ストライクザブラッド ─真の零番目─   作:本条真司

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昨日はね落ちしてしまった。申し訳ないです



第27話

零が振り返り、優麻に目を向けると、もうそこにはいなかった

「くそっ、監獄結界に移動されたか...!」

「火・水・木・金・土・日・月」

零が呟いた直後、夏音が詠唱を始めていた

「夏音...?」

「月の陣、でした」

夏音がそう言うと、零と古城、雪菜、夏音は、監獄結界の中に移動していた

「もう使いこなしてるのか。さすがだな、夏音?」

「ありがとうございました」

「優麻...!」

「さすがに早いね。獅子王機関の四聖と一緒だからかな?」

優麻が振り返り、古城──自分の肉体に(ル・ブルー)が剣を振るう

そこに割り込んだのは雪菜だった

雪菜が七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)で攻撃を防ぎ、そのすきに古城が距離をとる

「そこまでだ、優麻」

気が付くと、零が妖櫻ではない刀で古城の肉体を斬っていた

「もうちょい加減しろよ、零?」

古城が、古城の肉体で零に抗議する

「悪かったな。ってか、今の戦闘の余韻で那月が起きちまった」

「起きた....?」

「監獄結界ってのは、那月の夢の中に囚人を収監する結界魔術だ。それが、那月が魔女になるにあたって悪魔と交わした契約」

「あまりベラベラ話すな、零」

那月の本体が目を覚まし、零に目を向ける

「あ、ダメだった?」

「いや、どうせ話す予定だったが「何で止めたんだよ」あれは話すなよ?一連のことが終わったら、私が言う」

「アイアーイ」

そして那月が、不意に真面目な表情で優麻2と向き直った。

「……仙都木阿夜の娘。どうする、まだ続けるか?」

優麻が静かに立ち上がって首を振る。

「やめておくよ。あれだけ強烈だった焦燥感が消えてるボクにはもう、監獄結界をどうこうする理由はないみたいだ.....(ル・ブルー)もこの有様だしね」

「そうか」

優麻が実体化させた守護者を眺めて、那月はうなずいた。

顔のない青騎士は、過剰な魔力の逆流や雪菜との戦いによって、満身創痍の悲壮な姿をさらしていた

たとえ回復するにしても、優麻が魔女としての能力を完全に取り戻すには,長い歳月が必要になるはずだ。そして優麻自身それを望んでいるとは思えない。

彼女はようやく母親の呪いから解放されたのだ。

そのことを実感して、古城は我知らず満足げな微笑を浮かべた。

異変が起きたのは、その一瞬のことだった。

 

(ル・ブルー)....?」

 

守護者,の実体化を解こうとした優麻が、不安げに声を震わせた。

顔のない青騎士が,カタカタと全身の甲冑を震わせる。金属と金属がぶつかり合うような,

奇怪な騒音。それは笑い声だと、古城は唐突に理解する。

傷だらけの騎士が、骸骨を思わせる空虚な仮面の下で笑っている

「やめろ、(ル・ブルー)!」

優麻が悲鳴のような声で命令する。しかし青騎士の動きは止まらない。

腰に提げていた剣に手をかけ、青騎士が初めてそれを抜き放つ。

鞘の下から現れたのは、鋭く研ぎ澄まされた真新しい刀身だ。

古城と零が飛び出して、それぞれ那月を庇うように立つ。

しかし青騎士の次の動きは、古城たちの予想を裏切るものだった。

振りかざした巨大な剣を、青騎士は優麻の胸へと突き立てたのだ。守護すべき対象であるはずの優麻へと。

「……ユウ......マ!?」

古城は呆然とその光景を見つめる。優麻の口から、ごぼっ、と鮮血がこぼれ出す。

「......お母様……あなたは,そこまで......」

自らの“守護者”に手を伸ばし、優麻が絶望の声を洩らす

彼女の胸には、深々と剣が突き刺さっていた。だが、優麻の身体を茸폰たはずの切っ先が、彼女の背中に現れることはなかった

優麻の肉体を空間転移の門に使って、剣をどこかに転送したのだ.

「待チワビタゾ....コノ瞬間ヲ。抜ケ目ナク狡猾ナ貴様ガ、ホンノ一瞬、気ヲ抜クノヲ」

顔のない青騎士が、錆びた声を紡ぎ出す。

それは女の声だった。歳を経た邪悪な魔女の声音だ

「ブービー-トラップ......か....自分の娘を、捨て駒にするとはな....外道め...」

那月が突然、蔑むようなうめきを洩らす。

彼女の息から漂う血の臭いに、古城は表情を凍らせて振り返った。

レースで美しく飾られた那月の胸元から、想しく無骨な鋼鉄の塊が生えていた。

青騎士の持つ巨剣の切っ先が

「南宮先生!」

「那月ちゃん!?」

「那月⁉」

あまりにも歪なその光景に、雪菜と古城、零は愕然と立ち尽くすしかない。

呆然自失の古城を少し怒ったように睨みつけ、那月が弱々しく笑う

「担任教師を....ちゃん付けで呼ぶな......馬鹿者」

人形のように小柄な担任教師の身体が、ゆっくりとその場にくずおれていく。

顔の無い青騎士の、不気味な笑い声が途切れることなく聞こえてくる。

あまりにも軽い担任教師の身体を抱きかかえながら、

 

「うおおおおおおおお─────っ!」

古城はただ声を嗄らして絶叫した

壊れかけの薄暗い聖堂に、第四真祖の咆哮が響き渡る


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