去年の夏はこれにどれだけ苦しめられた事か…。
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朝、目を覚ますと―――
「―――ん……なんだろう……身体が…怠い?――……疲れが溜まってるのかな…?」
それから、いつも通り朝食を作るために下に降りると…――
「…あれ?藍さんは……あ、そういえば…昨日の夜から橙ちゃんと用事で出かけてたんだ…」
なら、さっさと二人分の朝食を用意してしまうか…まずは、お米を研いで……―――
それから、料理を作っていると……何だか身体がフラフラとする…――まだ、寝ぼけてるのかな…?
そして、紫さんを起こし…珍しく二人だけの朝食を取り始めたら……
「…うん?……碧、今日のお味噌汁…少しだけ味が濃くないかしら?」
「あれ?そうですか?……お味噌の量を間違えたのかな…すみませんでした…」
おかしいな…いつも通り作ったはずなんだけど……―――
「……り、碧。聞こえてるの?」
「えっ…あ、ごめんなさい…少しボーっとしてたみたいです……「ふむ…(ぴとっ)」…っゆ、紫さん?!何を!?」
そう、目の前に在ったのは紫さんの顔。相変わらずまつ毛が長くて綺麗だな…。
「んー……碧君…軽く熱があるみたいね「へっ?」…気が付いて無かったのかしら?今日は藍も居ないし…そうね、碧君…この後『永遠亭』に行くわよ」
永遠亭?……あ、そうか診療所をしてるって言ってたな。しかし…こうも早くにお世話になるなんて…。
―――それから準備を整えた紫さんと僕は、スキマを潜り『迷いの竹林』の奥にある『永遠亭』に向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふぅ……今日は患者さんも少なそうで良いわね」
女医…『八意永琳』は基本的にいつも、こうして自分が経営する診療所で医療行為をしている。
時間が空いたら彼女の趣味…新薬の調合を試していたりもするのだが…すると、診療所の前に何か気配がする……―――
「―――この気配…紫さんと……碧…?」
なんであの子がここに………っ?!もしかして怪我や病気?!
急ぎ席を立ち、彼の元へと向かう…―――。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「こんにち…「碧!?」…はえ?……永琳さん?」
すると泣きそうな顔で僕に聞いてくる。
「碧!身体は大丈夫なの?どこか傷つけられたの?それとも…「落ち着きなさい!」…紫…さん?」
「大きな怪我ではないの。ただ、少し熱っぽくて…舌の感覚も少しおかしくなってるみたいなの…後の診察…頼めるかしら?」
そうだ、私は医者…直ぐに病魔の原因を探って、それを治してあげるのが役目…落ち着きなさい…
「じゃあまずは問診からしていくから…診療所に入ってきてね」
……正直、紫さんがいてくれて助かったわ…じゃないと私はまた…(ブンブン)…今のあなたは患者に向かう医者、それを忘れるな!
それから碧の口から、ここ数日の違和感がなかったか、食事はどんな物を食べたか、どんな生活を送っていたかを聞き、一つの結論に至った。
「ふむ……夏風邪ね。まぁこの季節になると一種の風物詩みたいなものだから…調べてみたのだけど…ウィルス性の物ではなかったわ」
すると、彼は不思議そうな顔をしていたわ。あぁ、そうね…――
「夏風邪にはね…大きく二つの種類があるのだけど、一つはさっき言ったウィルス型。まぁ名前の通りね。そしてもう一つ…身体の冷やし過ぎによる夏風邪があるのよ」
あ、知らなかったって顔をしてる…くすっ♪本当に子供みたいで可愛いわね…――
「碧?あなた…朝晩きちんと布団を被って寝てるのかしら?それから…何か身体を故意に冷やした記憶はある?」
すると、碧の顔には思い当たる事があったみたいで……
「はい……あります……。前に熱中症になって―――」
はぁ…典型的な夏風邪で決定ね…まったく、心配かけさせてくれるんだから……―――
「成程ね。それなら薬を処方してあげるら…家族に病人食を作って貰ってゆっくりと休むこと…いいわね?……って紫さん?どうかしたのですか?」
珍しく狼狽えた様子の紫さん…一体何が…?
「えっと…実はね…私の式の料理ができる子が…今日は居なくて…。あと…私もその…料理が出来なくて…ごめんなさい…///」
はぁ…こういう事は賢者様でも抜けてるんですね…
「良いですよ?そちらの家族が戻るまでの間、うちで預からせて貰いましょう…その方が碧の体調改善指導もできますしね……あ、でも彼女さんには説明をしてた方が良いんじゃないですか?」
「そ、そうね、ありがとう永琳。二人が帰ってくるのは明日だから、それまで碧の事を頼めるかしら?」
本当に腹黒いな……―――私がここで、彼を救わないという選択肢が無いのを知っていて聞いてきているのだから……なら、少しだけ反撃させて貰おうかしら?
「まったく…そもそも賢者様さえ料理が作れ(ぐふっ…)、看病が出来ればこんな事には(かはっ?!)……どうですか?自分でも覚える気になりましたか?」
「うぅ…確かに出来ない私が悪いのだけど…しくしく…。以後、善処します…碧…いつもごめんなさいね…。じゃあ私は家に戻るから…何かあったら陰陽玉で呼んでね」
そう言って紫さんはそそくさとスキマへと消えていく……さて、私は”私の仕事”をしますか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ひとまず解熱剤と抗生物質を飲まされた僕は、診療所の一角にあるベッドスペースで横になりながら、忙しそうに働く永琳さんをカーテン越しに見る……―
――その顔は真剣そのもの…それはそうだ、幻想郷の人達の命を預かってるんだから…でも…――
――何故、あの人は僕を守ってくれるんだろう?なぜ、あの人は患者の為にあそこまで必死になれるんだろう?
医者だから?…異変を起こしたから?…いや、違う気がする……前に紫さんが言ってた……”彼女達の罪”それと関係があるのか……と。
薬のせいか眠気が襲いそのまま僕は夢へと誘われていった……―――
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふぅ……午前中の診療はこんなものかしらね」
いつもであればもっとゆったりとした診察をするのだが……今日だけは違う。
早く診察を済ませ、彼の看病をしたい……という本音があったからだ(それでも、キチンと診察と処置はしたのよ?)
カーテンを開けてみると、すぅーすぅーと規則的に寝息を立てながら眠る碧の姿が……。
「ふふっ……本当に可愛い寝顔ねぇ…」
思い起こされるのはかつての記憶……―――
私…八意永琳は、薬師の一族である八意家きっての天才と言われていた。
月夜見(月人の代表)らと共に月へ移り住んだ後…月の都の創設者として、その知識を買われて宮廷で働くようになった。
一応、外の世界では神様…八意思兼神(オモイカネ)とも呼ばれ信仰されていたみたいね。
そんな時…彼に出会った。
彼はごく普通の警備兵で、最初は歯牙にも止めていなかった――
ただ、ある事から私は彼の事を意識するようになったの―――
”八意様、いつもお疲れ様です。差し入れを用意したので良ければ食べて下さい”
そういって差し出してきたのは温かい桃饅頭……思わず笑ってしまったわ――
だって、今まで私に取り入ろうとした月人は様々な高級品や趣向品を持ってきたのだけど…―――桃饅頭を持ってきた人は後にも先にも彼が初めてだったの…
あの時食べた桃饅頭……何周期生きてきた今なお忘れられないわ…――
それ以降、私と彼は良く会話をするようになったの。彼の優しさ、思いやりの強さ…私と彼が惹かれ合うのに、そう時間は掛からなかったわ…。
知識は人一倍ある私…でもその反面、常識が少し欠けていた事を、よく彼にからかわれていたのを覚えている。
でも、そんな時…とある事件が起きたの…それが『蓬莱の薬事件』
『蓬莱の薬』…それは禁断の薬…飲んだ者は老いる事も死ぬ事もなくなる。
そう…たとえ身体を消し去られても、魂や細胞の一つが残っていれば瞬時に再生してしまう…人理を冒涜した薬…。
その薬を…私は作ってしまった。私の大切な教え子…『蓬莱山輝夜』に依頼されて…。
あの時輝夜は地上に興味を持っていた。停滞した今の月を出たかったのでしょうね……。
案の定…作った薬を飲み…『蓬莱人』となった輝夜は、罪人となり…地上へと流刑にされた
(地上は不浄に満ちており、そこに流刑にされることは…月人から見たら死ぬよりも辛い罪とされていた)
ただ、輝夜の誤算は今の姿ではなく、赤子の姿にされて地上へと落とされた事だった。
力がある今の状態ならつゆ知らず…赤子にまで戻されたら、文字通り何もできなくなる……。
私は焦った…そして、彼に相談をしたが…結果は何も出来ないとの事だった…――
薬を作ったのは私だから、私にも罪があるのでは?とも問いただしたが…――
『作る事は罪ではない。それに、そなたの知識は手放すには惜しい』
以来、私は月の上層部から外れた。文字通り嫌気が差して…。
そして、そんな私の事を、彼は止めなかった…彼との距離も…そのまま離れていった…。
……――今思えば…あれも彼なりの優しさだったのかしらね…?
私はそれから、遠い親族に当たる『綿月豊姫』とその妹『依姫』の教師となり、様々な事を教える事にした。
二人はかなりの才能を有しており…このまま育てば、月の有力者になる事は間違いないでしょうね…――
そして、そんな日々を送っていたある日…とある一報が私の所に来た。
『蓬莱山輝夜の刑期が終わる。後日、地上へと使いを出すことにする』
――生きていてくれた!私の初めての教え子…大切な子供…。
これを聞いた私はすぐさま、使いへと志願したの…そこには彼の姿もあったわ。
…久しぶりに見る彼の優しげな顔…――気まずくて話しかけられなかった……
これが最後の逢瀬になるのだと知らずにね……―――
地上へと降りた私達は輝夜の元へと向かった…。
「永琳?!永琳なのね…会いたかったわ…ごめんなさい…私の我儘で…あなたに辛い思いをさせてしまって…」
こんな輝夜は初めて…いや、自分が地上へと落とされる際に、私の顔をこんな表情で見ていたわね…―――
「いいのよ…あなたさえ無事だったなら…。さぁ迎えも来ている…月へと帰りましょう?」
しかし、輝夜の顔には陰りが見られた…輝夜…あなたまさか…?
「永琳……私はこのまま地上に残ります。ただし…この都から出て、別の地…誰も知らない土地にいこうと思うの…そうすれば、ジジ様にも、ババ様にも迷惑が掛からないから……」
その眼に見られた決意……あぁ…もう私じゃこの子を止める事はできないのね…―――
「八意様……そろそろ月へと帰る時間にございます…」
そう恭しく言いながら、私の元に来たのは……彼だった…。
そんな彼に私は……
「xxx……ごめんなさい…。今からあなたには…辛い事をさせてしまうわ…でも、もし…私を信じてくれるなら…手を貸してくれないかしら…?」
私は決めた……しがらみのある月にはもう戻らない…。今度こそ…この子を守って見せる!…と。
彼なら同意してくれるかもしれない……しかし、それは裏切られた…。
「八意様……それは月へ戻らず…この地上に逃亡されるということですか…。分かりました…ですが、私はあくまでも使者…あなたが裏切るというのなら…この地で…輝夜様もろとも倒させて頂きます!」
そうして、彼が輝夜に矢を向ける…。その瞬間…私の身体は動いていた…。
「かふっ……?!」
撃ちたくなかった…出来れば彼も一緒に逃げて欲しかった…。でも、それは叶
わなかった…輝夜に向けられた矢…それを放たせない為に……――
―――愛おしい者を…この手で撃った……。
正直…彼以外の使者には、特に何の興味も無かった私は、ただ無慈悲に…殺戮を繰り広げた…。
「永……琳……?」
流石の輝夜も、この時の私の残酷な表情には驚いたようだ……。でも、私は守ると決めた。それこそ…修羅になろうとも…。
さて、これで粗方片付けた…後は…「…永……琳…」…?この声は…?
「永…琳…」
そこには最初に撃ったはずの彼が……まさか、致命傷を避けていた?!いけな
い!このまま彼が生き残れば…追手が…―――
しかし、そんな私の心とは裏腹に…彼はにっこりと笑ったのだ…今にも死にそうな状態にもかかわらず……。
「永…琳…。優しい、君が決めたことだ……ただ、後悔だけは……しないで…おくれ?…それから……泣かないで…ね?」
え…?…頬に触れると…そこにはボロボロと涙を流す私が居た…。なんで?なんで泣いてるの?
「辛い思いをさせて…ゴフッ?!……本当にごめんね…。本当は君と、もっと一緒に居たかった……。あぁ…今日はこんなにも月が綺麗だ……こんな日に…君に…殺されて……………あり…がとう……それと……」
大切な人を殺して……辛くない訳がない……―――
「ぅあぁぁ…あ、ぁ…」
――声にならない声…。すぐにでも彼に駆け寄りたかった。でも…――
「っ?!これは、何が起こった?!……使者たちが…。ぬっ!貴様…八意殿……裏切ったのか?!」
見回りを行っていた他の月人達がやってくる……。
そうだ…私は決めたんだ…!……輝夜を守ると…。私の為に…殺されてくれた彼の意志を守るのだと!
それから幾星霜……―――
月日は流れ、私と輝夜は幻想郷へと辿り着いた。輝夜の為に…彼の為に…私の為に…託された思いを守るために…―――
「ふぅ……柄にもなく…昔の事を思い出してしまったわね……。さて、彼の…碧の為に御粥でも作りましょうかね♪」
それから私は生薬などを使った御粥を作り、碧を起こしに行った…。
「碧、そろそろお昼の時間よ?起きなさい?」
すると彼は寝ぼけているのか……―――。
「んー……。まだ、眠たい……」
と言って身体を捩じらせる…もう…手のかかる子ね……
「こーら、起きないと悪戯しちゃうわよ?」
ちょっとからかったつもりで言ったのだけど……―――。
「…いいよ~…むにゃ……」
心臓を撃ち抜かれたような衝撃……何、この子…可愛すぎる…。
それに汗をかいたせいか、体から匂いが……これって、クチナシの香…かしら?あぁ…そういう体質なのね…ますます可愛い…♡
私のリミッターが振り切れようとした瞬間、碧はその眼をゆっくりと開けた…
…あ、危なかったわ……
「…ん…あれ?…ここは…?あ、そうか…永琳さんの診療所の…」
「起きたかしら?少しは体調は良くなった?食べれるようなら御粥を作ったから…どう?」
すると丁度良く、彼のお腹からグーっと可愛らしい音が鳴り……
「あぅ……すみません…頂きます…///」
~~~!?……今だけでいいから月の技術でこのシーンの録画を出来ないかしら…?っとそうじゃなくて!
「さぁ、冷めないうちに食べなさい?無理はしなくていいから…あ、そうだわ♪」
私はレンゲを持ち御粥を一すくいし……―――
「ふーっふーっ…はい、あーん」
一回やってみたかったのよね♪……少し照れるけど……嫌じゃないわね///
すると、彼も恥ずかしいのか…最初は少し戸惑っていたが…意を決して…
「もぐっ……んっ…温かくって……とっても美味しいです♪」
幸せそうな顔でこちらに笑顔を向けてくれた……あぁ…やっぱりこの笑顔…この時間…もっと彼と過ごしたい…。
それから再び薬を飲ませ、布団で彼を眠らせた後…私は午後の診療へと移った。
夕方も過ぎ…彼に御夕食を食べさせた私は…とあることを考えた。
「今日は一日…すみませんでした…」
とシュンとして謝ってくる碧…―――
「いいのよ?あなたはただの人間……病気になったらきついし、心細くもなる…それくらいは分かるから…」
「ありがとうございます…あ、そういえばそろそろ紫さんが…って…え?!」
何かを言いかけた彼を布団に押し倒し……
「今日一日でだいぶ汗も掻いたでしょう?今日はお風呂もやめといた方がいいから、代わりに私が拭いてあげるわね♪」
そう、これで口実をつけて堂々と碧の身体に、直接触れる事ができる……そう
思っただけで私は…うん…///
「あ、あの?!自分でできますから?!」
「だ~め。今の碧は病人なのだから…お姉さんの言うことはしっかりと聞きなさい?」
そうして、碧の上着を脱がそうとしたところで……
「永琳、お邪魔する…わ…よ…?……えーっと……ごめんなさい」
恐らく、迎えに来たであろう紫さんと遭遇した。
「えっと……一時間くらいでいいかしら…?……///」
そうして紫さんは顔を赤らめながらスキマの中へと消えて行った………―――
どうしましょう?……まぁいいか。
天才の出した結論は……意外と簡潔だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「こんばんわ~って、あら?居ないのかしら?でも灯は付いてるし…中に入っても大丈夫かしらね?」
夕暮れも過ぎ…夜の帳も降りてきた頃…紫は碧の迎えに来たのだが…誰も迎えに来る気配がない。
そして、碧が寝かされていた部屋に向かうと…あら?なんだか賑やかね?もう元気になったのかしら?
「永琳、お邪魔する…わ…よ…?……えーっと……ごめんなさい」
永琳が碧の上着を脱がそうとしていた…しかも顔を赤らめながら……うん…こういう時はあれよね…淑女の嗜み…―――
「えっと……一時間くらいでいいかしら…?……///」
後程、誤解だと分かったのだけど……流石に目の前でああいう事をされるとどうにも照れてしまう…///
それは大妖怪でも例外ではなかったりする…―――。
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再び迎えに来た紫さんの誤解を解き…碧の見送りに…。
「今日は…お世話になりました。今度はキチンと体調を整えてから、改めて来させて貰います…御粥…美味しかったです」
そう言われてとても心が温かくなった……あぁ…今度は言おうかしら?”毎日味噌汁を作らせて下さい”と?
「良いのよ?それに、あなたが悪くなったら…悲しむ人も沢山いるのだから…それを忘れないでね?」
「はい!……それじゃあ…またお会いしましょう永琳さん」
そうしてスキマの中に消えていく彼……―――
かつての想い人に似た彼……全くの別人と分かっていても…その魂の在り方…優しさは彼と同じだ…。
碧を通して見ている彼との記憶……。でも、それは碧に失礼だ……。それに、あの日決めた事、彼に…最期に言われた事…―――
―――”もし、君が惚れる人が現れたなら…私の事は忘れ、その人を大切にしてあげておくれ?”
「まったく…最後の最後まで見透かされてたけど…ふふっ♪……あなたの事は
忘れない…でも、私は私なりの幸せを掴んで見せるわ…」
彼の思い出もまた彼女を形作る一つ……ならばその想いと一緒に…これからの人生を進んで行く。
「毎日…味噌汁じゃなくて、私をあなたの実験体にしてください?…とかでも良かったのかしら?……それはそれで…いいわね…///」
―――この天才…どれだけ時間が経とうとも、常識から逸脱しているのであった。
という事で永琳にスポットを当てた話でした。
パルスィの女医コスに期待した方もいましたでしょうか?
そっちはそっちで別で書く予定です。
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