【完結】ToLOVEる  ~守護天使~   作:ウルハーツ

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2,3日? そんな事しないで無くなるまでは毎日行こう!

と言う事でストックが無くなるまでは【基本】毎日投稿に変更致しました。


1年生
第1話 結城家の朝


 天気は雲も無い快晴。とある一軒屋の1階では、朝食を作る音が響いて居た。ダイニングキッチンとなって居る広いリビングの中、そのキッチン内で料理をして居るのは僅かに身長差がある2人の少女。1人はダークブラウンの長髪、その一部分を小さく頭の上で止め、愛用のエプロンを付けて包丁を片手に野菜を切る身長の低い少女。1人は先程の少女同様に長髪で、薄い銀色の髪をどこも結ぶこと無く降ろしたままにして居る先程の少女よりも少し高めな少女。高校生なのか制服を着用し、その上にエプロンをつけた少女は片手にフライパンを持ち、手首のスナップと共に作りかけて居た目玉焼きが一回転する。

 

「相変わらず器用だね、真白さん」

 

「……美柑も」

 

「私は慣れてるから。あ、なら真白さんも同じ理由か」

 

「ん」

 

 無事にフライパンの上へと戻る目玉焼きを見て、動かしていた包丁を一度止めた後に話しかけた低い側の少女……美柑こと【結城 美柑】。話しかけられた高い側の少女……真白の返しにその後答えると共に納得し、笑みを浮かべ乍ら手元を再開する。そうして再び響き続ける料理の音。並ぶ2人はお互いに会話をしない物の、その間の空気が気まずい。等と言う事は一切無かった。

 

 やがて音は徐々に静まり、美柑は大き目な深皿にサラダを。真白は目玉焼きを同時間、傍に置いて居たトースターで焼いたパン2枚が出来上がると同時にそれを取り出し、盛りつける。そして平皿を2枚用意した後に1枚づつそれを乗せた。美柑は真白が用意していた物を取りに来るが、2皿。2枚しか無い事に首を傾げた。

 

「あの、一枚少ないと思うんだけど」

 

「……まだ」

 

 受け取ったそれを見て美柑が真白に聞けば、真白はそれに一言続けた後に素早く新しい卵を1つ割り始める。そして片手でフライパンを動かしながら開いた片手でトースターに再びパンを一枚挿入する。そんな光景を見て美柑は少し難しい顔をするが、溜息をつくとリビングの方へと足を進めて行く。すると、リビングと玄関や2階に続く階段のある廊下を繋ぐ扉が突然開かれる。それを開いた本人はツンツンとしたオレンジ髪の青年で、パジャマ姿のまま欠伸をし乍らリビングの中へと入って来た。

 

「ふぁ~あ、おはよう美柑」

 

「おはよう、リト」

 

 欠伸を手で抑える様にしながら朝の挨拶をする青年……リトこと【結城 梨斗】。そんな彼に気付くと、少し冷めた様な雰囲気を出しながらも美柑はそれに返す。苗字から分かる様に、この2人は兄妹である。

 

 リトは美柑に挨拶をした後、料理をして居る真白の姿を視界に捉える。そして迷わずキッチンへと足を向け、冷蔵庫の前に立って真白に視線を向けた。片手でフライパンを動かし、開いた片手でお皿を用意していた真白。焼ける音によって扉の存在には気付いて居なかったらしく、しばらくそのままだった物のやがてリトの存在に気付いた。が、見るだけで真白は何も言う事は無い。

 

「えっと……おはよう」

 

「ん……おはよう」

 

 何も言わずに見つめて来る真白の姿に少し戸惑いながらも挨拶をすれば、無表情のまま頷いて返した後に再びフライパンへと視線を戻してしまう真白。美柑はそんな2人の姿を見て溜息をついた後、助け船の様にリトの名前を呼ぶ。リトは呼ばれた事に気が付くと、冷蔵庫から飲み物を取り出して片手に持ったままリビングの方へと戻った。そこにはテーブルに置かれている朝食を前にして肘を突き、座って居る美柑の姿。

 

「あんまり居ると邪魔になるよ?」

 

「まぁ、そうだな」

 

 リトは美柑の言葉に頷きながら向かいの椅子に座り、持っていた飲み物を既に飲み口が逆さの状態で用意されていたコップをひっくり返すと注ぎ始める。美柑はダイニングが故に見える真白の姿を横目で捉え乍ら、目の前に用意されている朝食には一切手を突ける事無く時間を潰し続けていた。っと、やがてキッチンから音が消える。その後少しして目玉焼きの盛り付けてあるパンの乗った皿を両手で持ちながら出て来た真白。そんな姿をリトと美柑は唯見て居り、真白は首を傾げた。

 

「?」

 

「いや、待ってたんだよ」

 

「やっぱり皆で食べないと……ね?」

 

 真白の行動に言葉は無くとも伝わったリトが答えれば、続ける様に美柑が口を開く。真白はそんな2人の言葉に静かに頷いた後にリトとは斜め向かい、美柑の横の席に座った。そうして3人がテーブルの周りに揃ったところで、美柑が「それでは」と一言。

 

≪頂きます!≫

 

「……頂き……ます」

 

 結城兄妹の元気な声と、真白の静かで途切れ途切れの言葉がリビングの中に紡がれる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、そろそろだな」

 

 朝食を終え、椅子に座って時間を潰していたリト。既に彼は制服に着替えて居り、時計を見ると立ち上がる。そんな彼の近くでは水と皿の当たる音が聞こえ、真白が洗い物をして居る姿が見えた。美柑は真白と並んで洗い物を行っており、リトが立ち上がった事で顔を上げる。そしてすぐに時間を見て、真白に「時間だよ」と告げた。既に洗い物の大半は終了しており、真白は持っていた最後の皿を置くと同時に頷いて返す。

 

 先程の朝食の際、使われて居なかった椅子には鞄が置かれていた。それは真白の物であり、キッチンから出て来た真白はそれを肩に掛ける。リトも既に鞄を手にしており、美柑も置いてあったランドセルを手に取る。家を出る前にはしっかりと戸締りを確認し、リトの先導の元家から出た3人は次に美柑が家の鍵を掛けて居る姿を確認する。そして、通学路を3人で並んで歩き始めた。朝の通勤、通学時間な現在は制服を来た物やランドセルを背負って居る物。鞄を手にスーツ姿で歩く者など、様々な人々が歩いて居た。

 

 しばらく歩いて居た3人だが、途中で分かれ道が見えて来る。美柑は小学生な為、リトと真白が向かう場所とは当然違う場所。故にここで分かれる事となるのだ。美柑はリトと真白に「それじゃあ、またね」と言って別の道へと進んで行き、リトと真白はお互いに同じ場所を目指すが故に歩き続ける。……そこで、何時もの様にリトは困り始めた。

 

 3人で歩いて居る間、美柑と言う妹であり話し相手が存在して居る。しかし真白と2人だけになった時、お互いの会話はほぼ皆無となってしまうのだ。美柑は沈黙があってもそれが普通と感じて居るが故に気まずいと感じて居ない……が、異性であるリトは美柑と違いその沈黙に居心地の悪さを感じてしまう。そもそも口数の少ない真白は話しかけたところで会話が発展など一切しないのだ。

 

「はぁ……ん? !?」

 

 思わずため息をついたリト。と、ふと顔を上げた先に1人の女子生徒の姿を捉える。と同時に一瞬にしてリトはその場から移動、電柱の裏側にその身体を隠し始める。そんな奇妙な行動を取るリトの姿だが、傍に居た真白には何時もの事。何も思う事は無いのか、止まる彼をスルーして歩き続ける。やがて真白とリトの距離は離れ、代わりに真白とリトが見つけた女性生徒の距離が縮まり始める。

 

「あ、三夢音(みむね)さん。おはよう」

 

「ん……おはよう」

 

 リトが見つけた女性生徒は藍色の髪をショートヘアにし、その一部をヘアピンで止めて居る。そしてそんな髪を少し揺らしながら女子生徒は真白に挨拶をした。三夢音と言うのは真白の苗字であり、真白はそれに返すとそのまま歩みを進める。リトとも女子生徒とも一緒に歩くつもり等最初から無かった様で、真白は学生たちの波の中を早足で進み続ける。そうしてやがて見えてくるようになった正門を潜り、真白は普段通り通って居る高校……【彩南高校】へと登校するのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記

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