【完結】ToLOVEる  ~守護天使~   作:ウルハーツ

13 / 139
第12話 夏休みが開けて。外国からの転入生?

 臨海学校が終わり、次に生徒達が迎えたのは念願の夏休みであった。1年間に存在する長期休みの中で一番長い休みの期間であり、喜ぶ者は非常に多い。だが学校を楽しみにしていたララはその期間の間、暇を持て余しながら過ごしていた。夏休みになっても真白がする事は何も変わらず、朝から夜になる前までを結城家で過ごした後に帰宅。既にララが居る事が日常と化し始めていた真白たちは、普段通りの日々を過ごした。……そうして時が流れ、1月後。

 

「久しぶりね」

 

「ん……久しぶり」

 

 彩南高校1年B組では、1月の間会っていなかった友達やクラスメイトとの会話が教室内には広がっていた。そしてその中には真白と唯も含まれており、久しぶりに再会した2人はお互いに声を掛け合う。積もった話など余り無いが、それでも少ない会話を行い乍ら時間を過ごしていた2人。やがて先生が来たことで、クラスの全員が椅子へと移動する。

 

 HRで行われる連絡事項の最中、先生は隣のクラスに転入生が入った事を知らせる。ララが転入したのも気付けば数か月前の事。1年で2人も来ることは珍しいが、可笑しな事では無い。……が、気になる事も当然あった。

 

「また隣のクラス何ですか?」

 

 とある女子生徒の質問にクラスの内の半数以上が同じ疑問を抱いて居り、一斉に先生へ視線を向ける。本来クラスの人数は同じ様に分けられている筈であり、前回ララが隣のクラスに入ったのなら転入生は自分達のクラスに来る可能性の方が高いだろう。だが、事実2人目の転入生もまたA組へと入っている。気になるのも当然の事であった。しかし先生はその事に明確な答えを持っておらず、その質問に答える事は出来ない様子である。自分達の担任が関わっていたとしても、決めている訳では無い。何となくではあるが、それが理解出来たクラスの生徒達はそれ以上聞く事を止める。そして代わりに転入生がどんな生徒なのかを聞き始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新しい転入生は非常に目立つ存在であった。ララと同じく外国人の転入生としてやって来た男子生徒……名を【レン・エルシ・ジュエリア】と言い、銀髪に後ろだけ黒髪をしている彼は誰が見ても美少年であった。転入生と言う事で見に行った者達は一様にその珍しさに目を引かれ、女子は喜び男子は羨む。しかしそんな中、真白は特に気にした様子も無く教室で時間を潰していた。

 

 昼休み。普段なら真白の元に来るララの姿は無く、久しぶりの出会いと共に久しぶりに一緒に昼食を取る事になった真白と唯。隣では何か大きな声が響いていたりもするが、2人は黙々と食事を進め始める。が、やがて唯が口を開いた。

 

「貴女、転入生とかに全然関心を持たないの?」

 

「?」

 

 しっかり者の唯であったとしても、流石に転入生となれば気にはなる物。見方としてはその存在が非常識な存在で無いかを確かめる為であるが、それでも気になる事には変わりない。しかし今現在、静かに食事を食べ乍ら自分の言葉へ稀に耳を傾ける真白が一体何に関心を示すのか、少し気になったのである。が、真白は言われた言葉に首を傾げると静かに首を横に振った。そして何かを言う……と思いきや当たり前の様に食べる事を再開する真白に唯は溜息を吐く。

 

「はぁ~、じゃあ何になら興味を持つのよ?」

 

「……」

 

 そうして再び投げかけた質問に真白は動かしていた手を止め、突然考える様に少し上を向く。それから数秒、真白は視線を降ろして唯に視線を向けると口を開いた。

 

「……アイス」

 

「え?」

 

「……ケーキ。飴。……餡子も、好き」

 

「全部食べ物じゃないの。……あぁ、そう言う事ね」

 

 突如言った言葉に聞き返してしまった唯。しかし真白は唯の質問に答える為、言葉を続け始める。普段は頷く等でしか答えず、意思の疎通がしっかり出来ているのかと不安になる時すらある唯。だがこうして答える真白の姿に一瞬呆気に取られながらも、やがてその答えが食べ物だけである事に気付いて言う。と同時に唯は真白に付いて1つ理解する。どうやら彼女は食べる事が好きであり、特に【甘い物】が好物なのであると。余り分からない真白と言う存在に付いて、知れた事に唯は内心で少し嬉しく思うと同時に彼女を可愛らしくも思う。普段は何を考えているか分からないが、昼食の時に食べる事へ喜びを感じているのならそれは微笑ましい事なのだ。

 

 その後、昼食を終えた2人は授業が始まるまでの間を共に過ごす。午後の授業も普段通りに終え、帰宅する時間になった時。真白は何時も通りに唯に別れを告げた後、結城家へ向けて足を進めようとした。だがそんな彼女の視界の中に、普段は見ない存在が映り込む。転入生であるレンだ。何故か傍にはリトも立っており、何処か浮かない顔をし乍ら彼と話をしていた。が、そんな彼らを尻目に教室から桃色髪の少女が飛び出して来る。

 

「真白! 一緒に帰ろう!」

 

「……」

 

 出て来たのは勿論ララであり、真白が帰る事を既に分かっていたが為にこうして現れたのだ。ララは学校に通い始めて以降、部活等には入っていなかった。その代わり、真っ先に結城家へと向かう真白に着いて行く様にすぐに帰宅していたのだ。ララ自身の学校生活故に、放課後の時間をどう過ごすかもまた彼女の自由。美柑の元へ真っ直ぐに向かう真白に着いて行くのは、彼女の意思による物である。

 

 ララの言葉に静かに溜息を漏らす真白。するとそんなララと真白の姿に気付いたリトが視線を向け、それに釣られる様にしてレンも2人の存在に気付く。と、ララが2人に向かって大きく手を振りながら告げる。

 

「リト~! 何時も通り、先に帰ってるね!」

 

「お、おぉ」

 

「ララちゃん! 今から僕は結城リトよりも早く……」

 

 先に帰る事を言ったララの言葉は普段と変わらず、そんな彼女に向けて胸を張りながら言い始めたレン。だがララは特に彼を気にした様子も無く「真白、行こ!」と言ってその手を掴むと歩き始めた。真白は掴まれているが故に進む事しか出来ず、リトに視線を向け乍らもその姿を消す。胸を張ったまま言葉を最後まで言えなかったレンは去って行ってしまうララに何も言う事が出来なくなり、そんな彼の姿にリトは少しだけ同情の視線を向け乍らも帰宅する為に行動を開始する。

 

 ララの運動能力は地球人の比にならない程に凄い物であった。幸い彼女が走る事は無い物の、真白は手を繋がれたまま着いて行くことしか出来ない。そうして下駄箱までたどり着き、帰るために校舎を出た2人。そんな2人の姿を物陰から見ていた2人の女子生徒の姿があった。1人は金髪。1人は眼鏡のツインテールとララやレンには劣る物の十分個性的な姿をしており、去って行く2人の姿を眺めると2人はお互いに見合って笑みを浮かべる。

 

「結城とレンレンが必死にララちぃを取り合ってるけど」

 

「当のララちぃは2人に眼中無しで三夢音さんLOVEみたいだね」

 

「女の子同士……つまり、禁断の恋なのよ!」

 

「百合って奴ね! 面白くなって来たじゃない!」

 

 お互いに言葉を続け乍ら笑みを浮かべた2人。しかしその会話内容の中心に存在する2人は当然それに気付く事は無く、その後真白は普段と変わらぬ1日を過ごすことになるのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。