下手したら寝てるわよ?」

 

「お茶もお出しせず、申し訳ありません。次に来てくれる事があれば迎えと、お茶を用意さえて頂きますね」

 

「お兄さん、もう帰るの?次はフランと遊んでね?」

 

そうして、紫さんと共に紅魔館を後にする。次に向かうのは冥界…白玉楼。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「お嬢様、良かったのですか?普通の人間の護衛に、幻想郷の有力者を付けると言うのは?」

 

「えぇ…彼自身は本当に何もない、普通の人間、だからこそ、幻想となり、こちらに来る事を、選択した彼を守ってあげたいの…自らの我儘で異変を起こした私にできる償い…。誰かの為に動くのも、案外悪くは無いものね」

 

「ご立派になられましたね…お嬢様」

 

「ふん…咲夜、紅茶が切れてるわよ?直ぐに入れて頂戴?」

 

そうして碧と紅魔館の人との初対面は無事に終わりを告げました。




こんな感じで、各代表との対面と依頼が暫く続きます。
なるべく、飽きさせない書き方を心がけます。

この作品でのレミリアはカリスマがかなり高いです。
運命に関しては、操作する程度の能力で、あくまでも『見た』というだけです。
レミリア自身が何かしら操作したわけではありません。

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