【完結】ToLOVEる  ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第132話 宇宙の珍味、ダークマター

 真白はある日、可愛いラッピングの施された箱を手に結城家の自室へ入った。その箱はララから送られたお菓子であり、真白が御門の家へ行っている時間にララが春菜達と一緒にお菓子作りをして作ったとの事であった。現在結城家には全員居るが、ヤミは美柑と共に。ララ達は三姉妹仲良く過ごし、リトは自室でゲームをして居た。時間は15時を迎える少し前であり、丁度良いと思った真白はラッピングを外して中身を取り出す。……それは黒い点々が所々に見えるクッキーであった。恐らくチョコクッキーなのだろう。

 

「……はむっ。っ! っ!? う、ぁ……ぁ!」

 

 それは突然であった。真白はララお手製のクッキーを一枚摘み、口の中へ放る。そしてそれを噛んで飲み込んだ時、身体の中を駆け巡る様な快感に思わず口を塞いでベッドへ仰向けに倒れてしまった。頭の天辺から足の先まで力が入らなくなり、誰も居ない部屋の中で力無く天井を見上げる真白。そんな彼女の傍に突然黒い霧が生まれ、ネメシスが姿を現した。

 

「面白い事になっているな。これが原因か?」

 

 真白の腹部に跨って見下ろすネメシスは真白の手からベッドへ落ちたララお手製のクッキーを手に取る。そして四方八方から眺めた後、それを口の中へ放った。途端、真白と同じ様に全身へ走る快感を受けてその目を見開いた後に力無く真白の身体へ覆い被さる様に倒れる。その後、僅かに息を荒げ乍らベッドへ手を着いて身体を起こしたネメシスは残りのクッキーを眺めながら全てを理解する。

 

「なるほど、このクッキー。私と同じダークマターが含まれているのか」

 

「……ネメ、シス……?」

 

「聞けばララ姫はダークマターを珍味として酷く好んでいるとか。どうやらそれをこのクッキーに混ぜたらしい。そして私達(・・)の様に身体にダークマターを宿した者がそれを食せば……こうなる」

 

「んっ、!? ひぁあぁぁ!」

 

 説明をし乍ら真白の口の中へクッキーを入れて口を押さえたネメシス。出す事も出来ずに飲み込んだ真白は先程と同じ様に快感に襲われ、それと同時にネメシスが手を離した事で普段は聞けない様な嬌声が真白の部屋に響いた。真白にとって不幸でネメシスにとって幸運だったのは、その声が丁度良く話をしたり騒がしかったり等して聞こえなかった事である。

 

「これは面白いな。ほら、もっとくれてやろう」

 

「止めっ、んぐっ。!? んんっ!」

 

 もう1度同じ行為を繰り返したネメシスは震える真白の顔を間近で見る様に四つん這いになって顔を寄せた。頬を僅かに染めて荒い息をする真白の姿。普段見れないその姿を前にネメシスは興奮を隠す事もせずに眺め続け、更にクッキーを入れようとしてその手を止める。真白が悶える快感を自分も再び感じたくなったのだ。だが真白も悶えさせたい。……そこでネメシスは思い付いた。

 

「はむっ……んっ……ふあぁぁぁ!」

 

「……ぃ、ぁ……んっ……!? んあぁぁぁ!」

 

 自らの口の中に放り、真白と口付けをし乍らそれを流し込む。そこで全てを流し込むのでは無く、1度真白の口内へ送ったクッキーを半分自分の口内へ戻して自分も味わった。当然何度も繰り返されている強烈な快感を互いに受け、ネメシスは真白の胸元に顔を埋める様に倒れ込んだ。

 

「ふぅ。これは……癖になるな」

 

「はぁ……はぁ……」

 

 真白の胸を掴んで身体を起こしたネメシスは恍惚とした表情で真白を見降ろした。彼女が癖になると思ったのはダークマターを摂取した際の快感……とは別の事であった。弱々しく自分を見上げる真白の姿にネメシスはその両手を指と指を絡め合う様にして押し付ける。そして自分の位置を少し上に移動して再び顔を近づけ始めた。目を見開く真白を前に容赦無い口付けを始め、部屋の中には厭らしい水音が響き始める。

 

「ん、じゅ……はむっ」

 

「んぁ。んん……んぐっ……じゅる」

 

 柔らかい布団に頭が沈み、押し付けられるネメシスの顔と侵入する舌に逃げられず翻弄され続ける真白。身体を動かしてもネメシスに乗られて動けず、両手は恋人繋ぎの状態で動かせば動かす程に深く絡められてしまう。結局ネメシスが望むまま、数分以上真白はベッドの上で襲われ続ける事になった。……そして満足した様に真白から顔を離したネメシスは口周りの唾液を拭いながら笑みを浮かべる。

 

「最高だったぞ、真白」

 

「……ネメ、シス」

 

「そんな顔をするな。……止められなくなる」

 

「! ま、た……んっ!」

 

 感想を告げたネメシスは自分の下で弱々しく名前を呼ぶ真白の姿に不満そうな顔をした後、ニヤリと笑みを浮かべて再び同じ事を繰り返し始める。終わりと思っていた故にまた目を見開いて驚く事になった真白。部屋に再び水音が響く中、部屋の扉をノックする音が僅かに混じる。が、口付けに夢中なネメシスや余裕の無い真白はそれに気付かなかった。返事の無い事を不思議に思った訪問者が扉を開き、そこにあったベッドで襲われる真白の姿と襲うネメシスの姿を見て……激怒した。

 

 突然感じた殺気にネメシスが顔を上げた瞬間、目の前に刃が迫っていた。だがその刃が彼女の頭を貫く事は無く、黒い霧となって無傷のままネメシスは笑う。攻撃が効かない事は理解していたのだろう。容赦無く襲い掛かった相手は軽く舌打ちをする。

 

「挨拶から物騒だな、金色の闇」

 

「ネメシス……! 真白から離れてください」

 

「何だ、嫉妬か? 女の嫉妬は見苦しいらしいぞ?」

 

 ネメシスは対峙する相手……ヤミを相手に余裕綽々と声を掛け、更には挑発までし始める。すると常人相手なら息の根が止められそうな程に恐ろしい殺気を視線に込め、ヤミはネメシスを睨み始めた。だがネメシスはヤミと争う気が無かった為、このままでは明らかな殺し合いが始まると察して真白の上から退いた。しかし完全に消える間際、ベッドの上に立った状態でネメシスは真白へ告げる。

 

「中々楽しかったぞ、真白。この続きはまた今度だ」

 

 その言葉を最後に黒い霧となって部屋から姿を完全に消したネメシス。ヤミが警戒しながらもやがて倒れる真白の傍へ近づく中、黒い霧は町の方角へ向かい続ける。道中で偶然猿山が食べようとしていた三色団子を掻っ攫い、高い建物の屋上で再び人の姿になった。そして手摺りの傍に近づいたネメシスは掻っ攫った団子を食べ乍らつい先程の出来事を思い返した。

 

「順調にダークマターとの融合は進んでいる。が、この調子だと何年掛かるか分からないな。……まぁ、問題無いか。もう数年すれば年齢を考える必要も無くなるからな。はむっ」

 

 その呟きを聞く者は誰も居ない。団子を1つ口に入れながら、ネメシスは徐に片手に纏ったダークマターを振るう。その瞬間、遥か遠くの結城家にある真白の部屋で。ヤミに介抱される真白の片手人差し指が僅かに跳ねるのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記

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