東方嫉妬姫   作:桔梗楓

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暫くの間、八雲家に住むことになった碧。
主人である紫、先輩である藍、自分が助けた橙。
ほんわかストーリーを書ければと思います。


04話 いらっしゃいませ八雲家

紫さんの”スキマ”の中はとても不気味な光景だった。

 

色んな所から目が覗いてきていたり、その昔、戦争で消えた零戦が置かれていたりもした。

 

これが紫さんの能力…”境界を操る程度の能力”なんだ…。

 

幻想郷の住民にはそれぞれ特有の能力が備わっている。

 

紫さんなら”境界を操る程度の能力”、霊夢だったら”空を飛ぶ程度の能力”

 

…パルスィさんはどんな能力なんだろう?

 

そして、これらを駆使して行われる弾幕ごっこという戦いも聞いた。僕にはとてもじゃないけど無理だけどね。

 

そうして、紫さんの後ろを付いて少し歩くと、古びたお屋敷のような場所に出てきた。ここが?

 

「ようこそ、碧君。ここが今日から、あなたが暮らすことになる八雲家よ。藍、橙、お客さんのお出迎えよ」

 

するとどこからともなく。

 

「はっ、紫様…この方が例の…?」

 

「えぇ、そうよ。橙の命の恩人よ」

 

白と青を基調とした、道士服のような恰好をしたキツネ耳の女性は一瞬でこちらに来ると…。

 

「お前が橙を助けてくれたんだな!ありがとう!本当にありがとう!」

 

とすごく嬉しそうに抱きしめてくれる…嬉しいんだけど…。

 

僕の身長は157cm、対して彼女は180cmはあるんじゃないかと言うくらいの大きさ。

 

抱き締められると当然身長差で、僕の顔は彼女の胸に埋まってしまう訳で…。

 

「むぐー!むぐぐ!むー!」

 

「こらこら藍、ダメでしょ、恩人を窒息させたら」

 

するとキツネ耳の女性は、顔を真っ赤にして。

 

「し、失礼致しました!…ごほん。私の名前は『八雲藍』紫様の式神、従者をしている。橙の事は本当に感謝しているよ」

 

「いえ、あっと僕は、大神碧です。今日からお世話になりますので、よろしくお願いします!」

 

「あぁ、こちらこそよろしくな。ん?橙?隠れてないで出て来ないか、お前の恩人なのだろう?」

 

そういって藍さんの後ろに隠れていた少女が出てくる。

 

赤と白を基調とした衣装、それと見覚えのある緑の帽子…あの子が…。

 

「あ、あのっ!八雲橙です!藍さまの式神をさせて貰ってます!あの時は助けて貰って本当にありがとうございました!」

 

「ううん…僕は何もしてないよ。助かったのは君の運が良かったから。あの後急に居なくなったから心配だったけど、元気そうでよかったよ」

 

すると橙ちゃんが俯きモジモジとし始めた…どうしたんだろ?

 

「橙?お願いしたいことがあるんだろう?」

 

「は、はいっ!あのですね碧様…『碧お兄ちゃん』って呼んでもいいですか?///」

 

お兄ちゃん…兄弟が居なかった僕からしたら新鮮でいいな。

 

「うん大丈夫だよ。他にもしてほしいことがあったら、気兼ねなく言ってね」

 

「じゃあ…あの時みたいに頭を撫でて貰っても良いですか?///」

 

あの時…そういえば落ち着かせる為に、ずっと頭を撫でてあげてたんだよね。

 

「いいよ。おいで、橙ちゃん」

 

すると僕を背もたれにするように橙ちゃんは飛び乗ってきて。

 

「えへへ///お願いします。碧お兄ちゃん♪」

 

そうして橙ちゃんの頭を撫でていると、視線を感じる…って紫さんと藍さん?

 

「弟と妹っていいわね~藍」

 

「ホントです、これだけでご飯三杯は行けますよ…あぁ…ちぇ~ん…♡」

 

生暖かい視線に見られながらも橙の頭を撫でて行く。

 

そうして、暫くの間、橙ちゃんの頭を撫でてあげました。満足して貰えて何よりだ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

暫くして居間でくつろいでいると…。

 

「そうよ藍ちゃん、新しい家族も迎え入れた事だし、今日は美味しい物を食べましょう」

 

「いいですね。でしたら、すき焼きなどは如何でしょうか?」

 

すき焼きとか、もう何年も食べてなかったから聞いているだけでお腹が鳴ってくる…。

 

「ふふっ、決まりみたいね。なら一番いい食材を用意しなきゃね」

 

そうして、その夜はみんなですき焼きパーティーを楽しみました。

 

こんな良い気持ち…いつ以来だろう…。

 

色々と不安な事も多いけど…やっぱりこういう温かいの…いいなぁ。

 

”あの人”と、こんな時間を過ごしてみたいな。

 


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