幻想郷の話になります。
口調等、おかしな点もございますがご了承下さい。
地上に向かう事、暫くして。
パルスィさんと別れた僕は、いつもの恰好に戻り、ひたすら地上を目指して歩き続けた。
あれから2時間くらい経ったのかな?
道中で土蜘蛛の妖怪の『黒谷ヤマメさん』と、釣瓶落としの妖怪『キスメさん』に出会った。
ヤマメさんは明るく気さくな人で、キスメさんは逆に内気で無口な性格だった。
二人は元々、地底に封じられた妖怪で、本来人間を襲う悪い妖怪だったらしいのだが、地上との交流が再開されたのを機に、人間を安全に地上と地底へと送る役割を、今はしているそうだ。
その二人の好意で地底の出口まで案内してもらい、その先にある博麗神社へと足を向ける。
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博麗神社。
ヤマメさんから聞いた話によると、幻想郷の東の端にあるとされ、幻想郷と外の世界を隔てている博麗大結界の境目に位置しているとされる。
神社周辺には森があり、これが境界の役目をしているらしい。
外の世界との狭間に存在している関係上神社周辺に外の世界の品が神社近辺に落ちていたり、外の世界の人間が迷い込んでいることがよくあるとの事。
っとあれがその神社かな?
何だか見覚えのある鳥居を潜り中に入るとそこそこ大きな神社があった。
「すみませーん。どなたかいらっしゃいますかー?」
すると奥の方から、気だるげな感じの巫女さんが出てきて…。
「はーい…何か用?ひょっとして参拝客?」
この人がパルスィさんの言ってた巫女さんかな?
「あの、博麗神社って此処で合ってますか?幻想郷の事について教えてくれるって聞いて来たんですけど…?」
すると、目の前の巫女さんは何かを考えた後、ポンと手を叩き。
「あなた、ひょっとして外来人?」
「たぶん、そうです。気が付いたら地底に居たんで…」
すると巫女さんは、少し驚いた顔で…。
「地底?そりゃまた珍しいところに出てきたのね?いいわ、色々と教えてあげるから、そこの本殿の階段にでもかけて頂戴」
「あ、はい。どうも…それで、この幻想郷って何なんですか?」
すると、どこからともなくお茶と煎餅を持ってきた巫女さんが。
「そう慌てないで。そうねぇ…まずは自己紹介から、私は『博麗霊夢』…霊夢って呼んでね。一応、この博麗神社の巫女よ」
「僕は大神碧、普通の大学生です。よろしくお願いします霊夢さん」
「碧ね、よろしく。それで、あなたはここに来るまで、誰と出会って、何を聞いたの?」
そして、僕が初めて出会ったパルスィさん、案内してくれたヤマメさんとキスメさん。三人から聞いた話をそれぞれ伝えた。
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「なるほどねぇ…。大まかな事は大体それで合ってるわ。この幻想郷は、あなたの元々居た世界のスキマにある別世界。普段は”博霊大結界”という物に守られていて、外の世界から入ってくる事も、また、こちらの世界から外に出る事も出来ないの」
文字通り隔離された空間って事か…。あれ?でもそれだと…。
「なら、なんで僕は此処に入って来られたんですか?」
「結界っていっても完璧に対応できる訳じゃないの。稀に綻びが生じて、その瞬間に外の人が迷い込んだり、逆にこっちの住人が外に出たりもする。でも、普通ならあなたも聞いた通り、この近くの森に出るのだけど…こんなケースは初めてだから、私にも分からないわ」
「地底に出るってこと自体がイレギュラー…。因みに、この幻想郷ってどんなところなんですか?」
「そうねぇ…まぁ端的に言えばさっき、あなたが聞いてきた事と被るんだけど…」
・幻想郷は外の世界で忘れ去られ、幻想になった者が辿り着いた楽園、隔絶された世界
・住民は、神や妖怪が多く、人間は少ない
・博麗神社はその境界、結界の維持をしている場所
・巫女である霊夢は、人間と妖怪、神のバランスを保つべき調停者の様な役割をしている
「こんな所かしら?でも、なんで地底に着いたのかしら…何か心当たりはない?」
「なるほど…。そういえばここに来る前に声を聞いたんですけど。それが関係してるのかな?」
「声?それって…」
”こんな声かしら?”
どこからともなく聞こえてくる声…間違いない、あの時聞いた声!
「この声…まさかあなたの仕業なの!”紫”!」
すると僕たちの目の前にスリットのような線と、リボンのような飾りが現れ、その中から金色の長い髪の女性が現れた。
「はぁーい霊夢、元気にしてるかしら?それに碧君も?この世界はどう?あなたの願いは叶いそう?」
そう言いながら宙に座り、妖艶な笑みを浮かべる女性…。
「あんた…しばらく見ないと思ったら…。何をしたの?”神隠しの主犯”『八雲紫』!」
今回は少し短めでした。
続けると話が長くなるのと、一区切りつけたかったからです。