タイトルの通りスポーツの秋…ですが、別の誘惑が…。
「ねぇパルスィさん、秋と言えばスポーツの秋って言葉もあるよね?」
と、朝食の準備をしながら、隣で目玉焼きを焼いているパルスィさんに言ってみる。
「そうなの?初めて聞いたわね…ちなみに、何でスポーツなのかしら?紅葉や食欲なら理由は分かるのだけど…?」
そういえば、何でスポーツの秋なんだろう?一般的に言われてるだけで、深く考えたことは無かったなぁ…。
すると、のそのそと(珍しく自分から)起きてきた紫さんが…――
「それはね~…秋は四季の中で最も過ごしやすい季節で、運動をするのに丁度いいのよ~…zzz」
あぁ…でも眠そうだ…―――
「紫さん、おはようございます。もう少しで朝食ができますから…それにしても、色んな事に詳しいんですね」
半分寝ぼけながらも、きちんと答えてくれる辺り流石は賢者だ…。
「おはよ~…碧君…パルスィちゃ~ん…。それからね~……んくっ…」
パルスィさんが用意した水を飲み干す…――それから?
「ありがとう。おかげで目が覚めたわ。それからね、秋はエネルギーの消費量が増えて基礎代謝が上がりやすいの……まぁ…早い話、ダイエット効果がものすごく高くなるのよ…「ホントですか?!」…くすっ♪えぇホントよ♪」
ダイエットという言葉に、すかさず反応したパルスィさん。
「パルスィさん…そんなに気にするような体型じゃないのに?(ポコッ)…あいたっ!?…え?何で?」
照れた顔をしたパルスィさんから無言で頭を叩かれた……ホント…何で???
そんな僕達を見た紫さんが……―――
「くすっ♪いいこと碧君?乙女心は複雑なのよ?それと…女心と秋の空って言葉もあるくらいだから、気を付けなさいね?」
むぅ…本当に難しいなぁ…。そんなやり取りをしながら準備を進めて、いつものように朝食を食べる。
「さて、さっきの碧君の話なんだけど…秋はね、来るべき冬に備えて、色々と体の準備をしていく時期でもあるのよ」
動物だと冬眠とかしないといけないからね。だからこそ秋に一杯食べておくのかな?
「ただね…食べ物が美味しすぎて、思わず食べる量も増えてしまうのよ…その辺は分かるわよね?」
あぁ…そういうことか…。すると紫さんの言葉に思い当たる事があるのか…パルスィさんが……―――
「紫さん!是非スポーツをしましょう!今から!直ぐに!」
そこまで気にしなくても……いや、藪蛇かもしれないからやめておこう。
でも、パルスィさんとスポーツか…うん、それはそれで楽しみだな…――。
「あらあら、いいわよ?場所の用意はさせて貰うわ…それで、どんなスポーツをやりたいのかしら?」
パルスィさんは少し考えた後…こちらに顔を向けてくる…あぁ、そういう事か。
「二人で楽しめるものだと…ウォーキング、サイクリング、水泳、マラソン……後は…テニスとか…かな?」
その中のとあるものに、パルスィさんは反応した。
「あまり聞きなれないものもあるのだけれど…テニスってどんなものかしら?」
そっか、テニスをするのは初めてなんだ…なら簡単に教えてあげなきゃね。
「えっと、簡単に言うとラケットって言う……羽子板みたいなものかな?…その道具を使って、小さなボールを二人で打ち合うスポーツかな?」
我ながら分かりにくい説明だと思うけど……伝わったかな?
「なんとなくだけど…分かったわ。紫さん、その…テニスをしたいのですけど…?」
すると分かっていたかのように紫さんは…―――
「了解したわ。ラケットとボール…そ・れ・か・ら…テニスウェアも用意してあるからね…くすくす♪」
…なん…だと…?
今、何て言った?テニスウェア?…あの男子なら誰しも一度は憧れる衣装…?
紫さんの方を見ると……サムズアップしてた……紫さん……グッジョブです!思わずサムズアップし返した僕は悪くない…はず。
そのやり取りを見ていたパルスィさんは何が何やら、よく分かっていないようだったけど…。
「さぁ、パルスィちゃん。そうと決まればこっちの部屋でお着替えしましょうね?」
「へ?着替えですか?この服のままじゃ?」
「何言ってるの?テニスをするには決まった衣装があるのよ?それを着ないとテニスは出来ないんだから?」
紫さんナイスです!そして、慌てるパルスィさんを連れ紫さんが隣の部屋へと入っていった。
『へぇ…これがラケットとボールですか?思ったよりも大きいんですね』
『そうよ。それと、これが衣装ね』
『へぇ……はへっ?!ちょっと、紫さん?!これ、何だかスカートが短くないですか?!それにノースリーブだから腋とかモロに見えちゃいますし?!』
『まぁまぁ。まずは着替えて頂戴…着方は分かるかしら?』
『えっと……はい。んしょ……あ、ウェストはアジャスターで調整できるんですね……上着は…ブラ以外脱がなきゃ…いけないのね……』
『あら?相変わらず綺麗な肌ねぇ……えいっ♪』
『ひゃん?!ゆ、紫さん!どこ触ってるんですか!』
『いいじゃない?お嫁さんの身だしなみをチェックするのも保護者の役目よ?…それっ♪』
『んひゃ?!だから、いきなりそんな所を…ひゃん?!…』
『これは…碧君が夢中になるのも納得ね~…さて、じゃあそろそろ着替えの続きをしましょうか?』
あぁ……良かった終わってくれて……声だけとはいえ…いや、声だけだからこそ、色々とやばかったよ…。
『スカートはこれでいいのね……って、これスカートの中…丸見えなんじゃないですか?!』
『あぁ忘れてたわ。ショーツの上から、これを穿いて頂戴?』
『何ですかこれ?…ヒラヒラの多いショーツ…?』
『アンダースコートって言って……まぁ、簡単に言えば見られても良いショーツ…ドロワーズを少しだけ動きやすくしたものよ?』
『見られても良い?!これ普通にショーツと布面積が変わりませんよね?!え?これが普通?外の世界って……』
そんなやり取りを暫くして、着替えが終わったのか、紫さんが部屋から出てきた。
「碧君、準備出来たわよ~♪ほらパルスィちゃん、いい加減覚悟を決めて出て来なさい?」
『うぅ…紫さん…でも、これ…とっても恥ずかしいですよ……』
「全部見た間柄なんでしょう?なら別に今更良いじゃないの?」
その言葉に僕も顔が赤くなる…///
襖越しに、パルスィさんも悶えてるのが分かるし…。
「もう、いい加減にしないとスキマで無理やりこっちに出すわよ?」
『わ、分かりました!……うぅ…碧…笑わないでね…?』
そうして、襖を開けておずおずとパルスィさんが出てくる……こ、これは!?
スカートを下に引っ張りながら胸元を手で隠すパルスィさん……か、可愛い…―――
全身白でコーデされたテニスウェアだが、短すぎるスカートからは動くたびに、アンダースコートがちらちらと見えている。
上着の方もノースリーブで腋だけではなく横乳がモロに見えるタイプだった。
それから、白+薄手の生地なので、うっすらとピンクのブラが透けて見えている…まぁ…有体に言えば…とてもエロイです…ごめんなさい…。
でも、紫さん……グッジョブです!
そう思いながら紫さんにサムズアップすると…紫さんもとても良い笑顔でサムズアップしてくれた…流石は賢者…色々と分かってらっしゃる。
それから、恥ずかしがるパルスィさんを二人で説得して、外に連れて行くことにした。
「そういえば、幻想郷にテニスコートってあるんですか?」
するとスキマを開こうとした紫さんが……―――
「えぇ、実はこんな事もあろうかと思ってこっそりと作っておいたのよ。場所も、めったに人が来ない上に人目に付きにくいから、パルスィちゃんの姿を見るのには最適よ♪」
「…あの…私がこの衣装を着ないという選択肢は…?「「ないわよ(ないけど)?」」…ですよね…しくしく…」
と、そんなパルスィさんを連れてスキマを潜った先にあったのは……霧に包まれた…湖…?
「ここに来たのは初めてかしらね?……ここはね、紅魔館の近くにある”霧の湖”名前の通り、一年の大半が霧に包まれた広大な湖なの。場所も選んだし、これなら目立つことはないでしょうパルスィちゃん?」
まだ、恥ずかしさで悶えてるパルスィさん…まぁ、流石に外で着るのは恥ずかしいよね…まぁ、そんな所も可愛いんだけど。
「うぅ……確かにこれなら人はあんまり来ないでしょうし、霧で目立ちにくいですけど……はぁ…もう諦めてテニスを楽しむことにします……」
それから、パルスィさんにラケットの持ち方や、ボールの打ち方、テニスコートの説明などをした。
「それじゃあ私はのんびりと見てるから、二人は楽しんでちょうだいね♪」
紫さんはスキマの上に器用に寝そべって眠り始めた……朝早かったからねぇ。
「さて、じゃあまずは準備運動からしようか?何にもしないと怪我しちゃうからね」
「そうね、ところで準備運動はどんな事をするのかしら?」
うーん…普通にアキレスを伸ばしたり、屈伸や前屈とかかな?……あ、そうだ。せっかく二人いるんだし…。
「まずは僕がやって見せるから、それに合わせて動かして。その後は二人で出来る運動があるから、それをやろうよ」
そして、アキレスを伸ばしたり、屈伸や腕を回したりした。
「うん、なんだか温かくなってきたわね。次はどうするのかしら?」
そう、僕がしたかったこと……それは…―――
「まずはパルスィさん、こっちに来て「えぇ…」…それから、背中合わせにくっ付いて…「ふぇ?」腕を組んで……いくよ?」
何をされるのか理解していないパルスィさん…そのままゆっくり持ち上げる。
「ちょ、ちょっと碧?!これって?!」
「じたばたしないで!こうやって背中を伸ばしてるの!ほら、体を楽にして?何となく気持ち良くない?」
すると落ち着いたパルスィさんが…―――
「―――えぇ。なんだか不思議…こういうのも良いわね」
そう、どうせ運動をするなら良くあるこういったものもしてみたいと思ったのだ。
「ゆっくり降ろすから、そしたら、次はパルスィさんが持ち上げてね?」
「んっ…えぇ…分かったわ。ゆっくりと……あら?…碧って…思った以上に軽いのね?」
まぁ…背も低いし…。
「この体勢だったら尚更そう思うよ。これを後2~3回繰り返したら次の運動をしよう」
そして、背中を伸ばし終わり……次は…―――
「―――次は、地面に座って?…うん、そのまま足を開いて「へっ?…流石にこの時間からは…///」違うよ?!えっと…前屈するの、僕が背中を押すからパルスィさんはそのまま地面に頭を付ける感じで体を伸ばしてって事だよ」
「あぁ…そういう事ね……もう!そういう事は先に言って頂戴…///」
それからゆっくりとパルスィさんの背中を押していく……けど…―――
「パルスィさん…体、とっても柔らかいね」
――そう押していったら、なんとビックリ頭が地面に着くという柔軟性…新体操選手になれるんじゃ?
「んっ…そう…かしら…?でも…こうしてると…っ…碧の体温とか、匂いが間近に感じられて……それに…抱き締められてるみたいで…いいわね♪」
うっ…そう言われるとちょっと照れくさいな………ん?待てよ…この流れは…―――。
「じゃあ次は私が碧を押してあげる番ね。さ、碧…準備はいいかしら?」
あぁ…そうなるよね。いや、まぁ楽しみなんだけど…僕、体が硬いからなぁ…。
体勢を入れ替え、今度はパルスィさんから押してもらう…けど…―――
「ねぇ?碧…なんで前に倒れないのよ?」
「えっと……柔軟性が…ないんです…あいたた…」
すると、パルスィさんが一度力を抜き…―――
「ふぅん…だったら…これならどうかしら♪」
背中にあった手が、僕の胸元を抱き締めるように回される。
そうなると必然的に、背中にはパルスィさんの…たわわなあれが押し付けられるわけで……~~~///
「あら?どうしたのかしら?クスクス♪」
うわぁ…絶対に楽しんでる…というかさっきの仕返しか?…でも、良い匂いするし…柔らかいし…うん、このままでいいや。
そんな感じでイチャイチャしながら準備運動?をしていると……―――
「――あら?こんな所で皆さん何をなされているのですか?」
とコートの外から声がかけられる……この声って…。
「美鈴さん?ご無沙汰しています…あれ?今日は門番のお仕事はお休みなんですか?」
緑色を基調とした中華っぽい服装に、腰まで伸ばした紅い髪…スリットから覗く健康的な足。
「えぇ、今は休憩中だったのでお散歩をしていたのですよ。しかしまぁ…相変わらず仲が良いみたいですねぇ」
ハッ…と我に返る。今の体勢は、パルスィさんから抱き締められているような恰好……うわぁ…///
慌てて元の体勢に戻り…―――
「すみません!お見苦しい所を…///」
「いえいえ、お二人が幸せそうで何よりですよ。二人を見ていると私も幸せになりますから」
相変わらず出来たお姉さんだなぁ…。
「しかし、いつの間にこの場所にテニスコートを作られたんですか?これなら私も毎日通いたいくらいですよ」
「紫さんがこっそり作ってたみたいなんです。良ければ美鈴さんも使ってください」
「それは感謝します。ふむ……ここならば……」
どうしたんだろう?何か考えてるみたいだけど…?
「碧さん。良ければ後程紅魔館へいらっしゃいませんか?少々頼みたいことがあるのですが…」
?…唐突だなぁ…まぁ美鈴さんから頼まれ事なんて滅多にないから……―――
「――いいですよ。えっと少しここで体を動かした後でも構いませんか?」
「はい、構いません。それでは私は仕事に戻りますので…後程、またお会いしましょう」
そう言って立ち去っていく美鈴さん…なんだろう…ってこの視線…。
「あの…パルスィさん?…どうしたんでしょうか?」
「む~…。今のって紅魔館の人…よね?何だか妙に仲が良くなかった?」
あぁ…そういえば美鈴さんとは初対面なんだっけ?
「えっと、美鈴さんとは、紫さんの仕事の手伝いで紅魔館に行ったときに、門で世間話をするくらいの仲だよ?」
ふーん…と言った顔でこちらを見てくるパルスィさん…。
「……相変わらず年上キラーなのかしら?」
「え?なにそれ?!初めて聞いたんだけど?!」
「まぁ、この話はその内ね。今日はテニスをしに来たのだから、さ、始めましょう?」
すごい気になるんだけど……まぁ時間も限られてるし、始めるかな。
そうして、さっそくコートに別れてテニスを始めたんだけど……
「いくわよ~…はい!………当たらないわ……。もう一回!たあっ!(ベチッ)…っ?!~~~…」
今度はボールごと自分の手をラケットで叩いてしまった……。
パルスィさんて、なんでもできそうなのに変な所で不器用なんだよな~…まぁ、そこが可愛いんだけど。
「パルスィさん、いい?最初はゆっくりでいいから。まずはボールにきちんと当てるところから…ラケットがボールに当たるまで絶対に目を離さないでね?」
「う、うん……。せーのっ(ポーン)あ!当たった!当たったわよ!やったー♪」
ボールは山なりにこちらのコートに飛んできたので……―――
「その調子だよ!じゃあ次はこれを打ち返してきて…ねっ!」
取れるくらいに軽く返す……いけるかな?
「…しっかりとボールを見て……えいっ!」
おぉ、ちゃんと帰ってきた…やっぱりセンスがいいなぁ。
それから、ラリーが続くようになり、ようやくテニスらしくなってきた頃…とある事に気が付いてしまった。
「それっ!」
(ぽよん)
「あ、そんな所に?!間に合え!」
(ひらっ)
「あ、いいボール…これやってみたかったのよね!せーの…スマーッシュ!」
(ふわっ……ぽよよん)
うん……さっきから、胸の揺れとか、少し汗ばんだ生足とか、スカートから覗くアンスコとか……色々とまずいです。
「???…ちょっと碧?どうしたの?折角ラリーが続くようになったのに?」
軽く汗をかいて、頬を赤らめたパルスィさんが近づいてくる……しかも、本人気が付いて無いのか、ブラがずれて…その…ピンクのあれが見えてるんだよ…///
そして、そんな僕の視線に気が付いたのか…パルスィさんは自分の格好と今までの動きを思い出し…――慌てて胸を隠し……。
「~~~///……碧のえっち…「ぐふっ」…スケベ…「かふっ」…まぁ…気が付かなかった私も悪いんだけど…///」
二人して顔を真っ赤にして照れていると……―――
「あらあら?本当に仲がいいのだから♪」
あ、そういえば紫さん居たの忘れてた……というか全部見られて……「くすくす♪」……やっちゃった……。
その後はお互い恥ずかしさもあり、テニスはそこでお開きにした。
「ねぇ…パルスィさん…///」
「なにかしら?」
「次からは、無難にウォーキングとかにしようか?」
「そ、そうね…///」
あ、でも……。
「ねぇ…碧?…この格好…また見たい?」
?!……読まれてた…。
「はい…とっても、見たいです…」
すると、顔を赤らめたパルスィさんが、耳元で……―――
「なら……二人っきりのときに……ね?」
破壊力抜群の言葉……それが聞けただけでも今日は満足な体験だった。
「さて、二人とも…良い雰囲気だけど…美鈴にも言われているでしょ?私も用事があるし…紅魔館に行くわよ?」
あ、そうだった。パルスィさんを見てみると…。
「私は少し休ませて貰うわ。この場所は空気が澄んでいて、とても過ごしやすいの…だから気にせずいってらっしゃい?」
なら、お言葉に甘えて…。
「じゃあとりあえず用事?を早めに終わらせて戻ってくるよ…じゃあ紫さん…行きましょう」
そうして僕と紫さんは紅魔館へと向かって行った。
余談だが、パルスィさんが残った理由に、テニスウェアを他の人に見られたくなかったというものがあったらしい。
確かに、本人恥ずかしがってたから仕方がないよね…―――。
というわけでスポーツの秋でした…どちらかと言えば煩悩の秋でしたが…。
次回は続きになります。
ご意見、ご感想、アドバイスなど、よろしければお待ちしております。