なるべく上手くキャラの描写をしたいと思うので感想やアドバイス等があれば是非、お願いします。
光が収まり、ようやく目を開けた僕が、最初に見た光景は…地底に広がる雄大な都だった。
「さっきまで、神社に居たはずなのに…ここは…いったい?」
少なくともさっきいた場所とは全く別の地域…いや、日の光の無い、まるで地底のような場所?…神社にいたはずの自分がなぜこんな所に…?
「とりあえず…情報収集かな…?あそこに橋があるから、そこにいってみよう」
そうして、青年は橋に向かって歩き出す…そこで運命の出会いがあることを知らずに…。
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橋に佇む金髪の美女…特徴的な耳を持つ、”橋姫”水橋パルスィは、いつも考えていた…。
地上の光が妬ましい…
吹き荒ぶ風が妬ましい…
旧都の光が妬ましい…
皆の笑顔が妬ましい…
私自身の呪われた力が妬ましい…
恋人に裏切られ、憎悪と殺意のままに、橋姫としての役目を放棄し、鬼となりながら、恨みを晴らした私には…
この世界は眩しすぎる…忌むべき者が集う地底に来てもそれは変わらなかった…
この世の全てが羨ましく…この世の全てが妬ましい…
だから私はここで一人で待ち続ける…自身の幸せを…。
「あの…すみません?」
また一人…迷い人が来たのかしら?
そうしてパルスィは出会う…自身の運命を変える青年と…。
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橋の手前に行くと一人の女性が佇んでいた。
金髪のボブヘアーに、ペルシアンドレスのような服。
煌めくような緑色の目に…特徴的な”エルフ”のような耳の女性…。
ここまで来るのに誰とも出会わなかったし…よし、あの人に聞いてみよう。
「あの…すみません?」
すると女性がこちらに顔を向ける…うわ、正面から見られると、すごい綺麗な目だ…っとそうじゃなくて。
「えっと…突然で申し訳ないんですけど…ここはどこですか?」
「どこって…地底に決まってるじゃない?見た所、普通の人間みたいだけど…あなた、地上から来たんじゃないの?」
地底?地上?いや、その前に…普通の人間って…?
「多分、地上にいたと思うんですけど…神社でお参りしたら、急に此処に居て…。自分でもよく分からないんですけど…ここは日本じゃないんですか?」
「質問の多い人ね…妬ましい…。外来人かしら?…いいわ、教えてあげる。ここは幻想郷…忘れ去られたモノが集う楽園って所ね」
幻想郷…もしかして、あの時願ったから…?そうだよね、悪戯やドッキリにしては手が込み過ぎてるし…、何よりそう言われたら”しっくりくる”
「普通の人間がこんな所にいると危ないわよ?巫女達のお陰で前よりは安全になってるけど、それでも妖怪が大人しくなったわけじゃないわ」
巫女?妖怪?
「あの…幻想郷ってそんなに物騒な所なんですか?」
「あぁ、そうね…外来人なら分からないわよね。幻想郷は文字通り”幻想”となった者達が集う場所。妖怪、鬼、死霊、天人…色々な種族が共存しているの。ここまでは大丈夫かしら?」
僕は頷いて答える
「物分かりがいいのね…妬ましいわ…。でも、共存と言っても力ある妖怪や鬼は人を襲うわ。そして、この地底にもそんな奴等はいるわ」
なら目の前のこの女性もそうなのだろうか?
「あの…あなたもそうなんですか?その耳…普通の人とはちょっと違うみたいですし…?」
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この言葉にパルスィは自身のトラウマを想起させられた…。
パルスィが恋人に裏切られた理由…それがこの耳…橋姫の種族としての特徴である”エルフ耳”。
”「確かにパルスィはいい女性だと思うけど…やっぱりその耳は俺には受け入れられない…。俺は普通の女性と幸せになるから」”
そう言って、他の女に向かって行った男を、パルスィは許さなかった…。
結果、彼女は鬼となり女ごと男を殺し…自身も幻想となることで消えて行ったのだ…。
あぁ…こいつも同じか…。苛立ちを隠せないまま、彼女は答える。
「えぇそうよ!死にたくないのなら、さっさと地上に行く事ね!」
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耳の事を聞いた途端、女性は怒りを露わにして、自身に去る様に言ってきた。
たぶん”耳”の話は彼女にとってのタブーだったんだろう…せっかく親切に教えてくれたのに僕は…。
「ごめんなさい…。でも、あなたが悪い妖怪じゃないって事は分かりました。触れられたくない事を聞いてしまったのは謝罪します」
でも、可愛らしいと思ったのだ…彼女のその耳を…綺麗な緑色の目を…。
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目の前の人間は何を言っているんだろう?自分は悪い妖怪だと脅した筈なのに…畏れ逃げる所か謝罪までしてきて。
「あなた…私の話を聞いていたの?私は悪い妖怪よ?今、この場であなたを殺す事も出来るのよ?」
目元は隠れていて分からないけど、人間は微笑みながら答えた。
「本当に悪い妖怪なら、僕はもう此処にはいないでしょ?それに、あなたは自身の逆鱗に触れられても、それでも僕の事を心配して地上に行けと言ってくれました。だから、分かったんです…。あなたは本当はとっても優しい人なんだって」
この人間は…なんて遣り難い…。
地底の妖怪は、それだけでも敬遠されるような存在。
忌むべき力を持つものばかり…。だから差別や、罵られることには慣れていても、感謝される事なんて滅多にない。
「ふん…別にそんなんじゃないわよ。今日は気分が乗らないだけ。本来なら、私も忌むべき妖怪なのだから」
少しだけ赤くなった顔を見られたくないから、私は顔を背けながら答えたわ。
「地上に行ったら、博麗神社って所に行きなさい。外来人ならそこから還して貰えたりできるから…。さ、私の気が変わらないうちにさっさと行きなさい!」
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こちらに背を向けながら女性は答えてくれる…あぁ…やっぱり優しい人だ…。
うん、この人なら本当の自分を見せても大丈夫だ…。
僕は眼鏡を取り、髪を整え直し…
「色々とありがとうございました…。えっと、そうだ。僕は、大神碧です。良ければあなたの名前を教えてくれないでしょうか?」
すると、女性はこちらを向き、少し驚いた表情で…。
「碧(みどり)…私の好きな色と同じね…。いいわ、私は水橋パルスィ。種族は橋姫…これでいいかしら?」
「水橋さん「パルスィで良いわ」…パルスィさん…ありがとうございます。僕は地上へと向かいますけど…また、パルスィさんに会いに来てもいいですか?」
するとパルスィさんは、さらに驚いた顔をして…。
「…物好きね…。まぁ別にいいわ、あなたの「碧って呼んでください」…碧の好きにしなさい」
そう言って、またそっぽを向く。
うん、なら僕も地上を目指して行きますか!
「なら、僕はそろそろ行きますね…。あ、それと、さっきの耳の事…パルスィさんは嫌な事なのかもしれないですけど…僕はとっても可愛らしくて素敵だと思います…で、ではまた会いましょう///」
照れた顔を見られたくなかった僕は、そのまま走って去って行きました
目指すは地上…博麗神社
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行った…わね。
大神碧…私の好きな色、私の瞳と同じ色の名前の青年。
正直、碧の顔を見て驚いたわ。とっても綺麗な顔をしてるのに、それを隠してるなんて。
彼にも……何か理由でもあるのかしら?
幻想郷には何人も美人、美女と呼ばれる者達がいる。
私はそんな人達を見るたびに、妬ましさに苛まれる…。
でも、彼は…碧は違った…。綺麗な顔立ちなのに、何故かそれが妬ましいとは思わなかった…。
むしろ、もっと見ていたとすら思えたくらいだ。
それに最後の言葉…”とっても可愛らしくて素敵だと思います”と照れながら言ってくれた事。
碧の本心…嘘偽りのない言葉…とっても温かくって…とっても優しい言葉…。
いつ以来だろう、こんな気持ちになったのは…。
その時私は、久しぶりに”妬ましい”という気持ちを忘れていた。
できるなら、また…碧に会いたいわね…。
会話の前に名前を付けるのをやめてみました。
うまく書き分けができればいいんですけど…。
パルスィの設定に関しては多少変えさせて貰ってます。