東方嫉妬姫   作:桔梗楓

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UA20000件突破?!
驚いて変な声が出てしまいました。
読んで下さった方々に感謝です!

今回は、タイトルで予想が付くとは思いますが…久しぶりに彼女を出します。
秋の宿命…増える重い…。

そして、最初に言い訳しておきます。
徹夜明けのよく分からないテンションで書いたらこうなりました。
後悔も反省もしていません。



33話 読書の秋?~大図書館と秋の大敵~

あの後、紫さんに連れられて紅魔館までやってきた。

 

テニスコートから歩くと少々遠かったので、紫さんに抱えられ移動した……相変わらずのお姫様抱っこ……恥ずかしい…///

 

 

「あの……紫さん…いつも思うんですけど…なんでお姫様抱っこなんでしょうか?流石に照れるんですけど……///」

 

そんな僕の心境を知ってか知らずか……―――

 

「あら?碧君は私に運ばれるのが嫌なのかしら……お姉さん…悲しいわ…よよよ…」

 

確信犯だ……確かに身長的にも運びやすいんだろうけど……はぁ、もう少し背が高かったらなぁ…。

 

 

そんな風に思っていると、紅魔館が見えてきた……うん、相変わらず…紅いね。

 

 

「あ、紫様!……と、碧さん…えっと…相変わらず…可愛らしいですね?」

 

美鈴さん?!やめて!そんなフォローはいらないです!

 

「うぅ……紫さん、もう降ろしてください…「はいはい♪」…ふぅ…先程といい…お見苦しい所をお見せしてすみません……」

 

すると……

 

「いえいえ、私も一度あんな風に碧さんを運んでみたいものですね♪」

 

まさかの追撃……美鈴さん…わざとですか?

 

「そ、それよりも……何か用事があるみたいですけど…どうされたんですか?」

 

「えぇ…実は碧さんに頼みたい事がありまして…紫様も付いて来て貰えませんか?」

 

美鈴さんの言葉に紫さんも首を傾げる……本当に何なんだろう?

 

 

それから美鈴さんの案内で紅魔館にある大図書館…に案内された……そういえば読書の秋って言葉もあったなぁ…機会があればここで読書もいいかもね。

 

「失礼しますね……あ、小悪魔さん、パチュリー様は相変わらずですか?」

 

美鈴さんが図書館に入り、受付に居た小悪魔さんに声を掛ける……相変わらず?

 

「えぇ……変わらず…ですね。あら?紫様に…碧さんではないですか……あぁ、そういう事ですね」

 

すると、何かを理解した小悪魔さんはこちらに来て……。

 

「紫様、碧さん…ご無沙汰しております」

 

相変わらず綺麗なお姉さんだ……でも、こちらを見てくる目がちょっと怖いのはなぜだろう?

 

「久しぶりね、小悪魔……それで、何となく話は見えてきたけど、あなたのご主人様はどこかしら?」

 

え?!紫さんもう話が見えたの?!……流石賢者様…―――すると、少し困った顔をした小悪魔さんが…―――

 

「えっと、そうですね…見て貰えば分かると思いますんで…いいですよね美鈴さん?」

 

「はい。その為に連れてきたわけですから。その方がパチュリー様にとってもよろしいかと…」

 

そして、小悪魔さんが…―――

 

「ではこちらの部屋へ来てください」

 

 

しばらく図書館の中を進んで行く……本当に沢山の書物があるんだな…こんな図書館見た事ないや……そして、一番奥に扉が見えてくる…あそこにパチュリーさんがいるのかな?

 

 

「(コンコン)…パチュリー様…お客様がお見えです。最低限の身嗜みを整えてますか?」

 

『ふぇっ?!小悪魔?!何でここに……それよりもお客様って何よ?!』

 

そんなパチュリーさんの声を無視するかのように…―――

 

「では開けますよ。『ちょ、ちょっと待って!せめて服を着るまで待って?!』…早急にお願いしますね……という訳で、少々お待ちください…」

 

ホント、何が起こってるんだろう?前に会ったときは普通に受付で本を読んでたよね?

 

 

横に居た美鈴さんは苦笑いをして……紫さんは…呆れていた……―――???

 

 

 

 

しばらくして……『ど、どうぞ…』…と声が聞こえてきたので部屋へと入る……とそこには…

 

「パチュリー……さん?」

 

「え?碧?それに紫様?…小悪魔…どういう事?!」

 

慌てふためくパチュリーさんは珍しい……のだが…それ以上に気になった事……。

 

 

「パチュリー…あなた…太ったわね…「うぐっ?!」…はぁ…そんな事だろうと思ったわ…」

 

紫さんは歯に物着せぬ言い方で、パチュリーさんに言った……でも、本当にそうだ。

 

 

前のパチュリーさんも確かに美鈴さんや小悪魔さんのように引き締まった体型ではなかったものの、多少女性らしい丸みを帯びたラインだったと思う…。

 

しかし、今のパチュリーさんは……その…明らかに…太っている…。

 

顔つきに代わりは無いのだけど…いつも着ているゆったりとした服の上からでも分かるくらいに出た、お腹のお肉……ロングスカートから少しだけ覗く足も、心なしかむっちりしている…。

 

 

ゆったりした服の上からでも分かるくらい、むっちりとしたパチュリーさん……成程…美鈴さんの頼みたい事が分かった…。

 

「パチュリーさん…なんで…その…こんな事になったんですか?」

 

他の人は分かっているようだったので、事情が呑み込めない僕は聞いてみる事にした…――。

 

 

「うぅ……絶対…笑わないでくれるかしら?」

 

「はい。パチュリーさんの事です、きっと何か事情があるんでしょう?…僕は絶対に笑いませんから…ね?」

 

その言葉を信じてくれてか、パチュリーさんはゆっくりと話してくれた。

 

 

「その……今年の秋は、食べ物が例年にも増して、とても美味しくてね……ついつい食べ過ぎちゃったの……」

 

ふむふむ…まぁそれは仕方がない…のかな?…――すると小悪魔さんから。

 

「パチュリー様…続きがあるでしょう?」

 

「うっ………えっとね…私、動くことが苦手なの…それでね、ずっと図書館で本を読んで、眠くなったら寝て……その生活を繰り返してたら……こうなっちゃって……///」

 

それで恥ずかしくなって、引き籠りになっていた……と…。

 

「なら、パチュリーさん…折角の運動の秋なんですし…暫くの間、僕達と一緒に運動をしませんか?」

 

多分、美鈴さんが僕を連れてきた理由がこれなんだろう……―――でも。

 

「嫌よ……。動きたくない…それに、私…あんまり動けないし…」

 

成程…これで美鈴さんも苦労してた訳だ…―――でもなんでここまで?

 

「パチュリーさん…僕も無理強いさせたくはないです……でも、何でそこまで頑なに動きたくないんですか?」

 

 

すると、少し考えて…ゆっくりと話し始めた…。

 

「私ね…生まれつき体が弱くて、それに…喘息を持ってて…動くとすぐに息切れしたり、咳が出たりして……自分にも…それから周りにも迷惑を掛けちゃうの……だから、私の事は放っておいても…「ダメです!」…?…碧?」

 

僕も生まれつき体が弱くて、喘息持ちで…苦しい思いをしてた…だからこそ、パチュリーさんの気持ちがよく分かる。

 

誰かに迷惑を掛ける位なら、何もしない方がいい……だけどそれは違う!

 

「パチュリーさん……僕も、生まれつき体が弱くて、今でも偶に喘息が出たりするんですよ?「…えっ?」…そうは見えないでしょう?」

 

予想外の答えだったのだろう。パチュリーさんは驚いた顔でこちらを向いてくる。

 

「それこそ、生まれてすぐに高熱を出して死に掛けたり…学校の授業で倒れたりすることなんて日常茶飯事だったんです……だから、最初は思いました。パチュリーさんと同じように…みんなの迷惑になるなら…このまま何もしない方がいいんだ…って」

 

悲痛な空気を感じたのか、周りの人達も少しだけ雰囲気が暗くなってる……でも、それを変えるように…――

 

「でも!それは違うんだ!確かに迷惑はかけてしまう…でもね、掛けた迷惑は別の恩で返せばいい!その為には少しでも自分の体調を良くしないと何もできないから…だからパチュリーさん…ゆっくりでいいから…僕と一緒にがんばりましょう?」

 

 

そう言って僕はパチュリーさんに手を差し出す…―――この思いが…届いてくれると信じて

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

最初は単なる同情かと思った…。

 

大神碧…私よりも遥かに年下で、背も低い…弟のような存在。

 

普通の人生を送ってきた人間……だと思ってた。

 

でも違った。彼も私と同じだった……いや、魔法使いという種族である以上、私の方がまだマシな方だ…。

 

でも彼はそれを乗り越えた……。

 

そして言ってくれた…掛けた迷惑は別の恩で返せばいいと…。

 

差し出された手……そして、柔らかな優しさ…でもその瞳に宿る強い意志。

 

この人と一緒なら……私も変わる事が出来るのだろうか…?

 

いや、変わって見せる!……ここまで私を思ってくれる人の為に!

 

 

そして、私は彼の…碧の手を取った……あぁ…温かい…。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

パチュリーさんが手を取ってくれた……良かった…。

 

「その……碧…。一杯迷惑を掛けると思うけど……しばらくの間…よろしくね…」

 

パチュリーさん…―――

 

「こちらこそ…至らぬ事もあると思いますが…よろしくお願いしますね」

 

そして、握手をした僕達だったが……―――。

 

「こほん、話は纏まったみたいね」

 

あ、他の人も居たんだった……うわぁ…また、やっちゃった…///

 

「とりあえず…パチュリーの準備をするから、碧は先に美鈴と一緒に門で待っていて頂戴」

 

「あ、はい紫さん。じゃあ行きましょうか美鈴さん」

 

「えぇ……では、パチュリー様…後程…それから紫様も…ありがとうございます」

 

そして、僕と美鈴さんはひとまず門へと向かう事にした。

 

 

 

「碧さん…本当にありがとうございます」

 

??……美鈴さん?

 

「いえ、僕は何も…でも、レミリアさんや美鈴さんが言ってもダメだったんですか?」

 

「えぇ…私や、お嬢様…いえ、この紅魔館の住人は、軒並み運動能力の高い人が集まっているんです。ですので、言ってもかえって逆効果になってしまって……」

 

そっか、それでただの人間の僕なら…ってことか。

 

「御察しの通りです。本当に感謝しています」

 

「ちょ、ちょっと美鈴さん?!頭を上げてください!…それに、やっとスタート地点に立ったんです。感謝の言葉は…成果が出てからってことでお願いします」

 

流石に、これで何も成果が出ませんでした、とかなったら申し訳ないし…。

 

「ふふっ…そうですね。その時は紅魔館でパーティーでも開きましょうかね♪おや、準備が出来たみたいですよ?」

 

そして、現れたのは…手提げバッグを持ったパチュリーさん…だけ…?…あれ?紫さんは?

 

「ごめんなさい、待たせたわね。あぁ…それと紫様なら、レミィに用事があるみたいだから、先に行ってて頂戴って」

 

あぁ…そういえば用事があるって言ってたなぁ。

 

「じゃあ早速テニスコートまで行きましょうか…あ、でもかなり遠いみたいですけど…」

 

そう、来るときも思ったけど、コートまでは少し距離がある…どうしようかと考えていると。

 

「えい♪「ふぇ?」…こうして私が抱えて行けば何も問題ないですよね?」

 

来たとき同様に、美鈴さんにお姫様抱っこされていた……え?…え?

 

「しかし、本当に軽いですね~。きちんとご飯を食べてるんですか?」

 

「いやいや?!そうじゃなくて?!なんでこの格好なんですか?!」

 

すると、悪びれた様子も無く…――

 

「いえ、先程も言いましたが、こんな風に碧さんを運んでみたかったのですよ…しかし、これは殿方がしたくなる気持ちが分かりますねぇ」

 

うん、本来逆なんだけどね……しくしく…。

 

するとパチュリーさんも何かブツブツと言っていた…。

 

「…むきゅー……私だって、体力が付けば……うん…いいわね…」

 

聞かなかったことにしよう。そして、そのまま僕達はテニスコートに向かった。

 

 

 

「あら、碧。おかえり……なさい…?」

 

パルスィさんからの出迎え……でも、その顔には困惑が…。

 

まぁ帰ってきたと思ったら人が増えてて、しかもお姫様抱っこされて帰ってくるなんて…ねぇ。

 

「えっと……これは、どういうことなのかしら?説明をしてもらえると助かるんだけど?」

 

そして、紅魔館であった事を簡単に説明した……納得してくれるといいんだけど…。

 

「…はぁ…あなたらしいわね…。というか、紫さんが許可した段階で既に私は何も言えないわよ」

 

「うっ…そうだね…ごめんね…」

 

「まぁ…いいわ…。えっと、自己紹介させて貰うわね。私は『水橋パルスィ』地底に住む妖怪で、碧の彼女よ。気軽にパルスィって呼んで頂戴」

 

すると続けて…――

 

「『紅美鈴』です。紅魔館の門番をしております。今回の件…引き受けて貰い感謝いたします。それと…パルスィさんの事は碧さんから聞かされておりましたので…「えっ?!」…良い関係のようで何よりです」

 

そして、最後に…――

 

「今回はごめんなさい…『パチュリー・ノーレッジ』よ、紅魔館の図書館の司書をしているわ。……迷惑を掛けると思うけど……その…よろしくお願いします」

 

各々、自己紹介を終えたので、パチュリーさんは更衣室に着替えに行った…そう言えば紫さんが準備をするって言ってたっけ?

 

ちなみに美鈴さんはいつもの服装だ。本人曰く、これが一番動きやすい…との事。

 

「それにしても、紫さん…どんな服を用意したのかしら?」

 

とパルスィさんが言ってくる…。??…普通に動きやすい服なんじゃないの?

 

「多分、それなりに動きやすい服なんじゃないかな?「本当に?」…え?」

 

すると、自分の服を指さしながら…――

 

「私に、こんな…は、破廉恥な服を用意した紫さんよ?何もしていないと思う?」

 

いや、それはパルスィさんがテニスをしたいって言ったから……「…待たせたわね」…ほら、普通の……ぶっ?!

 

「ちょ?!え?うそ?!」

 

「これは…まぁ…動きやすいのでしょうけど…」

 

と各々が感想を述べていく……―――

 

「~~~///…あの……やっぱり…変かしら…?」

 

そう言って現れたパチュリーさんの服…それは……歴史と伝統に裏打ちされた衣装…半袖体操服にブルマだった…ブルマだった…。

 

真っ白な半袖体操服に、赤いブルマ…そして白いニーソックス……テレビとかアニメでしか見た事が無かったけど……何この破壊力…?

 

ソックスで抑えきれないむっちりとした生足、サイズが合ってないのか体操服からはみ出る、ぷにっとしたお腹…そして、一番目を引かれるのが…今までゆったりした服で隠されていた、恐ろしい質量を持った胸……これは…色々な意味でマズイ…。

 

そんな僕の考えを読んでか…パルスィさんがほっぺたを思いっきりつねってきた。

 

「いひゃい?!いひゃいひょ?!「む~…」ご、ごめんにゃはい……」

 

だって男の子だもん……って……ん?

 

「あの…パルスィさん…「何かしら?」……気のせいならいいんだけど…あれ…」

 

そうして、目線をパチュリーさんの胸元に……うん、見間違えじゃない…あのピンク色の物は……―――

 

「?!ちょ、ちょっと?!パチュリーさん!何でブラを着けてないのよ!?」

 

あ、やっぱり着けてなかったんだ…。

 

「むきゅー……サイズが合うブラが無くて普段からしてないの…それにいつも服で隠してるから…。だからちょっと…形がだらしなくなっちゃって……」

 

声色から、しゅんとしているのが分かる…けどそこは流石にパルスィさんが言ってくれた。

 

「私の知り合いに下着の補整とかできる人がいるから!その人に頼んで作って貰います!」

 

(あぁ…アリス姉さんか…姉さん衣装関係だと本当に職人だからなぁ)

 

「で、でも…「でもじゃない!」…ひうっ?!」

 

「いい?折角そんな立派な物を持っているんだから!維持する事も女の務めよ!」

 

何だかお姉さんと妹のやり取りみたい……。

 

でも、男としてはこの場に居るのはかなりきつい…―――

 

というのも、パチュリーさんがだらしないと言う胸も、その柔らかさは一目瞭然で、張りは少ないけど、代わりに少し身じろぎするだけで、プリンみたいにプルプルと揺れている…って見ちゃダメだよ!?

 

「とはいえ、このままじゃ擦れて運動にもならないでしょうし…あ、そうだわ。確か紫さんからニップレスを貰ってたからそれを着けてくるわね」

 

そう言ってパルスィさんはパチュリーさんを引きずりながら更衣室へと向かって行った…。

 

「はぁ……色々と心臓に悪い…」

 

「でも、眼福だったでしょう?」

 

「それはもう…って美鈴さん!からかわないで下さいよ!」

 

「男の子ですから♪…しかしあの衣装…本当に危険ですね…殿方ならイチコロなのでは?」

 

「……否定はしません…はい…」

 

「ふふっ♪今度は私が着てみましょうか?」

 

「美鈴さん!」

 

 

そんなやり取りをしていると、二人が戻ってきた…あぁ…助かった…のか?

 

「むきゅー…色々とごめんなさい…」

 

まだ少ししょんぼりとしたパチュリーさん…。

 

「いいのよ。こんな衣装を用意した紫さんが悪いんだから」

 

そして、僕の方に近づいてきて……?どうしたんだろう…?

 

(ねぇ……パチュリーさんの胸…本当にすごいのだけど……何あの触り心地…反則じゃないの?)

 

と、小声で言ってくる……同性すら魅了するパチュリーさんの胸…すごい…。

 

 

そして、ようやく準備が出来たので軽い柔軟体操から始める。

 

この辺は運動のプロ…美鈴さんが色々と教えてくれた。その内拳法とかも習ってみたいかも…。

 

一人で出来るストレッチが終わったので、二人一組になり続きを始める…のだけど…、何故かパチュリーさんと僕。美鈴さんとパルスィさんの組になってしまった。

 

なんでも、殆ど体の動かせないパチュリーさんには美鈴さんの指導はきついみたいで境遇の近い僕が適任だったそうな……。

 

そして、まずはパルスィさんとやっていた背中合わせになり背筋を伸ばすストレッチを…とはいえパチュリーさんの腕力では、僕を持ち上げる事は出来なかったので、僕がゆっくりとパチュリーさんを持ち上げて背筋を伸ばして上げている……のだが―――

 

「ねぇ…碧……私…重くないかしら…?」

 

「だ、大丈夫ですよ…?」

 

まぁ軽くは無いけど……それ以上に……背中に当たる感触がマズイ……。

 

体操服が薄いのと、パチュリーさんの肉付きが良いのが合わさって、常に背中にむにゅむにゅとした感触が…うぅ…精神がゴリゴリ削られていく…。

 

そして、背筋を伸ばした次は前屈……。

 

パチュリーさんはそこまで体が柔い訳ではなく(むしろ運動していないから仕方がないのかな?)前屈をするだけで肩で息をしていた。

 

「むきゅー…ごめんなさい。ここまで体が動かないなんて思わなかったわ…」

 

「いえ、気にしないで下さい。さっき始めたんです、早々動くなら苦労はしませんから」

 

さて、そしたら次は…軽くウォーキングでも…(チョイチョイ)…?

 

「あの…碧の背中も押させて欲しいんだけど…ダメかしら?」

 

座っているパチュリーさんはいつもと違い上目使い……いつもは身長差があってどうしても見下ろされる形になるから新鮮だなぁ…。

 

「えっと…いいですよ。やり方は今僕がやったみたいにお願いします」

 

そうして地面に座り足を開く、後はパチュリーさんが背中を押してくれればいいんだけど…。

 

「行くわよ…えい!ってきゃ?!」

 

背中を押そうとした手はすべり、僕に抱きつくような形に……しかも、このほっぺたに当たってる柔らかいものって……?!?!?!

 

考えるよりも先に行動してしまった…。

 

「あ、あの!僕、ちょっとジョギングしてきます!パルスィさん!パチュリーさんをお願いします!でわ!」

 

そして煩悩を払うために全力でその場を後にしたのだった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「はぁ……まぁあれは男の子には辛いわね…」

 

「ですね…パチュリー様はそういう所には少し無頓着ですから…尚更ですね…さて、私は碧さんの護衛に行きますので…パチュリー様の事を頼めますか?」

 

一緒に運動している事で、お互い打ち解けて普通に話せるようになってきた。

 

「えぇ、こちらは任せて頂戴。碧の事…お願いね?」

 

確かに…碧が信頼するのも分かるわね……誠実で面倒見のいいお姉さんタイプだもの。

 

「はい。頼まれました…では…」

 

そうして凄まじいスピードで碧を追う美鈴さん……本当に運動能力が高いんだ…。

 

さて、私は取り残されたパチュリーさんの元に行きますか。

 

 

「パチュリーさん。もう少しストレッチした後、コート内をゆっくりと歩きましょうか?」

 

すると、少しだけ寂しそうな顔をしたパチュリーさんが…――

 

「えぇ…。あの…私…碧に何かしたのかしら…?だとしたら…謝らないと…」

 

本当に無頓着なのね…。

 

「あれは男の子なら仕方がない事なの…だから気にすることはないわよ」

 

「そう…じゃあ続きを…お願いしてもいいかしら?」

 

そうして、私達は二人でストレッチをするのだが……私は気が付いた。

 

この人…パチュリーさん…今は少しだけふくよかな体型になってるけど…顔つきはかなりの美人だし、髪もとっても綺麗。体型も私の胸はこんなに大きくも柔らかくもないし…。

 

少し絞ったらもろに碧の好みのタイプじゃない……?

 

そして、何より…パチュリーさんの碧に対しての視線……うん、女は度胸、聞いてみるしかないわね。

 

「ねぇ…パチュリーさん。単刀直入に聞くわね、あなたは…碧の事…どう思ってるのかしら?」

 

するとパチュリーさんから帰ってきたのは意外な答えだった。

 

「えっと…ごめんなさい。実は私も良く分からないの…」

 

そ、そうなの…でも―――

 

「でも、あなたの碧を見る目……妙に熱が籠ってたから…」

 

「そう…なのかしら……。彼の…碧の目…私の境遇を聞いて、真剣に私の事を考えてくれた目…。嫌いじゃない……むしろ、好き…」

 

また、落としたのかしら……でもそれにしては…?

 

「…あぁ…でも、これは恋心じゃないと思うの……そうね、私に兄がいたらあんな感じなのかしら?」

 

兄……これまた斜め上を行ったわねぇ……。

 

「ねぇ…失礼かもしれないけど…身長も…それから年もパチュリーさんの方が上よね?それなのに、何で兄なのかしら?」

 

すると少し考えたパチュリーさんが…――

 

「確かに、身長も年齢も、私の方が遥かに上だけど…あの瞳…それからあの私を引っ張っていてくれる感じ…年下なのに頼れる存在…何て言うのかしら…精神的兄?」

 

また、面白い表現を…―――すると。

 

「ねぇ…パルスィさん…良ければなんだけど…碧のどこが好きになったのか…聞かせて貰えないかしら?」

 

え…?その返しは予想してなかったわね……でも…―――

 

「そうね…長くなるけどいいかしら?」

 

こくっと頷くパチュリーさん…うーん…――

 

「―――まずは、優しいところ。誠実なところ。真面目なところ。行動力があるところ。さりげない気遣いができるところ。弱音を吐かないところ。年下で、私と違う、力のない人間なのに、私を護ろうとしてくれる男らしいところ」

 

それに…――

 

「一緒にいて安心するところ。しっかり者なところ。いつも私を引っ張ってくれるところ。なのに、逆に頭を撫でてあげたら子犬みたいに甘えてくるところも好き」

 

言ってて顔が赤くなってくるのが分かる…でも止まらない…。

 

「他にも、一緒に怒ったり、喜んだりしてくれるところ。意地を張った私を甘えさせてくれるところ。気が合うところ。話をしてて楽しいところ」

 

あぁもう…言葉が止まらない…。

 

「はにかんだ笑顔が可愛いところ。声が綺麗で、甘いクチナシの匂いも大好き。本人は気にしてるけど、中性的で少し幼げな見た目の可愛いところ。ああ、もう。他にもいっぱいあるんだけど、言い出したらキリがないわ……ってあら、どうしたの?」

 

「えっと、何て言うか…ごちそうさま?…甘いケーキをホールで食べて、砂糖たっぷりの紅茶を飲んだ時よりも、胃もたれが……いえ、パルスィさんがどれだけ碧の事を想っているのかよく伝わって来たんだけど…」

 

うわぁ……やっちゃった…///

 

でも、彼の事についてなんて聞かれたら…止められなくなるわよ…。

 

「ご、ごめんなさいね…///その…どうしても…悪い癖なのは分かってるんだけど…」

 

「いえ、いいのよ。……うん、これで分かったわ。やっぱり私のこの気持ちは恋心じゃなくて妹が兄に甘えたい心なんだって…」

 

「そ、そう…それは良かったわね…「そこでなんだけど…」…?何かしら?」

 

恥ずかしそうに俯くパチュリー…

 

「えっと…碧の事を…その…兄様って呼んでも良いかしら?」

 

はい?…え?この人…何て言ったの?

 

「あの…聞き間違いかしら?…兄様って?」

 

「ええ、この気持ちを確かめるためにも、そして、私自身が兄様に甘えてみたいっていう気持ちがあるから……ダメかしら…?…姉様?」

 

?!姉…様…?

 

「えっと…兄様は分かるとして……その…姉様って…?」

 

不思議そうな顔でこちらを見てくるパチュリーさん。

 

「だって兄様の彼女なら、それは姉様でしょ?それに姉様は私に色々と教えてくれたから…」

 

うそでしょ……まぁ、私も満更でもないし…―――

 

「――はぁ…こんな姉でいいなら…良いわよ?でも喋り方はそのままでお願いね…気を使われるとちょっとだけ寂しいから…ね?」

 

するとパァッと笑顔になったパチュリーは…――

 

「ありがとう!パルスィ姉様♪」

 

思いっきり抱きついて来た……うわぁ…すっごい柔らかいし、良い匂い……そっちの趣味はないのだけど…。

 

それから少し休憩した私達は碧が戻ってくるまでの間、軽くウォーキングをして歩いた……手を繋いで…///

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「すみません美鈴さん…」

 

あれからすぐに美鈴さんが追いついてきて、一人だと危ないからと言うこともあり一緒にジョギングをしてくれた。

 

「いいんですよ。男の子なんですから…無理もありませんよ?」

 

「うぅ…すみません…。あ、コートが見えてきましたよってあれ?二人で歩いてるけど…手を繋いでる?」

 

美鈴さんも気が付いたようで…。

 

「あら、本当に……ふふっ…流石は碧さんの彼女さんですね♪」

 

???……どういうことだろう?

 

僕達は二人に近づいていき……すると、こちらに気が付いたパチュリーさんが…――

 

「あ、碧お兄様。ずいぶん遅かったのね」

 

 

ん?……気のせいかな?…今、さらっと恐ろしい言葉が聞こえた気がする…。

 

「えっと…ちょっと遠くまで行ってましたから…それよりも…二人とも随分と仲良くなったんですね」

 

すると嬉しそうな顔をしたパチュリーさんが…――

 

「えぇ…お姉様とゆっくりとお話しながら運動ができたから…」

 

お姉様……?パルスィさんの方に視線を向けると……あ、顔を反らした…美鈴さんは…固まってる。

 

「あ、あの…パチュリーさん、気のせいでしょうか?お兄様とお姉様って…?」

 

「えぇ。私はこれから、お兄様とお姉様の義妹として生活することにしたから。あ、安心してね、二人の邪魔をするつもりはないから」

 

幻聴じゃなかったらしい……再びパルスィさんに顔を向けると…ふるふる…と顔を振っていた……え?…本気なの…?

 

「あの……身長も…その年もパチュリーさんの方が上だから…どちらかと言えば僕が弟になるんじゃ…?」

 

すると少し真面目な顔になり…――

 

「そんな些細な事はどうでもいいのよ。たとえ年齢が上でも、動かない大図書館とまで呼ばれた私を兄様は動かしてくれた。そんな頼れる…甘えられる兄様だからこそ、私はあなたを兄と…兄様と呼びたいの……ダメ…かしら?」

 

そんなうるうるした上目使いで見られて断れるわけないじゃないでしょ!?

 

パルスィさん……あぁ…もう諦めてるんだね……。

 

なら美鈴さんなら?!…そうして目を向けると…――サムズアップして

 

「これでパチュリー様も健康な生活を送れますね♪」

 

逃げ場がない……はぁ…覚悟を決めよう…。

 

 

「えっと……こんな兄で良いなら…お願いします…パチュリーさん「パチェ」…へ?」

 

「パチェって呼んで、本当に親しい人にしか呼ばせていない名前…兄様と姉様には呼んで欲しいの…(再び上目使い)」

 

~~~///

 

「分かりました……えっと……よろしくね…パチェ?」

 

すると今まで見た中で一番の笑顔で…―――

 

「はい♪末永く…よろしくね…碧お兄様♪」

 

 

こうして、事情のよく分からないまま、パチュリー…パチェが妹になった…後でパルスィさんに詳しく聞かなくちゃ…。

 

そして、みんなでウォーキングをしたのだけど……パチェはパルスィさんと僕を挟んでずっと歩いていた…きちんと手を繋いで…。

 

照れるけど……あんな笑顔されたら…ねぇ?

 

 

 

そして日も暮れる前に紅魔館へと戻ったんだけど……。

 

帰りに紫さんとレミリアさんにみんなで報告したところ、レミリアさんから盛大に笑われてしまった……。

 

あの咲夜さんですら固まってたし……でも、あまりに笑うレミリアさんは、とても良い笑顔をしたパチェの魔法で遥か上空に吹き飛ばされていた……パチェ…それは怖いからやめようね?

 

 

 

そして、それから約一ヶ月間パチェと一緒にコートに通い軽いウォーキングや、調子の良い時はちょっとしたランニングなどをして過ごした。

 

その結果、パチェのスタイルは元のスタイルに戻った…でもそれだけじゃなく、なんと喘息のも少しずつだけど良くなっていった。

 

これには僕も驚いたんだけど…パチェ曰く…―――

 

「これが兄弟の絆の力なのね…なんてすばらしいんでしょう。これからも、よろしくお願いね…兄様♪」

 

まぁ…パチェが幸せそうならいいのかな?

 

「これからも、時には厳しく…時には優しく…私の事を導いてね?…兄様♪」

 

 

まさか、自分よりも年上の妹が出来る日が来るなんて、思いもしなかったけど…―――

 

―――家族が増えるって……何だかいいなぁ…。

 

 

あ、今度幽香姉さんとアリス姉さんにも報告しないと……―――二人共…大丈夫だよね?

 

 




一体いつから、妹キャラが橙だけだと錯覚していた?
とパチェさんには年上の妹になって貰いました。需要は…あるんですかね?
最初のポチャリーに関しては皆さまの想像力にお任せします。

ご意見、ご感想、アドバイスなど、よろしければお待ちしております。

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