【完結】ToLOVEる  ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第42話 彩南高スポーツフェスタ【後編】

 障害物競争。パン喰い競争等の様々な競技が続く中、真白はその殆どを人並みの身体能力を見せ乍ら上位に入る様にしていた。宇宙人としてでは無く、普通の人間として何年も行動していた為にその程度を理解出来ていたのだ。が、ララは違う。人間以上の身体能力を見せ、出る競技は全て1位を独占していた。明らかにおかしい光景も、彩南高の生徒の殆どは凄い等の感想しか抱かず、唯は何故何も言われないのかと顔を引き攣らせながら思う。

 

「っと、次は1㎞マラソンだな」

 

 リトが次の競技を確認すると立ち上がる。彼が出る競技の1つであり、それと同時に真白や唯も出る競技である。スタート地点に集い始める生徒達。真白と唯もその中に紛れてリトも紛れる中、春菜もその集いの中に入り込み始める。

 

「頑張ろうね、三夢音さん。古手川さん」

 

「ん……」

 

「当然よ。理由はどうあれ、やるからには1位を狙うわ」

 

 春菜の言葉に真白が頷いて、唯が腕を組みながら答える。それを聞いて春菜は口元に手を近づけて微かに微笑むと、今度はリトの元へ。リトは春菜の存在に気付いていた様で、近づいて来るその姿に目に見えて緊張し始めていた。分かり易い光景に真白が何も言わずに見つめる中、やがてスタート前の準備が始まる。

 

「よし! 優勝してやるぜ!」

 

 春菜との会話で大きくテンションを上げたリト。そんな彼の声が生徒達の声に紛れて聞こえる中、ゆっくりと上げられるスタート用のピストル。やがて合図が響いた時、一斉に並んでいた生徒達が走りだす。しかしその時、走り出した生徒の1人の腕が春菜に接触。大きく体勢を崩して転びそうになる。が、リトはそれに気付くと競技を放棄して素早く春菜を支える為に行動する。だがその結果、春菜は無傷なもののリトが足を挫いてしまう。

 

「結城君!」

 

「!」

 

「真白?」

 

「……行って」

 

 春菜の声を聞いて真白はそれに気付くと足を止める。唯が止まった真白の姿に疑問を抱くも、すぐに後方に見えるその光景を見て理解する。そして真白の言葉に少し止まってから頷くと、3人を置いて走り始める。先に行く唯を見送った後、真白は2人の元へ。春菜に肩を借りているリトの傍に近づくとリトは安心させるように笑って、しかし痛みに堪える様に表情を歪める。

 

「……痛む?」

 

「へ、平気だって……いっ!」

 

「リト! 春菜! 大丈夫!?」

 

「私は平気だけど……結城君が」

 

「……保健室」

 

「なら、私が連れて行く。私のせいだから……三夢音さんは、競技に戻って」

 

 真白はしゃがみ込むとリトの足を見ながら聞く。リトはそれに強がるも、真白が足を少し突くとリトは痛みに悲鳴に近い声を上げる。明らかに強がっている為、真白は小さく溜息を吐いた。っと、見ていたララが駆け寄って2人を心配。春菜はララに言いながらも苦しむリトを見ると、真白は立ち上がって2人に保健室に行くことを告げる。すると責任を感じていた春菜は自分が連れて行くと言ってリトの身体を支える。そして大きく出遅れてしまってはいるが、まだ続いている競技に戻る様に真白に言った。ララもリトを心配して手伝おうとするも、次の競技にララは出る事になっていた。故にリトがそれを止める。

 

「悪い、俺達のクラスは2人少なくて不利だけど……頼んだ」

 

「大丈夫よリト! あんたの代役、今連れて来たから!」

 

「何故私が……」

 

「……ヤミ?」

 

 クラスから2人欠員が出るのは大きく後に響くため、リトは自分よりも其方の心配をし始める。っと、ララの後に駆け寄って来た美柑がリトに親指を立て乍ら告げる。と同時にそんな彼女の背後から現れたのは、ヤミであった。その服装は他の生徒と同じ体操着。しかし大きいのか少しブカブカであり、少し納得のいかない様子を見せるヤミの姿に真白が首を傾げる。

 

「ここの校長先生がヤミちゃんの服、貸してくれたよ!」

 

「いや~、お似合いで何より。っとと、ヤミさん。それ、私物なんで後で返してくださいね? 洗わずに」

 

「真白……良いですか?」

 

「ん……手伝う」

 

 美柑がヤミの服装に付いて傍に何時の間にか居たサングラスに小太りの男性……彩南高校の校長を見ながら言う。すると校長は優しそうな表情で答えるも、次に厭らしい表情でヤミに告げた。何の反応も見せずに真白へ視線を向けて聞くヤミ。全員が頭の上に『?』を浮かべる中、真白は頷くとヤミと共に校長を攻撃し始める。ヤミは校長を髪で殴り、地面に倒れ伏すその姿に真白が容赦なく足で蹴りを入れる。校長は地球人であるが、2人は一切の容赦をしなかった。が、普通の人間ならば命すら危うい攻撃を当の本人はヤミの髪の感触と真白の靴越しの足に喜んでいる様子を見せる。

 

「つ、次の借り物競走に入れておきましたので……ぐふっ」

 

 まるで息絶える様に言いながら顔を伏せた校長。その姿を誰も心配することは無く、真白はヤミを少し見続けた後に頷く。期待されているのは間違い無く、ヤミは真白のその行動に返事をする様に頷き返した。っと、未だに続いている競技もそろそろ終盤になっており、リトと春菜は棄権。真白がまだスタート地点に居るという状況に気付く。リトは春菜に任せ、代走は決定。もう大丈夫だと思ったのだろう。

 

「……戻る」

 

「戻るって、もう間に合わないだろ?」

 

「……平気」

 

 春菜に支えられたまま、真白の言葉に返すリト。しかし真白はそれに答えると、文字通りその場から姿を消した。ヤミとララだけが目で追えていた様で、気付けば真白はかなり離れた場所で走っていた唯の傍に。普段は見せていない身体能力を見せたのだろう。唯が突然現れた真白の姿に遠くからでも分かる程に驚く光景を見ながら、リトは乾いた笑いをする。……その後、リトと春菜は保健室へ。ララとヤミは次の走者の中に入り、真白と唯は上位でゴールするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前で響き渡る爆発音。クレーターが沢山出来たグラウンド。唯と美柑は目の前の光景に口を開けて呆気に取られ、その隣で真白は無表情のままその光景を見つめる。今目の前の光景を作り上げているのは沙姫であり、その狙いはララ。どうやら恥をかかされた事をかなり怒っている様で、何処からともなく爆弾やバズーカなどで用意しては使っているのだ。もう既に妨害で済む話では無く、生徒達は避難。ララと巻き込まれたヤミはその攻撃を避け続け、借り物競走は恐ろしい結果だけを残して彩南高スポーツフェスタは中止となってしまうのであった。




少々終わり方が雑ですが、ご容赦ください。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記

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