東方嫉妬姫   作:桔梗楓

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読んで下さるみなさまに、本当に感謝です。

挨拶回りを終えた碧。
パルスィと再会するも、色々とありその日はお開きとなる。
今回は、その後の話を書きます。


15話 旧都でのデート~伝わる想い~

朝?というには少し遅い時間に、目を覚ますと、そこは知らない天井だった。

 

そして、見渡すと見知らぬ部屋…ここはいったい何処かしら?…何で私はこんな所に?

 

そんな私の疑問に答える様に、一人の女性が襖を開けて入ってきました…

 

「あら、目を覚まされたんですね?おはようございます、パルスィさん」

 

「おはようございます…。あの…女将さん…私は、なぜ此処に?」

 

私は確か昨日…翡翠に飲みに来て…それから…

 

「覚えていないのですか?昨夜は、うちに来て、お酒を飲まれていた途中、さとりさん一行と相席して、そのまま眠っていたんですよ?」

 

さとりと…あ、思い出した!一人で飲んでたら、さとりが来て、一緒に彼が……。

 

「――?!そうよ!碧は?!男の子が一緒に居たわよね!…あれは夢じゃないわよね!?」

 

昨夜の再会が、夢ではないのか…?――そう思った私は必死になって女将に問いただした。

 

「落ち着いて下さい。昨夜、確かにパルスィさんは碧さんと再会を致しました。それと…彼から手紙を預かっています…どうぞ」

 

女将は私が落ち着いたのを確認した後、手紙を渡してくれた…これが…彼からの…。

 

―――――――――――――――――――――

 

パルスィさんへ

 

昨夜の事…僕が此処に来たという事は覚えているでしょうか?

 

もし、覚えていないのなら女将さんに聞いて下さい。

 

それから…手紙で書くのも恥ずかしいのですが、パルスィさんがキスをしてくれた事は覚えているでしょうか?

 

そちらに関しては、後日。僕から話したい事があるので時間を頂けないでしょうか?

 

明後日…十時頃に、橋に行きます。

 

パルスィさんが良ければ、そこで待っていて下さい。

 

それと、この手紙が嘘ではない事の証明に、僕の簪を渡します。

 

では、会えることを楽しみにしています。

 

大神碧

 

―――――――――――――――――――――

 

その手紙を読んだ私は、昨夜の全てを思い出したの…。

 

いくら、お酒を飲んでいたとはいえ…私ってば…何て事をしてしまったのよ?!

 

恋人でもない…しかも出会って間もない男の子に…嫉妬して…慰められて…その上、無理やりキスをして…///

 

どうしよう…彼に嫌われていたら…。いや、確実に嫌われているだろう…だって、出会って直ぐの相手から、無理やり唇を奪われたのよ?!

 

「うぁぁぁ………//////」

 

昨夜の自分をスペカで吹き飛ばしたい…。

 

羞恥とも、絶望とも取れるようなうめき声を上げる私に…。

 

「…どうやら、思い出したようですね。それと、これが彼から預かった簪です…」

 

手渡されたのは、桔梗の花の意匠が施された小さめの…でも、存在感のある紫の簪だった。

 

「…綺麗…。それに…何だろう…見ていて落ち着くわ…」

 

単なる装飾品…なのに、それを見ていると心が落ち着いてくる…。

 

「――…女将さん…。昨夜は醜態をさらしてしまい、申し訳ありませんでした」

 

深々と私はお礼をする…。

 

「あらあら。気にしなくても大丈夫ですよ?…それに、あんなパルスィさんを見るのは初めてでしたので、少し新鮮でした」

 

そう…私はお酒を飲んでもどこぞの鬼の様に、絡み上戸になったり…ましてや、酔い潰れた事なんて一度も無い。

 

生まれて初めての経験に、混乱するけど…まずは、あ…さとり?!

 

そうよ、まずはさとりに謝りにいかないと…。

 

「女将さん、ご迷惑を掛けてすみません。私は今から地霊殿に行きますので。近いうちにまた、来ると思うので…その時は」

 

「えぇ…お待ちしております」

 

そうして、私は駆け足で地霊殿へと向かった。

 

―――――――――――――――――――――

 

はぁはぁ…やっと着いた…。

 

「ふぅ…誰か!居ないのかしら?!」

 

すると奥から相変わらず眠たげな深紅の瞳…地霊殿の主…さとり

 

「あら?こんにちわ。ようやくお目覚めになったのね?大方、昨夜の事を聞きに来たのでしょうけど?良いわよ、入って頂戴」

 

さとりについて行き、居間へと入る。相変わらず見た目に反して、可愛い縫いぐるみを沢山持っているのね…。

 

そうして待っていると一杯の紅茶が出される。

 

「冷めない内にどうぞ?私も頂かせて貰うわね…うん…我ながら上出来ね。どうかしら?」

 

「妬ましいくらい、美味しいわよ…。全く…これでいて恋人が居ないだなんて…本当に不思議よねぇ」

 

「あぁ、その事なんですけど。私、碧さんの事を狙う事になりましたので、悪しからず」

 

一瞬、その場が凍りついた。

 

「あのさ、さとり?今何か面白い事を聞いたのだけれど…私の聞き間違いかしら?」

 

「いいえ、聞こえていたのならそのままの意味ですよ?あの子は私の旦那様にします。それから、家の発展の為にどんどん子供を作ってもらいますから…あ、流石に昨夜は何もしていませんよ?」

 

「妬ましいことしてくれるわね…。てことは…これで私達は同じ殿方を狙う、ライバル関係って事になったわね」

 

「そうね。出会ったのはあなたが最初かもしれないですけど、より長い時間話をしたのは私ですからね…ふふっ…♪」

 

女たちの間に火花が飛び散る…が。

 

「でもパルスィは羨ましいわ。彼の唇を、あんなにも扇情的に奪って行ったなんてねぇ」

 

グサッ!?

 

「本当なら、彼に多少お酒を飲ませて。体が上手く動かせないところを、私が…とも考えていたのですが。先を越されてしまいましたね~」

 

グサッ!?グサッ!?

 

そして、思い出す昨夜の醜態…///

 

「まさか出会って十分もしないうちに、あんな事になるなんてねぇ…流石、嫉妬姫様と言った所かしら?」

 

「う~…言わないで~…いくら酔っていたと言え、いくら再会の嬉しさがあったと言え、いくら嫉妬の抑え込みをしようとしても…やっちゃった事には変わりないんだから…。はぁ……私…嫌われたわよね…?」

 

「あなた、私は一応ライバルなのだけれど…?まぁ…本気で嫌っているなら、手紙も書かないだろうし、何より大切な簪何て渡さないと思うわよ?」

 

「うん…――そうね、なら私が出来る事は、彼と出会って、気持ちを聞く事。そのためには今から準備をしないとね…。ありがとうさとり!明日、彼と話をするから、それから考える事にするわ」

 

そうして私は自分の身だしなみを整える為に地霊殿を後にした。

 

「さて、これから物語がどんな風に動き始めるのか…楽しみね♪」

 

――素敵な笑顔を浮かべたさとりがその光景を見ていた

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

翌朝、さとりさんとお燐さんにお礼を言いながら、僕は転移札を使って八雲家へと帰りました。すると…。

 

「あ!碧お兄ちゃんだ!おかえり~!」

 

「む、碧か、紫様から聞いては居たが多少は心配したぞ?」

 

「ご心配おかけして、申し訳ありませんでした。あ、これお土産の地霊饅頭です」

 

そう言って藍さんにお土産を渡しておく…。

 

「それと、藍さん。突然で申し訳ないんですが…明日…お休みを頂けませんか?」

 

少し考えた藍さんは…。

 

「ふむ、その理由は?」

 

真っ直ぐな目。僕も真摯に答える。

 

「大切な女性との…デートの約束をしてます」

 

すると予想の斜め上を行った解答だったのか藍さんはフリーズしてしまった。逆に橙ちゃんは…「お兄ちゃんデートするの?大人だね~」と言ってくれた。

 

そして、藍さんの許可は取れたものの、次は紫さんか…。

 

「ふわぁぁあ…。おはよ~、今日の朝ご飯は何かしら~?」

 

「いつものメニューです。もう、出来てますよ?」

 

「ありがとね~。(いつもはカリスマ溢れる人なのだが、朝だけは弱いみたいで、いつもこんな感じになる)」

 

そうして暫くご飯を食べていると…。

 

「碧君…昨日は良いことがあったかしら?」

 

と面白半分で聞いてくる紫さん。うん、言うなら今しかない。

 

「それなんですけど…紫さん…明日一日お休みを頂けませんか?」

 

すると今まで寝ぼけ眼だった目が一気に鋭くなる。

 

「それは、昨日の事と関係しているのかしら?」

 

「えぇ…紫さんの言っていた、運命の人に関することです」

 

少し考えた紫さんは…。

 

「――いいわよ?大方デートでもするんでしょう?先立つものも要るから…そうね、少しだけれど、これを持っていきなさい」

 

と言って渡されたのは諭吉五人分…え?!いいんですか?!

 

「ゆ、紫さん?!これって…本当に貰ってしまっても良いんでしょうか?」

 

「えぇ。昨日のあなたの活躍の報奨金よ。持っていきなさい。それに、男の子なのだから、きちんとエスコートしてあげるのよ?」

 

嬉しくなってくる…もう、これだから紫さんは…。

 

「ありがとうございます。それで、もう一つ頼みがあって…明日の十時に旧都手前の橋に連れて行って欲しいんです」

 

「なるほどね…と言うことはやはり運命の相手は…彼女だったのね」

 

前に色々と確認してきたけど…。紫さんは知っていたのかな?

 

「彼女も色々と分け有りな妖怪よ?それでも選ぶの?」

 

「はい。僕は彼女に…自分の気持ちを伝えたいと思います」

 

「そう、なら良いわ。移動に関しては任せておきなさい…後は…そうねぇ碧君…此処でなら自分の姿を偽らなくてもいいのよ?」

 

?!流石に紫さんは知ってるか…。そして、眼鏡を取り、髪を上げて…。

 

「うわぁ…お兄ちゃん綺麗な顔~」

 

「聞いてはいたが…これほどとはな…」

 

うぁぁ…これは恥ずかしい///

 

「なら、まずは髪型と、それに合う服のチョイスね」

 

「了解です」

 

「はーい!」

 

そうして八雲ファミリーはそれぞれの衣類と髪型を選び始めた…これで少しでもパルスィさんに釣り合うなら…

 

―――――――――――――――――――――

 

「さて、こんなものかしらね?」

 

「えぇ。顔立ちもしっかり見えて、且つ、それを妨げない服…完璧ね」

 

「じゃあ明日はこれで行きます…皆さん、お手伝いありがとうございました!」

 

そうしてその日は僕の服と髪選びで終わって行った。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

待ち合わせ当日――

 

私は橋の目立つ場所に立っていた。髪も…大丈夫だし、服も…うん…使うかどうか分からなかったけど、持ってた勝負服を着てきた。

 

待ち合わせまであと十五分…さぁ、いつでも来なさい!

 

すると向こうの方からスキマが開き…中から一人の青年が現れる…でも、その姿は私に初めて見せてくれた素顔を、より一層際立てる髪型と、中性的だけど彼に良く似合った服装…あぁ…相変わらず綺麗な顔立ちだわ…。

 

向こうもこちらに気が付いたそうで、少し駆け足で来てくれた。

 

「おはようございます。お待たせしてすみません」

 

「いいえ、私も今来たところだから、問題ないわ」

 

(嘘だ…楽しみで一時間も前から来ていたなんて言えない)

 

「それと…「――?」…その服と髪型…パルスィさんに、とっても良く似合ってます。えっと…前の服装も良かったですけど…。その服装も素敵ですね///」

 

それを聞いた私の心臓は、それだけで飛び上がりそうになったわ…それに彼の格好も…。

 

「碧の格好も、とっても素敵よ?髪で顔を隠してたのが勿体ないくらいに…ね?」

 

すると、彼は照れた顔をしてそっぽを向いた…ふふっ…可愛い♪

 

「えっと、じゃあ行きましょうかパルスィさん」

 

そうして私の手を握ってくれる碧…あぁ…やっぱりあの時の感触は夢じゃなかったんだわ…。

 

「そう言えばどこに行くのかしら?」

 

「えぇ折角の…その…で、デートなのでウィンドウショッピングとかを考えてたんですけど…ダメでしたか?」

 

照れたかと思えば、少ししょんぼりとする碧…それだけでも可愛い…。

 

「私は構わないわ。碧は旧都へは、この前来て以降、来たのかしら?」

 

「いいえ。翡翠で晩御飯を食べただけなので…情けない話なんですけど…どこに何があるのか分からないんで、案内してくれると嬉しいかな…と。ダメでしょうか?」

 

そんな上目使いで言われて断れる人なんて居るわけないでしょう!(彼の方が身長が低いので、自然と上目使いになるの)

 

旧都の案内を私がしつつ、碧は土地勘を覚える為に必死になっていた。

 

それでも私の手を、ずっと繋いでいてくれたのはとっても嬉しかったのだけれどね♪

 

そして、お昼時…女将さんへのお礼も兼ねて、翡翠で取ることにした。今日のお勧めは、新鮮な魚を使った海鮮丼を二人で注文した。その時の女将さんの微笑ましい笑顔が印象的だったわ。

 

「ふぅ…夜の懐石も美味しかったですけど、昼の軽食も本当に美味しいですね!」

 

「えぇ…本当にね…(多分…あなたと一緒に食べているから、余計に美味しいのでしょうけど)」

 

無邪気に答える彼に、私は一種の母性本能の様な物…。ううん…違うわね。やっぱり私は彼に恋焦がれているのだと確信した。

 

会計の時に、彼から――「ここは僕に奢らせて下さい…その、…デートなんですから///」って…あぁ…何て幸せなんだろう…。

 

そうして、午後から再びウィンドウショッピングを続けた。見た事も無い商品や、妖怪達の笑顔に、碧も…そして、私も久しぶりに楽しい思いが出来たわ。

 

――途中、呉服屋の亭主から、「おぉ…ついにパルスィちゃんにも彼氏ができたのかい?」って言われたときは、二人して顔を真っ赤にしたのだけれど//////

 

そして、気の向くままウィンドウショッピングを済ませた私達は、最初に集合した場所、橋の上に戻ってきていた。

 

余談ではあるが、地底にも疑似ではあるが太陽があり、朝、昼、夜もきちんと時間によって変わる。

 

その日差しが夜のそれへと変わる前…橋の向こうに夕日が沈む前に…私は彼に気持ちを伝える事にした。

 

「「――パルスィさん(碧)――」」

 

あら…被っちゃったわね…。こういう時は殿方からって言うし…。

 

「碧からどうぞ?」

 

「ありがとうございます…。えっと…よしっ!。――…すぅっ…水橋パルスィさん!幻想郷で僕が初めて出会った人…。そして、優しくて、綺麗で可愛くて…僕は、そんなあなたに…一目惚れしました!パルスィさんこそが運命の人なんだと思いました!…だから…僕と、付き合ってください!」

 

そうして、頭を下げる彼…良かったぁ…嫌われて無かったんだ…なら、こちらも答えないとね…。

 

ふぅ…一息ついた私は自分の思いを語り始めたの。

 

「私も…あなたの事が…大好きです。でも、私は不安だったの…」

 

「パルスィさん…?」

 

不安…そうあの日の夜の事…。

 

「私はね…初めてあなたから可愛いって言われた、あの日から、ずっとあなたの事を思っていたの…。この気持ちは何なのか…また、あなたに会えないのかってね?それから毎日の様に、あなたの事を考えたの…それこそ、寝ても覚めてもね?」

 

「それで…あんなに隈が…ごめんなさい…」

 

気にしてくれたのね…優しい子…。碧が謝ってくれる。

 

「いいのよ?碧は何にも悪くはないのだから?…それから、一昨日の夜…気分を変える為に翡翠に行ったの。そこでまさか、あなたと再会できるなんて夢にも思わなかったけど…」

 

「僕も…本当にびっくりしました。まさかパルスィさんと出会えるなんてって…」

 

嬉しい…♪碧も思ってくれたのね…

 

「そして、あなたの事情を聞いて…悲しくなった…でもね、それ以上に…妬ましくなったの…。あなたと暮らしている、八雲紫…。あなたの口から楽しそうに話された守矢の巫女…。そして私の本質は嫉妬…」

 

意を決して、私は彼に語ったわ…。

 

外の世界で在った事を…

 

何故私が自分の耳を嫌っているのかを…

 

そして、自身の能力…嫉妬心を操る程度の能力の事を。

 

「あの日…私は自分の嫉妬心を抑えられなかった…。あなたに醜い顔を見て欲しくなかった…。でも、そんな私の事を…あなたは心配してくれて、優しく抱きしめてくれたわ。……温かかった…。ずっと抱きしめて貰いたかった。そして、目の前にあなたの顔があって…そこで私の…それまで抑えていた恋心が解き放たれたの…。あんな形で…あなたの唇を奪ってしまってごめんなさい…」

 

お酒が入っていたというのは言い訳にならない…だから、私は本心を語る…例え碧に軽蔑されても…。

 

「今日…あなたに会うまで、ずっと不安だった。醜い嫉妬心を見せた私を軽蔑していないか?いきなりキスをしてしまって…嫌われていないか?…って…こんな私が…あなたに恋する資格なんて…「――パルスィさん!」…?…っ!?」

 

俯きながら語っていた私の唇に…温かい物が触れる…。これは…彼の唇…?

 

私…彼にキスされているの…?

 

「んぅ……っ…んぁ…ふぅ……」

 

彼の気持ちが伝わってくる…私の事を愛してくれているのだと…只ひたすらに、優しく想ってくれているのだと…。

 

どれくらいそのままキスをされたか…私の思考は蕩けて…気が付いたら日も暮れていた…。

 

そして、彼の唇が離れて行く……あぁ…もっとキスされていたかった…。そして、私の顔を見ながら、碧は言ってくれたわ…。

 

「パルスィさん…これで僕も同じです。パルスィさんにずっと恋焦がれて…ずっとキスをしたかった…僕の気持ちです…。嫉妬?そんなもの誰だってします!キスをした?好きな人の顔が目の前に在ったら誰だってしたくなります!それに…嫉妬してくれるって事は…それだけ僕の事を想ってくれていたからでしょう?僕はそれが嬉しい…。だからもう一度言います…水橋パルスィさん!僕と…恋人になってください!」

 

あぁ…何て…何て嬉しいんだ…。

 

私自身が否定していた嫉妬心を受け入れてくれて…その上でまた、告白してくれて…。

 

こんなに私は彼に思われていたんだ…。嬉しくて涙が止まらない…。

 

碧はそんな私を、泣き止むまで見守ってくれていた…。そして、私は彼に返事をした。

 

「ぐすっ…。こんな私に…いいえ、私で良ければ…お願いします…碧///」

 

すると、彼からとても嬉しそうな声で…。

 

「――…っ?!…良かったぁ…。…ありがとうございます。それと…これから、よろしくお願いします…パルスィさん!」

 

そして、私達は再び口づけをした…どちらからでもなく…お互いが求めるままに…。

 

夕暮れを過ぎ、宵闇に包まれた橋の上で…二人は結ばれた…。

 




ここまでの話数は長かったですが、ようやく二人は結ばれました。
結ばれるのが早いのでは?と思う方もいると思いますが、ずっと互いに想い続けていた二人が衝撃的な再会をする…これだけでも結ばれるには十分かな?と思いました。

次回は、保護者や、他の人への報告の話を書こうと思います。

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