東方嫉妬姫   作:桔梗楓

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秋の話に入る前に、橙の一日を書いてみました。
どれだけ橙が家族の事を大切に思っているのかを書きたくなりました。
寺子屋組は基本的に子ども体型です。



29話 スキマ話~橙の一日~

おはようございます!橙です!

 

今日はわたしの一日を教えたいと思います!

 

 

まず、私の朝は藍さまに起こされるところから始まります……―――

 

「ほら、橙。朝だぞ、起きないか」

 

主に起こされる式神ってダメだよね…でも、どうしても朝は弱くて…

 

「むにゃ……うーん…藍しゃまぁ…眠たいよぅ……」

 

「ち、橙~~♡」

 

そんなハイテンションな藍さまに抱きつかれ、わたしはいつも目を覚まします。うれしいけど…ちょっとだけ恥ずかしいな///

 

 

目を覚ました私は、家族と一緒に朝食を食べるために、居間へと降りて行きます。

 

「ん~……眠たいわ~~……」

 

隣にいるのは…わたし以上に朝に弱く、今もスキマの上に乗りふよふよと移動してるのは…藍さまの主、紫様です。

 

紫様は幻想郷の設立者の一人で、『賢者』とも呼ばれる大妖怪の一人です…―――わたしも早く一人前の妖怪になりたいなぁ。

 

 

 

降りてきた今の卓上には所狭しと並べられた朝食が……ぐーー……~~~///

 

だってどれも、すっごく美味しそうなんだもん!

 

炊きたての白いご飯に具沢山なお味噌汁――

 

生卵に納豆…そして、わたしが一番大好きな…

 

 

 

「はい、橙ちゃん。鮭の塩焼き…一番大きなやつをどうぞ?」

 

そういってお魚を渡してくれたのは、大神碧お兄ちゃん。

 

笑顔が素敵な、わたしの自慢の優しいお兄ちゃんだ。

 

 

「ありがとう!碧お兄ちゃん!」

 

そしたら、とっても嬉しそうな顔で…――

 

「どういたしまして…沢山食べて大きくなるんだよ?」

 

って言ってくれたの!……でも、私…これ以上大きくなれるのかな?……胸とか身長とか小っちゃいし……。

 

―――紫様や藍さま…パルスィお姉ちゃんみたいにナイスバディな大人になれるとうれしいな♪

 

 

それからみんなで手を合わせて、朝食を食べ始める、まずは鮭の塩焼きから…―――

 

「うん!お兄ちゃんの焼いてくれたお魚!とっても美味しいよ!橙ね、これ一番好きなの!」

 

すると、お兄ちゃんから…――

 

「そっか♪橙ちゃんから、そう言って貰えると嬉しいな。作った甲斐があるよ」

 

お兄ちゃんは幻想郷に来るまで、あまり料理をしてなかったみたいなの…それが今じゃ藍さまと同じくらい美味しい料理を作れるなんて…ほんと、すごいなぁ…

 

 

 

……―――わたしとお兄ちゃんが出会ったのは寒い冬の日だったの。

 

その日、私はひょんなことから外の世界に出てしまったんだ。

 

人の姿だと目立つから、猫の姿になって帰る方法を探してたんだけど…――

 

―――フシャーッ!!

 

野良猫の群れに囲まれ足にケガをしてしまったの……。

 

何とか逃げ出すことが出来たんだけど…でも…安心した瞬間…

 

轟音を上げわたしに迫ってくる大きな車……

 

いつもなら簡単に逃げれたんだけど、ケガをして…しかも逃げられたことに安心していたわたしは、その場から動けなかったの…

 

あぁ…わたし…こんな所で死ぬんだ…――

 

そう思ったわたしを、自分の身を挺して庇ってくれたのが碧お兄ちゃんだったの!

 

一瞬何が起こったのか分からなかったけど、わたし…助かったんだ……―――

 

「大丈夫?興奮しないで……って足を怪我してるじゃないか?!……ちょっとごめんな?このまま家で治療させて貰うから」

 

それからわたしはお兄ちゃんの家に連れていかれたんだけど…事故の恐怖と帰れないかもしれない恐怖…そんなわたしはずっと暴れていたの…

 

……―――その時は気が付かなかったけど…暴れて爪を立てていたせいで、お兄ちゃんに一杯傷を付けちゃった……。

 

それでも、わたしの治療をするためにお兄ちゃんは私を抱き締めて、帽子の上から頭を優しく撫でてくれたの……―――

 

”あったかい……それに、なんて優しい撫で方をするんだろう…”

 

その温もりに安心したわたしは、謝罪の意味を込めてお兄ちゃんの傷を舐めてあげたの…ごめんねお兄ちゃん…

 

手当の終わったわたしは餌をもらい、それを必死で食べたの…ずっと何も食べてなかったから…ホントにうれしかった…。

 

 

それから夜も遅いので、わたしはお兄ちゃんに撫でられながら眠ったの……そしたら夜中に…

 

”……ぇん……橙!”

 

この声…紫様…?

 

「にゃう(紫様、迎えに来てくれたんですね!)」

 

すると暗闇に浮かぶスキマから…

 

「しーっ…彼を起こしちゃうわよ?……でも、無事で良かったわ…橙が急にマヨヒガから居なくなって…必死に探したんだけど…まさか外の世界に出ていたなんてね…さ、幻想郷に…私達の家に帰りましょう?」

 

やっと帰れるんだ……でも……

 

「にゃあ…」

 

私は紫様に話をしたの……

 

このお兄ちゃんに助けて貰ったこと――

 

傷つきながら手当して貰ったこと―――

 

ご飯を食べさせて貰ったこと―――

 

そして……このお兄ちゃんに何か恩返しがしたいという事を。

 

ダメ…かな…?

 

すると紫様はお兄ちゃんのことをじっと見て……?何か驚いてる…?

 

「…橙…この人間はね…このままだと…幻想になってしまうわ」

 

???……どういうことだろう?

 

「簡単に言うとね…彼はこのままでは、この世界から消えて…幻想郷に来てしまうってことよ?」

 

幻想郷に?……迷い込むとかじゃなくて…文字通り…忘れ去られて…?

 

こんなに優しいお兄ちゃんが…?そんなのは嫌だ!?

 

「にゃう!にゃにゃ!」

 

「分かってるわ。私の大切な家族を助けてくれたんですもの…この人の事は、私に任せて頂戴…ね?」

 

わたしには何も出来ない……でも、もしお兄ちゃんが幻想郷に来たら…頑張って恩返しをしよう!

 

 

それから紫様に連れられたわたしは、幻想郷へと帰っていきました。

 

 

 

これがお兄ちゃんとの出会い…―――

 

 

私はまだ、何もお兄ちゃんに返せて無いけど……でもいつかきっと、わたしなりに恩返しをするんだ!

 

 

 

「さて、準備は出来たか橙?」

 

「はい!今日もがんばって勉強してきます!」

 

そう…朝食を終えた私が向かうのは、人里にある寺子屋。

 

寺子屋では人間…妖怪関係なくみんなが楽しく勉強をしたり遊んだりしている。

 

 

 

わたしは紫様が用意してくれた…人里近くに繋がるスキマに入りそのまま人里へ向かう…――

 

 

すると後ろから…――

 

「あ、橙ちゃんだ!おーい!」

 

「ま、待ってよチルノちゃん!早いよ~!」

 

と聞こえてきたので振り返ると……

 

 

 

「おはよー!今日も早いなー!」

 

氷の羽を持つ女の子…氷妖精の『チルノ』ちゃん――その後ろから、少し遅れて…――

 

「はぁ…はぁ…。おはよう、橙ちゃん」

 

チルノちゃんの隣に来たのは、透き通った羽と緑色の髪の女の子…『大妖精』の大ちゃん…――二人とも仲良しで、いつも一緒にいるの。

 

「おはよう!今日も二人とも仲良しだね~♪」

 

「おう!あたいと大ちゃんは最強に仲がいいのさ!」

 

「もう…チルノちゃんたら…///」

 

そうして三人で話しながら道を歩いていると……あ、あれって―――

 

「お!ミスティアとリグル!それにあの黒いのはルーミアか!おはよー!」

 

再びチルノちゃんは前方へ走っていく…あ、大ちゃんも付いていった

 

 

「ん?あ、チルノちゃん達だ。おはよ~」

 

「おはよう。相変わらずチルノちゃんは元気だね」

 

「ん~…眠たいのだ~…」

 

チルノちゃんが見つけたのは、わたし達と同じ妖怪で――

 

綺麗な声とピンク色の髪をした、少し大人びた雰囲気の夜雀ミスティアちゃん。

 

緑の髪をショートカットにしたボーイッシュな女の子、妖蟲リグルちゃん。

 

そして、ぷかぷかと浮く黒い球体の中で縮こまってるのが、宵闇妖怪のルーミアちゃんだ。

 

ミスティアちゃんとリグルちゃんは、昼はわたし達と一緒に寺子屋に通い、夜は八目鰻の屋台を出してるの……二人ともすごいなぁ。

 

ルーミアちゃんは霊夢さんに言われて寺子屋に通ってるんだって。

 

夜は大人の姿になるみたいだけど、いつも博麗神社で過ごしているから特に人を襲うこともないみたい。

 

 

(余談だけど大人になったルーミアちゃんは紫様みたいに背も高くてスタイルがいい……羨ましいなぁ…)

 

 

わたし達、妖怪(妖精)組はこうして一緒に寺子屋へ行くことが多いんだ。

 

 

「それにしても…橙ちゃん。今日は何だか機嫌が良さそうだね~?」

 

そう聞いてくるのは、ミスティアちゃん……あれ?そんな顔してたかな?

 

「そ、そんなことないよぅ……あ、でもね!今日の朝ご飯、お兄ちゃんが一番おっきな焼き魚をくれたの!えへへ…美味しかったなぁ♪」

 

すると、そんなわたしを見たリグルちゃんが……――

 

「また、”お兄ちゃん”の話かい?橙ちゃんはホントにお兄ちゃんの事が大好きなんだね」

 

ふぇっ?

 

「だね~。機嫌が良いときは、大体お兄さんの話が出てくるもん…分かりやすいなぁ」

 

大ちゃんまで?!……うーん…そんなにお兄ちゃんの話をしてたのかな~?

 

 

 

そして、雑談をしながら寺子屋へと着く。

 

ここでは人間も妖怪もみんな平等…だから―――

 

「あ、橙ちゃん。おはよ~」

 

「うん、○○ちゃん。おはよう!」

 

こんな感じで妖怪だからと恐れられることなく、普通に挨拶ができるんだ!…これも全部”先生”のお陰なんだけど……―――

 

「今日もみんな揃ってるな。おはよう」

 

腰まで届くくらいの銀髪に、上下が一体になった青い服と帽子…――

 

「おー!けーね先生おはよー!あたいは今日も最強だよ!」

 

「こ、こらチルノちゃん!…ご、ごめんなさい慧音先生!」

 

「なに、子供はこれくらい元気なくらいで丁度いいんだ。気にするな」

 

そう言って笑顔でみんなの頭を撫でてくれるのは、『上白沢慧音』先生。この寺子屋の先生だ。

 

「おはようございます先生!今日はどんなことを教えてくれるんですか!」

 

「おぉ、橙やる気があるのは良い事だな!そうだね…今日は算数の授業だ。楽しみかな?」

 

算数……物とかお金の数え方とかを教えてくれるんだっけ?……―――あんまり得意じゃないけど…

 

「は~い!私…この為に寺子屋に通ってるんですから~」

 

わたしに代わって答えたのはミスティアちゃん……屋台の売り上げとかを計算しないといけないから、その為に寺子屋で勉強してるんだって。

 

「わ、わたしもです!早く色んな事を覚えて、紫様や藍さま…それからお兄ちゃんの役に立てるようになりたいんです!」

 

うんうんと頷きながら笑顔を浮かべる慧音先生――

 

「うん、その意気を忘れずにな?…さて…それじゃあみんな、そろそろ席に着くんだ。授業を始めるぞ!」

 

はーい!とみんなそれぞれの席に着いて授業が始まる……―――今日も一日がんばるぞ!

 

 

それから、慧音先生はそろばんを使った授業を始めてくれました…うーん、何回やっても難しいよ~…――

 

ミスティアちゃんを見てみると……あ、目を輝かせながら問題を解いてる…リグルちゃんは…ちょっと難しそうだけど、それでも解いてる。

 

チルノちゃんは……あ、寝てる…チルノちゃん数字に弱いからな~…(パァン)…あ、慧音先生に叩かれた…うん、私もがんばらなくちゃ!

 

「うー…あたい、数字嫌いなの…」

 

頭を押さえながらチルノちゃんが訴える…すると、先生が…――

 

「ふむ…なら、無理にそろばんを使わずに、まずは手の指を使って数えてみると良いぞ」

 

「えっと…これが一個あって、こっちが三個……えっと「ほら、紙に書いておくんだ」…うん…これが三つづつあるから…あ!分かった!」

 

とってもうれしそうなチルノちゃん……うん、問題が解けるとうれしいよね♪

 

「うん。正解だ、えらいぞチルノ」

 

「やっぱり、あたいったら最強ね!」

 

慧音先生はチルノちゃんの頭を撫でてあげてる……いいなぁ、私もがんばったら…お兄ちゃんに撫でて貰えるかな?

 

 

それから、午前中の授業が終わってお昼の時間。

 

お昼はそれぞれ家に帰ったり、近くにあるお店に行ったりするんだけど……なんと今日は、お兄ちゃんの手作り弁当があるんだ!

 

 

「じゃあ、いただきまーす!」

 

「あれ?橙ちゃん、今日はお弁当なんだ?いつもは家に帰ってるのに?」

 

「んぐんぐ…ホントだ。藍さんが作ってくれたの?」

 

いつもお弁当を作ってくるミスティアちゃんとそれを一緒に食べるリグルちゃん――

 

 

「えへへ~♪今日はね、お兄ちゃんが作ってくれたんだ!」

 

私は自慢げに、そのお弁当を見せた―――。

 

 

お弁当の中身は…――

 

梅しそ、鮭、高菜のおにぎり――

 

おかずは牛肉の甘辛炒めとポテトサラダ―――うん!とっても美味しそう!

 

 

「へぇ…シンプルに見えるけど…これ、結構手が込んでるんだね~」

 

いつも作るミスティアちゃんには分かるんだね~。

 

「そうなんだ…これ良い匂いがするな~」

 

「あ、あげないよ!?これはお兄ちゃんが橙の為に作ってくれたんだから!」

 

そしたら、慧音先生がこっちの机にやってきたの…先生もお弁当なのかな?

 

 

「みんな、私も一緒に食べていいかな?」

 

あ、やっぱりそうなんだ…。

 

「あ、先生!どうぞ!」

 

そして、先生は私の隣に座り…お弁当を広げたんだけど……――

 

「先生のお弁当、すっごい綺麗ですね~」

 

ミスティアちゃんが反応する。だよね~…バランスの良い配分、野菜も飾り切りされてて、普段料理をしないわたしでも手の込み具合が分かった。

 

「さすが先生!お弁当もすごい!これ慧音先生が作ったんですか?」

 

「うん、そうだぞ。まぁ大人の女性の嗜みというやつだな」

 

するとリグルちゃんも感心して…――

 

「先生なんでもできるんですね……でも、先生は誰か作ってくれる人はいないんですか?」

 

その言葉に先生は苦虫を噛んだ顔になって……―――

 

「それを言われると……はぁ…誰か良い人いないかな…」

 

なんだか聞いちゃいけないことだったんだね……大人の女性って難しいなぁ。

 

「まぁいいさ。それよりも橙がお弁当とは珍しいな?」

 

「うん!今日はね、お兄ちゃんがお弁当を作ってくれたんです!」

 

すると、慧音先生は…――

 

「お兄ちゃん…あぁ…春先に幻想入りした人間だったな。会った事は無いが…橙がここまで懐いているなんて…きっと良いお兄さんなんだろうな♪」

 

そっか……慧音先生はお兄ちゃんに会った事なかったんだ…あ、でもこれは言っとかないと――

 

「慧音先生。お兄ちゃんにはもう恋人さんがいますから、狙ったらダメですよ?」

 

パルスィお姉ちゃんから言われた。碧お兄ちゃんの事を聞かれたらこれを伝えておいてくれって…――どういう意味があるんだろう?

 

「ぐふっ……ち、橙?…それは誰かに言われたのかな…?」

 

むせる慧音先生…どうしたんだろう?

 

「うん!お姉ちゃん…あ、お兄ちゃんの恋人さんに言われたの!」

 

そしたら、慧音先生から…――

 

「そ、そうか…まぁ…流石に彼女がいる男を狙ったりしないから安心しておくれ…(はぁ…私にも春…来ないかな…)」

 

「???」

 

大人ってむずかしいんだね……。

 

 

そして、楽しい昼食も終わり…午後の授業が始まったんだけど……―――

 

「うぅ…眠たいよ~…」

 

お腹がいっぱいになったせいで、すっごく眠たいの…このまま寝ちゃいたい…―――

 

「こら橙!眠たいのは分かるが、そんな事じゃ八雲家の方々に笑われるぞ?」

 

はっ?!そうだ…がんばって授業を聞かなきゃ!

 

それからわたしは、必死で眠気と戦いながら午後の授業を受けたんだ……こんな時、眠気を操る程度の能力とかあれば…と思っちゃったけど…。

 

 

 

「よしっ!今日の授業はここまでだ。みんな気を付けて帰るんだぞ!」

 

慧音先生の掛け声と共にみんな帰宅を始める。わたし達も人里の入り口までは一緒に帰るから、そのまま慧音先生に挨拶をして寺子屋を後にした。

 

 

「うーん…今日も疲れたね~」

 

と背を伸ばす大ちゃん

 

「ミスティアちゃんとリグルちゃんは、この後から屋台なんでしょ?すごいよね~」

 

そう、ミスティアちゃんとリグルちゃんはこの後八目鰻の仕込みをして、屋台を開ける…二人ともすごいな~…。

 

「んー?入り口に誰かいるぞ?あたい見てくるね!」

 

チルノちゃんが文字通り飛んでいく……あれ?ひょっとして…―――

 

 

「おいお前!あたいのなわばりに何の用だ!」

 

「ん?あぁ、邪魔になってたのかな?だったらごめんね。人を待ってるんだけど……あ、いたいた。おーい橙ちゃーん」

 

やっぱり!碧お兄ちゃんだ!……――わたしは駆け足でお兄ちゃんのとこまで行き…

 

「お兄ちゃーん!」

 

思わず飛びついちゃった…――だってお兄ちゃんがここにいるなんて思わなかったもん!

 

「おっと?!…こらこら、いきなり飛びついて来たら危ないでしょ?」

 

うぅ…怒られちゃった……―――「でもね…」…??

 

「橙ちゃんが一直線に来てくれて、嬉しかったよ♪」

 

そんなこと言われたら…―――

 

「碧お兄ちゃーん!!」

 

私はそのままぎゅっと抱きついた……えへへ♪こうしてるとあの時を思い出して落ち着くな~…――

 

すると後ろからみんなが追いついて来た…。

 

「橙ちゃん、この人がお兄さん?あ、私ミスティアって言います。よろしくお願いしますねお兄さん♪」

 

「へぇ…何て言うか…あんまり私達と背…変わらないんだね?…私はリグルです。橙ちゃんと一緒に寺子屋に通ってます」

 

「り、リグルちゃん?!すみません!私は大妖精って言います!よろしくお願いします!」

 

「あたいはチルノだ!最強なんだぞ!今からあたいと弾幕勝負……ひっ?!…なんでもない…です…ごめんなざい……」

 

(?なんでチルノちゃん怯えてるんだろう?)←碧の後ろに閻魔、賢者、月の頭脳、亡霊姫の幻影が見えたからです。

 

「ルーミアだよ~……お兄さんは食べちゃダメそうな人間だね……」

 

「もう!ルーミアちゃん、また霊夢さんに怒られるよ!」

 

 

そして、お兄ちゃんも自己紹介する。

 

「みんな橙の事、いつもありがとうね。僕は大神碧。橙ちゃんの兄だよ……ね?橙ちゃん」

 

うれしいなぁ…。

 

それから、通りの邪魔にならないように移動して雑談をしたんだ……―――

 

「そういえば、みんなはどうして寺子屋に行ってるの?」

 

と碧お兄ちゃんから質問が来る…やっぱり気になるのかな?

 

「あたいは最強の天才になるためだ!」

 

「チルノちゃんたら…あ、私はチルノちゃんの保護者みたいな感じです…///」

 

「私は将来、キチンとした自分のお店を開きたいからですかね~」

 

「私はその手伝いだね…ね?ミスティア?」

 

「私は巫女に言われて無理やり……でもみんなで過ごすのは嫌いじゃないのだー」

 

そう、みんなそれぞれ目標があったり…楽しくて寺子屋に行ってる…――

 

「なるほど……なら橙ちゃんは?」

 

え?わたし?……どうしよう…言うのは恥ずかしいけど……―――

 

 

「わたしはね…いつか、紫様や藍さま……それから、お兄ちゃんやお姉ちゃんみたいになりたいんだ…///」

 

照れながら言うわたし……でも、そんなわたしの頭をお兄ちゃんは優しく撫でてくれた……――――

 

「橙ちゃんなら…必ずなれるよ……うん…」

 

優しい眼差しで、そんなこと言われたら……恥ずかしいけど…うれしいな…えへへ♪

 

 

「なんだか橙ちゃん幸せそうだね~」

 

「うん。私達も撫でて貰おうか?」

 

ミスティアちゃんとリグルちゃんから言われる……―――

 

「だ、ダメーー!!お兄ちゃんに甘えていいのは橙とお姉ちゃんだけなんだから!!」

 

そしたら、みんな笑いながらこっちを見てくる……ひょっとしてからかわれたの?

 

「むーー!みんなしてからかわないでよ!」

 

そんなこんなで話してたら夕暮れ時になったので……

 

「それじゃあ今日はここまでだね。みんな、気を付けて帰るんだよ?」

 

っていう碧お兄ちゃんの声で解散したんだ。

 

「さ、橙ちゃん。僕達も家に帰ろうか?」

 

そしてお兄ちゃんはわたしの手を握って……―――

 

「お兄ちゃん……うん!」

 

その日の晩御飯は、わたしの大好きなお魚料理のフルコースでした……今日は良いことがいっぱいあったなぁ♪

 

 




閑話として書き始めたのに気が付いたら文字数が…なのでタイトルをスキマ話にしました。
橙の日常…うまく伝わったでしょうか?
次回から秋の話になります…が、先にバレンタイン特別編を書こうかなと思っています。
書き上がりの早い方から投稿していきます。

ご意見、ご感想、アドバイスなど、よろしければお待ちしております。

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