東方嫉妬姫   作:桔梗楓

37 / 47

恐竜ドラゴンさんの書く東方小説「東方悪夢男 -フレディ・クルーガーが幻想入り-」とコラボさせていただく事になりました。

作者「コラボしてもいいんですか?」

フレディ「Welcome to prime time, bitch!(視聴率があがるぞ)」

作者「?!」

キャラ崩壊やごちゃまぜ+ガバガバ設定になりますがご容赦下さい。
正直、私は戦闘描写が苦手なので上手く書けている自信がないですが、どうぞお楽しみください。



コラボ企画 敵か味方か、もしくは悪夢か?!~謎の仮面のヒーロー現る~

 

ここは忘れ去られたモノ達の楽園―――幻想郷

 

―――だが、この幻想郷は碧達の住む幻想郷ではない

 

―――幾重にもあるとされる平行世界、それはこの幻想郷でさえ例外ではない

 

―――そして、ここに…その世界の主人公「エルム街の悪夢」

 

―――その名は、フレディ・クルーガー

 

 

 

「ふわぁ~……今日は平和でいいねぇ。ここ(幻想郷)に来てから立て続けにいろんな事件があったからな。ま、偶にはのんびりするのも悪くない」

 

特徴的な、焼きただれた顔

 

赤と緑の横縞セーター、焦げ茶色の帽子

 

右手に手製の鉤爪を付けたその人物は博霊神社の階段でのんびりしていた。

 

彼にとって戦いは日常茶飯事、何もない事の方が稀なのだ。

 

しかし、その平穏もすぐに崩れることになる。

 

そしてこれが、彼の二度目の異世界への旅になるということを…彼はまだ知らない。

 

 

 

「フレディ!いる!いるなら自爆して頂戴!」

 

意味の分からない事を言いながらスキマから現れたのは、スキマ妖怪の八雲紫。

 

「うおっ?!って紫か!?びっくりさせるんじゃねぇ!それと自爆ってなんだこら!人を殺す気か!?(いや、ある意味死んでるようなものだけど)」

 

「あぁ!いたのね!良かったわ!」

 

こいつが焦る姿なんてかなりレアだ……全く、面倒な予感がヒシヒシしやがるぜ…。

 

「あぁ、それでどうした?お前が焦るなんて何があった?妊娠でもしたか?」

 

焦る紫と正反対に気楽な態度で応えるフレディ。

 

「したいけど相手がいないわよ!悪かったわね!!!ってそうじゃないの!真面目な話よ!」

 

「ったく、ならそう言いやがれ。んで、どうしたんだ?」

 

すると紫が―――

 

「このままじゃ幻想郷が滅んじゃうの!」

 

一瞬フリーズするフレディ。流石の彼も事態が読めないようだ。

 

「は?幻想郷が?おいおい、ジョークにしちゃブラックすぎるぜ?」

 

「あぁ…言葉が足りなかったわね。正確にはこの幻想郷じゃない、平行世界の幻想郷よ」

 

紫の言葉に再びフリーズするフレディ。

 

「あー…その、紫…お前…疲れて「真面目な話って言ったでしょ!」…お、おう」

 

「いい?あなたがこの幻想郷にやって来たように、別の世界っていうのは存在するの。似ているようで似ていない、近いようで遠い世界が…それを私達は平行世界って呼んでるの…ここまではいい?」

 

紫の剣幕と物言いに、うなずく事しか出来ないエルム街の悪夢(それでいいのか悪夢…)

 

「続けるわよ。その平行世界の幻想郷に、外の世界で生まれた妖怪……いえ、この場合“怪人”って言った方がいいかしら?…それが入り込んだの」

 

「怪人…ねぇ…。そんな奴、その平行世界の連中で何とかできるんじゃねぇのか?」

 

普通に考えたら、神や悪魔…それに近い存在がうじゃうじゃいる世界だ。そうそう勝てる者がいるとは思えない。

 

「そいつにはね、スペカや能力が一切通じないの…さらに性質の悪い事に、その数をどんどん増やしていく…下手をしたら増えたそいつらが、この幻想郷にまでやってくるかもしれない…そうなる前に手を打ちたいのよ」

 

紫の物言いに気が付くフレディ。

 

「おいおい、その言い方だと、こっちの幻想郷には対抗できる手段があるみたいじゃねぇか?」

 

「えぇ、あるわ。それがこのベルト…“ゲーマドライバー”よ!」

 

見た所、奇妙な装飾がされた機械のベルト。

 

「冗談きついぜ?こんなベルトで何ができるってんだ?それに、その幻想郷にもこれがあるんじゃねぇのか?」

 

だが、紫の顔は厳しい。

 

「これは何とか一つだけ入手したレプリカ。向こうの幻想郷とは時系列が違うから…まだ、このベルトは無い。そして、その幻想郷にいる重要な人物。物語の要になっている人間がいるの」

 

「物語の要?そいつはいったいどういう事だ?」

 

時間も惜しいのか、早口の紫は語る。

 

「平行世界が成り立つ前提として、その世界の物語の要になる人物が必ず出てくるの。そう…例えば、私達の世界なら、フレディ…あなたがそうよ「俺が?!」そう、そしてその人物が万が一にも殺されたなら……その幻想郷は滅んでしまう…物語が終わってしまうの」

 

「なるほど、ロープレの主人公みたいなもんか…まぁ、穏やかな話じゃねぇってのは分かったが…なぜ俺だ?」

 

すると待っていましたとばかりに―――

 

「前提として、平行世界に存在する人物…まぁあなた以外の幻想郷の住人ね。その人が行くと平行世界に同じ人物が二人いる事になって、世界に歪みが生じる。外から来たフレディなら、それに当てはまらないし……何より、あなたの力なら問題なく解決できるわ」

 

「はっ!言ってくれるねぇ。いいぜ、あんたに頼まれるなんて滅多にない事だ。さくっと世界を救ってきてやるよ!」

 

「そう言ってくれると思ったわ。それじゃあ早速、このベルトの使い方を説明するわね」

 

 

―――少女?説明中(うわ何をする?!)

 

 

「なんか変な声が聞こえなかったか?「気のせいよ」いやでも…「気のせいよ?」…お、おう…」

 

「それじゃあ早速スキマで向こうの世界に送るわね。帰りはベルトに付属しているワープガシャットを使って頂戴」

 

「オーケーこいつだな。…それじゃあさくっと送ってくれや」

 

そして、フレディの足元にスキマが開き―――

 

「ふぁっ?!やっぱりこれかあぁぁぁぁぁ………」

 

スキマに響く声が聞こえなくなり。

 

「キチンと落ちは付けないとね?」

 

そしてフレディは平行世界へと旅立った。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

ここは地底の果て―――

 

碧とパルスィはいつものデートと趣向を変えて、鉱山地帯に来ていた。

 

元々、旧都か地上で買い物でもしようかと思っていたのだが、前にパルスィから地底の果てに鉱山の採掘跡地があると聞き、男なら一度はそういう場所に憧れると言い、急遽デートの場所を変えたのだ。

 

 

「うわぁ…すごい、本当にこんな場所があったんだ!あ、あっちには採掘場…あっちにはトロッコもある!」

 

子供のようにはしゃぐ碧。まぁ見た目は子供に近いのだが―――

 

「あんなにはしゃいじゃって…もっと景色の綺麗な場所とかあるでしょうに…。碧、あんまり奥に行ったらダメよ?」

 

恋人同士というよりは、姉と弟(この場合妹にも)見えなくない。

 

しかし、その時間は長く続かなかった―――

 

 

「碧!待ちなさい!……何か、変な気配を感じる……出て来なさい!」

 

 

すると採掘場の洞窟からぞろぞろと鬼が出てきた。

 

 

「碧、あの鬼達って……?」

 

「うん…間違いないと思う…あの時全員消えたと思ったんだけど……」

 

 

それは以前、旧都で碧達を襲った鬼達だった。

 

襲撃犯の大半は、勇儀と女将の活躍により壊滅したのだが、生き残りがいたようだ。

 

 

「こんな辺境の地へようこそ。いや、よくぞ来てくれた……お前達のせいで、俺達は酷い目にあったんだ……それがこんな所で恨みを晴らせる機会がやってくるなんてなぁ」

 

 

「相変わらず腐ってるね、逆恨みすることでしか、自分達の体面を取り繕えない…相変わらずのクズだね!」

 

「あの時は旧都の中だったから全力が出せなかった……それに、私の力もあの時の比じゃないわ!逆に、ここで全ての遺恨を断ち切ってあげるわ!」

 

そう言って臨戦態勢に入るパルスィさん。

 

僕も、足手まといにならないように、うまい事逃げ回らないと。

 

 

するとリーダーと思わしき鬼が―――

 

「ふん、舐めているのはそっちだ。俺達は最強の力を手に入れた!そう、この幻想郷で俺達に勝てる奴はいないんだよ!うおぉぉぉぉお!!!!」

 

 

すると、鬼の体が変容していく。

 

体は一回り大きくなり、オレンジ色の頭部に、黒い異形の体。

 

鬼でもない、かといって他の妖怪でもない……まさしく怪人と言える姿だった。

 

 

「な、何なの…あの姿?!」

 

「分からない…でも、やばい感じがする…」

 

 

そして他の鬼達も次々と姿を変えていく……改めて見ても何て数だ…。

 

 

軽く見ても30体はいる怪人。

 

そいつら自我を持っておらず、目の前にいる僕達を襲う事だけを考えているようだった。

 

 

「碧!離れてて!一気に決めるわ!恨符「丑の刻参り七日目」!」

 

以前よりも数倍強力になったスペルカード。

 

そのエネルギー弾の直撃を喰らえば、普通の妖怪ではひとたまりもない……筈だった。

 

凄まじい弾幕の奔流、それらが、全て直撃する。

 

激しい爆音を立て、土煙が立ち上る。

 

これだけの弾幕なら…。

 

 

煙の晴れた先にあった光景―――

 

「う、嘘でしょ…?」

 

そこには、無傷の怪人がいた。

 

「あの弾幕に耐える…いえ、無傷なんて…それに、能力も通じていない?!」

 

先程から嫉妬を操り同士討ちをさせようとしていたらしいが、その作戦も崩れ去る。

 

「パルスィさん!これ、かなりマズイよ!ご丁寧に、この前よりも強力な結界も張ってあるし…」

 

ゆっくりとした…でも、じわじわとこちらを追い詰めてくる怪人。

 

「くっ!このままじゃ!」

 

その瞬間―――

 

 

「火符「ファイアボール」」

 

どこからともなく無数の火球が現れ、怪人達に直撃する。

 

え?……一体何が?

 

呆然としている僕達に聞こえてきたのは――――

 

「おいおい、随分と楽しそうな展開じゃねぇか?」

 

小高い丘になった場所にその人物はいた。

 

焼きただれた顔、赤と緑の横縞セーター、焦げ茶色の帽子、右手に手製の鉤爪の男。

 

どう見ても普通じゃない事は分かるけど…この状況ならありがたい。

 

すると男はこちらに来て―――

 

 

「大丈夫だったか、お嬢ちゃん達?」

 

そう言いながら僕とパルスィさんの前にその人は立ち、怪人達を警戒する。

 

「ふぅむ…金髪の娘は正直好みじゃないが…「なっ?!どういうことよ!」…こっちの黒髪の子供は…あと少し小さかったらストライクなんだがな…」

 

え?この人……ひょっとしてロリコン…?

 

「…えっと、あなたは?」

 

 

「俺の名前は……おっと、それよりも先にあいつらだ。こいつも食らっとけ!刃符「ナイフハンド」」

 

すると彼の鉤爪が紅く光ったかと思うと、そこから刃の形をしたエネルギー弾が放たれ、次々と怪人に襲い掛かる。

 

圧倒的な量の弾幕、明らかにオーバーキル…そう普通なら…だ。

 

しかし、煙の晴れた先にいた怪人はまたしても無傷だった。

 

一体こいつらは……?

 

 

すると男性が―――

 

「ちっ…やっぱスペカは効かねーのか…、このまま戦っても分が悪そうだ…なら、こいつを使うしかねーなぁ!」

 

そう言い、どこからともなく取り出した、機械のベルトを腰に巻く……ベルト?

 

 

「さぁ…「Welcome To My Nightmare!」…じゃねぇな。今日の俺は…「GAME START!」だ!」

 

 

そう言って、ゲームのカセットに持ち手を付けたような物をベルトに差し込む。

 

「行くぜ!『変身!』」

 

【ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!? アイム ア カメンライダー!】

 

謎の音声と共に男性の姿がまばゆい光に包み込まれていく……そして―――

 

 

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

と決めセリフ?と共にポーズを取る男性……だが、その姿は。

 

ずんぐりとした白い何かだった……え?本当に何…あれ?

 

 

そして変身した当の本人も―――

 

「って、なんじゃこりゃぁあ?!」

 

うん、本人すら予想外だったみたいだ。

 

決め台詞に決めポーズまで取っていただけに、その絵面はとてもシュールだった。

 

 

「ま、まぁいい!とにかく!見た目だけで判断するな!行くぜ!」

 

そしてどこからともなくハンマー?のような物を取りだし―――

 

「ガシャコンブレイカーハンマーモード!叩き潰してやんぜ!」

 

武器を構えた男性……いや、仮面の戦士。

 

「オラオラ、あめぇ!オラオラオラオラオラオラオラ!!!!!」

 

その鈍重な見た目とは裏腹に、機敏な動きで大勢いる敵を翻弄している。

 

しかし、それよりも気になる事が―――

 

 

「ねぇ…碧。あれ、私の見間違いかしら?」

 

仮面の戦士が怪人に攻撃する度に―――

 

「おらぁ!」【HIT!】

 

「そこだぁ!!」【GREAT!】

 

と、いった文字がテレビのエフェクトのように浮かび上がってきている。

 

僕も見えてるんだけど……それよりもさっきのベルトの音声が言ってた、“仮面ライダー”って言葉…

 

「仮面…ライダー…」

 

「碧?心当たりがあるの?」

 

おっと、無意識に声に出てたみたいだ。

 

「うん、外の世界にいた時に聞いたことがあるんだ。それは、人知れず悪の組織や怪人を倒して町の平和を守る…謎の多い仮面の戦士たちの話」

 

「そんな人たちがいたの?っていうか悪の組織に怪人って?!」

 

「いや、流石に見た事もないし……なにより仮面ライダーの話自体が。都市伝説みたいなものだったから…かなり眉唾物だったんだけど……」

 

そう言って、目の前で戦う仮面の戦士を見る。

 

 

「ちっ、やっぱ俺には鈍器は似合わねぇな!「ジャ・キーン!」お、これこれ!さぁ!切り刻むぜ!」

 

ハンマーの形が変化し、剣の形になる。

 

そして仮面の戦士はそれで敵を切り刻んでいく―――

 

切り刻まれた怪人達は爆発し、消えていく。

 

大勢いた怪人達の全てを倒してしまった……すごい…これが仮面ライダー…。

 

 

すると鉱山の奥から、何者かの声が聞こえてきた。

 

 

『まさか、こちらの世界でも邪魔をされるとはな……“エグゼイド”!』

 

 

エグゼイド?それがあの仮面ライダーの名前なのかな?

 

そして、奥から出てきたのは全身を緑色の甲冑で覆われた、先程の怪人よりもさらに一回り大きな別の怪人だった。

 

 

「エグゼイドぉ?なんのことだか分からねぇが…てめぇがこの事件の犯人って訳か!なら、さっさと倒させて貰うぜ!」

 

剣を構え、勢いよく突っ込んで行く仮面の戦士…エグゼイド。

 

しかし、それと同時に怪人の両手にある双刃が赤く光る。

 

「ふんっ!中の人間が違うようだが…舐められたものだな!ふんっ!「激怒竜牙」!」

 

 

双刃に込められたエネルギーが赤いX字の斬撃となりエグゼイドに向かって行く。

 

 

「なっ?!ぐわぁぁぁあ?!」

 

その衝撃は凄まじく、先程まで、無双を誇っていたエグゼイドを、容易く返り討ちにした。

 

「エグゼイド!?」

 

「ちょっと!あれ大丈夫なの?!」

 

ダメージが大きかったのか、起き上がろうとして、手を付くが、力なく倒れ伏す。

 

 

「パルスィさん!少しでも良いから時間を稼いで!」

 

「ちょっと碧?!あーもー!分かったわよ!嫉妬「ジェラシーボンバー」!」

 

パルスィの放つ弾幕が怪人の目をくらませる。

 

「くっ?!こしゃくな真似を!」

 

今だ!倒れ伏すエグゼイドに近づいて行き―――

 

「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

 

そういってアーマーをゆする……すると。

 

「……っ~!……流石に今のは効いたぜ…。全く、子供に心配かけるとは…俺も落ちたもんだな……」

 

「良かった!…立てますか!」

 

「問題ねぇ!しかしこのままじゃ埒が明かねぇ…嬢ちゃん!アブねぇから離れてな!」

 

「は、はい!パルスィさん!もう大丈夫だから!離脱するよ!」

 

そう言ってパルスィさんと距離のある岩陰へと離れる。

 

 

「ねぇ。大丈夫なの?あいつ、けた違いに強いわよ?」

 

「大丈夫…あの人が仮面ライダーなら…きっと何とかしてくれる!」

 

 

 

「ふっ…恐れられると力を増す俺が、まさか心配されて力を増すなんてな……絶対に負けられねぇな!」

 

するとエグゼイドは大の字を作りポーズを取った後―――

 

「行くぜ!『大変身!』」

 

掛け声と共にベルトに付いていたレバーを開く、すると―――

 

【マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!】

 

先程とは違う音声が流れだす。

 

すると、ずんぐりとした全身の白いアーマーがパージされ、中からマゼンタに近い色の仮面の戦士が現れた。

 

 

「銃弾より速く、イカれ野郎より強い。スーパーフレディだ! ――ってマンガの見すぎだバカ!」

 

何だか、セルフツッコミをしているが触れてはいけないのだろう。

 

「ごほん…とにかく…これでちったぁ動きやすくなったぜ!さぁ……悪夢の始まりだぁ!」

 

「Welcome To My Nightmare!」

 

その掛け声と共に駆け出すエグゼイド。

 

何だあのスピード?!さっきのも十分速いと思ったのに、比べ物にならないくらい速くなった?!

 

そのまま怪人に詰め寄り剣で何度も切りつける。

 

「オラァ!オラァ!オラァ!!!」

 

【GREAT!】【GREAT!】【GREAT!】

 

「くっ…こしゃくな!」

 

そして双刃でエグゼイドに向かって切りかかる。

 

しかし―――

 

「速さが足りないんだよ!」

 

エア噴射による滞空により、攻撃を回避し落下タイミングに合わせて怪人の顔面にキックをお見舞いする。

 

「ぐ、ぐおぉっ?!」

 

さらにエグゼイドは二段ジャンプからの超高度からの切りつけでダメージを与えていく。

 

「オラァ!さっきのお返しだ!」

 

すごい!あんな動きも出来るんだ!

 

 

「くっ…まさか、こちらの世界でも再び屈辱を味わうとは……あってはならぬのだ!!」

 

闇雲に双刃を振り回す怪人。

 

「はっ!そんなノロマな攻撃じゃ俺には着いて来れねぇぜ?」

 

そう言いながら、怪人の刃を躱し、腹部に強烈なボディブローを叩きこむ。

 

 

「ごがぁぁぁあ!?!?」

 

 

悶絶しながら吹き飛んでいく怪人。

 

「さて、それじゃあこれで決めるぜぇ!」

 

エグゼイドは先程のカセットに息を吹きかける仕草をし、そのままベルトの左に差し込む。

 

【ガッシャット!キメワザ!】

 

再び流れる音声。

 

そして、しゃがむような構えを取る。

 

よろよろと立ちあがる怪人。

 

それと同時にエグゼイドの右足が光輝き、怪人に向かい飛び上がる。

 

「くっ!認めん!俺はこんな結末…認めんぞ!」

 

怪人の最後の嘆き……

 

「てめぇが認めなくても、俺の知った事じゃねぇ!」

 

【マイティクリティカルストライク!】

 

流れる音声と共に、怪人に向かい、何度も何度もキックを蹴り込んでいく。

 

そして―――

 

【CRITICAL FINISH!】

 

【会心の一発!】

 

という音声と同時に、怪人は爆発し消えていった。

 

「次に会う時は……悪夢で会おうぜ…?」

 

【GAME CLEAR!】

 

「ん?どうやらこれでこの世界の異物は排除したらしいな…なら、俺も帰らねぇとな」

 

そして、エグゼイドが別のカセットをベルトに差し込むと

 

【ガシャット!ワープ!】

 

目の前に空間の歪みができる。

 

「まったく…別の世界にまで来て人助けとは、俺も丸くなったもんだぜ……まぁ、これも全部あいつらと出会ったからか…はっ!らしくねぇぜ」

 

そして空間の歪みに入ろうとするエグゼイドの元に碧とパルスィがやってくる。

 

 

「あのっ!本当にありがとうございました!おかげで助かりました」

 

「なぁに、気にすることはねぇぜ。ん…ひょっとしてこいつが紫の言っていた物語の要か…成程な」

 

 

…物語の要?

 

「えっと…もう…帰るんですよね?最後に、あなたの名前を聞かせてくれませんか?」

 

すると、男は仮面越しにフッと笑い―――

 

「俺の名は『フレディ…フレディ・クルーガー』…通りすがりの…悪夢だ。覚えておけ」

 

そう言い残したフレディさんは歪みの中へと消えていった。

 

 

 

「ねぇ碧…今の人って…?」

 

「うん、紫さんの事を知ってたみたいだけど…まぁおかげで助かったんだから」

 

それにしても、フレディ…どこかで聞いたことが……

 

「あっ!「どうしたの?」…何で忘れていたんだろう…あの焼けただれた顔、右手の鉤爪…」

 

「碧…知ってるの?」

 

知ってるも何も…―――

 

「思い出した、フレディ・クルーガーって言ったら、『エルム街の悪夢』に出てくる殺人鬼だよ」

 

「ふーん……って殺人鬼?!そんなに怖い人だったの?!」

 

怖いなんてもんじゃない、子供にとってはトラウマになるレベルだよ。

 

「うん、でもそれ以前に『エルム街の悪夢』は外の世界の映画…お伽噺みたいなものなんだけど…」

 

実在してたんだ…。まぁかぐや姫やら、神様がいるから今更な気もするけど…。

 

昔、映画で見たフレディの残酷さは、子供ながらにトラウマになったんだよなぁ…。

 

でも、そんな人が助けてくれたんだ。

 

もし、また会う事があったら…今度はブラックジョークの一つでも教えて欲しいな。

 

そう思いながら碧はフレディの消えた先を見続けた―――

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「よっと…ふぅ…中々スリリングな体験だったぜって…うん?何だか神社が騒がしいな?」

 

変身を解除したフレディが神社へと上がると―――

 

「フレディ先輩!」

 

「おっゴーストフェイスどうし「何で僕も連れて行ってくれなかったんスか!」…お、おう、すまんな」

 

「というか何で俺が違う世界に行ってた事を…「それで言ったのよ~。『なんじゃこりゃぁあ?!』ってあれは傑作よねwww」って紫!何スキマで流してやがるんだ!」

 

「あら?フレディ、お帰りなさい。あなたが世界を救うかキチンと記録させて貰ったわよ」

 

そうして流れているのはフレディの向こうの世界での映像。

 

「って何でだ!?」

 

「まぁまぁ、それにしてもフレディってば…みんなの事をそんな風に思ってたなんてねぇ…くすっ♪」

 

 

「ぬおぉぉぉぉお!??いっそ殺してくれー!!!」

 

 

こうして世界の危機を守った功労者は、宴会のつまみになるのでした。

 

 

 





という事でコラボ回、いかがでしたでしょうか?
書いていて四苦八苦しながらだったので、上手く書けている自信が無いのですが^^;
バトル描写やギャグ要素は「東方悪夢男 -フレディ・クルーガーが幻想入り-」の方が圧倒的に面白いので、そちらを読まれて下さい。
そして、コラボの話を持ちかけてくれた恐竜ドラゴンさん、ありがとうございました。

ご意見、ご感想、アドバイスなど、よろしければお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。