【完結】ToLOVEる  ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第63話 結城家の賑やかなクリスマス

 12月25日のクリスマスを迎えたこの日、結城家では普段以上の人数と共にクリスマスパーティーが行われていた。リトと美柑は勿論の事、去年から住んでいるララや今年から結城家の屋根裏に住み始めているナナとモモ。そしてララのクリスマスプレゼントとして、海外に居た林檎や仕事が忙しい筈の才培までもが結城家に集まっていた。フランスに居た林檎はララの宇宙船があれば一瞬で到着する事が出来、締め切りで忙しい筈の才培も住み込みでアシスタントを務めるザスティン達の協力によって参加することが出来たのだ。美柑は久しぶりに全員が集まれた事にララへ感謝し、リトはそんな美柑の笑顔に嬉しく思った。

 

「まうまう! まう~!」

 

「それにしても、この子があのセリーヌちゃんだなんて信じられないわ」

 

「謎の多い希少種なので、私も予想外でした。まさか人型になるなんて……」

 

 テーブルの上に乗る食べ物を前に喜びの表情で食べる1人の幼女の姿に林檎が眺めながら呟く。実は結城家にはまた、新たに1人の家族が増えていた。惑星ミストアに向かってまで助けようとしたセリーヌが、幼い少女の姿に成って生まれ変わったのだ。しっかりした言葉を話す事は出来ないが、意思疎通は可能なセリーヌ。元々家族の様に接していたリト達は当然驚きながらも、今では改めて家族の一員として迎えていた。植物に詳しいモモも流石に想像していなかった様で、林檎と同じ様に食べるセリーヌの姿を見る。すると見られている事に気付いたセリーヌは首を傾げて2人に視線を返し、そんな姿に2人は難しく考える事を止めて笑みを浮かべながら食事を再開した。

 

「クリスマスツリー、ですか」

 

「うん。毎年こうやって飾るんだよ? ヤミさんは去年居なかったから、初めてだよね?」

 

「そうですね」

 

 別の場所では美柑が用意したクリスマスツリーを眺めるヤミの姿があった。ヤミはクリスマスが過ぎた頃に地球へやって来た為、クリスマスと言う物を知らない。地球にしか無い文化に興味を示しているヤミはクリスマスの意味について質問し、美柑が思いだしながら説明を始める。そしてその頃、ナナが美味しそうに食べ物を口に運ぶララの姿を見て悩み始めていた。

 

「美味そうだよな~。でも、飯とかで迷惑は掛けないって決めてるし……」

 

「気にすんなって。遠慮しないで楽しんでくれ」

 

「そうだよナナ! ほら、凄く美味しいよ!」

 

 食事等に関して自分達で何とかすると約束していたナナは、それを律儀にも守ろうとしていたのだ。だがそんな彼女の姿を見てリトは苦笑いを浮かべた後、ナナへ食べる事を進める。すると先程から遠慮の欠片も無く食べては幸せそうに笑みを浮かべていたララがナナへ食べ物が盛られたお皿を差し出した。しばらくの葛藤を経て、ナナは厚意に甘える事にして食べ物を口へ運び出す。その後見せた表情は流石姉妹なだけあってララとそっくりだと、リトは感じるのだった。

 

「家も随分賑やかになったもんだぜ」

 

「ん……」

 

 結城家でそれぞれ過ごす姿を見ながら片手にお酒を持って眺める才培。キッチンでは未だに料理を作り続ける真白の姿もあり、まるでバーの様に才培は飲みながら静かにそこで過ごしていた。普段は豪快な彼も偶には落ち着きたくなるのだろう。ふと真白に視線を向けた才培は、それだけで何かに気付いた様で笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「以前に比べて、大分変わったな。憑き物が落ちたって感じだ」

 

「……」

 

 そう言って手に持っていたお酒の入ったグラスを口元へ運ぶ才培の姿を前に、真白は動かしていた手を一時止めてその姿を見た。普段から忙しく過ごす才培と話す機会は非常に少ないが、話をせずに雰囲気だけで言い当てるその姿に流石の真白も驚いたのだろう。一気にグラスの中にあったお酒を飲み終えた才培は新たにお酒を真白に出して貰おうとする。そこで再び作業に戻った真白は言われた通りに冷蔵庫からお酒を出し、次はリトが好きな唐揚げを作る作業に取り掛かった。

 

 既に彩南高校も美柑が通う小学校も冬休みを迎えている為、良い事では無いが夜更かしをしても問題は無かった。パーティーはまだまだ盛り上がりを見せ、今度は美柑がキッチンに立つ事で真白は食べる側に回る事に。すると真白が座った席の後ろに突然現れた林檎が、迷わずその手を真白へ伸ばし始める。何処かで見た光景にリトが止める間も無く、林檎の手は真白の身体に触れた。

 

「んっ……林檎……」

 

「以前に比べて胸が少し成長したかしら? 他は問題無さそうだし、うん。中々悪く無いプロポーションね」

 

「か、母さん! いきなり何してんだよ!」

 

「あ、あら? ごめんなさい、つい」

 

 林檎の行動によって身体を這い回る手に一瞬身動ぎし乍らもジト目を向ける真白。そんな姿に気付く事無く評価する林檎の姿にリトが注意すれば、そこで我に返った様に林檎は両手を上げ乍ら謝った。既にララを初めとしてナナやモモも林檎の『お仕事モード』の餌食になっており、長い期間を離れ離れに過ごしていたが故に真白も今回は被害を受けたのだろう。無事に解放された真白は微かに頷いた後、食べる為にお皿を手に取った。

 

「あ、真白! さっきの服、真白の分もあるんだ! 着て見ようよ!」

 

「さ、さっきのって姉上が着てた服の事か!?」

 

 キッチンから出て食事を始めた真白の姿に気付いたララは、真白の座る席の反対側に立って話し掛ける。実は林檎と才培を結城家へ呼んだ際、ララはクリスマスと言う事でサンタの恰好をしていたのだ。だが唯のサンタでは無く、肩を出して膝下も非常に短いミニスカートになっているサンタである。故にララの言葉を聞いたナナが驚きながら真白のミニスカサンタを想像し始め、話を聞いていたヤミが止める……事は無かった。

 

「着て見てはどうでしょうか?」

 

「私もシア姉様があの恰好をしたのに興味があります」

 

「真白だけじゃないよ! 美柑にヤミちゃん、ナナとモモの分だって用意してあるんだから!」

 

「私の分は無いのね? ふぅ……」

 

 何処か乗り気な様子を見せるヤミに続いてモモも期待した様に言えば、ララは恰好が気に入ったと思ったのだろう。林檎を除いた全員分があると告げる。まさか自分達が着る事になるとは思っていなかった様で、美柑が聞こえない振りをする様に料理を続ける中、モモ達は真白だけでは着替えない可能性も考えて覚悟を決める。自分の分が無い事に心底安心する林檎を置いて、料理をする美柑を邪魔しない様にララ達は真白を連れて5人で一度その場を離れた。

 

「リトには刺激が強いかもね?」

 

 自分が巻き込まれなかった事に安心すると同時に余裕が出来たのか、これから現れる5人の姿を想像した美柑がリトを揶揄う。同じく想像したリトはすぐに顔を真っ赤にして否定するが、少しして現れたララを筆頭に全員が同じ格好で現れた事でリトはすぐに視線を背けた。美柑が想像した通り、腕や胸を始めとして下腹部等もしっかり纏っているものの、非常に露出度の高い服装であった。露わになっている二の腕や太腿等が眩しく映り、人に寄って感じる違いに美柑は不思議と感心していた。ララが健康的な明るさを持つのなら、真白は白く透き通った肌を持つ。普段から太腿を微かに見せているヤミも、その見せ方は普段と大きく違う為に印象が大きく変わる。そもそも、ヤミが今の様な恰好をする事が珍しい為に仕方が無いだろう。

 

「さ、流石に恥ずかしいな……これ」

 

「ふふ。素敵です、シア姉様」

 

 堂々としているララとモモとは対照的に、自分の恰好に恥ずかしさを感じて身体を必死に隠そうとするナナの姿は何処か悪い事をしている様な卑猥さを醸し出す。モモは自分の恰好では無く真白の恰好を見つめており、真白は余り気にした様子も無く座っていた席に戻ると食事を再開した。特に今の恰好に何かを感じている訳では無い様だ。

 

「お、お前ら何時までその格好で居る気だよ!」

 

「え? このままで良いかなって思ってるけど?」

 

「良くねぇ!」

 

「はっはっはっは! 本当に変わったな、真白!」

 

「まう~? まうまうまう!」

 

 5人の恰好に目元を隠しながら質問すれば、首を傾げて当然の様に答えたララに驚きながら叫ぶリト。そんな光景が楽しい様で、真白が今の様な恰好をしている事もあって才培は声を上げて笑っていた。見れば頬がかなり赤い事から大分酔っているのだろう。そしてそんな才培を見て真似する様に声を出すセリーヌの姿があった。

 

 その後、助かったと思っていた美柑も結局ミニスカサンタを着せられる事になり、林檎も進められるが断り続ける。リトはしばらくの間迂闊に視線を動かすことが出来ず、才培は酔いが完全に回ったのか眠り始めていた。セリーヌもお腹が満たされた事で眠くなったのだろう。才培の近くで眠り始めており、ナナが未だに恥ずかしがる中、ララとモモは何事も無かった様に話や食事を再開。真白も自分が作った料理や美柑が作った料理を食べ、ヤミも真白や美柑と話をしながら時間を過ごした。……今まで以上に賑やかで騒がしい結城家のクリスマスは、まだまだ続くのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記

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